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株価急騰と長期金利急上昇が意味するもの       かけはし2003.9.22号より

日本経済は回復基調に入ったのか

ますます深刻化する世界資本主義の危機


 株価が急騰している。四月二十八日に七千六百七円というバブル崩壊後の最安値をつけた東証株価は、七月初めには一万円の大台を回復し、九月五日現在、一万六百五十円をつけている。三万九千円を超えていた八九年のバブル最盛期に比べれば、まだ四分の一を少し超えた程度の低水準にすぎないとはいえ、四カ月で四〇%もの急騰である。
 株価の崩落で巨額の含み損を抱え、息も絶え絶えになっていた銀行は、この急騰で逆にかなりの含み益を抱えるようになり、一息ついている。また、いつ倒産してもおかしくない株価百円割れ上場企業の数も、つい先日まで二百社を超えていたが、いまでは五分の一の四十五社に激減した。
 この株価急騰に、竹中経済財政担当相は興奮を隠すことができず、八月四日にさいたま市で開かれたタウンミーティングで「(日本経済は)沸騰点にさしかかってきた」と述べた。しかしこの株価急騰が、本当に日本経済が本格的回復基調に入ったとことの表現であると考えるものはほとんどいない。それは「上げ底」であり、「見せかけ」であり、何よりも世界資本主義の危機の深さを反映したものでしかないからだ。

経済危機はむしろ深まっている


 八月十二日に発表された四〜六月期の国内総生産(GDP)は、「実質」で前期比〇・六%(年率二・三%)増となった。これについても竹中は、「今までと違う次元に移行しつつある」と述べ、小泉も「ようやく改革の成果が現れてきた」と喜びを隠さない。
 「実質」〇・六%増とは、実際の物価で表示したGDOの「名目」〇・一%増に、デフレで物価が下がっているからということで、その分ゲタをはかせたものにすぎない。実際に生産や消費が力強く回復し始めたわけではない。
 今年一月〜六月のスーパーの売上高は前年同期比二・六%減で七年連続、百貨店は二・八%減で六年連続、前年を下回った。四〜六月期の勤労者世帯の実収入は「実質」で前年同期比二・一%減。実際の物価による「名目」ではさらに大きく減っている。六月の勤労者世帯消費支出は「実質」でようやく〇・四%のプラスになったが、そのうち保健医療サービスが一四・八%もの大幅増になっている。四月から強行された健康保険の本人負担三割への大幅負担増のために、「消費」が増加したのである。
 続く七月の勤労者世帯消費支出は、実質で六・〇%という九年ぶりの大幅減となった。七月のスーパーの売り上げは前年同期比五・〇%減、コンビニの売り上げは七・三%減と、いずれも過去最大の下げ幅である。
 八月八日に人事院は〇三年度の国家公務員の給与を、率で二・六%、年額で十六万三千円引き下げるよう、国会と内閣に勧告した。もちろん、一九四八年にこの勧告制度が始まって以来、最大の下げ幅である。年金制度大改悪も進められようとしており、将来への不安はますます高まっている。消費の増える要素はない。
 完全失業率も五・三〜四%に高止まりしたままで、今年三月に卒業した大学卒・高校卒の就職率も、それぞれ五五・〇%、一六・六%と過去最悪となった(文科省調査速報)。フリーターは四百十七万人にもなった。正規雇用が減り続け、無権利で低賃金の不安定雇用にどんどん代えられている。
 東京商工リサーチの調査では、一〜七月の破産件数は三千二百九十二件で前年同期比八十三件増の過去最多となった。悪い数字を上げていけば、文字通りキリがない。「(日本経済が)沸騰点にさしかかってきた」などという竹中の発言は、無理して笑いを取るための出来の良くない冗談ではないかと思ってしまうほどだ。
 確かに設備投資はこのところ増加傾向にある。どんな大恐慌時にも景気循環はある。十数年も深刻な景気後退が続き、過剰設備の廃棄につぐ廃棄が行われてきた。在庫調整も行われてきた。既存の設備もどんどん時代後れになり、競争力を維持するためにも設備投資が必要になるのは、むしろ当たり前である。しかしそれは、「日本経済の復活」を意味しはしない。
 八月十一日の日銀の発表によれば、「不良債権処理加速」を掲げた「小泉改革」の二年間で、中小企業向け融資は四十七兆六千二十九億円も減少している。銀行の貸し出し全体では、九六年の五百三十六兆円をピークに大きく減り続け、実に百四十兆円以上も減少して遂に四百兆円を割り込み、三百兆円台に突入した。
 不良債権処理の損失や引当金をまかなうために、銀行の自己資本は減り続ける。そのなかで貸し出しを中心とする総資産に対する自己資本比率を維持しようとすれば、資産=貸し出しを減らす「貸しはがし」に走るしかない。猛烈な「貸しはがし」はさらに続く。
 金融庁は八月七日、公的資金を注入した大手都銀、地銀、第二地銀の経営健全化計画の今年三月期の進捗状況を公表した。全体の八割が計画で掲げた利益目標を下回っている。不良債権処理と保有株式の処理損失拡大のためである。貸し出しを減らしつつ利益を増やし、収益力を強化するためには、金利を引き上げるしかない。融資の継続を求めたところ、一〇%もの金利を要求された中小企業もある。「不良債権処理の加速」を柱とする「小泉改革」が進めば進むほど、危機が「加速」せざるを得ないのである。

長期金利急騰と国家破産

 この間、不況が深刻化し続けているために銀行には投資先がなく、国債を買い続けるしかなくなって国債価格が上昇し(金利は低下)、「国債バブル」「国債価格の高所恐怖症」と言われる状態が続いてきた。国債大量発行による日本の財政危機はG7のなかで群を抜いて最悪となっており、しかも悪化のスピードは増している。だれもが、このような状態は持続できるはずがないと考えており、何かのきっかけで一斉に売りに走り、国債価格が急落し、長期金利が急騰する危険性が指摘されていた。
 長期金利の指標となる十年もの国債の利回りは、今年一月には〇・七五%というかつてない低さとなり、その後も低下は続いて六月中旬には〇・四%という、驚くべき史上最低をつけていた。それがわずか二カ月半で一・六%台へ四倍に急騰した。
 そのきっかけが株価の急騰だった。株価急騰で投機資金が国債から株に移る流れが生じた。長期金利急騰と国債価格の急落で、国債を大量に抱える金融機関の含み損が拡大し、損失の拡大を防ぐために一斉に売りに走ったため、市場は一時、売り一色となった。
 〇二年末の国の債務残高は、国債約四百五十一兆円、財融債七十二兆円、合わせて約五百二十三兆円に達している。このうち銀行等の約九十七兆円を筆頭に、生保、企業年金など民間金融機関が合計百四十一兆円、公的部門が日銀八十一兆円を筆頭に、郵貯、簡保、財投資金で約二百六十一兆円を保有している。
 長期金利急騰は、国債漬けの財政を直撃する。〇四年度の政府予算概算要求は八十六兆五千億円にもなる見込みである。ところが税収見込みは四十一兆八千億円にすぎず、概算要求の半分にも満たない。税収より多い四十兆円をはるかに超える国債を新たに発行しなければ予算が成り立たない借金財政なのだ。〇五年度には、借り換え債だけで百兆円を超え、一年間に合計百四十数兆円以上の国債を発行しなければならなくなると財務省は予測し、市場で消化し切れるのかという不安が高まっている。
 政府がこれまで国債の大量発行を続けてこられたのは、超低金利の持続によって借金の返済と利払い費である国債費が相対的に低く抑えられていたからであった。それでも〇三年度の国債費は十六兆八千億円に達していた。〇四年度概算要求では、国債費は九・七%増の十八兆四千三百億円。返済と借金の利払いだけで税収の四四%に膨れ上がっているのである。
 政府自身が「破綻懸念先」であり、国債全体が不良債権化しつつある。長期金利が急騰すれば国債費も急増し、金利を払うためだけに新たな国債を発行して借金を増やさなければならなくなるだろう。まさにローン地獄への突入である。
 長期金利の急騰は、実体経済を直撃する。大手各行は長期金利急騰を受けて、二カ月連続で住宅ローン金利を引き上げた。企業向け長期貸し出しの基準である長期プライムレートも連続して引き上げられている。巨額の有利子負債の重圧にあえぎ再建を目指すゼネコンや、赤字でかろうじて経営を続けてきた中小零細企業などの利払い額も、さらに膨れ上がる。それは、沈滞した経済に重大な打撃を与えることにならざるを得ない。
 「例えば、残存期間が五年の債券は、金利が一%上昇するとその価格は何とその五倍すなわち五%程度下落する」(『エコノミスト』5月6日号)。「現在、市場にある国債からは、一%の金利上昇で二十兆円以上のキャピタルロスが発生する」(同7月8日号)。すでにこの間、一%以上の金利急騰が起きている。銀行、生保、日銀、郵貯などの私的・公的金融機関に兆円単位の巨額の「キャピタルロス」が発生しているのである。
 七八年に利率六・一%で発行した十年もの国債が、公定歩合が二年間に六回も引き上げられて九・〇%に急上昇したため、価格が九十九・五円から六十円台まで四〇%近く暴落したことがある。有名な「ロクイチ国債暴落」である。いまロクイチ国債暴落のような事態が起きれば、数百兆円の「キャピタルロス」が発生し、民間金融機関のみならず日銀まで債務超過に陥り、日本経済全体の金融破綻が生じるだろう。
 すでに日銀は、毎月一兆二千億円もの国債を購入し続けている。昨年九月には、十年物国債の入札で、入札枠に応募額が届かない「未達」が史上初めて発生した。「借り換え債」だけで百兆円という事態のなかで「未達」が続発し、国債からの一斉逃避が発生して、国債価格が底なしの大暴落となる可能性がある。
 国債価格の暴落を押え込むためには、近い将来、日銀券発行残高を保有の上限とする歯止めを取り払い、日銀が無制限に国債を購入して買い支えるところにまで追い込まれるだろう。日銀が、膨大な戦費をまかなうために行っていた戦時中の国債直接引受と同様の事態に追い込まれる可能性を否定することはできない。
 〇一年にアルゼンチンがデフォルト(債務不履行)に追い込まれて国家破産した時の公的債務は、GDPの五〇%であった。現在の日本の公的債務は、GDPの一四〇%に達しようとしているのである。長期金利急騰は、迫り来る国家破産の現実性を突きつけている。

株価急騰の国際構造と危機

 東証では、連日十億株を超える大商いが続き、その継続期間もバブル最盛期を超えたと言われ、久々の活況に沸いている。その東証が九月四日に発表した八月の株式売買状況によれば、外国人投資家が一兆二千四百億円の買い越し、これに対して国内投資家は信託銀行、都銀、個人投資家のいずれも、六千億円から二千億円の売り越しである。
 外国人投資家の四月からの買い越しは累計で五兆一千億円を超えた。それを主導したのは米系ヘッジファンドであった。六月〜七月の米系ヘッジファンドによる日本株投資だけで一兆円を超えているという。すなわち株価急騰の要因は、海外からの投機資金の流入なのである。
 この株価急騰の構造は、経済の回復ではなく危機の進行の表現にほかならない。ブッシュ政権は、イラク戦争のために八百七十億ドル(約十兆二千億円)の追加予算を議会に要請した。これによって、〇四年度(〇三年十月〜〇四年九月)の財政赤字が五千億ドルを突破して五千二百五十億ドル(約六十一兆四千億円)となり、過去最悪だった九二年度の二千九百四億ドルの二倍近い空前の規模に膨れ上がることになる。
昨年度の経常赤字も五千三十億ドル(約六十兆円)と過去最悪を更新していた。われわれは、イラク侵略戦争に突入する世界資本主義の危機の構造について、次のように述べた。
 「九〇年代にアメリカ経済が謳歌してきた『繁栄』は、膨大な経常赤字を海外からの資金流入でファイナンスし、その資金を海外に再投資して巨額の金融収益をふところにする『世界の投資銀行』として、国際的な資金循環構造を作り出してきたことによる。そのような、アメリカ資本主義に一方的に利益をもたらす構造が、急速に崩壊し始めている」。
 「経常赤字のファイナンスに大きな位置を占めたのは、『ドル買い介入』も含めて一千億ドル近くに達した海外の公的部門による対米投資であった。……アメリカの経常赤字ファイナンスは、ますます海外の公的部門、すなわち政治に大きく依存するようになっているのである」。
 「……世界経済は恒常的ドル暴落の危機に直面することになる。また巨額の財政赤字の圧力は長期金利上昇への圧力とな(る)……。しかし、イラク問題でアメリカとEU諸国の政治的対立が深まったことによって、EUが巨額の戦費及び占領経費負担に応じることも、ドルを買い支えるための協調介入に積極的に動くこともほとんど考えられない。したがって、ブッシュの番犬たる小泉政権に対する天文学的戦費・占領経費負担要求が突きつけられるとともに、ズルズル減価し続けるドルを買い支えるドル買い介入を、運命共同体的に続けさせられることになるだろう」(本紙3月31日号〜4月7日号「イラク侵略―帝国主義の論理と戦争のゆくえ」)。
 それから五カ月、事態は基本的にわれわれの予測した通りに進んでいる。政府・日銀のドル買い介入は、今年に入って七月までに九兆円を超え、過去最大だった九九年の七兆六千四百億円をわずか七カ月で突破してしまった。一ドル=一一五円台まで円高が進んだ五月中旬にはほぼ連日、二千億円から三千億円台、多い日では一日で一兆円を超える円売りドル買い介入が行われた。
 アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、ITバブル崩壊とエンロンやワールドコムなどアメリカを代表する巨大企業の企業犯罪による破綻を受け、この二年半に十三回もの金利引き下げを行って、後退する景気を何とかして下支えしようとしてきた。しかし膨れ上がる財政赤字による国債大量発行の懸念から、国債価格の下落と長期金利の上昇が始まり、六月中旬から八月の二カ月足らずで一・五%も長期金利が急騰していた。
 日本政府は、空前の規模に膨れ上がったドル買い介入で受け取った巨額のドル資金で米国債を買い支え、アメリカの長期金利急上昇と国債価格の暴落を食い止め、ドルの暴落によるアメリカ経済の破綻を食い止め、ドルが支配する世界資本主義経済の危機の爆発を食い止めているのである。
 そしてこのように日本からアメリカに流れ込んだ巨額の資金の一部が、米系ヘッジファンドを先導役にして日本の株式市場に還流し、東証株価の急騰を生じさせたというわけなのだ。この日本政府のドル買い介入資金は、財務省が資金繰り国債(FB)を発行して調達したものである。
 これが、マスコミが「世界同時株高、米頼み」(朝日新聞7月11日)と評するアメリカ経済の実態であり、小泉や竹中が「構造改革の成果が現われた」「日本経済は沸騰点に近づきつつある」と大はしゃぎして見せる株価急騰の実態である。
 それは、日本帝国主義がアジアなど世界の労働者人民から血と汗を搾り取り、自然と環境を収奪し、日本の労働者人民を年間一万人を超える過労死や年間三万人を超える自殺に追い込んで作り出した黒字(〇二年の貿易黒字は十一兆五千億円だった)のほとんどすべてを吐き出して、ドルと米国債とアメリカ経済そのものをを買い支えたそのおこぼれが、株式市場に舞い戻って生じた「泡沫」(うたかた)にほかならない。
 まさにそれは今日、世界資本主義が陥った危機の深さを象徴するものである。このような、危機と矛盾を深めることによって成立する「株価急騰」の構造は、長期的に持続しえない。それは、現代資本主義が労働者人民に雇用の安定や生活の向上を全く保証できなくなり、発展の歴史的可能性を使い果たしてしまったことの表現である。
 そこには労働者人民の未来はない。新自由主義的利潤追求と帝国主義的軍事の論理を拒否して拡大し続けている「もう一つの世界」をめざすインターナショナルな闘いを強化することこそが求められている。
(9月14日 高島義一)


イラク戦争 米軍兵士への呼びかけを
APAジャパンが討論会
ダグラス・ラミスさんを囲んで

 九月十四日、APA(アジア平和連合)ジャパンは、東京の文京区民センターで、現在沖縄に住み、平和運動にかかわっている国際政治学者のダグラス・ラミスさんを囲んで、イラク反戦運動の中で米軍兵士に対する働きかけをどのように進めていくかについての討論を行った。

「ベトナム症候群」
とイラク侵略戦争

 ラミスさんは海兵隊員として沖縄に駐留した経歴を持ち、現在は沖縄の反戦運動の中で米軍兵士への呼びかけを続けている。
 ラミスさんは、一九六〇年代後半から七〇年代にかけてのベトナム戦争の中で、米軍内部、とりわけ地上戦部隊である海兵隊と陸軍の間に反戦思想が浸透し、米軍司令部が陸軍と海兵隊に一〇〇%の信頼を置くことができなくなったことを説明した。戦争は、自国の兵士を完全に信頼することなくしては遂行しえない。それ以来、米軍当局は長期にわたって兵士を地上戦に投入することができなくなったのである。
 ラミスさんは、もし「ベトナム症候群」といわれる軍隊内部への反戦思想の浸透への恐怖がなかったら、アメリカは一九八〇年代にニカラグアへの直接的軍事侵攻を行っていただろうと述べた。米軍のためらいは、一九九一年の湾岸戦争でも一九九九年のユーゴ爆撃でも払拭できなかった。湾岸戦争ではイラク国内への侵攻・占領にまで踏み込めず、ユーゴでの戦争も基本的に空爆のみだった。
 しかしブッシュ政権の登場によってその様相は大きく変化した。ブッシュ政権の有力なシンクタンクとなった「アメリカ新世紀プロジェクト」(PNAC)の一提言文書は、「これからのアメリカの戦争は、政権交代をめざす戦争が増える」と書いている。それはアメリカの利害のために積極的に世界を支配するという考え方が貫かれており、まさに「帝国」の思想そのものだ。アメリカの国益に都合の悪い国家の「政権交代」のためには、地上軍を投入しなければならない。空爆で「政権交代」を実現することはできないからだ。

兵士への働きかけがますます重要だ

 「ベトナム症候群」がすでに過去のものとなったと信じたブッシュ政権は、米軍をイラクに侵攻させ、軍事占領に大軍を送り込んだが、米軍はその弱点をさらけ出してしまった。若い兵士たちはウソを信じてイラクの戦争に参加した。彼らは自分たちが独裁者を倒した「解放軍」として民衆に歓迎されるものと本気で信じていた。しかし現実は大いに違っていた。
 いまイラクに派遣された若い兵士の中で不満が渦巻いている。動員された予備役軍人からも不信の声が出ている。彼らは六カ月の動員に応じたのだが、動員期間が一年に延長されているからだ。
 反戦運動では米大統領や政府に署名などの働きかけをしようという声があるが、それよりも本当に有効なのは兵士に直接働きかけることだ。
 このように述べたラミスさんは、沖縄の「金曜集会」(女性たちを中心に、浦添市の米総領事館前で毎週金曜日に行われている行動。すでに百回以上積み重ねられている)の一員として、また個人として駐沖米軍兵士に呼びかけているビラ入れ、ポスター貼りについて紹介した。
 ラミスさんたちは、「すべてのGIへ」などと記した呼びかけチラシをすでに何種類も作成し、直接手渡ししたり、北谷(ちゃたん)町にある大規模ショッピング街の駐車場に停められている米兵車両のワイパーにそのチラシをはさんだり、といった活動を行っている。そしてそのチラシにはアメリカ本土の「GIライツ(米兵の権利)・ホットライン」の連絡先が付記されている。
 ラミスさんは、このようにして米兵に語りかけ、疑問に応え、相互の納得と交流を作りだしていく運動の必要性を強調した。
 自衛隊がイラクに派兵されようとしている今日、米軍兵士への働きかけと同時に、自衛隊兵士への訴えがますます重要になっている。すでに横須賀や小牧などで自衛官ホットラインなどの活動も始まっている。参加者からは、軍隊に対して何をポイントに働きかけていくべきかについて、質問や意見が寄せられた。(K)               


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