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韓国はいま                      かけはし2004.02.23号

4月総選挙-民主労働党の議席獲得は実現するか

もっともっと地をはうような闘いが必要だ

 「民主労働党○○議員、対政府質問を行って下さい」。
 近未来の17代国会の風景だ。2000年に創党された民主労働党の院内進出が可視圏に入ってきた。(旧)正月以降の各種世論調査で民労党の政党支持率が5〜6%になっているからだ。
 現行の選挙法は得票率3%以上、5%未満の政党に比例代表議席を優先的に配分するようにしている。地域区5議席以上、あるいは得票率5%以上の政党は得票比率にしたがって配分される。国会議員数や選挙区の確定作業を行っている国会政治改革特委が比例代表の議席数を現行の46議席から大幅に減らしたり、あるいは全廃などの改悪をしないとすれば、そして4・15総選挙まで現在の政党支持率から大幅の下落がないとすれば、民主労働党は少なくとも2議席以上の比例代表議員を確保できる見通しだ。
 しかも今回の4・15総選挙は国会議員選挙としては初めての政党名簿式比例代表制が導入される。02年の地方選挙に参加した有権者たちは市、道別の広域議員投票の際、1回は候補者に、もう1回は政党に投票した記憶がうっすらと思い浮かぶだろう。今回の総選挙でも2枚の投票用紙を受け取り、1枚は候補者に、もう1枚は支持政党に投票することとなる。
 民主労働党が院内進出を既成事実として考えている理由も、まさに02年の地方選挙の際の経験があるからだ。この時、民主労働党の政党支持率は3%だったが、実際の得票率は8%ほどだった。したがって現在の5〜6%の政党支持率でも10%くらいの得票率は無難だろうと見ているのだ。
 もちろん選挙が本格化するとともにハンナラ党や民主党、開かれたウリ党、自民連など院内各政党の激しい闘いによって進歩政党の立つ位置が狭まる可能性を排除できないが、政党投票比例代表制は民主労働党の「荷物」だった死票防止の心理をかなりの程度に緩和させるだろう。
 4年前の総選挙の際には21人の候補を出して22万3千票を得、全得票率は1・18%にとどまったが、今回は150余カ所に候補を立てる計画だ。ノ・フェチャン選挙対策本部長は「02年の大統領選を経るとともに政党支持率は地方選挙のときよりも2倍以上に上がり、本格的な選挙運動が始まり他の党との差別の構図を明確にすれば15%の得票は問題がないものと自信を持っている」と語った。15%の得票率は比例代表の議席数が現行の46議席が維持されれば7〜8議席に該当する。
 民主労働党が院内進出すれば、だれがバッジを付けることになるのか。地域区選挙に出馬する候補を党員の直接選挙で選出した民主労働党は、比例代表候補も3月初めころ全党員の投票で選ぶ予定なので、いまはまだ分からない。けれども民主労働党の機関誌「進歩政治」が昨年末に党員を対象に実施したEメール世論調査の結果を見れば、おぼろげに推測はできる。
 中央党にEメール住所が登録された党員1万6千余人(民主労働党集計の真誠党員は3万5千余人)にアンケート用紙を送ったが、クォン・ヨンギル代表とタン・ビョンホ前民主労総委員長、シム・サンジョン中央委員、イ・ムノク選対委・腐敗追放本部長(カナダ順)らが100人以上の推薦を得たことが明らかになった。
 50人以上の推薦を得たのはキム・ヘギョン選対委副委員長、ノ・フェチャン選挙対策本部長、チョン・クワンフン民主連帯常任代表、チョン・ヨンセ選対委員長(カナダ順)らが含まれている。もちろん応答者は1千余人にすぎず、複数推薦をしたケースもあって精巧な世論調査を見るのは難しいが、民主労働党党員らの意向を読み取れるというものだ。クォン代表の場合、慶南・昌原乙区の候補に確定し、比例代表の候補登録は不可能な状態であり、挙論された人々が比例代表選出大会に参加するかも不透明だ。
 民主労働党のある関係者は「実際の投票はフタを開けて見なければ分からないが、奇数の順番を女性に配分する場合、シム・サンジョン中央委員、タン・ビョンホ前委員長の順で上位の順番が決定される可能性が大きい」と見通した。シム委員は、一般人には多少、なじみがないけれども85年、韓国労働運動史に一大画期をなした九老同盟のストを主導するなど、80年代の代表的な女性労働運動家出身で労働運動や進歩政党の発展に尽力してきたことで評価されている。
 民主労働党は地域区選挙でもクォン・ヨンギル(慶南・昌原乙)、チョ・スンス(蔚山北)、キム・チャンヒョン(蔚山東)、キム・ソクチュン(釜山・金井)、カン・ピョンギ(晋州)、ナ・ヤンジュ(巨済)の各候補など工業団地が密集している嶺南圏やイ・ヨンギル(天安乙)、チョン・ヒョンジュ(城南・中院)、キム・ヨンハン(平沢乙)、ハン・サンウク(仁川・富川)候補の地域区で7〜8議席の獲得を目標としている。

 前回の16代総選挙で5千余票の差で落選したクォン・ヨンギル候補や区長出身のチョ・スンス、キム・チャンヒョン候補は自主調査の結果、当選圏にあると判断している。
 民主労働党は、このような自信感を土台に「得票率15%、15議席確保」を今回の4・15総選挙の目標として掲げている。事のついでに院内進出に満足せずに独自的な院内交渉団体の構成まで踏み込もうというのだ。ノ・フェチャン本部長は「02年の比例代表で進出した民主労働党出身のソウル市議会議員1人が、100余人の他の政党の議員らがなしえなかった学校給食法の条例案を発議し、住民発議によって法律を作ることに成功したのを見れば、よしんば少数で議会に進出したとしても進歩的法律を作る議会の拠点的役割を果たすことができる」し「民主労働党に投じる票は、もはや死票ではなく政治を変え世の中を変える力となるだろう」と語った。(「ハンギョレ21」第494号、04年2月5日付、キム・ボヒョプ記者)


民主労働党の立候補者選出選挙--蔚山・北区の場合

 民主労働党は現在70余カ所の候補を確定したところだ。院内の各政党が公薦方式をめぐって悩んでいた昨年末から党員の直選によって候補を確実に準備してきた結果だ。このうち蔚山・北区と慶北・浦項、光州・北甲、ソウル・龍山、鍾路など10余カ所は競争が激しくて競選を行い、他の地域は単独候補に対する賛否投票方式で行われた。
 最も関心を集めた所は、民主労働党の当選の可能性が最も高いところとして挙げられている蔚山・北区だった。蔚山・北区は前回の総選挙のとき、チェ・ヨンギュ候補が競選の後遺症にもかかわらず500余票の差で惜敗した地域で、有権者10万人中、現代自動車労組の組合員だけで3万余人になる。今回の競選では第2次投票まで進むという接戦のすえにチョ・スンス前北区長が現代労組委員長出身のチョン・カプトゥク氏を押さえて総選挙に出馬することになった。競選には真誠党員1400余人が参加した。
 2000年に1度、内部の葛藤によって競選の後遺症を味わった民主労働党は、その痛みを教訓として今回は原則を徹底して守った。競選に際して平素よりも党員が大幅に増えると、党員資格を厳格に審査した。党員として加入し1カ月に1万ウォンずつ3カ月以上、党費を納付し党員教育を受けた者に限って投票権を行使できるようにした。また3カ月以上、活動していない党員は資格を停止した。
 昨年半ばの1000余人から競選を前にして2500人にまで増えていた党員のうち真誠党員を抜き出すと1700余人で、これらの人々にのみ選挙権を付与したのだ。党費の納付も代納を阻むために直接、党事務所を訪ねて納付するか、口座移替(互いに替わりあうこと)をした場合にのみ認めた。
 結果は、どうだったのだろうか。不正選挙云々とか競選への不服といった他の政党でもたらされる雑音はなかった。落選した他の2人の候補も心よく競選の結果に承服し、チョ前区長の総選挙での勝利のために積極的に乗り出すことを明らかにした。すでに競選を行った10余カ所も事情は似たようなものだった。キム・ジョンチョル中央選対委報道担当者は「4年間、真誠党員によって上向式に党を運営して政党政治の典型を作ってきたことが実を結び始めた」と評価した。
(「ハンギョレ21」第494号、04年2月5日付)


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