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韓国はいま                      かけはし2004.01.19号

階級政治が情勢を主導する時代を切り開こう

「労働者の力」の03年の闘いと04年の展望

 03年の1年は最初から最後まで烈士たちが身を投じた抗拒の中で、全労働者・民衆はかつてなく激烈で厳重に闘争を展開してきた。労働者、農民、貧民の烈士らが続出する中、数多くの民衆はカードの負債や農家の借金、民生の破綻によって生命を断つ中、テロ防止法や集会デモに関する法の改革、非正規労働者や移住労働者への弾圧、新労使関係のロード・マップなど労働権や基本権に対する抹殺がなされる中、03年を送らなければならなかった。
 このような状況にあって「労働者の力」は、反帝―反グローバル化を旗じるしにノ・ムヒョン政権の(戦争を伴った)新自由主義のグローバル化攻勢に立ち向かう全国的闘争戦線を形成し、これを土台に新たな階級主体および階級闘争の地形を創出するために努力した。これを基礎として04年の総選挙を正面突破して新たな階級闘争の地形の端緒を形成し、労働者の階級政党建設の土台を準備するとの目標を明らかにした。このために反帝―反グローバル化闘争の主体の政治的結集と実践とによって、イラクへの追加派兵を労働者民衆の大衆闘争の流れをもって食い止め、反帝―反グローバル化闘争の大衆的根拠を形成しようとした。
 もちろん少なからぬ浮沈はあった。何よりも予測できなかった情勢―烈士らによって大衆闘争の空間が開かれていった―の中で労働者民衆を政治の主体として形成しようとしていたわれわれの試図はどうであったか、そしてそれは現在どこまで来ているのか反すうしてみなければならない時点に来ている。
 通貨危機以後、労働者民衆運動は新自由主義の構造調整反対、生存権争取のための持続的な闘争を展開してきた。だが反自由主義の全国闘争戦線を力あるものとして設置することにおいて多くの困難を味わった。
 02年末の選挙において勝利したノ・ムヒョン政権はキム・デジュン政権に続き新自由主義的グローバル化攻勢の強度を高めた。経済特区を強行し、韓チリ自由貿易協定、韓日自由貿易協定などを推進するとともに教育行政情報システム(NEIS)の導入や非正規労働者、移住労働者に対する弾圧を持続した。また、名分のない米国のイラク侵攻に同調して派兵および追加派兵を絶えず企図した。このような新自由主義的グローバル化攻勢、労働柔軟化攻勢に伴う貧困の極大化は絶対多数の民衆に苦痛と絶望ばかりを残すこととなった。
 その結果、労、農、貧民の生存権死守のための闘争や非正規労働者、移住労働者、長期闘争事業場、プアン民衆闘争など労働者民衆のさまざまな闘争が03年の1年間、休むことなく続けられていった。また損賠仮差し押さえ、非正規労働者、労組弾圧によって烈士らの抗拒が継続されると、もはやこれ以上、ひき下がる所のない全国の労働者たちは即時のゼネスト闘争を展開することによって資本と新自由主義政権に一大打撃を加えた。
 だが03年の労働者民衆の闘争は頑強ではあったものの、代案や方向性が提示された中でなされたものではない。厳密に言うなら、生きることの最後の阻止線を守るために退くことなく展開した防御的闘争だったのだ。つまり新たに形成された階級・大衆の主体たちによって社会のダイナミックな変化を追求して闘争に乗り出したものではない、という点だ。
 そのために労働者民衆闘争の方向性を提示し率いていく新しいオルタナティブな階級運動はいま、この瞬間にも大衆闘争の前面に登場できていない。非正規労働者、移住労働者、女性、障害を持つ労働者たちの闘争は集団的に組織されて起ちあがったとは言うものの、まだ情勢を主導するだけの力量に成長できておらず、依然として情勢は既存の運動の延長線上で、そして防御的な闘争過程として位置づけられている。
 また、派兵反対闘争は上半期の闘争過程において明らかになったように、上層での対応中心の闘争や国会にゲタを預けた闘争から脱け出て、階級・大衆の闘争を反戦および派兵反対闘争へと組織しようとした。だが労働者民衆運動陣営は単一の力の集中によって情勢突破の方向をつかむのに困難さを味わった。追加派兵問題が噴きあがる前に、階級・大衆運動を中心においた派兵反対闘争はほとんど見失われる状況におかれてしまった。
 依然として派兵反対闘争は国会(議員)と支配政治圏を念頭においた市民運動陣営の撹乱の中に存在しており、上層対応にとどまることによって大衆的に広がることができず、徐々にエネルギーを失いつつある。個人を中心に反戦平和共同行動(準)が組織され派兵反対闘争の大衆化のために努力してはいるものの、現状況にあって何回かの継続的な闘争に制限されている。

 このように03年の労働者民衆の闘争は、流れた血ほどにも多くの課題を投げかけている。階級政治の萌芽は見えるものの、まだ花が咲くには至らず、政治運動の方向は議会を超えられず、実利を乗り越えた階級的団結はいまなお道遠く思われる。それにもかかわらず階級・大衆闘争の階級的、政治的性格は拡大している。ほとんどすべての事案が新自由主義を乗り越える権力と体制へのオルタナティブを苦悩することなしには、どんなことも解決できないという状況が形成されている。
 損賠・仮差し押さえや非正規労働者の問題は新自由主義の政策と真正面から相反し、農民を死へと追い立てている開放農政、韓チリ自由貿易協定もまた同様だ。政治、経済、外交、軍事的な従属が続いているこの国に、米国が要求している派兵を拒否するということは、すでに権力と体制の問題として受けとめられていく。資本中心の核エネルギー政策と開発イデオロギーの中にあって、まさに「資本中心性」を乗り越えないかぎり、プアン問題は、セマングム(巨大干拓事業)問題は、留保することはありえても解決することはできないからだ。
 すでに個々の大衆闘争が権力と体制の問題に接近しているにもかかわらず、現在もっとも大きな限界は政治運動の方向が、これを突破する諸契機を求められずにいるという点だ。また大衆闘争の側面においても「労働者の力」をはじめとして政治組織の運動は労働者・民主闘争を先導できなかった。大衆の闘争が燃え上がる局面において、これを政治的に拡張させていくことにも、全国的に拡散させていくことにおいても一定の限界を示した。
 民主労働党の場合、情勢分析や主要事案についての政治方針採択の過程において、平常心を失い右往左往する姿勢で一貫している。大統領再信認―国民投票に対しては国民投票拒否の方針を、派兵に対しては国民投票の提起を主張するなど民主労働党が最近、採択した政治方針は労働者・民衆運動陣営内でさえ同意を求められずにいる。このような状況においても議会主義的展望によって絶えず大衆の政治的熱望を代替しようとしている。
 同時に左派政治運動の状況も、それほど異なってはいない。左派陣営の政治的連帯は行方定まらぬことご覧の通りであり、大多数が階級闘争の現場に結集することさえ覚束ないのが現実だ。このような側面から、階級的左派運動陣営の運動の成果と限界を客観化することは極めて重要な意味を持っている。たとえば上半期に活動家の政治組織建設の努力の成果と限界を再評価することもまた同一の意味を持つだろう。何よりも左派運動陣営は新たな階級的政治運動の展望を求めるために過去の成果と限界を推し量り正しく継承することに、もっと多くの努力を傾けなければならない時だ。
 「労働者の力」は烈士政局においてゼネスト闘争を組織するために、さまざまな現場や部門の活動家たちとともに邁進した。もちろん「労働者の力」が政治組織・運動の主体としては依然として力不足であるのは事実だ。だが烈士闘争を経過しつつ、「労働者の力」の全国会議以降、地域レベルで形成されている現場連帯や実践団、非正規労働者など新たな主体の発掘や再生産は現場運動の展望を開く萌芽として形成されている。このような運動の流れを強化し拡大することは、階級的政治運動を切り拓いていくことにおいて中枢的役割を担保するだろう。
 04年の1年間、この運動の流れを量的質的に発展させ、新自由主義の改革から離脱、離反している主体を含めた政治社会運動の主体の形成と理論・学術の主体の再編構想を総和していくならば、階級的政治運動の大きな流れを作り出すことができるだろう。
 情勢的に04年は極めて厳しいものとして展開されるだろう。危機に追い立てられた新自由主義政権は社会統合的労使関係の構築を再び試図し、非正規職化、FTA、投資協定、核廃棄物問題、雇用許可制など新自由主義の政策と攻勢を一層強化するだろう。これに対して労働者民衆の生存権、労働権・生活権争取闘争は、さらに拡大するだろう。何よりも04年の労働者民衆闘争は、もはや防御的な闘争ではなく、オルタナティブや闘争の方向を求めていく攻勢的な流れを作らなければならない。
 そうするためには労働解放の旗じるしの復権とともに反資本の主体の広範な結集をなし遂げなければならない。この主体は支配階級一般の政治的危機を加速化し、労働者民衆の生存権・労働権・生活権争取のための、一貫し、かつ持続的な闘争を担保する実質的大衆闘争の主体として発展していかなければならない。
 また、04年上半期情勢の争点におかれている総選挙は支配階級にとっても被支配階級にとっても重大な意義を有している。支配階級にあって04年4月の総選挙は上半期の労働者民衆の抵抗を制度内的に包摂する場であり、同時に新自由主義支配諸分派が直面した政治的危機を緩衝、収束する場だ。支配階級は、この2つの目的を達成するために水火をいとわず飛び込むだろう。
 したがって上半期の労働者民衆闘争にあって、総選挙は選挙空間という一般的意味、議会空間の活用、議会戦術の認定という原則的な態度表明のレベルではなく、この構図に直接的かつ攻勢的に介入することによって労働者民衆闘争の制度内的包摂を阻み、支配階級の危機管理と政治的収束の構図を阻止する全面的な実践の場となるようにしなければならないだろう。
 いまやわれわれは直ちに04年上半期の闘争を準備しなければならない。03年のゼネスト闘争や民衆闘争の延長で労働者民衆闘争の流れを継承する中で04年の闘争の方向性を大衆的に提示しなければならない。特に上半期には新自由主義的グローバル化反対の全国闘争戦線の構築と総選挙闘争への全面結集を通じて、広範囲な政治主体を形成することを直接的な目標として設定しなければならない。
 全国闘争戦線の構築は、上層対応中心を越えて現場と地域の下からの実質的な連帯の秩序を構築することであり、総選挙の空間に攻勢的に介入することによって総選挙において支配階級の構図を阻止する活動に主力を注がなければならない。総選挙闘争において自由主義の改革と分離し議会的運動を超える運動陣営間の連帯を強化する一方、現場運動の主体の結集に心血を傾けることによってオルタナティブ的、階級的運動の展望を大衆的に提示しなければならない。これは04年総選挙の時期の闘争の過程において実利的、改良的、市民主義的展望を乗り越えて階級的政治運動の復権と、その主体の登場を切り拓いていくのか、そうでないのかの問題と連結するだろう。(「労働者の力」第46号、04年1月5日付、ホン・ソンマン事務処長)


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