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すべての労働者の力で労基法改悪を阻止しよう      かけはし2003.6.9号より

首切り自由社会はごめんだ!

戦争も雇用破壊も許さない!

労基法大改悪NO!
「労働者の声を国会へ」5・28行動


 五月二十八日、「戦争も雇用破壊も許さない!こんな解雇ルールはいらない!労基法大改悪NO!労働者の声を国会へ5・28中央行動」が行われた。労働法制大改悪との闘いは最大の山場を迎えている。五月二十二日には、労働者派遣法・職安法の改悪案が与党三党の賛成多数で衆院本会議で可決され、参院に送られた。続いて二十三日には、労基法改悪案が衆院厚生労働委員会で実質審議入りした。5・28中央行動は、「労基法大改悪NO!2003年春の共同行動」によって取り組まれ、国会傍聴や要請行動、国会への請願デモなどの一日行動が展開された。

首切り自由社会
めざす小泉政権

 小泉政権が強行しつつある労基法と派遣法の大改悪案は、すでに何度も報じられているように、その主な内容は以下の四点である。
 第一に、労働者保護のための法制である労基法に、「使用者は労働者を解雇できる」という使用者(資本家・企業)側の「解雇の権利」を明記する。第二に、有期雇用労働の契約期間を現行の一年から原則三年、高度専門職は五年に延長する。第三に、企画業務型裁量労働性の手続き要件を緩和し、対象を拡大する。第四に、派遣対象業務を製造業や社会福祉施設の医療業務に拡大し、派遣期間を延長する。
 そのねらいは、正社員を解雇しやすくして首切りを押し進め、低賃金で無権利で期限が来ればいつでも首を切れる有期雇用労働者や派遣労働者に置き換えること、ホワイトカラー労働者のサービス残業(ただ働きの超過労働)を「裁量労働」の名目で合法化し、これまで以上に過酷な過労死労働を強制すること、そして企業と労働者の直接の雇用関係を切断して、労働運動の解体をさらに押し進めることである。

すべての労働者の
力で廃案めざそう

 午後六時半から日比谷野外音楽堂で開かれた集会には、八百人の労働者が参加した。司会は下町ユニオンの山本祐子さんと郵政労働者ユニオンの須藤和弘さん。主催者を代表してあいさつした全国一般全国協議会の中岡基明さんは、午前中の衆院厚生労働委員会傍聴や昼の衆院第二議員会館前での座り込み、午後の厚生労働省交渉について報告し、「小泉構造改革に反対する労働者の声を国会へぶつけたい。戦争NO!の闘いと一体の運動として闘おう」と呼びかけた。
 国会からは、民主党衆議院議員の金田誠一さん、共産党衆議院議員の小沢和秋さん、社民党参議員議員の大脇雅子さんが連帯あいさつに立ち、国会内外の力を合わせて廃案に追い込もうとアピールした。
 日本労働弁護団の鴨田哲郎さん、労政審労働者委員の連合全国一般・田島書記長、全労連・寺間総合政策局長、全労協・藤崎議長が、「労基法の性格を根本から変える重大な改悪だ。解雇原則自由ではなく、解雇規制を法文に入れさせ、労働者保護法制としての労基法を実現するために奮闘しよう」「すべての労働団体が反対するリストラ支援法を、国会の多数の力で押し切らせてはならない」と、残された期間にさらに力を集中して廃案に追い込もうと訴えた。
 続いて「労基法大改悪NO!一分間アピール」では、郵政公社化で進行するリストラと闘う郵政ユニオン、国鉄闘争勝利へ闘い続ける鉄建公団訴訟原告団、全日空の組合つぶしと闘う関西興業争議団など十五の団体が、それぞれの現場から闘う決意を表明した。神奈川シティーユニオンからは、三人の外国人労働者が、韓国語、スペイン語、フィリピン語で「頑張ろう」とアピールして会場を沸かせた。移住労働者連帯全国ネットは、入管法改悪案が審議入りしたことに抗議し、「移住労働社と日本人労働者の利害は一つ」と訴えた。
 いすゞ自動車のリストラと闘う全造船関東地協いすゞ分会の風呂橋治さんの行動提起を受け、集会アピールを全体の拍手で確認し、団結がんばろうを三唱してデモに出発、衆院と参院の議員面会所で社民党と共産党の議員団とエールを交歓して、首切り自由社会と戦争国家体制への道を許さず闘うことを確認した。(I)



ATTAC公共サービス研究会
「水の民営化」とグローバリゼーションをめぐって


 五月二十二日、文京シビックセンターで第四回公共サービス研究会が行われた。今回は水問題をテーマに、渡邊洋さん(東京全労協事務局長)「循環としての水資源から民営化を考える」、三本裕子さん(ア・シード・ジャパン)「グローバリゼーションと世界の水問題」の二本の報告が行われた。

循環を前提に水
利権を守る闘い

 渡邊さんは、まず「東京の水は余っている」と具体的数値を挙げて説明。七〇年代、八〇年代の成長を前提とした自治体の将来予測にもとづいてダム計画が作られ、過大な予測のため水が余っている。開発負担金が地方財政を圧迫するので、市町村水道はダム・用水事業から撤退したがっている。その流れの中で長野県の「脱ダム宣言」があると指摘した。
 ついで「日本の水は、それぞれの河川流域で水利権が決められている。水利権とは、循環を保障する範囲内での許認可。水利権が市場で売買されたことはない。ここが石油など鉱物資源との根本的違い。循環を前提とした水利権を守ることが民営化に対向する核心問題」と提起した。
 循環を前提とした水利権、という考えは水道料金体系にも反映されており、小口需要者には安く大口需要者には高く料金設定がされている。企業経営の観点からは逆の方が有利なのだが、「使える水が限られていたからこそ、資源配分の適正化」のため逓増制料金体系になっている。
 これに対して、「民営化論者にとっての『水』とは、循環ではなく鉱物資源、水への権利はカネで買う発想、それを象徴するのがペットボトル水」と民営化論者を批判した。また「民営化し競争すると安くなる、というが水道の場合は、大口需要者に有利になるだけで、一般の人々には利益にならない」「そのため民営化論者は、なぜ民営化が良いのか具体的に語らない」と指摘した。
 これら民営化の論理に対向していく時に「質を維持するには公営」という考えがあるが、「この対論には違和感がある。公営だから無条件で安全というわけではない」し、この発想では民間労働者との連帯が作れないと、問題提起をした。
 最後にインドの実情にふれ「健全な地域社会の発展のためには、地域の実情にあった法規、技術、資本が必用なのであり、国際基準が良いわけではない」と報告をしめくくった。

グローバリゼー
ションと水問題

 三本さんは、「現在世界には十二億人の人々が安全な水を手に入れることが出来ない」とグローバリゼーションと発展途上国における水民営化問題について各国の具体事例を報告した。ガーナでは、IMFと世銀による構造調整プログラムにより民営化が押し付けられ、フランスの多国籍企業ヴィヴェンディが進出した。多国籍資は「コストリカバリー」といってインフラに投資した資金をすべて料金に上乗せするため、水道料金が二倍になり最低賃金を上回るようになってしまった。最貧困層の人々は水にアクセスできず、疾患率が二〇〇%上昇した。
 「国際NGOは、水民営化反対の立場で第三回世界水フォーラムに参加したが、そこは不透明・非民主的な水道サービス民営化が前提の会議だった。民営化を主張する人は官民の連携というが、水問題の解決には官と地域の連携が必用だ」と提起し、具体例としてポルトアレグレの取り組みを紹介した。
 最後にWTOカンクン閣僚会議での「サービス」部門に「水道サービス」が含まれていること、カンクンで交渉モダリティーが合意された後には、九六年第一回WTOシンガポール閣僚会議から、交渉にも入れず「たなざらし」になっている四つの交渉課題が検討される予定になっていることに注意をうながした。
 第一回WTOシンガポール閣僚会議では、多国籍企業の活動の自由を世界的に保障しようと、@投資A競争B貿易円滑化C政府調達透明性が交渉課題とされた。つまりは、多国籍企業が発展途上国の国内市場で自由に活動でき、途上国政府が発注する事業も受注できるような国際的枠組みを造り強制しようとした。これに対して、途上国・国際NGOは、激しく反発。議題は討議に入ることなく「たなざらし」となった。
 MAI(多国間投資協定)が世界的抵抗運動により粉砕されて以降も、多国籍資本は包括的な投資・貿易の枠組みを作ろうと画策してきた。今年九月のカンクン閣僚会議の次のステップとして、「たなざらし」になっていた四つの問題を交渉しようとしている。
 質疑応答の後に、「脱WTO草の根キャンペーン」「戦争とグローバリゼーションを進めるG8に反対する6・1デモ」が呼びかけられた。   (矢野 薫)



差別図書『アイヌ資料集』裁判
原告川村シンリツ・エオリパック・アイヌさんが意見陳述

 【札幌】五月二十九日、札幌高等裁判所で、アイヌ研究者河野本道が出版した差別図書『アイヌ史資料集』の回収と謝罪を求める裁判の第三回口頭弁論が行われ、原告団の一人である川村さんが旭川から駆けつけ、陳述した。
 川村さんは冒頭、「先祖を敬う人」という自身の名前の意味と由来を説明し、儀式の中で先祖に感謝を捧げ、自然や同胞を大切にすることを日々祈るアイヌ民族の生き方こそ、この裁判への関わりの原点であると訴えた。
 また、この資料集の記述には、結核、梅毒、疱瘡などがアイヌ民族固有の病気とされているが、事実は全く逆にシャモ=和人によって持ち込まれたものであり、カナダの先住民の場合もヨーロッパからの移住によって結核がまん延し人口が一%に激減した。
 近年の人権への配慮の趨勢のなかで、例えばハンセン病の患者の人々の実名は使わなくなっており、アイヌ民族だけ実名記述がそのままにされることの不当性を訴えた。
 そして、いま現在も、「梅毒はアイヌ固有の病気」「衛生観念が劣る」「不衛生」などと書かれたこの書物が、旭川の図書館に置かれ、だれが見るのか、どのように使われるのか。まさにアイヌ民族の人権無視に他ならないと訴えた。
 旭川のアイヌ語教室の中で、差別的な調査対象とされた記憶をふまえた怒りの声があがり、また、「この中に自分の先祖の名前が出ていたらと、見るのが怖かった」と言った男性のように、今もこの資料集がアイヌ民族を傷つけていると、訴えた。
 また、昨年外国人記者クラブでこの裁判の報告をした際、このような人権侵害の書物が公然と読まれる状態に置かれていることに驚き、一審地裁判決が原告アイヌ民族の訴えを却下したことは信じがたいと、一様に疑問の声があがっていたことをつけ加えた。
 今後は、河野本人はじめ証人調べが焦点となっていく。
 北海道―アイヌモシリへの日本帝国主義の侵略―併合の過程で、アイヌ民族は本来の生活を徹底的に奪われてきた。差別と収奪の中で強制された貧困と困窮の中、和人の学者は「滅び行く劣った民族」としてアイヌ民族を規定し、差別的なまなざしによる調査研究の対象としてきた。明治、大正期にそのような研究の一つとして成立した『アイヌ資料集』を実名記述もそのままに、差別的記述に何の解題も加えずに復刻出版した河野本道の責任は明白である。そして現在もそのような書物の流布を許しているシャモ=日本人の社会のあり方こそが問われている。先住民族としてのアイヌ民族の人権を守り抜こう。 (N)


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