| 2003ビッグブラザー賞授賞式 かけはし2003.7.14号より |
六月二十九日、東京・有楽町マリオン内の朝日ホールで、「2003 ビッグブラザー賞授賞式」が開催され、約二百人の市民が集まった。
聞き慣れないこの賞の名称は、作家ジョージ・オウエルの傑作小説「1984年」の登場人物に由来する。国際的人権団体(NGO)「プライバシーインターナショナル(PI)」は世界規模で、盗聴問題や監視カメラ、警察の情報システム、さらには国家安全保障の問題まで、幅広くプライバシー侵害の実態を監視し、各国政府に働きかけている。このPIが、「オウエル生誕百年」を記念して創設したのが「BB賞」。毎年アメリカ、フランス、ドイツなど世界各国の管理・監視システム、個人・機関・企業に対して授与する。もちろん国家による国民管理・監視を推進するためではなく、隠された実態を広く暴き出し、対抗的な世論を形成するための国際的パフォーマンスである。
この日本委員会は日本在住の各分野のエキスパートで構成される。インターネット・市民投票などを経て、日本におけるBB賞が決定され、この日の授与式に至った。
集会には、プライバシーや国民総背番号制問題に関わる市民グループらが集まった。
「集会中止だ!すぐやめろ!」
まずジャーナリストの斉藤貴男さんがあいさつ。「いまや現実の方がはるかに進んでいる。今日は大いに笑い、考えてください」。そして会場中央の階段から純白のドレス姿の「エリザベス女王」がステージに向かった。笑顔を振りまく太めの「女王」の正体は、PIの代表サイモン・デイビスさんだった。
超監視社会を風刺した「ザ・ニュースペーパー」のパロディ劇が始まった。最初の発言は、おなじみ『小泉首相』。「私を支持している人、手を挙げて……非常に少ないね。これはニセ物でも傷つくね」。
彼の発言中に思わぬハプニングが起こる。客席後方から数人の背広姿の男が乱入し「集会中止だ。そこまでだ。すぐやめろ」と叫びながら舞台に駆け寄ったのだ。そして、演説中の小泉を連行していく。会場は一瞬静まり返るが、やがてこれも「ネタ」だと気がつく。
小泉に扮したのは松下アキラ氏。彼は取調室で刑事から11桁の背番号で呼ばれながら厳しい追求を受ける。「物マネするには許可がいるんだ。おい、隠してもムダだ、88791863166。お前の行動はすべて監視カメラで録画済だ」。ステージのスクリーンには、松下氏の自宅周辺に設置された監視カメラの映像が浮かび上がる。それは買い物から食事まで、彼の一日の一挙一動を鮮やかに捉えている。野球観戦に行き、客席で彼だけが起立せず「君が代」を歌わなかった姿までも……。警察は彼が劇団に内緒で、「横田めぐみさん拉致事件」を取り上げたTVドラマに首相役で出演していた(これは実話)ことも調査していたのだ。
パロディストのマッド天野さんが、ノミネートを紹介した。〈政治家部門〉では神崎公明党代表が圧倒的得票を誇る。政府にスリ寄りながらその発言を二転三転させ、監視社会化を進める政府をナイスサポートした功績がある。他に〈制度システム部門〉〈公共機関〉〈企業部門〉などに多数のノミネートがある。
登壇した『立松和平氏』は、新宿歌舞伎町の監視カメラ群を紹介しながら自ら現地を歩くビデオを上映して解説した。『社民党の土井たか子さん』が、「努力賞」に輝いた防衛庁に賞を授与した。「『リスト問題』では、国民のプライバシーを侵害しても職員のプライバシーは守るプライバシー侵害庁としての本性をいかんなく発揮した」。授与には『石波長官』自らが登場した。
栄えある「大賞」は『天皇皇后』が授与。〈企業部門〉では、NTTグループ、NEC、富士通が競って受賞した。監視カメラやNシステム、住基ネットシステムの構築で大きな貢献をしつつも、国民のプライバシー対策には無関心無責任であるという理由で、三社いずれも甲乙つけがたい。
会場を大いに沸かせたパロディ劇はここで終わり、サイモン・デービスさんが基調講演。その後、海外ゲストが登壇しメッセージを送った。最後に佐藤文明さんの閉会あいさつで締めくくった。
コントや物マネで風刺した超監視社会。盛り沢山であっと言う間の二時間半だった。しかしこれは決して架空の話ではない。現在進行形で眼前に迫る、恐るべき現実の光景なのだ。(S)
イラン大衆の民主化デモを支援しよう
KS
前回、イランについて投稿しましたが、情勢が重大化しているようなので再度投稿させて頂きます。
新聞やインターネットの『イランプレス』などの報道によると、六月十一日、テヘランの大学生を中心とした民主化要求のデモは、瞬く間にイラン全土の主要都市に広がり、各所で数千人の一般大衆が、イスラム政府の圧政への抗議やデモへの賛意を示しているようです。Basijと呼ばれる治安軍や私服警察官、その別働隊のアンサールヒズボラ(神の党の支援者)は、一千人を超える学生や市民を逮捕し、銃やナイフ、鞭で襲撃し、数百人に深刻な怪我を負わせてています。幾人もの生命を奪い、また、どこかへ連れ去っています。
フランスのある新聞は、七〇%のイラン人がイスラム政治体制を拒否していると報じています。デモ隊は、「ハメネイ(イスラム体制最高指導者)とラフサンジャ(護憲評議会議長)に死を」、「無力なハタミ(改革派大統領)はやめろ」、と叫んだそうです。民衆は過酷な取り締まりの下、車のクラクションを一斉に鳴らすなど、ギリギリの抵抗を続けた様子です。イラン大衆総体が、人権のカケラも認めないイスラム体制の打倒を望んでいるのは明らかです。中東地域の中心に存在し、現代イスラム原理主義運動の起点となったイランで、既にそれは反動に転化しているということだと思います。
イラン情勢は緊迫しています。IAEA―イランの核開発問題でのアメリカのやり方は、イラク・フセイン政権を追いつめていったやり方と同じです。イラン政府は妥協的に対応しているようですが、アメリカがイラン政府を軍事的に転覆する意志を持っていることは明らかと思います。この中で、民主化を求めるイラン民衆のたたかいは、今後の情勢を左右する今一つの重要な要因となってくるのではないでしょうか。
パウエル長官のイランの民主化デモを指示する発言があったり、大衆の意識の一部に「アメリカ民主主義」への幻想があるようですが、アメリカの利害と大衆の要求は決して相入れることはないと思います。逆に、われわれ左翼は、大衆的な民主化闘争を基本的に支持すべきと思います。なぜなら大衆の解放は大衆自身の事業なのだから。日本でもイランの民衆を支援する取り組みができないでしょうか? イランに関するニュースは以下のサイトで読めます。
http://www.iran-press-service.com/
http://www.iran-daneshjoo.org/
http://www.gooya.com/
帰ってきた御三家
岸本 豊
一九七四年の武道館を満員にしたコンサートから三十年。永六輔、野坂昭如、小沢昭一の中年御三家によるコンサートが六月十八日、NHKホールを満員にして開かれた。
職場の若い同僚に「おーい、今日は残業しないからな、永さんのコンサートに行ってくる」と声をかけたら「そりゃ、すんごいすね」とのこと。永(矢沢)ちゃんと勘違いされたようだ。
前列の二番目の特等席を用意してもらった。座席の後ろには、黒柳徹子さんや松島トモ子さんなどの顔や、かつて中山千夏や無党派市民連合選挙をともに闘った懐かしい顔も見える。
さて、舞台では野坂さんが、脳梗塞で入院のため司会の中山千夏さんが見事な代役をこなした。二部では小林亜星さんのワンマンショー。小林さんを加えて四天王と言うそうな。
でも、圧倒的な存在感は小沢昭一さんだった。「戦争中流行った歌で、天に代わって不義を撃つてね。ブッシュさんに聞かしてやりたい。不義は撃たなくてよろしい。とね」
「さよなら 戦争 さよなら 貧乏 さよなら 昭和 日の丸じるし バカげた ゴタク 腹立つやつら ギンギラ 昭和 株式会社」なんじゃん・わるつの一節である。
最後に舞台では星条旗と日の丸を振りながらダイイン。ブッシュの戦争への精一杯のアイロニーとなった。久しぶりの楽しいコンサートだった。反戦へのスタンスも人それぞれ。
この日の御三家は「焼け跡・闇市派」の体験からくる反戦。私はベトナム反戦世代。その他に六〇年安保世代。この間のイラク戦争反対は若者を中心としたトレンド派か。
いや、茶化しているのでは毛頭ありません。反戦の意思を持続しさまざまな世代と思いがコラボレートし続けることが大事かな、と。
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