扶安郡が核廃棄物処分場誘致申請
沸騰する議論と続出する問題点 |
「全北(全羅北道)扶安郡が7月14日、全国で初めて『原電(原発)の廃棄物管理施設』を蝟島(ウィド)に設置する、との誘致申請書を公式に提出した。扶安郡の誘致申請書提出によって1986年から過去4代政権17年の間に解決できなかった原発廃棄物管理施設の敷地選定事業が遂に解決の局面を迎えるに至った」。
扶安郡の原発廃棄物管理施設誘致申請によって政府は一挙に舞い上がっている。産業資源部(省)は7月14日に報道資料を出し、「安眠島、屈業島など2回にわたる敷地指定の失敗以後、長期間漂流してきた原発廃棄物管理施設の敷地選定作業が自治体の自主的誘致申請によってまとまる場合……先鋭な懸案を『参与と自治』の原則によって解消する参与政府の一層成熟した国政の力量を示す契機となるだろう」と期待感を表した。
扶安郡の現地で環境団体や地域住民たちの反発が次第に高まりゆく間、浮き立った政府はさらに足繁く動いている。政府は7月18日、「2兆1千億ウォン台の扶安郡支援事業を迅速に施行するために特別法を制定する予定であり、蝟島を含め事実上、内陸の扶安の住民たちにも恵沢のいく総合事業を開発する」と発表した。放射性廃棄物処分場(以下、放廃場)建設をめぐる論難は遂に終止符を打つことができるのだろうか。
政府のバラ色の展望とは違って「せっかちな結論を出すには、まだ早い」というのが専門家らの共通した指摘だ。むしろ「まさに問題はいまから」だという憂慮の声が高い。敷地選定を終えた後、地域住民の激しい反発によって水泡に帰した2度の苦い経験のゆえだ。ある専門家は「放廃場建設の問題は原子力発電を続けるのかどうかと同時に、国家の電力供給体制全般についての論争と緊密にからみ合っている。これらの問題についての政府レベルの一貫した政策の樹立なしには放廃場問題も簡単に解決できるわけがない」と指摘した。
放廃場建設問題が簡単に解決できないだろうと予測するのには幾つかの理由がある。まず放廃場建設の至急性を強調して政府や韓国水力原子力(以下、韓水原)が出した廃棄物貯蔵施設の容量飽和論に対する批判が収まらずにいる。政府は放廃場の敷地選定に乗り出すに先立って、06年の月城原発を皮切りに蔚珍(07年)、霊光、古里(08年)原発の使用済み核燃料貯蔵容量が飽和状態に突入すると発表した。「廃棄物があふれ出る前に処分場を建てなけられれば発電所の稼働を止めなければならず、そうなれば電力供給に深刻な打撃が訪れるだろう」というのが政府の説明だ。
だがこれとは全く異なった主張が環境団体や原子力学界の内部から絶えず出てきている。実際に昨年10月、世界的な核軍縮・非拡散専門誌「サイエンス&グローバル・セキュリティ」に載った「韓国の使用済み核燃料追加貯蔵の対案」という題目の論文を見るとb原発の号機間稼動(既存の原子炉から出てきた使用済み核燃料を後に建設された原子炉の貯蔵施設に移すこと)b密接貯蔵などの方法を通じて少なくとも27〜30年までは使用済み核燃料を既存の原発敷地内に貯蔵できる、と指摘した。
中・低レベルの廃棄物永久処理施設と使用済み核燃料中間貯蔵施設を同じ敷地に建設するという政府の計画もまた論難を呼んでいる。ある原子力専門家は「中・低レベルの廃棄物と使用済みの核燃料では放射能の差が数百万倍にも達する。放射能の崩壊によって安定物質に変化していく時間は数百年と数十万年という違いが出る。そのため全く異なった管理システムが必要だ。これを1カ所に保管・処理する理由がない」と指摘した。
昨年まで、原子力界の内部でさえ、これについての論難が沸騰した。業界の専門紙である「電気新聞」は昨年8月17日付の記事で「放廃場に中・低レベルの廃棄物永久処理施設と使用済み核燃料中間貯蔵施設を一緒に設置する現行の政府政策を変更し、放廃場内には中・低レベル廃棄物研究処理施設だけを設置し、使用済み核燃料はそのまま原発敷地内に貯蔵しようというもので、原子力学界を中心に共感が広がっている」と伝えた。
ある原子力専門家は「使用済み核燃料は現原発敷地にそのまま貯蔵するのが最善だ。いまだに使用済み核燃料の永久貯蔵に関連した政府の政策も、信頼するに足る技術もない状態だ。貯蔵空間も不足せず、廃棄物を管理施設に移す過程で危険度だけが高まるのに、あえて使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建てようとする理由が分からない」と語った。
これに対して産業資源部や韓水原側は「一部でそのような主張があったのは事実だ。使用済み核燃料の中間貯蔵施設を同時に推進しかけていて、中、低レベル廃棄物永久処理施設までもが建てられなくなることを憂慮したせいだ。だがいまや自主的誘致がなったのだから何の問題もない」との反応だ。ソン・ミョンジェ原子力環境技術院(韓水原の傘下機関)研究開発室長は「原子力発電所の敷地4カ所に散財している中・低レベル廃棄物と使用済み核燃料を1カ所に集めて管理することが安定性や経済性の面で望ましい」と主張した。
さらに昨年9月の国会国政監査の時から指摘されてきた原発事後処理充当金(バックエンド費用)問題も、新たに論難のタネとして浮かび上がった。「韓水原と原子力界が中・低レベル廃棄物永久処理施設や使用済み核燃料中間貯蔵施設建設を急ぐ背景には、現実性なしに低く策定された事後処理充当金問題がわだかまっている」との主張が環境団体や原子力界の内部から出てきているのだ。
原発の事後処理充当金の原子力発電所の運営過程で発生する放射性廃棄物処理費用や、運営が終った後の発電所解体および撤去の費用用意のために発電事業者である韓水原が積み立てなければならないカネだ。原子力発電の原価に反映され、電気料金によって助成された事後処理充当金は今年3月末現在、約5兆5千億ウォンに達する。だが韓水原はこれを原発建設などに借入金として使用し、現在の実際の残高は払底してしまっている。
それならば事後処理充当金と放廃場建設の「関数関係」とは、そもそも何なのか。ある原子力業界の関係者は、こう説明する。「韓水原は、これまで原発の事後処理充当金を現実性なしに低く策定してきた。事後処理充当金が大きくなると電気料金が高くなるのは当然で、結局、原子力発電の採算性についての疑問が提起されかねないからだ。このために廃棄物は積もっていき、廃棄物処理費用は不足の状況に陥った。そのうえ、それなりに集めていたカネさえもすべて新規の原発建設に使った」。
同専門家は「韓水原の立場とは、まだ間に合っているうちに廃棄場を建設して原発敷地で管理していた廃棄物を1カ所に集める必要がある。すでに量産された廃棄物を放廃場に移しつつ廃棄物管理・処分の責任を、新たに作っていく放廃場の管理・運営の主体に安価で委ねられるから」だと主張した。放廃場の運営を担う「原発廃棄物管理センター」を韓水原の子会社とするのか、別個の独立法人にするのかなど、具体的な部分についての政策も、これまでのところ決定したものはない。
これについて韓水原の関係者は「83年当時46万ウォン/キログラム(約580ドル)だった使用済み核燃料の処理費用を為替レートの変化に合わせて92年には54万2千ウォン/キログラム(約580ドル)に引き上げ、昨年末には約75万ウォン/キログラム(約600ドル)として計上した。国際基準に照らして決して低い金額ではない」と主張した。だが韓国原子力研究所が出した資料を見ると、これような説明は説得力に乏しい。原子力研究所が01年4月、フランス・ニースで開かれた第9次国際核エネルギー学会が発表した内容を見ると、各種の指標を通じて算出して出した軽水炉の使用済み核燃料の平均処理費用はb運送および中間貯蔵費用は287・5ドル/キログラムb廃棄費用696・5ドル/キログラムとなった。これを合算すると韓水原が算定した使用済み核燃料の処理費用の2倍近い金額だ。
ソク・クワンフン反核国民行動政策室長は「02年末現在、貯蔵中の国内軽水炉の使用済みの核燃料は2950トンだ。これを処理するのに必要な費用を韓水原の方式通りに計算すると約2兆530億ウォンだ。だが原子力研究所の研究結果を適用すれば3兆7980億ウォンが必要だ。差が出る1兆7千億ウォンは結局、次の世代の負担として帰結せざるをえない」と指摘した。
政府の計画通り放廃場が扶安郡蝟島に設置できるかどうかは、いまだに確信できない。敷地選定を滑らかにするために各種の地域発展対策を出しているけれども、いざ廃棄物処理場が建設された後、だれがどのように運営するのかについての具体的な内容は確定したものは多くはない。
扶安郡守が誘致申請書を出した7月14日、扶安郡庁前では怒った地域住民らが激しいデモを展開した。翌日、住民らは出勤する郡守に食ってかかり、一部の初等学生(小学生)らは登校を拒否したままハチマキを巻いて街頭に繰り出した。「これでまの4代政権の17年間」に安眠島で屈業島で展開されたおなじみの風景が扶安で再現され始まった。(「ハンギョレ21」第469号、03年7月31日付、チョン・インファン記者) |