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子どもは「お国」のためにあるんじゃない!       かけはし2004.01.12号

教育基本法改悪阻止へ

ここで止めなきゃ、憲法改悪への道


教育基本法改悪に反対し全国集会

「戦争のできる国民作り」を阻止するために

 十二月二十三日、東京・日比谷公会堂に全国の四十七都道府県すべてから五千人(主催者発表)が結集し、「子どもは『お国』のためにあるんじゃない!教育基本法改悪反対!12・23全国集会」が開かれた。
有事法制の成立を強行した小泉政権は、イラクの戦場に自衛隊を送り出し、これまで歴代自民党政府が「憲法違反」として退けてきた「海外での武力行使」に公然と踏み出そうとしている。そして小泉政権は、現行憲法と一体となって平和主義と人権と民主主義の教育をうたう教育基本法を改悪し、「戦争のできる国家体制」を支える「戦争のできる国民作り」を押し進めようとしており、次期通常国会に改悪案が提出されようとしている。それは、新自由主義教育政策で子どもたちを一握りの「勝ち組」と圧倒的多数の「負け組」に分裂させ、荒廃する社会を「愛国心」を柱にした国家主義で再統合しようとするものでもある。
 この全国集会は、このような流れを阻止するために、東大教員の小森陽一さんと高橋哲哉さん、松山大教員の大内裕和さん、千葉大教員の三宅晶子さんが呼びかけ人となり、全国の教育労働者や、これまでの教育に疑問を持つ高校生や大学生、差別と闘う在日コリアンや障害を持つ子どもの親、子どもの人権や平和運動に取り組んできた人々、戦争体験の悲劇を伝えようとする人々など、千六百人以上と組織の枠を超えた諸団体が賛同して開かれた。
 会場には、定員をはるかに超える人々が詰めかけた。通路を埋め、後ろの立ち見席も一杯になり、壇上の両袖にも座り込み、それでも入り切れないたくさんの人々が開場の外にあふれ、外に設置されたスクリーンで見、スピーカーで聞き入った。

新自由主義と戦争受け入れる人作り

 集会では、四人の呼びかけ人がそれぞれ教育基本法改悪のねらいや問題点を暴き、「戦争のできる国民作り」を阻止しようと訴えた。
 大内さんは、「個性化」の名のもとに生徒一人一人の個性まで評価と管理の対象として過酷な競争に追い込み、一握りの「勝ち組エリート」と圧倒的多数の「負け組ノンエリート」に分断する新自由主義教育が、「戦争のできる国民作り」と一体であることを指摘した。
 三宅さんは、国定修身教科書にほかならない『心のノート』が子どもたちに押しつけようとしているのが「サバイバル競争で生き残ろうとする新自由主義的精神性」であり、「差別選別されてもそれを受け入れる心」であり、「国家と社会への感謝と服従の強制」である、と指摘した。「そこにはアイヌも沖縄も、障害を持つ子どもたちも在日外国人もない。優生学的に同化が完成した日本を愛せと求めている」。
 高橋さんは教育基本法改悪のねらいとは、二十一世紀に日本が経済戦争で「勝ち組」になるために一%のエリート愛国者を作り出し九九%の国民がそれを支えるという構造を作り出そうとするものにほかならず、それはアメリカの現実が示すように軍事的攻撃と一体であると述べた。
 小泉首相や都教委や「この日に誕生日を迎えた、今日の集会場の近くに住むさる高貴なご夫婦」に扮したザ・ニュースペーパーのコントが、子どもの心や教育労働者を強権的に管理しようとする支配者たちのこっけいさを、爆笑に継ぐ爆笑で笑い飛ばす。

二十三人の教師、生徒、市民が発言

「しゃべり場」のコーナーでは、「日の丸・君が代」の強制に反対して不当処分を受けた教育労働者、理不尽な学校統廃合に反対して運動する高校生、「学校選択の自由化」がもたらす「教育の商品化」に反対する市民運動、愛国心通信簿に怒る在日コリアン高校生、不登校体験を語る高校生、障害を持つ子どもたちへの性教育に対する都教委の弾圧と闘う教育労働者、イラク派兵反対の運動を進める高校生、薬害エイズ被害者の立場から人権問題に取り組む川田龍平さん、ジャーナリストの斉藤貴男さんなど、二十三人が切々と思いを語った。
また集会には韓国から、ノ・ムヒョン政権のイラク派兵に反対して闘い抜いている全教組のウ・ヨンマン委員長、日本の教科書をただす運動本部(アジアの平和と歴史教育連帯)共同代表ソ・ジュンソクさんらの連帯メッセージが届けられた。
 最後に、呼びかけ人の一人である小森さんが「次の通常国会で改悪案を上程させないよう、全力でこの共同と協同を全国に広げよう」とまとめの発言を行い、集会アピールを全員で読みあげて拍手で確認、パレードに出発した。
 「戦争する国作らない!」「戦争する人作らない!」「だから教育基本法改悪反対!」「子どもの心に手を出すな!」「私の心に踏み込むな!」「だから教育基本法改悪反対!」。ラップのリズムもにぎやかに、パレードは新橋、銀座から東京駅前を通り、師走の街を行く人々に元気なアピールを送った。     (I)


  
「松井やより追悼」1周年記念シンポ

戦時性暴力をどう記録するか―ドイツと韓国の試みに学ぶ

 十二月二十一日、江戸東京博物館ホールで、「松井やより追悼」一周年記念シンポジウム「戦時性暴力をどう記録するか―ドイツと韓国の試みに学ぶ―」が「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW―NETジャパン)、女たちの戦争と平和人権基金の主催で開催され、四百人が集まった。

ナチスの記憶とイラク戦争と性暴力

 最初に、西野瑠美子さん(VAWW―NETジャパン共同代表)が「松井やよりさんが死去して一年が経った。松井さんの遺志を継ぎ、女たちの戦争と平和資料館建設を進めている。最初、なぜ過去を記録するのか論議してきたが、どう記録するのかという段階に入っている。イラクでは米英軍やイスラム原理主義者による強かん事件が二百件近く起きていいるが、『強かんに抗議するイラク女性連合』が作られ活動をしている。戦争と女性被害の問題は現代的な問題だ」とあいさつした。
 続いて、「アウシュビッツからベルリンへ、加害の記憶をたどる旅」のビデオ上映が行われた。これは池田恵理子さん(女たちの戦争と平和資料館建設委員長)らがアウシュビッツからベルリンまで訪ねて、加害の戦争をどのように記録するのか調べた記録である。
 ベルリンのいたる所にナチスドイツの犠牲者を追悼する場と、「ナチスを記憶せよ」「われわれが犯した犯罪を決して忘れまい」と迫る場所がある。さらに、いまでは加害者の記録を残す努力もされている。そして、こうした場所が教育の場として使われ、若い学生のみならず、閣僚や軍の将校たちへの教育もしているという。
 こうした運動は、親たちのナチスの責任を問う一九六八年世代の運動が社会運動として発展し、その世代がリーダーとなり、いまでも継続されているという。
 次に、パネルディスカッションが、「遺志から歴史へ」山下公子さん(早大人間科学部教授)、「韓国の歴史の中での日本軍性奴隷制被害者」尹貞玉さん(韓国挺身隊問題対策協議会前代表)、「『女性国際戦犯法廷』の判決・勧告を踏まえ、どう記録するか考える」西野瑠美子さん(VAWW―NETジャパン共同代表)から提起を受けて行われた。
 山下さんは、ヒトラー政権に対してクーデターを起こそうとした軍人らによる「7月20日抵抗運動」と学生らによる「白バラ」グループの反ナチ抵抗運動を紹介した。山下さんは、「7月20日運動が民主主義的国家をめざすのではなく、権威主義的な国家建設を考えていたのではないか、白バラグループはキリスト教的・平和主義抵抗運動と見られていたが、実は武装蜂起も計画していたという歴史的見直しが進んでいる」ことを報告した。

女たちの平和資料館――理念と構想

 尹さんは韓国でも被害者の証言を重視した慰安婦記念館を作ろうと建設推進委員会が十二月に発足したことを報告した。西野さんは作ろうとする資料館が持つ五つの理念とそれを具体化する構想について、以下のように提起した。五つの理念とは@ジェンダー正義の視点に立ち、戦時性暴力(「慰安婦」問題と現代の戦時性暴力)に焦点を当てるA被害だけでなく、加害責任を明確にするB未来に向けた活動の拠点C国家権力とは無縁の民衆運動として建設・運営するD国境を越えた連帯。
 そして、それを具体化する構想とは@「慰安婦」や現在や近年の戦時性暴力の資料を集めたものだけではなく、情報の受発信基地であり、性暴力の根絶や女性の人権の確立のため、平和のための運動の拠点であることAただ展示されたものを見るのではなく、立体的な参加型の資料館であること――。
 最後に、丹羽雅代さん(女たちの戦争と平和人権基金副理事長)が「建設基金は千三百の団体から六千百万円が集まっており、〇五年に完成させたい。さらに、御支援を」と訴えた。(M)


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