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殺すな!殺されるな!                かけはし2003.7.28号より

自衛隊員を戦場に送らせない!

イラク派兵法案反対!

 「最後の攻防局面で廃案をかちとろう」と渋谷でアピール行動

 七月二十日、東京・宮下公園で「わたしたちは自衛隊をイラクに行かせません〜イラク派兵法に反対します」をメインスローガンに掲げたピースパレードがワールド・ピース・ナウ実行委の主催で行われた。与党は、イラク占領米軍支援法案に対する全国の反対を無視して二十四日の参院委員会の強行採決、二十五日の本会議採決をねらっている。野党は、与党の採決強行に対して内閣不信任決議案の提出などによって対抗しようとしている。法案をめぐる国会情勢の緊迫した状況を前に、さらなる反対運動の拡大をめざして六百人が集まった。
 集会はピースコンサート後、トークラリーが始まった。実行委を代表して富山洋子さん(日本消費者連盟)は、「殺したくない、殺されたくないという願いが少数の人たちによってぶち壊されようとしています。日本政府は世界を亡ぼす道に加担しようとしています。イラク派兵法を成立してしまえば、この流れがさらに加速する」と小泉政府与党を厳しく糾弾した。そして、二十二〜二十五日にかけて市民、労働組合、宗教者たちが集会と国会前反対行動を準備していることを紹介し、それへの参加を呼びかけた。
 次に五月と六月に二回にわたってイラクを訪問したジャミーラ高橋千代さん(「アラブイスラーム文化協会」)は、民衆たちの厳しい生活状況や米軍支配に対する怒りなどを報告し、「こういう社会状況において自衛隊を派兵するのではなく、イラク市民支援のたの行動が必要です」と訴えた。
 続いて志葉玲さん(フリージャーナリスト)は、六月のイラク現地取材の過程で米軍に不当拘束されたことを怒りを込めて報告し、「米軍はフセイン・バース党の残党と称してイラク人をどんどん捕まえている。実態は、米軍が新たなサダム・フセインという状態になってしまっている。米兵たちは、解放のために来たはずなのにイラク人を殺し、捕まえ、逆に抗議と攻撃を受けていることに対して疑問を感じている。だが、こういうことをやりたくないがこれが仕事だと言っていた。このように人間を非人間化させてしまうのが軍隊の本質だ。自衛隊がイラクに派兵されたら、米軍と同様な状況に入っていく。兵士たちも犠牲者だ。このようなことは絶対に止めなければならない」とアピールした。
 韓国からのゲストで金貴玉さん(平和を作る女性のための韓国調査センター)は、韓国の米軍駐留と米軍による被害について批判するとともに、「七〇年代、韓国軍はベトナムに派兵し、アメリカの手先として振る舞った。そこで大きな傷を残した。自衛隊がイラクの人々に傷を負わせないと断言できるでしょうか。本当にイラクの人々とともに進むのであれば、私たち民衆から手をさしのべ、温かい連帯を送らなければならない。日本と韓国の民衆が手をとりあって東アジアの平和のために、朝鮮半島の平和のために頑張っていきましょう」と強調した。
 集会終了後、参加者全体でピースパレードに移り、「米英軍はイラクから撤退せよ」「自衛隊ではなく文民による医療・食糧・教育・インフラ回復の支援を」「日本政府は米・英占領軍に加担するな」「イラクはイラク人の手に」とシュプレヒコールを渋谷一帯にわたって響かせていった。        (Y)


日英首脳会談にNO!
戦犯ブレアにICCの裁きをと英大使館に緊急アクション


 七月十八日、ブレア英国首相が来日した。ブレア首相はブッシュと並び、イラク侵略戦争で民衆を大量殺りくした最高責任者の一人=戦争犯罪人である。「大量破壊兵器の脅威」捏造問題で追いつめられたブレアは、アメリカと日本を訪問し、「盟友」ブッシュ・小泉と無内容な外交パフォーマンスを行って、もはやだれも信用しない「戦争の正当性」を再確認しようというのだ。
 同様に、国会審議で「イラク戦争の正当性」について問われ、まともに答弁できない状況にある小泉は、ブレア来日をイラク特措法案=イラク占領軍支援法案の成立に向けた宣伝材料の一つとして活用しようとしている。このブレア来日と日英首脳会談に抗議するとともに、戦争犯罪人ブレアにICC(国際刑事裁判所)で裁きを受けるよう要求する行動が、東京の英国大使館前で行われた。
 この行動は、ブッシュとブレアをICCへ!有志連合、ピース・チェーン・リアクション、全国FAX通信、APAジャパン、アジア連帯講座、核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2003などの諸団体に参加する個人が参加する形で取り組まれた。
 午後六時半、大使館正門から二百メートルも離れた路上で、麹町署の警官隊が阻止線を張り、違法に交通を妨害した。「事前に大使館に連絡して、要請文を受け取るという約束になっている」と抗議する。ブレア政権による「大量破壊兵器の脅威」捏造を告発して政府と対立しているBBC放送や、ロイター、AFPなど多数の海外メディアが駆けつけてカメラを回す中で、違法な交通妨害をやめるよう要求して阻止線を解かせ、直ちに大使館前へ。
 昨年七月、ジェノサイドなどの大量虐殺や人道に対する罪、戦争犯罪、侵略の罪などを犯した個人と犯罪の責任者を裁く常設の国際裁判所である「国際刑事裁判所」(ICC)設立条約が、六十カ国の批准によって発効した。今年六月現在、批准した国は九十カ国を超えた。
 米英の研究者やNGOが共同で設立した「イラク・ボディー・カウント」は七月九日、米英のイラク侵略戦争による民間人の死者が七千七百人以上に達すると発表した。国連児童基金(ユニセフ)は七月十七日、米英が投下したクラスター爆弾の不発弾などで、大規模な戦闘終結後だけで千人以上のイラクの子どもが死傷したと発表した。ICCの規定によれば、ブッシュやブレアは戦争犯罪人として裁かれるべき対象である(ICCについては本紙02年7月22日号参照)。
 ICCの管轄権(裁く権利)が及ぶのは、被告が条約締約国の国籍を持っているか、締約国内で起きた犯罪ということになっており、アメリカや日本やイラクは条約署名も批准もしていないため、残念ながらブッシュを裁くことはできない。しかしイギリスは批准しているため、ブレアは当然にも裁かれる対象なのである。
 またブッシュ政権は、クリントン政権が行った条約署名を撤回しただけでなく、世界各国に米国人をICCに訴追しないようにする二国間協定の締結を要求している。このような「強者のみに許された不処罰の連鎖」を断ち、戦争犯罪を絶対に許さない世論を世界的に作り出さなければならないのだ。
 大使館前に集まった「緊急アクション」の参加者たちは、プラカードや横断幕を広げ、米英のイラク侵略戦争に抗議し、七項目の要求書を英文と日本文で読み上げ、大使館員に手渡した。要求項目は以下の通り。
 1、「大量破壊兵器」証拠捏造に関するすべての情報の公開を。2、英軍はイラク占領をやめ、米軍とともに即時全面撤退を。3、イラクをイラクの人々にゆだねよ。4、すべての戦争被害の実態調査を行い、英軍が行った戦争犯罪を明らかにし、被害者・遺族らへの謝罪と賠償を行え。5、ブレア首相、フーン国防相、英軍司令官ら戦争犯罪人は国際刑事裁判所(ICC)で公正な裁きを受けよ。6、ブッシュ米大統領に対して、米国人免責二国間協定の撤回とICC規定の批准を行うよう働きかけるとともに、イラクでの戦争犯罪についてともにICCの裁きを受けるようにうながせ。7、米国の戦争への追随をやめ、公正かつ平和的手段による問題解決の道を選択せよ。     (I)

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