もどる

30基の原発が止まっている              かけはし2003.6.16号より

いまこそ脱原発へ

核も原発もない未来を!

原発やめよう全国集会 2003に5000人

 六月七日、東京・代々木公園で、「原発やめよう全国集会2003―子どもたちに核も原発もない未来を!」が同集会実行委員会主催で行われ、全国の反原発運動グループなど五千人が参加した。B地区イベント広場には、全国各地で闘う反原発グループやATTACジャパン、命どぅ宝ネットワークなどの出店があり、音楽堂では歌や演奏が行われた。
 司会は講談師の神田香織さんが行った。小木曽美和子さん(原子力発電に反対する福井県民会議)は「今年出されたもんじゅ高裁逆転勝訴判決は原子力政策の根幹を揺るがすものであり、政策転換を政府にせまるものだった。チェルノブイリ事故後二年後に開かれた脱原発日比谷集会には二万人もの人が集まった。しかしその後、九一年美浜、九五年もんじゅ、九七年東海、九九年JOCと重大な事故が続き、昨年、東電の事故隠しが起こった。東電は停電になると言って原発の運転再開を行おうとしている。原子力に未来はない。『止めよう』ではなく『やめよう』と脱原発社会の第一歩にしなければならない」と主催者あいさつを行った。

傷つき原発の再稼
働を阻止しよう!

 続いて、全国からのアピールが行われた。
 新潟の佐藤正幸さん(柏崎原発反対地元三団体)は「五月七日、6号機の運転が再開された。この暴挙に対して、三十人の市議会議員のうち、十八人が市長に要請書を出した。7号機を動かそうと運輸通産省の平沼大臣などが地元入りした。不充分な点検で再開したら、またこける。強い反対の意志を表明したい」と東電と国を批判した。
 福島の近藤良康さん(福島県平和フォーラム)は「東電十七基の原発の内、福島には十基あるがいま全基ストップしている。自民党都議団が『多少の傷があっても運転してもかまわない』と福島県に圧力をかけている。知事は慎重姿勢を崩していない。絶対に運転再開は認められないと県や東電本社に申し入れを行っている」と報告した。
 静岡と愛知の脱原発グループが「東海地震が来る前に浜岡原発を止めよう!」とトキワ太鼓や森のくまさんの替え歌で訴えた。原発建設にかかわっていた元GE社員の菊地さんは「想定される東海大地震は阪神・淡路大震災の十倍のエネルギーだ。十二本の配管をなくした構造的に問題のある浜岡原発5号機を建設している。大地震が起きたら必ず大事故につながる」と警告した。
 女川原発反対運動を行っている仲間は「宮城県女川原発での再循環配管の傷が超音波で図ったら2・9ミリだったが実際に削って調べたら8・5ミリあった。こうした傷があっても新たに維持基準の導入によって、運転が可能にされてしまう」とを批判した。
 青森の今村修さんは「今日の集会にはバス二台、百人で参加した。ウラン試験阻止5・11集会には一千人が集まった。日本原燃は不正工事による硝酸漏洩事故により、再処理工場のウラン試験六月実施を断念した。日本にある原発五十三基のうち、三十基が止まっている。原発をやめよう」と訴えた。

核のゴミがあふれ
る社会はごめんだ

 大阪で「低レベル廃棄物『スソ切り』反対」運動を行っているグループがパフォーマンスを行った。東海原発の解体が九八年から始まり、約十六万トンもの廃棄物が出る。「スキ切り」とは、今後出るこの膨大な原発廃材を法律を改正して、金属スクラップにして再利用しようという、とんでもないものだ。
 岐阜の兼松秀代さん(放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜)は「動燃は放射能廃棄物の処分場の公募を昨年十二月から開始したが地名を公表しない。岐阜県の遠野地区では八六年から、放射能廃棄物処分の研究が始められた。七月から縦坑が掘られる。ここが処分場になる可能性もある。情報公開を迫っていきたい」と訴えた。
 音楽家の笠木透さんが山口県下関・上関原発反対運動を行っている岩井島漁協の仲間たちと歌を披露した。六月二十二日に灯りを消し、テロ・有事などの恐怖キャンペーンではなく、平和をめざす百万人キャンドルナイトを実現しようとアピールがされた。 集会アピールを採択し、パレード渋谷・原宿一周のパレードを行った。今回の脱原発全国集会はきわめて重要な闘いの一歩となった。(M)



労基法大改悪案
「首切り自由」原則書き込みの撤回かちとる
不安定雇用拡大とサービス残業合法化は変わらず

修正案で一定
の成果かちとる

六月五日、衆院本会議で労働基準法改悪案が与党三党と民主・自由の賛成、共産・社民の反対で可決され、参院に送られた。
焦点の一つとなっていた「使用者は労働者を解雇できる」という書き込みは撤回され、逆に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の乱用として無効とする」という規定が新たに設けられた。
これは、最高裁判例で確立した整理解雇基準を労基法に盛り込むものであり、不当解雇を許さない闘いを押し進めるために活用できる大きな成果ということができる。連合、全労連、全労協の枠を超えた労働者の運動や労働弁護団などの法曹界、共産・社民を軸にした野党の連携した運動が、「解雇自由」原則を労働者保護のための法制である労基法に書き込もうという政府・資本の横暴を打ち破ったのだ。
 しかも当初、労働政策審議会の法案要綱には、不当解雇でも金銭解決できるという条項が、労働者側委員の強い反対を押し切って盛り込まれていた。資本の意に添わぬ労働者をカネさえ払えば好き勝手に追い出せるようにするためである。これらの「解雇自由」原則導入を阻止したことは大きな成果である。

不安定雇用拡大に
道を開く改悪案

 しかし修正案では、パート労働者や契約社員などの有期雇用労働の契約期間を原則三年に、高度専門職と六十歳以上の労働者の有期雇用契約を五年に延長するという改悪は阻止できてはいない。
これまで、パート労働者や契約社員などの有期雇用労働者でも、繰り返し契約が更新されていれば期間の定めのない雇用と見なされ、正社員と同様に一方的な解雇はできないという判例が確立していた。契約期間の延長によって、一〜二回の契約更新で合法的に解雇する「雇い止め」が横行する危険性がある。これまでなら期間の定めのない雇用となったはずの労働者も三年〜五年の契約社員とされ、若年定年制につながる危険性がある。
しかしこの修正案には、契約一年後から「いつでも退職できる」という条文が書き加えられることになった。契約期間が延長された場合、家庭の事情などで退職しようとしても企業から「契約違反」で損害賠償を求められる危険性があり、現在でもそのような脅迫が行われていることが報告されている。退職の自由を確保する上で、修正案のこの条文は一定の積極性を持っている。
また修正案では、企画業務型裁量労働の手続き要件を緩和し、対象を拡大するという改悪も、阻止することができていない。これによって、ホワイトカラー労働者全体に裁量労働制が拡大され、長時間のただ働き=サービス残業が合法化され、労働時間短縮どころか「八時間労働制」も破壊されて、過労死労働がますます深刻化する危険性がある。
これらが、労働者派遣法改悪による派遣対象業務の製造業や社会福祉施設の医療業務などへの拡大、派遣期間の延長と一体となって、正社員を低賃金で無権利で期限が来ればいつでも首が切れる有期雇用労働者や派遣労働者にどんどん置き換えていく過程が進行するだろう。民主・自由が賛成に回ったことによって、参院で廃案に追い込むことは極めて困難になった。しかし最後まで反対の意志を貫くことが、次の闘いを準備する。

フリーター増やす
労基法改悪撤回を

政府・資本に対して要求しなければならないのは、第一に有期雇用労働者や派遣労働者、パート労働者の賃銀や社会保険などの労働条件を、常用雇用労働者と同等の水準に引き上げることである。第二に、常用雇用を原則とし有期雇用は臨時的・一時的なものに限定することである。第三に、裁量労働を原則禁止とし、違法なただ働き=サービス残業を厳しい罰則付きで禁止することである。そして第四に、週三十五時間労働制をめざし、労働時間の抜本的短縮を要求しなければならない。
 五月三十日に内閣府が発表した『国民生活白書』は、十五歳から三十四歳の青年層の中で、パート、アルバイト、派遣労働者、正社員を希望する失業者などのいわゆる「フリーター」が四百十七万人に達し、若年人口の五人に一人はフリーターになっている状況を報告している。
 小泉政権・坂口厚生労働相は、低賃金で無権利の不安定雇用の全面的拡大をねらう労働法制大改悪を自ら押し進め、青年から安定した雇用を奪い取る政策に全力を上げておきながら、フリーターを余儀なくされている青年が正社員として働けるような支援策を「坂口プラン」として提案し、予算化をめざすという。
青年は好きでフリーターを選んでいるわけではない。フリーターのうち、もともとパートやアルバイトを希望しているのはわずか一四・九%にすぎない。圧倒的多数は正社員を希望しているにもかかわらず、不安定雇用を全面的に拡大する政府・資本の政策のために、常用雇用から不当に排除され、やむなくフリーターを「選択」させられているのだ。「坂口プラン」なる恥知らずな提案をする前に、労基法改悪案を撤回し、常用雇用を原則とする方向へ抜本改正すべきだろう。(6月9日 松本龍雄)



有事3法案阻止へ市民と労組が連日の国会前行動
議事堂周辺に響く抗議の声

 小泉政権が有事3法案を成立させるために参議院での審議を急ピッチで進める中で、六月三日から六日まで、陸海空港湾労組二十団体やキリスト者平和ネット、宗教者平和ネット、市民緊急行動などは連日の昼休み国会行動に立ち上がった。
 衆参議員会館前の路上には毎日正午から午後一時まで労働者、市民、宗教者、学生などが結集し、戦争体制の構築にあくまで反対の声を上げた。共産党、社民党の国会議員も連日この国会前行動に参加して発言し、また毎日のように行われる労働組合の昼休みデモとエールを交換した。
 発言の中では、とりわけ麻生太郎自民党政調会長による「創氏改名は朝鮮人の要請によるもの」という植民地支配を正当化する差別的「妄言」に対しては批判が集中した。
 「こういう発言をする連中が、北朝鮮の脅威をあおり戦争体制を作りだすための有事法を成立させようとしているのだ。しかもこの六月六日にはノムヒョン韓国大統領が初めて訪日する。それに合わせたかのような麻生発言や有事法制の強行は、有事法制の侵略的本質を示すものではないか」。
 六月三日午後には「NO有事 VIVA友情キャンペーン」による民主党への要請行動が行われ、午後五時半からは、参院議員面会所で「アメリカの戦争と日本の参戦を許さない!実行委員会(反安保実Z)」が呼びかけた有事法制反対の緊急行動も行われた。
 六月五日の参院特別委員会、六日の本会議での採決の日には、有事法案の成立に抗議し有事体制の発動を絶対に阻止するという怒りの声が終日国会周辺に渦巻いた。有事3法案の成立は、アメリカのグローバル戦争と結びついた「戦争ができる国家体制」への重大な画期であることは確かである。しかし、有事「国民統合」を打ち破る労働者・市民の闘いはまだこれからだ。戦争動員を拒否し、グローバル戦争に反対する闘いの再構築に向けて着実な行動を組織しよう。(K) 


土地収用阻止! 事業継続を許さない!
静岡空港は作らせない
国土交通省は建設の続行を認めるな
「県民の会」が国交省と交渉


 【静岡】 五月三十日、空港はいらない静岡県民の会(以下県民の会)は国土交通省に対して、県が建設を強行しようとしている静岡空港が計画から十年を経て再評価の時期にあたっていることについて、四項目の質問を提起し、これに回答を求める交渉を行った。

必要性も合理性も
採算性もない空港

 県や市などの自治体が設置・運営する地方空港(第三種空港)に(設置理由と地元合意のある離島の場合を除いて、)必要性、合理性、採算性がなくても、国交省は建設続行を認めるのか否か、つまり補助金(第三種空港の場合、本体滑走路部分造成費の半分)を出し続けるのかどうかが厳しく問われている。事業に行き詰まり、強権発動―「土地収用」によってしか用地取得の展望が立たない静岡空港について空港設置を許可した国交省の責任が問われているということである。
 また国の補助対象事業が計画から十年を経過してなお継続中のものについて、事業の中止を含む再評価を行うシステムを取り入れていることから、ちょうど静岡空港が、その時期にあたっているため、県と国交省がそれぞれ事業再評価を行うとしている。そして静岡県は御用機関という批判を承知で五月七日から事業評価監視委員会を開き、「県の意図する事業継続が妥当」という結論を六月中にも得ようとしている。

核心をずらす国交
省の不誠実な回答

 空港反対地権者・檜林さんを先頭に県民の会約三十人が要請書を手渡し、県民の会共同代表の島野さんが概略説明を行った後、国交省の回答を受けた。しかし問題の核心――国交省の責任や、需要予測のあいまいさ、用地取得をめぐる県と国との約束(話し合いで取得する)、県の事業再評価のいいかげんなやり方――にふれる回答は全くのゼロ。口を開けば「静岡県が行っている再評価の結果を待つ」というものであり、これに対して県民の会は再質問し、回答を求めた。
 またこの交渉の窓口となった公共事業チェック議員の会(中村敦夫参議院員代表)として同席した中村、佐藤、金田各議員からも「事業継続の見込みがないのに補助金を付けるとはどういうことか」と強い意見が出され、国交省担当者はついに「未取得の用地部分に対しては来年度補助金を付けない」との回答をせざるを得なかった。
 限られた時間(約一時間三十分程)内でのやりとりではあったが、この交渉は静岡県の「土地収用」攻撃をあらかじめ打ち砕く第一のスタートである。県民の会の質問と交渉はこの後、機を見てくりかえす必要があるし、同時に公共事業チェック議員の会をはじめ、すでに国会で静岡空港について委員会質問が始まっている状況を踏まえ、国会対策(議員勉強会の開催など)の強化が求められている。
 国交省交渉では、この後「土地収用」に関係する担当部との話し合いを持ったが、国交省内には法務担当はあるが、実務として「土地収用」申請と認定手続きは名古屋にある中部地方整備局が受け、そこで判断されるという説明を受けた。

土地収用を許さぬ
新たな闘いの開始

 こうして、「土地収用」を許さない闘いの新しい局面が始まった。同じ日、同じ時刻に静岡県事業評価監視委員会の第三回審議が県庁内で開かれた(県民の会の国交省交渉に意図的にぶっつけたというのが、もっぱらのところ)。この委員会の各委員に対して県民の会はすでに二度にわたって公開書簡を送り、県の一方的説明を聞くだけの形式的な委員会ではなく、客観的で公正な審議のために、評価すべき項目を列記して申し入れを行ってきた。
 しかし依然として、この委員会は本気で再評価する方向にはない。県民の会(そして、一昨年住民投票運動の後に残った「空港建設・中止の会」という団体を含め)はこの委員会を文字通り`監視aし続けていくだろうし、県民世論と全国にむけて収用阻止を強力に訴えていくだろう。
 五月十八日に開かれた空港反対地権者会の総会で採択された全国アピールを紹介する(別掲)。 (S)



空港反対地権者会の全国アピール
静岡空港・土地収用阻止を

 静岡県知事石川嘉延は、四月二十二日、静岡空港建設について、二〇〇六年開港予定の時間的制約と国土交通省の事業再評価を切り抜ける必要に迫られた結果、強制力による用地取得の方針を表明しました。この悪逆・傲慢にも無謀な強権発動に対して私たちは広く世論に訴えて徹底的に抵抗し、断固としてこれを許さない決意であります。
 この空港の予定地決定は地元住民の参加を欠いたまま一方的かつ強権的に押しつけたものであって、これがそもそもの「ボタンの掛け違い」であります。以後、私たちは理不尽な空港建設に反対して闘い続けてきました。一昨年には空港建設の是非を住民投票に問う二十七万余筆の直接請求署名が集められ、これについて知事石川は「空港建設は住民投票の結果に従う」と公約しましたが、三選を手にするやたちまち公約を踏みにじり、住民投票を封殺したのであります。
 今年に入り、知事石川は、必要性も採算性もないこの空港の「公設民営」という「丸投げ」方式を示したものの、参加を希望する企業もなく、「貨物空港」案さえ成り立たないことが明らかになりました。また、三度目の需要予測のやり直しの結果、大幅な下方修正を余儀なくされ、マスコミからも採算割れ必至と指摘されています。さらに、二兆円を超える大借金を抱えた静岡県財政はまさに崩壊寸前の状況にあります。
 知事石川嘉延は県議会の場で繰り返し「用地取得は話し合いで円満解決を」と表明しました。もし、国土交通省が国民世論に背いて静岡県の横暴を許すならば、「成田の教訓」から何一つ学ばない官僚行政の大悪業として、徹底的に追及されなければなりません。
 私たちは、国土交通省が静岡県による土地収用のための事業認定申請を受け入れることがないよう、心から全国民世論の監視と結集、全国からのご支援を訴えるものであります。
 二〇〇三年五月十八日
空港はいらない静岡県民の会
静岡空港反対地権者会



検証イラク戦争―米帝国主義の論理と反戦運動の課題
アジ連講座で今後の方向性を確認

 五月三十一日、東京・文京区民センターでアジア連帯講座は、「検証 イラク戦争と反戦運動の課題」というテーマで国富建治さん(「かけはし」編集委)を講師に公開講座を行った。
 アジア連帯講座は、有事法案をめぐる国会情勢の重大局面を前にして、米のグローバル戦争に対する評価、全世界的に取り組まれたイラク反戦運動に対する課題、有事法制反対運動の方向性などについて論議した。
 国富さんは、冒頭において「ブッシュの戦争」が、どのような時代的性格を持っているかという問いかけをし、ジルベール・アシュカルの著作『バーバリズムの衝突\9・11と新世界無秩序の形成』を取り上げた。
 アシュカルは、父ブッシュが一九九〇年に米両院議員総会で「新世界秩序」を宣言した「9・11」と二〇〇一年の9・11テロを対比している。国富さんはこの対比を紹介しながら、「十一年後、子ブッシュが直面した『9・11』と、報復戦争の論理は、父ブッシュの楽観的理想主義が、いかにまったく逆の現実をもたらしたかを物語る。アシュカルはそれを『双子のバーバリズムの衝突』と呼んでいるが、それをもたらしたものは、まさに新自由主義的グローバリゼーションが作りだした徹底して不公正な弱肉強食社会なのである。子ブッシュの『ブッシュ・ドクトリン』の世界像は、父の楽観主義的『新世界秩序』論とは異なる、『邪悪』なテロリストや『無法者』や『ならず者』によって不断に脅かされる世界である」と整理した。
 また、ネグリ/ハートの『帝国』の紹介と提起を踏まえて、「父ブッシュがポスト冷戦期の国連を新世界秩序の土台にしようとしたが、世界権力としてのアメリカの下に階層的に組織された国連という展望は実際には機能しなかった」と総括した。
 このような「時代的性格」の把握のうえで、ブッシュ・ドクトリン批判を展開した。とりわけ米軍によるイラク軍事占領支配と「民主化」の不可能性を明かにし、「アメリカ帝国主義にとっての選択肢は、新たなターゲット(イラン、シリアその他)を求めて泥沼の軍事的エスカレーションか、『撤退』か、ということになる。しかし、アメリカが軍事的パワーを独占する今日の世界において単純な『撤退』はありえないだろう。それは同時に、アメリカ経済の危機、新自由主義的グローバリゼーションの危機が進行し、アメリカ自身がますます警察国家的強権体制を普遍化していかざるをえない」と分析した。
 さらに@ヨーロッパの反グローバリズム運動を土台にした反戦運動A仏・独に代表されるNATO・EUの分裂Bイスラム主義的・民族的反米意識の拡大について明らかにしていった。
 最後に国富さんは、日本のイラク反戦運動について、例えば、ワールドピースナウを取り上げて「『平和運動』のグローバリゼーションのきわめて端緒的な登場だった。数々の弱点にもかかわらず、この点をまず積極的にとらえなければならない。とりわけNGOと平和運動の結合、あるいは青年の『デモ・デビュー』に場を提供した。主体の弱点をともに克服していく姿勢が重要だ」と強調した。そして、「グローバリゼーションに対する抵抗を基軸に据えた国際主義的な活動を広げていかなければならない」と結論づけた。
 質疑応答後、アジ連は、明日からのG8サミットと有事法案反対闘争や国会闘争などについて行動提起し、参加者全体で確認していった。      (Y)


もどる

Back