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ヨーロッパ反資本主義左翼会議             かけはし2003.9.1号より

欧州議会選挙―統一社会主義候補者リスト実現を

アラン・ソーネット


 六月九日と十日、アテネで欧州反資本主義左翼(EACL)第六回会議が開催された。出席した組織は、デンマークから赤と緑の同盟、イングランドから社会主義連盟、イギリスから社会主義労働者党(クリス・ハーマンが出席)、スコットランド社会党、フランスから革命的共産主義者同盟(LCR)、ポルトガルから左翼ブロック、スペインからエスパシオ・オルタナティヴォ、イタリアから共産主義再建党。他の諸潮流からのオブザーバーも出席した。
 スコットランド社会党のアラン・マコームズが、戦争後の政治情勢についての討論を紹介した。彼は全欧州の左翼の統一の緊急性が増大していることと、諸政党と社会運動との正しい関係を築く必要性を強調した。
 欧州の支配階級は、アメリカに対置する超国家的帝国主義国家としてEUを強化するために総力を挙げた試みを行っている。社会民主主義政党は、雇用、賃金、年金、住宅、教育、医療、労働者の権利の切り下げを「競争力」の名で労働者階級が受け入れ、そして「テロリズムとの戦争」の名の下に刷新されたユーロ・ミリタリズムの受け入れを納得させるようつとめる上で中心的な役割を果たすだろう。彼らはまた、民主的諸権利と難民の受け入れを犠牲にする必要性を擁護し、軍事支出の増加と欧州軍の建設を支持するだろう。
 さまざまな諸国での反戦運動や、戦争後に起こった新たな新自由主義的攻撃――とりわけ年金制度への攻撃――について興味深い一連の報告が行われた。フランスからは年金の権利の侵害に反対するストライキ運動や、教育制度の変更についての報告がなされた。
 欧州反資本主義左翼(EACL)会議は、この三年間、欧州首脳会談の日程に合わせて六カ月ごとに開催されてきた。今回の会議は、来年の欧州議会選挙の具体的諸課題と、欧州レベルでラディカル反資本主義左翼の候補がそれに挑戦する可能性について焦点を当てた。
 公認された政党は、欧州議会選挙を闘うためのEU基金を手に入れることになる。すでに緑の党は一部の共産党とともに、こうした政党への準備を進めている。政党として公認されるためにはEU諸国の二五%以上で、選出された国会(欧州議会)議員、あるいは承認された地域議会の議員を持たなければならないとされている。そして来年の選挙までにEU加盟国は二十五になる。つまり、われわれの統一候補者を出すためには七カ国で議員を持った党が必要となるのである。
 反資本主義左翼会議に参加した諸組織のうちすでに議員を持っているのは、左翼ブロック(ポルトガル)、スコットランド社会党、共産主義再建党(イタリア)、LCR(革命的共産主義者同盟、フランス)、赤と緑の同盟(デンマーク)、アイルランド社会党である。
 ギリシャの組織「シナスプスモス」は議員を持っているが、共産党を基盤とする政党に参加する可能性が高く、いずれにせよ彼らがラディカル左翼の政綱を支持するかどうかは明らかではない。イタリア共産主義再建党はこのプロジェクトにとって重要ではあるが、この政綱を支持するかどうかの決定をいまだ行っていない。
 今回の会議は、次のステップとして、こうした党のマニフェスト(政策綱領)草案を起草すべきことを決定した。欧州反資本主義左翼は十一月に行われる次回の会議後にそれを公表するだろう。
 ほとんどの組織は、マニフェストはわれわれの潮流の広範な政策を定義するに足る詳細なものであるべきだが、各国レベルでのより詳細で正確な立場が採択されうるようにすべきだとも考えているように思われる。たとえば、そのマニフェストは資本家のヨーロッパには反対すべきだが、EUへのオルタナティブ(引き上げるべきか否か)に関しては、各国レベルで異なった立場が許容される。
 欧州規模の党を実現することは、社会主義連盟内のわれわれにとっても重要である。それは新たな連合を作り上げるための重要な要因になりうるからであり、また選挙自体においてもわれわれをより有利な位置につけるからである。それはイングランドにおいて、統一左翼キャンペーンのために社会主義連盟によってなされた努力の重要な前進をも意味する。実際、そのためには、異なった諸政党間のたんなる選挙上の調整以上のものを必要とする。
 それはおそらく、共通の名称と、少なくとも主要な政治的ポイントに関して共通のマニフェストを必要とするだろう。したがって、こうした欧州規模の政党が実現される以前に、各国レベルと国際レベルの双方で多くの作業がなされなければならない。しかし成功の報酬は、きわめて大きなものだろう。
(英「ソーシャリスト・レジスタンス」03年夏号)                 

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