「あきらめずに訴え続けよう」
五月十六日、前日の衆議院本会議で有事三法案が政府与党と民主、自由両党の賛成で可決されるという状況の中で、「NOユージ集会&国会請願行動」行動が行われた。この行動は、ワールド・ピース・ナウ実行委員会に参加した団体のうち約三十団体が呼びかけて作られた「NOユージVIVA友情キャンペーン」が主催して取り組まれた。
国会請願行動に先立って星陵会館で開かれた集会では、最初に主催者を代表して市民緊急行動の高田健さんがあいさつした。高田さんは、久間・元防衛長官がこの日の東京新聞で「出席議員の九割が賛成するような状況が続くと不安だ」と語っていたことを紹介し、翼賛国会を批判して述べた。
「修正案が提案されてからたった二時間しか審議されていない。どこが修正されたのか、どうして修正したのか、何一つ国民に対して明らかにされていない。これが議会制民主主義なのか。基本的人権の制限は最小限にとどめるとか、基本的人権の保障は最大限にするとかで修正協議が行われたが、基本的人権は不変の原則であり、それを五%制限すれば次は一〇%制限、その次は二〇%制限、そして最後にはなくなってしまうというのが、私たちが歴史から学んできたことだ。昨日、雨の中の国会前で本当に悔しかった。参院ではあとどれ位時間が残されているかわからないが、これから戦争に駆り出される若い人たちに呼びかける時間はまだある。諦めずに、街頭や職場や学校で有事法制の危険性を訴えよう」。
全港湾書記長の伊藤彰信さん、在日韓国青年同盟副委員長のムン・セヒョンさん、グループ「はてみ」のリコさんが発言し、集会参加者が入口で署名した国会請願文を確認して請願行動に出発、参院では社民党と共産党の議員団と、衆院では共産党の議員団とそれぞれエールの交換を行って、残された期間に全力を上げて有事三法案の廃案をめざすことを誓い合った。(I)
「修正協議」は許せない!
憲法違反の悪法を廃案に――二千人が集会とデモ
五月十三日、民主党が「修正協議」で政府与党に全面的にすりより、有事三法案の成立の可能性が一気に強まるという緊迫した情勢の中で、「もう戦争はいらない!有事法制にNO!5・13集会」が開かれた。
主催は平和フォーラム、市民緊急行動、日本消費者連盟、原子力資料情報室、ATTACジャパン、DPI(障害者インターナショナル日本支部)で構成する実行委員会。会場には二千人が集まり、集会後、新橋から銀座を通るデモで「有事法案を廃案に!」と訴えた。
集会で、最初に発言に立った民主党の生方幸夫衆議院議員は苦しい言い訳に終始し、抗議の野次に包まれた。続いて社民党の土井たか子党首が、「廃案に追い込むまで全力を尽くそう」と呼びかけた。
全港湾の伊藤彰信書記長は、アメリカがイラクに侵略して最初に占領したのが港湾都市ウムカスルであったことや、これまでの戦争で港湾労働者が動員され多くの犠牲者を出してきたこと、福田官房長官が国会で「戦争協力の義用務命令を拒否した労働者を解雇しても基本的人権の侵害には当たらない」と答弁していることなどを指摘しながら、有事法案は廃案にするしかない、と訴えた。ヘルスケア労組の寺尾英昭会長は、日赤ではかつての戦争で千人を超える殉職者を出していることを紹介し、あくまでも廃案をめざして闘おうと呼びかけた。
日本国際ボランティアセンター(JVC)の田村祐子さんは、現地の厳しい現実を報告した。「病院にも安全な水がなく、子どもたちがどんどん死んでいる。コレラなどの感染症が広がっている。こうなることは戦争が始まる前からわかっていた。そして一方では復興をめぐる戦争ビジネスが進められている。クラスター爆弾やデイジーカッターや劣化ウラン弾が大量に使われ、今後も被害はどんどん広がる。戦争で、敵なら攻撃してもいいという意識が広がっている。日本でも北朝鮮が怖いというイメージが植えつけられている。向こうの人も同じ命の重さをもつた人間だということを伝えたい」。
ウリパラムの兪暁久さんは、この間の反北朝鮮キャンペーンの中での在日三世としての思いを語った。
写真家の豊田直己さんは、米英のイラク空爆が全面化した三月二十日にイラクに入り、バグダッドが陥落するまで取材を続けた生々しい現地状況を報告した。「クラスター爆弾をまき散らすことが『誤爆』ですか。劣化ウラン弾を市街地に撃ち込むことが『誤爆』ですか。私はバグダッドの市街で、通常の百倍、近くの都市では市街の道路に放置された戦車の周りで三百倍の放射能を測定した。湾岸戦争で劣化ウラン弾が使われたところにも三回取材に行ったが、そこは街から二十キロも離れたところだった。それでもあれだけの被害が出た。今後どれだけ被害が広がるか想像もつかない」。
平和フォーラムの福山真劫事務局長の訪韓報告と行動提起を受けてデモに出発、「有事法案を廃案に」「戦争反対」と訴えた。(I)
戦争準備の有事法案は廃案にするしかない!
大阪で三千五百人が集会とデモ
【大阪】五月十七日、大阪扇町公園で「しないさせない!戦争協力」集会が、関西ネットワークと大阪平和人権センターの主催で開かれ、三千五百人が集まった。
集会は大阪府議会議員選挙で市民派として当選した尾辻かな子さんの司会で進行した。主催者を代表して、上坂明さん(大阪平和人権センター代表)と中北龍太郎さん(「しないさせない!戦争協力」関西ネットワーク代表)があいさつした。
上坂さんは、五月十五日に衆議院で通過した有事三法案を成立させてはいけないと訴えた。
また、「憲法前文には、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意すると明記されている。国連が機能するようにするにはどうすればいいかも考えていこう」と訴えた。
中北さんは、法案が衆議院を通過した日に、自衛隊の幹部が「自衛隊は国を守る組織であって、国民を守るものではない」と述べたことを紹介し、有事法案は、調達権限など人権を否定し、憲法を踏みにじるものだと述べた。
そして、「有事法案は、武力攻撃予測事態と周辺有事とが重なってくると想定した、米国の戦争への動員システムを目的としている。米国が先制攻撃戦略をとっている現在では、米国が戦争を仕掛けるときに日本が官民あげて協力する体制をつくることを意味する。この法案の成立を阻止するためにともに闘おう」と訴えた。
続いて、三月二十日から一カ月間イラクで取材活動をして帰国した豊田直巳さん(フォトジャーナリスト)が新聞が報道しない生の状況を報告した(別掲)。
労働組合を代表して、加来洋八郎さん(全港湾大阪支部委員長)が、市民団体を代表して原田恵子さん(関西共同行動共同代表)が意見を述べた。
最後に、ウイメンズ・イン・ブラックの女性と韓青同の青年が三分間スピーチ。
このあと集会アピールをみんなで確認し、米国総領事館前を通り大阪市役所まで約二キロの道のりをデモ行進した。 (T・T)
豊田直巳さんのイラク報告から
誤爆ではなく無差別爆撃だ
ミサイルが標的を一メートルはずれれば、市民のいるところに落ちる。それは初めからわかっていることであり、誤爆ではなく無差別爆撃以外のなにものでもない。
新聞記者が拾って有名になったクラスター爆弾は、大きい爆弾に小さい爆弾が二百発ぐらい入っていて、その一割から二割が不発弾になる。その不発弾は住宅地の中や学校の校庭、幼稚園にも散らばっている。それを子どもが拾う。いまだに市民の犠牲が絶えない。
イラクが米国と戦争したのか、違う。その逆だ。いつも戦争をするものはウソをつく。市民がフセイン像を倒すところを日本でもくりかえし報道したそうだが、事実は違う。五百人ぐらいの外国カメラマンが待ちかまえている前で、米軍の車両が引き倒した。報道は、その横でとまどう市民をどうして映さないのか。しかもそこに集まった市民はごくごく少数だった。
イラク政府だってウソをつく。三月二十一日夜、フセイン宮殿が爆撃された時、サダム・フセイン政権の当局者は外国カメラマンがいるホテルに入ってきて、フィルムを没収した。バース党の党員は、市民は武器を持って抵抗するだろうといったが、それもウソ。一夜明けた四月九日朝、銃を持っていた人はいなかった。そんなことできるわけがないことを市民は知っていた。
いま、イラクでは、米軍が女性のハンドバックまで開けて検問している。IDカードがない者は、一時間でも二時間でも戦車の前に座らせられる。
今度、劣化ウラン弾の犠牲者を取材をしてわかったが、十二年前の湾岸戦争がまだ終わっていない。いまだにそのときの被害者が出ている。劣化ウラン弾は今回、市内中心で使われていた。政府の建物、戦車に対して使われた。その周りは、普通の場所の百倍から三百倍のベータ線やガンマ線が出ている。福田官房長官は因果関係がはっきりしないというが、市民はパン屋に行くたびにその場所を通る。どうしてそんなに高い放射能があるのか。原因ははっきりしている。
米国の戦争を支持した日本は、今後長い期間にわたって責任を追及されるだろう。なのに、さらに有事立法をつくろうとしている。有事といってもそれは日本の有事であるはずがない。今まで日本が攻撃されたことがあるのか。朝鮮、中国を攻撃したのは日本だった。アジアに出かけていくための法律だ。戦争をするものはいつもウソをつく。私は、これからも真実を報道していきたい。(報告要旨。文責編集部)
【おわび】前号5面東電福島第1原発3号炉のMOX燃料差し止め仮処分裁判の記事は、01年4月16日号に掲載された記事を、編集上のミスで再び掲載したものです。読者と関係者の皆さんにおわびします。
三百人が「NOユージ・ウォーク」
青山、原宿、渋谷でにぎやかに
五月十八日、「ワールドピースナウ」実行委員会に参加団体によって作る「NOユージ VIVA友情プロジェクト」が、有事法案に反対する「NOユージ・ウォーク」を渋谷で行った。有事法制によって戦争に動員される医療労働者、パイロット、そして兵隊などの衣裳に身を包んだ仲間たちも多い。
宮下公園の集会では、主催者から「衆院での採択は強行されたが、参議院での廃案めざしてさらに運動を強めていこう」との訴えの後、中国帰還者連絡会の高橋さん、アジアンスパークの若者が発言。青山通り、表参道、原宿駅、渋谷のハチ公広場を通って宮下公園へ戻る二時間近いデモを三百五十人で行った。「UFO」の替え歌「ユージホー」に合わせて踊る看護師姿の仲間たちを先頭に、太鼓、クラリネットなどさまざまな楽器の音もにぎやかな行進は、休日の街の注目をひいた。 (K)
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