| 自民・民主の「改憲共闘」を打ち破る広範な共同行動を! |
小泉首相の靖国神社参拝と自衛隊イラク派兵で明けた二〇〇四年は、憲法改悪がいよいよ政治の具体的日程に乗せられる年になろうとしている。国際法や国連憲章を無視したブッシュ米政権の不法きわまるイラク先制攻撃とサダム・フセイン政権の転覆を小泉政権が支持し、米英の植民地主義的軍事占領に自衛隊が占領軍の一員として参加するという既成事実そのものが、憲法改悪過程の加速を促しているのだ。
昨年十一月の総選挙にあたって、小泉・自民党は政権公約として二〇〇五年十一月の結党五十周年までに党としての「改憲草案」を策定することを打ち出した。この規定路線に沿ってすでに小泉内閣は突っ走っている。
一月十九日に始まる通常国会で、自民党は憲法改悪のための手続きを定める国民投票法案を超党派の議員立法として提出する方針をすでに定めている。一月四日、中川秀直国対委員長が「わが党は、二〇〇五年までに改憲草案を作ると言っているが、その手続き法の議論もこの国会で始めるべきだ」と述べたことは、その具体的な現れであった。
一月六日に公表された自民党の二〇〇四年運動方針案では、すでに来年十一月の「新憲法草案」発表以後をも見すえて「新憲法草案を公表し、広く国民からの意見募集を行い、全国各地において党主催による公聴会を開催し、憲法改正に向けた国民的議論を展開する」とされている。二〇〇五年以後、一挙に憲法改悪のための大キャンペーンを展開して「改憲ムード」を盛り上げようというのだ。その焦点が、「集団的自衛権」の発動をふくむ九条改憲にすえられていることは言うまでもない。
総選挙で大幅に議席を伸ばした民主党もまた、この小泉・自民党主導の改憲モードにエールを送り、「創憲」という名の憲法改悪方針の主導権を取る意図を公然化している。
菅直人代表は、一月五日の仕事始めのあいさつで「衆院で三分の一を超える議席がある民主党がイエスと言わない限り、憲法改正の発議はできないが、われわれがどういう形に変えるべきだと提案すれば大きな方向性が出てくる」と述べたのを皮切りに、翌六日には「二年後には憲法発布から六十年という『還暦』の節目を迎える。『創憲』の議論を展開していきたい」と述べた。そして一月十三日の民主党大会で菅代表はあいさつの中で「官僚主導を本当の国民主権にするため、市民革命に代わる幅広い憲法制定運動が必要だ」と述べ、二〇〇六年に民主党改憲草案を作ることを、正式な党方針としたのである。
代表あいさつで語られた民主党の改憲案の柱は、「形骸化する国民主権を復活させるための住民投票制度の導入」「国の権限を外交・防衛などに限定する分権国家」「会計検査院の国会への移管」など「市民色」を前面に押し出しつつ、自衛隊の海外派兵については「国際協力を目的に活動できる組織を別に作る」として「国連待機部隊」構想を明らかにした。
この自衛隊とは別組織の「国連待機部隊」構想は、昨年の総選挙直前に民主党に合流した自由党の総帥・小沢一郎(現・民主党代表代行)の持論であるが、昨年十一月に旧社会党出身に横路孝弘党副代表との会談で合意に達したものだった。もちろん小沢の思惑と横路ら旧社会党系の感覚にズレがあることは確かだろう。しかし、その論理は明らかに「国連」の旗の下での海外派兵・武力行使を積極的に推進していく方向に大きく開かれている。
菅直人代表の大会あいさつの中では、「九条改憲」は論議に上がっていない。しかしそれは決して「九条に手をつけない」ことを意味するものではない。「創憲」という改憲の力学は、今日のグローバル資本主義の下での軍事的「国際貢献」=海外派兵と「戦争ができる国家」の確立を軸に展開していることは間違いないからである。アメリカ帝国主義の先制攻撃戦略の一環としてのMD(ミサイル防衛)戦略への参加を、民主党が支持していることは、それを証明している。
民主党の外交・防衛問題の中心に位置している前原誠司衆院議員(「明日の内閣」外務担当)が、昨年十一月の日米安全保障戦略会議の場で「憲法を改正して、九条に自衛権を明記し、集団的自衛権の問題も突破しなければならない」「憲法自体に緊急事態に関する規定がまったくないのは、やはりおかしい」と九条改憲の意図を明らかにしている。
もちろん、民主党の中に九条改憲に危惧を抱いている人びとは少なからず存在している。しかしわれわれは昨年の通常国会で、民主党議員が文字通り「一人残らず」有事3法案に賛成したことを忘れることはできない。「市民革命」などという言葉で飾られた民主党の「創憲」の目論見が、まさに資本の新自由主義的グローバリゼーションと一体の軍事的グローバリゼーションに対応したものなのである。
民主党の二〇〇六年改憲構想は、小泉内閣の憲法改悪路線にはずみをつけている。小泉は、一月七日の政財界関係者との会合で同席した菅代表に「自民党と一緒に憲法を改正できるじゃないか。民主党が賛成できないような憲法改正は良くないと、自民党に言っている」と「共闘」を呼びかけた。
一月十四日の内閣記者会とのインタビューで小泉は「野党の民主党が、これだけ改憲に積極的になるとは想像しなかった。かなり改憲問題が現実的な課題になってきたと受け止めている。自民党単独で改憲するのは好ましくないし、現実に無理だ」と民主党とともに五年程度の時間をかけて憲法改悪を実現することを訴えた。
こうした民主党を最大限に持ち上げ、抱き込み、ゆさぶりながら、小泉・自民党は支配階級の長期にわたる懸案であった憲法改悪実現の構想を現実に移している。旧「護憲・革新」勢力の歴史的後退の上に成立したブルジョア二大政党制の枠組みの下で、憲法の明文改悪の攻撃は、いまやラストスパートの段階に入っている。
今国会における当面の攻防の環は、上程が予定されている憲法改悪のための「国民投票法案」である。「国民投票法案」については、すでに二〇〇一年十一月に共産、社民両党を除く与野党議員から構成される「憲法調査推進議員連盟」(中山太郎会長)によってまとめられている。
同法案によれば「国会での憲法改正の発議から六十日以降九十日以内に国民投票を行う」「憲法改正に賛成のときは投票用紙に○、反対の時には×を記入する」「賛成票が有効投票の二分の一を超えるときは改正についての国民の承認があるものとする」「国民投票運動に関する罰則を伴うさまざまな規制を設ける」とされている。
ここでは改憲案全体として一括的な「賛成・反対」を問うもので、個別の条項についての可否は問われない可能性が大きい。さまざまな「リベラル色」を盛り込んだ改憲案の中に九条改憲がセットで埋め込まれ、人びとの反発を和らげるという策が弄されるだろう。
われわれはこうした「国民投票法案」の意図をしっかりと見抜き、それが何よりもアメリカ帝国主義の世界的な覇権秩序と一体となった日本帝国主義国家の軍事的グローバル化を、明文的に正当化することをねらったものであることを明確にしなければならない。
「国民投票法案」は憲法改悪へのステップであり、貧困と不正と抑圧と暴力に満ちた資本のグローバルな支配構造を維持・強化するためのものである。九条改憲を阻止する闘いは、決して一国的な「平和と民主主義」の受動的防衛の闘いではない。それは全世界から戦争と抑圧と不正をなくしていくための労働者・市民によるグローバルな闘いの一部である。
イラク反戦運動、「国民保護法案」反対の闘いと結び付け、憲法改悪反対・「国民投票法案」阻止の広範な共同行動を実現しよう。(1月16日 平井純一)
三里塚
暫定滑走路供用中止を
反対同盟が二〇〇四年旗開き
東峰神社裁判の勝利受け「北側延伸策動」阻止へ
一月十一日、三里塚・横堀農業研修センターで三里塚芝山連合空港反対同盟二〇〇四年旗開きが行われ、五十人が参加した。
研修センター前では、すでに旗開きに向けて反対同盟と支援による豚汁の準備、三里塚の野菜によるサラダや漬け物作りが始まっている。受付の横の机には、東峰のらっきょう工場の「加瀬梅干し」とお味噌、静岡空港反対派のお茶などが出店されている。
時々、暫定滑走路を離陸した中型ジェット機が通過する。そのたびに騒音の直撃によって、会話と作業がストップせざるをえない状況に追い込まれる。参加者たちは、あらためて暫定滑走路供用による横堀地区の騒音と環境破壊の実態を実感しながら、年頭の闘いのスタートである旗開きに参加していった。
会場の正面には、「暫定滑走路北側延伸策動粉砕!」とスローガンがかかげられている。
三里塚闘争現地支援連絡会議の山崎宏さんの司会で旗開きが始まり、反対同盟から次々と発言が続いた。
柳川秀夫さん〈反対同盟世話人〉は、「昨年、石井武さんが亡くなった。石井さんは、ここにいないが遺志を受け継いでいくことを全体で確認したい。さらに東峰神社裁判が和解した。東峰住民の総有を認めさせ、住民の意思が結実した。公団と空港推進派の意図はあるだろうが、反対派にとっては後世の育成も考えれば、大きな意義があることだ。だが公団は、暫定滑走路の南側建設がだめならば、北側延伸をねらっている。東峰は日夜、激音下にさらされているが、東峰の人々は自分の生き方としてあそこで生活をしている。四月から公団が民営化することによって、どのような対応をしていくるかわからないが警戒しなければならない」と発言した。
また、柳川さんは、@これからの長期戦を百年のスパンで考えていかねばならないA全国のさまざまな闘いの最先端として三里塚闘争が存在していることを再確認するB新しい文明と社会を展望しながらともに闘っていこうと提起した。
次に、横堀部落の熱田一さんの「今年も頑張りましょう」という力強い音頭で参加者全体で乾杯した。続いて、東峰部落の石井恒司さんは、「石井武が亡くなり、皆さんにお世話になり、ありがとうございました。東峰神社裁判は、公団と和解した。裁判的には全面的に勝利です。公団は、神社林を切ったことを謝罪し、土地が東峰地区の総有と認めた。公団がこのように折れてきたのは、それなりの思惑があったのだろうと推測できます。裏取引きは、一切ありません。公団は、これからのことがあるので『太っ腹』のところを見せて、今後に期待をかけるというつもりだろう。それと民営化に向けて、土壌作りの一環としてもあるだろう。それだけ今後、東峰住民にとっては、非常に厳しい状況になっていくだろう。だが、生まれたところで百姓をしながら生きていくというのが、私なり、東峰住民の気持です」と発言した。
石井紀子さんは、「今年からじいちゃんの代わりに引き継げることは、唯一、豚汁作りです。健康な体と力強い闘争は、おいしい食べ物からだと思っています。三里塚に来たら三里塚の野菜を一杯食べてください。そして、たくさん野菜を持って帰ってください。とにかく、ほうれん草が旬です。根っこも甘い、ワンパックのほうれん草です。今年も頑張りましょう」と元気一杯であいさつした。
加瀬勉さん(多古町農民)は、冒頭、「三里塚空港を利用して自衛隊がイラクに行ったことに対して厳重に抗議する」と糾弾し、参加者に対して「ただちにイラク侵略派兵阻止に向けた取り組みと抗議行動を行っていこう」と力強く呼びかけ、「自衛隊のイラク派兵を許してしまっている主体の弱さについて深刻に受け止めています。しかし、小泉の戦争国家体制作りに対して三里塚は、どてっ腹に風穴を開けるような闘争を、今年は創意工夫して、みんなで展開していこう。闘争拠点としての三里塚を作っていくことを考えています。公団が民営化とともに滑走路を完成させても、官僚たちの天下り先としての会社になるにすぎない。このような野望を粉砕するように警戒心を高めて闘っていこう」と訴えた。さらに、静岡空港反対派の土地に対する強制収用阻止に向けて、署名と抗議葉書運動の取り組みを呼びかけた。
東峰のらっきょう工場の平野靖識さんは、「東峰神社裁判が和解したが、本来だったら木があって飛行機が飛べないはずだ。公団は、東峰にクサビを入れようとしたが、裁判は、東峰地区で一致して闘いぬいた。東峰で生き続けることに、具体的な意義づけをしながら若い人たちにも受け渡していけるように考えています。その試みとして地球的課題の実験村の取り組みを行っています。現在の暮らしの在り方を考え直していく契機にもなるでしょう」と発言した。
発言は、参加者に移っていった。関西・三里塚相談会の上坂喜美さんのあいさつ、空港はいらない静岡県民の会からの連帯メッセージと「静岡空港に関する土地収用に反対し、建設の凍結を求める署名」運動の取り組みの紹介、「石井武の生涯」を刊行する会、じゃがいも運動、たんぼくらぶ、横堀団結小屋維持会、反グローバリゼーション交流活動を取り組んできた仲間などから決意表明が行われた。
旗開き後も反対同盟と支援の歓談が続いたり、横堀大鉄塔に行ったりして、交流が続いた。空港公団による民営化とセットで東峰住民に対する追い出し攻撃を強化している。東峰住民と連帯し、暫定滑走路供用中止に向けた取り組みを強化していこう。土地収用阻止の陣形作りに奮闘する静岡空港建設反対派をはじめ全国の空港に反対する人々とともに闘っていこう。(Y)
|