| 自衛隊員にイラク人民を殺させるな! かけはし2003.7.7号より |
憲法も国際法も踏みにじり生活復興に逆行
六月二十七日、衆議院第一議員会館で、「イラク派兵法に異議あり!緊急院内学習集会」が、平和を実現するキリスト者ネット、平和を作り出す宗教者ネット、戦争反対・有事法案を廃案へ!市民緊急行動の三団体の呼びかけ、ワールド・ピース・ナウ実行委員会の協力で開かれた。会場には多くの市民運動や労働運動活動家に加え、社民党、共産党の国会議員や秘書など二十人ほども参加した。
集会では、国際法の阿部浩己さん(神奈川大学教員)、憲法の山内敏弘さん(龍谷大学教員)が講演し、「イラク復興支援特別法」と名づけられたイラク派兵のための新法案が国際法も憲法も踏みにじるデタラメな悪法案であることを詳しく報告した。また、「人間の盾」として空爆下のイラクに滞在し、米軍占領後に再び訪れたイラクで米軍に連行されて一週間にわたって拘束されたフリージャーナリストの志葉玲さんが、今なお各地で激しい戦闘の続く現地の状況について報告した。
国会からは無所属の衆議院議員・川田悦子さん、社民党党首の土井たか子さん、社民党衆議院議員の北川れん子さんが発言し、いよいよ自衛隊が海外で武力行使して外国の人々を殺し、自らも戦死することに直結しているこの法案を、国会内外の力を合わせて廃案にするために闘おうと訴えた。(I)
阿部浩己さん(神奈川大学教員)の講演から
イラク「復興支援」と国際法
まず戦争犯罪への処罰と賠償を
国際法的に違法な侵略戦争だった
イラク攻撃の前に、それが国際法的に許されるか否かという議論が沸騰した。三月十一日に行った最後通告で、ブッシュはイラクが大量破壊兵器を隠し持っているのでこれを除去する必要があると述べた。さらにイラクがテロ組織を支援しており、その大量破壊兵器がテロ組織に渡れば大きな脅威になると述べた。そしてイラクには民主主義が必要だとして戦争を開始した。
今日の国際法では、二つの場合にだけ戦争を認めている。第一は、国連安保理の承認のもとに行われる集団的自衛権の発動としての戦争。第二は、攻撃を受けた場合の個別的自衛権の発動としての戦争。
攻撃開始にあたってブッシュ政権は、国連安保決議678、687、1441でこの戦争は認められていると主張した。しかし九〇年に採択された決議678は湾岸戦争にあたって、クウェートを占領していたイラク軍を撤退させるための武力行使を認めたものだ。九一年に採択された決議687はイラクに大量破壊兵器の廃棄を求め、その措置は安保理で決定するというもの。1441は査察妨害があったら安保理に報告し、そこで協議することになっている。世界のほとんどの法学者も、大多数の国々も、国際組織も、これらの決議はイラクへの攻撃を正当化する根拠にはならないと主張した。
二〇〇二年に発表されたブッシュ・ドクトリンが主張する先制攻撃、予防戦争は、国際法の「自衛権」概念には入らない。脅威がありそうだからという戦争は、国際法的には許されない。現在ブッシュ政権の国務次官補になっているボルトンが二〇〇〇年に発表した論文のなかで、「国際法の隠れた目的は米国の武力行使を押え込むことだ」と、国際法への敵意をむき出しにしている。もちろん他の国には予防戦争は許さない。それはアメリカを「帝国」とする不平等な秩序を押しつけるものだ。
このような論理で行われた戦争に国際法的な正当性は全くないというのが、世界の国際法学者の圧倒的多数の意見だ。ところがイラク新法は、あたかも決議678、687、1441で今回のイラク攻撃が許されていたかのような書き方になっている。
安保理決議1483も米英のイラク攻撃を合法化してはいない。それは米英を「占領国」と認め、人道活動について調整するよう国連事務総長に求めたものだ。攻撃を合法化するものではない。
戦争犯罪の調査、処罰と賠償を
国際法は、攻撃が合法か否かにかかわらず、占領国に義務を課している。一九〇七年のハーグ陸戦規則と一九四九年のジュネーブ四条約は占領国に、人民の移送や立ち退きの禁止、労働強制の禁止、食糧や医薬品の確保、医療や衛生施設の確保、財産の保護すなわち経済的自決権の保障、「受託者」として国有財産を保護する義務、政治的自決権の保障、占領地の現行法制の尊重――などの義務を課している。
したがって石油資源などの財産を、勝手に民営化したり他国に譲り渡すことはできない。また、どのような政治体制を作るのか決めるのはイラク人民であって、占領国はそれに協力する義務を課せられている。
いまイラクに適用されている法は何なのか。現行法制に則っているのか。そうでないとすればそれは何なのか。それが何なのか人民に知らしめられているのか。これらの「占領国の義務」を侵害すると戦争犯罪として罰せられることになる。
復興支援について語る前に、まずイラク侵攻の法的後始末が必要だ。法的後始末の第一は、「侵略」という違法行為によって生じた損害の賠償をしなければならないということだ。
百歩譲って今回の攻撃が合法だったとしても、無差別攻撃という違法行為が「誤爆」を理由に違法でなくなることはない。特定の軍事目標のみを対象とすることができない戦闘方法や手段、すなわち広範囲を破壊するような兵器の使用や、具体的な軍事的利益と均衡を失した文民の殺傷や民用物の破壊は、「無差別攻撃」として違法になる。どのような違法行為が行われたのか調査する必要があり、その上で賠償させなければならない。
法的後始末の第二は、戦争犯罪を処罰することだ。国際法では、普遍主義にもとづく戦争犯罪の処罰が義務づけられている。戦争犯罪を犯した国及び個々人、命令した政府当局者と軍人、実行した軍人を、どの国であっても処罰する権限があり義務がある。
国際刑事裁判所の可能性を生かす
イラクは軍事占領下にあり、その意味で法的には「戦時」が続いている。米軍司令官も「全土が戦闘状態で、しばらくその状態が続く」と述べている。米英軍は国際法的には侵略軍だ。戦時下にある侵略軍を支援することが憲法にそぐうことなのか。
平和憲法を生かすには、国際人権・人道法からのアプローチが必要だ。被害の実態を調査し、賠償義務の履行を求め、被害者の救済を求めていくこと。戦争犯罪を処罰して「不処罰の連鎖」を断ち、戦争の温床を除去しなければならない。
昨年七月一日、ジェノサイドなどの大量虐殺や人道に対する罪、戦争犯罪などを裁く常設の国際裁判所である国際刑事裁判所(ICC)設立条約が発効した。今年秋から活動を開始する。この国際刑事裁判所の可能性を追求すべきだ。
自らの戦争犯罪が裁かれることを恐れたブッシュ政権は昨年五月、国際刑事裁判所設立条約の署名を撤回した。さらに米軍兵士を訴追させないための「米国市民保護協定」の締結を各国に迫り、すでに三十カ国と締結した。これを拒絶しなければならない。またブッシュ政権は、国連安保理にPKO活動を国際刑事裁判所の訴追対象からはずす決議を採択させた。PKO活動の訴追対象除外を解除させなければならない。
安保理決議1483はイラクを米英軍が軍事占領していると規定し、そこは国際法的には「戦時」と認定している。戦争状態のところへ派遣される自衛隊には、戦時国際法が適用されることになる。
国際刑事裁判所は、設立条約の締約国ではないアメリカの被告の戦争犯罪を裁くことはできないが、戦争犯罪が行われた場所であるイラクが締約国であれば裁くことが可能になる。締約国が増えていけばそこで戦争犯罪はできなくなっていく。紛争や戦争を押え込むことができるという可能性はだんだん大きくなっていく。
力ではなく法と理性の支配する社会に向かうべきだと表明することこそ、この国の外交のあるべき姿ではないだろうか。(講演要旨。文責編集部)
志葉玲さん(フリージャーナリスト)の報告から
自衛隊派兵は復興を妨げるだけ
自衛隊派兵に賛成する人たちは、私たちに「理想論でリアリズムがない。現実を見ろ」と言う。リアリズムがないのはどちらだと言いたい。いまイラクに自衛隊を送ったら、復興を妨げるばかりか、日本の安全にも危険を呼び込むだけだ。
六月四日にイラクに入り、バグダッドから西に百キロの最も衝突が激しいラマディとファルージャに行った。夜になると毎日のように百人以上のイラク人が米軍の拠点に攻撃をかけ、多数の死傷者が出ていた。ラマディには一晩しかいなかったが、銃声と爆発音が響いていた。
金曜日には反米デモがあり、それに米兵が発砲する。そのために殺された先生の家族に会った。その人は結婚式に必要なものの買い出しに出ていてデモに参加してもいなかった。病院では、仕事の帰りに歩いていたところを撃たれ、お腹にダムダム弾を撃ち込まれた男性がいた。米兵に両耳をナイフで切り落とされた人もいた。米軍はそういう残虐な行為を行っている。イラク人を人間扱いしていない。
私も米軍に連行され、ラマディから車で二時間ほどの収容所に入れられた。有刺鉄線で囲まれた格納庫のようなところで二十四時間、米兵に監視され、立つことも歩くこともできず、両手を縛られ、さるぐつわまでされた。米兵はここではしゃべれないほど下品な言葉でどなっていた。私のガイドの友人の兄まで連行されたが、彼を連行する理由は全く示されなかった。
イラクの人たちはフセインがいなくなったことは喜んでいるが、「米軍が第二のサダムだ」と言って敵意を燃やしている。ラマディでは、警察署が襲われて米兵十九人が死んだと言われているが、発表は一人だ。バグダッドでも米兵は殺されている。アラブ系メディアを見ていると、毎日のように死者が出ているが、西側では真実は隠されている。
自衛隊の派遣は復興の妨害以外の何物でもない。武器弾薬を運べば、米軍に抵抗している勢力のターゲットにされる。自衛隊員が殺される。攻撃されて自衛隊員がイラク人を殺す可能性もある。そして自衛隊員がイラク人を殺せば、親日的だったアラブの日本に対する見方が完全に変わってしまう。日本もテロのターゲットにされる。NGOもターゲットにされるだろう。
いま、イラクの人々の生活はメチャメチャになっている。サダムはひどいやつだったと私も思うが、人々の生活の面倒はそれなりに見ていた。六割の人が政府の食糧配給に頼っていた。この食糧配給も、医療も、教育サービスもすべてなくなった。
復興するなら市民生活の復興が第一だ。それができるのは、援助のノウハウを持ったNGOだ。軍隊にはきめ細かい援助はできない。そのNGOの活動が自衛隊派遣でできなくなってしまう。
フセインはアメリカの攻撃が始まる前の二月に、半年分の食糧を配給した。それがこの八月になくなる。ますます混乱は深まる。そこに自衛隊を送るのは、復興の妨害以外の何物でもない。イラクの現状を知って、リアリズムで考えてほしい。
(報告要旨。文責編集部)
インドネシア国軍はアチェの民衆を殺すな
メガワティ大統領来日に際し緊急アクション
六月二十二日から二十五日にかけてインドネシアのメガワティ大統領が国賓として来日し、小泉首相との首脳会談を行った。このメガワティ来日に合わせ、インドネシア政府と国軍がアチェで行っている「自由アチェ運動(GAM)」に対する軍事作戦と人権弾圧に反対する連続行動が行われた。
二十三日には、インドネシア大使館に対する抗議行動が行われ、二十五日には外務省に対して、インドネシア政府に対する最大の援助国としての日本の責任を問う申し入れと交渉が行われた。この行動を呼びかけたのは、日本・インドネシアを考える会、新しい反安保実・、全国FAX通信、東京東チモール協会、アジア平和連合(APA)ジャパン、ピース・チェーン・リアクション、国連・憲法問題研究会、アジア連帯講座などの団体や個人。
アチェでいま何が起きているか
メガワティ政権はこの五月十九日、昨年十二月九日に自由アチェ運動(GAM)との間で結んだ和平協定を一方的に破棄し、翌日からアチェ州(ナングロ・アチェ・ダルサラーム州)に戒厳令を敷くとともに、四万五千人の国軍と警察部隊を動員して全面的なGAM掃討作戦を行っている。
国軍は内外の報道機関に対して、アチェにおける作戦行動の詳細を報じることを禁じるガイドラインを発表、違反した場合はアチェから強制退去するとしている。六月十九日には、戦火で苦しむアチェ住民の生活を取り上げた番組を放送した民法テレビSCTVの記者兼プロデューサーが、国軍の圧力で不当解雇されている。
すでに二万人から四万人の住民が難民となり、五月末には四百人余りの住民が強制連行されて行方不明になっている。アチェで唯一、活動を認められているインドネシア赤十字は六月十一日、これまでに百五十一人の犠牲者の遺体を確認したと発表した。軍による住民への暴行や拷問、殺人、民家への放火などの激しい人権侵害が行われていることが伝えられている。
インドネシアに対する最大の資金援助国である日本の小泉政権は、「インドネシア共和国統一国家の枠組みを支援する」と表明することによって、アチェ独立運動に対する弾圧を正当化し、同時にこの時期にメガワティを国賓として招待することによって事実上、このすさまじい人権弾圧を追認しているのである。
インドネシア大使館に申し入れ行動
六月二十三日、緊急アクションは五反田のインドネシア大使館に対して、アチェにおける人権弾圧の中止を求める申し入れ行動を行った。事前に連絡しておいたにもかかわらず、大使館側は大統領来日で多忙であることを理由に面会を拒否したので、大使館前に横断幕を広げ、人権弾圧の中止とアチェ人民の自決権にもとづく公正な和平プロセスの再開を強く要求した。
要求項目は以下の通り。b軍事戒厳令を即時解除し、国軍をアチェ州から全面撤退させること。b国軍の撤収に至る過程で、国内外の人権監視団や人権NGOやジャーナリスト、国連関係者のアクセスと活動を保証すること。bインドネシア国軍などによるいままでに行われたすべての人権侵害を公正に裁く人権法廷を設置すること。bアチェの市民社会の声を反映する形で公正な和平プロセスを再開すること――の四項目。大使館がわが要請書の受取を拒否したため、FAXで送付せざるを得なかった。
二十五日には、外務省南東アジア第二課に事前に提出していた質問項目に沿って、要請を行い、ODAの即時凍結などによってアチェにおける戒厳令の解除と軍事作戦の中止を求めるべきであると申し入れた。 (I)
インドネシア民主活動家からのメール
アチェの情勢はますます恐ろしいものになっています
いまこの瞬間にも、アチェの情勢はますます恐ろしいものになっています。何の正当性もない軍事作戦が始まって以来、アチェの人びとの犠牲は増大しています。三万人以上のインドネシア国軍(TNI)が五千人のアチェのゲリラと戦っているのです。国軍は戦争の前提条件を作りだしてきました。
誘拐、性的虐待、市民からの略奪、アチェ住民投票を支持する活動家が逮捕されていますが、こうしたことに関する報道はありません。アチェ全域で放火による数百の学校の破壊が行われていますが、それは軍に雇われた人びとによってなされたことです。最近のインドネシア人権委員会の報告によれば、アチェでは虐殺が行われています。さらにアチェやスマトラの他の州では、数千・数万の難民が出ているようです。
二週間前ジャカルタでは、民主派活動家の二つの事務所が私兵グループによって襲撃されました。彼らがアチェで活動し、軍事作戦に反対しているからです。また一週間前には、学習クラブの二人が軍事作戦に抗議している時に拘束されました。したがって私たちは、アチェでの軍事作戦を終わらせるための大衆行動を計画しているところです。
また情報を送ります。
アチェでの戦争に反対!
住民投票こそ唯一の政治解決策だ!
社会主義者としての連帯を込めて。
03年6月23日
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