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川辺川利水訴訟                   かけはし2003.5.26号より

「国の手続きは違法」―農民側が逆転訴訟

ダム建設の中止をかちとろう

 五月十六日、「川辺川利水訴訟」の福岡高裁判決公判があった。判決は「農家の同意は法定数を満たしておらず計画変更は違法」と判断し、原告農家側の逆転勝訴となった。川辺川ダム計画は、農民が「水はいらない」と言っているにもかかわらず、行政・政府の側が「農民のために水が必要だ」と言って押しつけるという、有害無益なゼネコン利権「公共事業」の典型の一つである。川辺川ダムは九州最後の特定多目的ダム法にもとづく大規模公共ダム計画だ。今回の勝利判決は、ダム建設の今後の帰すうを決めるものだ。
 「利水訴訟」は、川辺ダムによって利水を受ける側の農民が、そのための土地改良事業に対して「水はいらない」として異議申し立てをした訴訟だ。この訴訟は、土地改良対象農家約四千戸中八百六十六人が提訴し、その後補助参加も含めて二千百人の大規模訴訟になった。〇〇年九月地裁判決では敗訴したが、高裁裁判の中で、同意署名自体のねつ造(五百人以上が自署でない。七十七人がすでに死んでいた人の署名)や、だまし的な署名の取り方などが明らかになった。

ダム建設を中止させることは可能だ

 熊本日日新聞(5月17日)は次のように判決の影響を伝えている。
 川辺川ダム建設の目的は@洪水を防ぐ「治水」Aダムを水がめに農地改良する「利水」B発電C下流域に河川水を安定供給する「流量調節」とされている。
 利水事業が中止になれば、「目的」の一つが消え去る。川辺川ダムの有効貯水量のうち「利水」は最大で一六%を占める。同ダム建設の事業主体の国土交通省は、その分を差し引いた基本計画変更や本体着工時期の見直しを迫られる。そうしなければ、国自らが特定多目的ダム法に抵触することになる。基本計画の変更は県議会の議決事項でもある。
 また、球磨川の漁業権などを強制収用できる前提となる土地収用法に基づく事業認定を受けている川辺川ダム建設に対して、県収用委員会は六月の審理終結を打ち出しているが、前提条件が揺らぐ中、審理をさらに続け、裁決時期が遅れる可能性がある。

勝利判決を受け東京で報告集会

 福岡高裁勝利判決を受けた五月十六日、東京・日弁連会館で報告が行われた。最初に松野信夫弁護団副団長は「事実認定で勝ったので上告できないだろう。五月三十日が上告期限だが農水省に断念をせまろう」と決意を述べた。さらに、国会議員の岩佐恵美さん(共産党)と佐藤謙一郎さん(民主党)、保坂展人さん(社民党)がそれぞれ連帯のあいさつを行った。
 弁護団長の坂井優さんは「一審判決は対象農家四千人のうち二千人を調べた段階で判決を出した。これは司法の自殺だ。『すべてを調べてから判決を出せ』とわれわれは、残りの二千人を調べた。上告を断念させ、多目的ダムの利水の見直しをさせ、ダム建設そのものもやめさせるようにしていこう」と訴えた。
 熊本からかけつけた原告団が壇上に並び、口々に水はいらないと訴えた。
 梅山究さん(川辺川利水訴訟原告団長)は「最初は農民だけの闘いであった。この闘いは二十世紀最後の百姓一揆であり、二十一世紀最初に勝った。公共事業のありかたに一石を投じた。勝利をうれしく思っている」と訴えた。
 報告会には、利水裁判を支援する会、東京・兵庫大気公害原告団、水俣病被害者の会全国連絡会などが連帯のあいさつを行った。
 最後に、原告団は五月十九日から農水省前で上告断念を迫る行動を行うことを明らかにし支援を訴えた。
 五月十九日、川辺川利水訴訟団による闘いによって、ついに、農水省は上告を断念した。これで、利水事業によるダム建設はできなくなった。環境破壊のムダなダム建設を中止に追い込もう。(M)



米原子力空母カールビンソン横須賀寄港に抗議行動
原子力空母母港化の既成事実作りは許せない
横須賀で千五百人が抗議のデモ

 【神奈川】五月十日、アメリカ原子力空母カールビンソン(九万千四百八十七u)が、五月十日午前八時半頃、アメリカ海軍横須賀基地に寄港した。原子力空母の横須賀寄港は、一九九七年九月のニミッツ以来で五年八カ月ぶりだ。

原子力空母のための12号バース延長

 これは、同基地を事実上の「母港」とする空母キティホーク(五月六日イラク攻撃作戦より「帰港」)が、二〇〇八年退役予定とされており、「後継空母問題」が差し迫る中での原子力推進艦の寄港であるため、後継艦はカール・ビンソンであることは、十分に考えられる。キティホークは数ヶ月ドック入りするため、カール・ビンソンはその代替兵力として、引き続き「朝鮮半島情勢」をにらみながら日本周辺海域にとどまると見られている。
 キティホークは、アメリカ軍最後の「通常型」空母であり、アメリカ海軍が兵力削減をしない限り、キティホークの後継艦は、原子力空母である。それを裏づけるように、横須賀基地では、原子力空母にも対応可能とされる十二号バースの延長工事を、市民の反対を押し切って開始した(今回カール・ビンソンは同基地の沖合二・五キロ付近に錨泊している)。カール・ビンソンの寄港は、アメリカ軍と日本政府の原子力空母母港化の既成事実作りにほかならない。

有事法案も原子力空母もごめんだ!

 カール・ビンソンの入港に抗議して、同日午後一時より横須賀ヴェルニー公園において、神奈川平和運動センターと三浦半島地区労の主催による、「有事三法案廃案!原子力空母の横須賀母港化反対!5・10原子力空母カールビンソン横須賀基地強行入港抗議緊急神奈川集会」が二十団体千五百人の結集で行われた。
 まず司会の横須賀地区労議長の三影憲一さんは、米海軍第七艦隊司令官のジェームズ・メツガー中将が、「日本がもし、原子力空母の配備を許さなかった場合、グアム諸島は母港の選択肢の一つとなり得る」と語っていると紹介し、私たちの運動次第で横須賀の原子力空母母港化を阻止できるとあいさつした。
 次に神奈川平和運動センター代表の宇野峰雪さんが主催者として発言し、「横須賀に原発を作ろうという話になったら、だれもが大反対するだろう。原子力空母が配備されたら原発よりもっと危険だ。有事法制を作ろうという勢力がイラク攻撃に関し自分たちの利益を求めて、動きまわっている。将来の子どもたちの未来のために頑張ろう」と訴えた。
 来賓としてあいさつをした社民党幹事長で参議院議員福島瑞穂さんは訴えた。「私は国会で、なぜ二〇〇八年を目指して十二号バースの延長工事をやるのか質問したが、米軍に言われたからやるという以外なんの返答もない。また、六日にキティホークが『帰港』した際、米軍が日本政府に対して『インド洋で(自衛隊からの)給油をしてくれてありがとう』と感謝を述べたことについて、予算委員会でテロ特措法違反ではないかと追求したところ、政府は、アメリカ軍は誠実に行っていると信じていると答えるのみだ。アメリカの戦争に対して、私たちの税金が使われたことは明らかだ。政府与党は、PKO五原則の見直しやイラク支援法を作る策動をしている。また有事法制三法案については、民主党が『対案』を提出したことで、中身の議論をちゃんとしないまま審議が促進されている。国民の権利を犠牲にする、戦前の治安維持法にも匹敵する悪法の成立を断固阻止しましょう」。

戦争の危険性に加え被曝の危険性も

 神奈川ネットワーク運動の横須賀代表滝川君枝さんに続いて、フォーラム平和・人権・環境事務局長の五十川孝さんは「カールビンソンの寄港は、原子力空母母港化を先取りするものだ。メーデーの期間中、韓国へ行って来たが、あちらの労働組合活動家や市民活動家から、『日本の政治にはビジョンがない、もっとアジアに入ってきてほしい、女子中学生の戦車轢殺事件により米軍は韓国や日本を守らないことが証明された』とさかんに言われた。国際連帯で母港化を阻止したい」と語った。
 厚木基地爆音防止期成同盟委員長鈴木保さんは「この三十年間、ミッドウェー、インデペンデンス、キティホークの艦載機に生活を破壊され、健康被害さえも被せられてきた。五月十八日午後二時から大和公園で集会を予定している。デモは厚木基地の北側を通るので、柵の前で創意工夫を凝らした決意を行いたい。仲間を連れてきてほしい」と訴えた。
 原子力空母の横須賀母港化問題を考える市民の会共同代表で弁護士の呉東正彦さんは「かつて原子力空母ステニスが座礁し、原子炉が緊急停止するという事故が起きた。まちがえれば原子炉の爆発事故が起きないとも限らない。母港化すれば、二基の原子炉を地上で整備・修理するということになるが、確実に基地で働いている仲間が、そして市民が被曝する」とし、五月十二日に十万人署名を提出すること、そして横須賀市がアメリカに母港化中止の申し入れを行ったことを報告した。
 集会宣言の読み上げの後、デモ行進を行い、横須賀基地ゲート前で抗議のシュプレヒコールを行った。
 この日、六日のキティホーク「帰港」に続き、ヨコスカ平和船団が海上行動を行ったので、新倉裕史さんに話を聞いた。
 「平和船団は朝七時に集合し、七時半に出発しました。カール・ビンソンは、水深の都合で沖合に投錨していますが、提供水域の外か中か微妙です。二度にわたって抗議行動を行い、カール・ビンソンの百五十メートル近くまで近づき、兵士に対してあくまで友好的に、連帯とアメリカ軍の軍事的プレゼンスの意味を訴えました」。
 ヨコスカ平和船団では、定期的に洋上からの横須賀基地見学会なども行っている。ホームページを開設しているので、ぜひ参照していただきたい。  (仙)
ヨコスカ平和船団HP
http://homepage1.nifty.com/heiwasendan/


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