平和船団が海上からアピール
【神奈川】五月六日、米軍横須賀基地にイラク戦争に参加した空母キティホーク他二隻が「帰港」した。イラク戦争においてキティホークから艦載機が二千五百回超も出撃し、五百―二千ポンド(二百二十七―九百七キロ)の爆弾や、子爆弾が飛び散るクラスター(集束)爆弾などをイラクに民衆の頭上に雨あられとばら撒いた。
また今回、ミサイル巡洋艦カウペンズとミサイル駆逐艦ジョン・S・マッケーンの二隻も「帰港」したが、同機動部隊からは、イラクに向け七十発のトマホーク巡航ミサイル艦(水上艦艇や潜水艦から発射可能な長距離巡航ミサイル。有人攻撃・爆撃機を危険にさらすことなく、敵地深くの指揮・通信施設、発電・変電所、石油精製・貯蔵施設などの戦略目標に攻撃を行う「精密誘導」陸上攻撃兵器。湾岸戦争、コソボ紛争、アフガニスタンへの対テロ報復攻撃にも使用された)が撃ち込まれた。
平和を求める横須賀市民、非核市民宣言運動・ヨコスカでは、午前九時の「帰港」にあわせ、平和船団による海上抗議デモと、乗組員に対する呼びかけを行った。
ヨット「おむすび丸」と、ゴムボート二隻に十人が分乗し、午前六時半から九時過ぎまで、海上デモをやり抜いた。そして、スピーカーで英語により「すべての犠牲者に対する追悼」と反戦を甲板や艦橋に整列する兵士たちに訴え、"Reconstruction,"Never
Revive the Killed(「復興」で死んだ人は帰らない)という横断幕を大きく掲げた。
ヨコスカ平和船団の鈴木茂樹団長は「先日厚木基地にキティホークの艦載機が一足早く帰った際、無事に帰って良かったという報道がなされたが、イラクで死んだ人々は戻ってこない。米兵も死んでいる。戦争でなくなったすべての人を追悼したい。兵士たちも全員が必ずしも戦争に賛成しているわけではない。単なる抗議ではなく、兵士とともに戦争に反対していきたい」と語った。
このキティホークの「帰港」で驚くべきことが判明した。キティホークを中心とした第五空母戦闘群司令のマシュー・G・モフィット少佐は、「帰港」直後の記者会見で、テロ特措法にもとづいてアラビア海などで米英軍の艦船に給油を行っている海上自衛隊艦船から、米空母キティーホーク機動部隊に八十万ガロンにも及ぶ燃料の提供を受けたことを明らかにし、日本政府に謝辞を述べたのである。これは有事関連三法案の成立をにらんだ、憲法やテロ特措法違反は言うに及ばず、「集団的自衛権の行使」の既成事実化に他ならない。「間接的」といいながら、政府・自衛隊は直接イラク戦争に荷担していたのだ。
また、キティホークは六カ月のドック入りとなるためその軍事的空白を補うために、さらに将来の原子力空母の横須賀母港化をねらって五月十日に原子力空母カールビンソンが横須賀港へ寄港することが判明した。停泊場所は水深の関係で横須賀港の沖泊まりとなる予定だという。当日、海上での抗議行動が計画されている。カールビンソンの横須賀母港化を許してはならない。
これからも、横須賀(そして神奈川)を戦争の基地から平和の基地にするためにがんばろう! (K)
ヨコスカ平和船団のボートに同乗した神奈川の仲間から
いままでデモには何回も参加してきましたが、海上デモは初めてです。船酔いが心配でしたが、まったく大丈夫でした。びしょ濡れになると聞いていたのですが、凪いでいたので、それほどでもありませんでした。しかし三隻の船団に対して、海上保安庁の巡視船や、神奈川県警の警備船、県警の警備ボートなど、十隻近くも周囲を取り囲み、大変物々しかったのですが、海上保安庁の警備艇の乗組員は、慣れているのか、非常に好意的でした。
しかし、自衛隊の潜水艦上に自衛官が整列し、ミサイル駆逐艦ジョン・S・マッケーンを出迎えていく姿を見たとき、「なんなんだこれは」と、暗澹たる思いがしました。
また、キティー・ホークは、ものすごく大きく、「これがイラクに爆弾の雨を降らせた飛行機を満載していたのか」と思うと、悔しくてなりませんでした。
ところで、最初ボートの準備を手伝っていたとき、米兵らしき若者が、「××××パール・ハーバー××××ファック!」と罵声を浴びせてきました。ところが行動が終わり、帰宅している道中、米軍の大型バスが脇を走っていて、全員セーラー姿だったので、明らかにイラク帰りの兵士だとわかったのですが、彼らは全く会話をしている様子もなければ、凱旋気分にひたっている雰囲気もなく、全員マネキンのように座席に座っていて、そして皆とても疲れて見えたのです。平和船団の鈴木さんもおっしゃっていましたが、結構多くの兵士がこの戦争に疑問を持っているのではないでしょうか。
こういった雰囲気というのは、なかなか、現地へ行ってみなければわからないものです。東京の都心などでデモをするだけではなかなか伝わらない。かけはし読者の特に若い仲間には、積極的に平和船団や神奈川の反基地運動に参加をし、軍や戦争というものを肌で感じてほしいですね。(仙)
メディアが伝えない戦争の真実
イラクから帰国したジャーナリスト五人が緊急報告会
五月八日、戦禍のイラクにジャーナリストを送ったJVJAが、帰国後の緊急報告会を開催した。冷たい雨が降るなか、会場となった東京・お茶の水の中央大学駿河台記念館には、定員の二倍以上の五百五十人が集まった。
JVJA(日本ビジュアルジャーナリスト協会)は、フォトジャーナリストとして活躍している広河隆一さんが呼びかけたフリーランスの集団。昨年七月に発足した。「危機に置かれるフリーランスの仕事と、取材と報道の権利を守り、国家や企業に追随しがちなジャーナリストの姿勢を正す」趣旨で設立された。この日の報告会には、イラクに行った五人全員がそろった。
演出された従軍取
材と凄惨な現実と
司会は土井敏邦さんで、まず広河さんのスライドが上映された。「イラクに赴いた日本のジャーナリストは、そのほとんどが安全な従軍取材をした。彼らのいう『われわれ』とは米英軍であり、攻撃する側なのだ」「ピンポイント爆撃は、落とす側は『誤差数メートル』などというが、実際の被害の範囲は周囲三〇〇メートルにも及ぶ」「そして彼らは、フセイン像の倒壊シーンを繰り返し繰り返しタレ流し、『自由と解放』を演出し続けた」。
次の報告は本紙でもおなじみの豊田直巳さん。劣化ウラン弾が打ち込まれた戦車が、商店街のど真ん中に置き去りにされ、その横を子どもが歩いている。ほぼ真上から俯瞰(ふかん)して撮影。写真には独特の作風がある。豊田さんは声を大にして訴えた。「十二年前の湾岸戦争はまだ終わっていない。もういいかげんにしてほしい。戦争というものは、一度行われたらその被害は一生続くのだ」。
毎日新聞のカメラマンがヨルダンでクラスター爆弾の不発弾を拾い、空港で爆発した事件では、豊田さんもコメントを求められるという。「プロの記者が拾うということは、当然子どもも拾ってしまう。これが戦争なんです」。
森住卓さんはモノクロの渋みのあるスライドを上映して報告。最後は今回唯一のビデオレポート、アジアプレスの綿井健陽さんが登壇した。綿井さんはテレビ朝日のNステを中心に現地からビデオを送っていた。綿井さんが撮った映像はどれも衝撃的だ。
米英軍の爆撃で幼い少女二人が犠牲になった。父親は、血だらけの娘が横たわる病院のベッドの側で叫び続ける。「だれか、この子を助けてくれ! 頭から脳みそが飛び出しているんだ。おお、どうすればいいんだ。なぜ、こんな目に会うんだ! だれか娘を助けてくれ!」。少女は酸素マスクの下でときおり頭を左右に振るだけだ。父親は泣き叫ぶ。惨たらしさと怒りと悲しさに、言葉が出ない。会場が静まり返る。これが戦争の真の姿だ。
綿井さんは淡々と続ける。「私はイラクにいて、日本がアメリカを支持したことを、人々から何度も何度も責められました」「現地にいると、これは戦争とは思えないんです。ならばいま起きていることはいったい何なのか。虐殺です。これは無差別虐殺以外の何物でもありません」「私は、豊田さんや森住さんのようにイラクを長く取材しているわけではないが、今後も続けていきたい」。
六時半に開会した報告会は、速いテンポで無駄なく進んだ。というのも広河さんら主催者は、限られた時間のなかでもできるだけ討論に時間を割こうとしたからだ。身動きできないほどの参加者で埋めつくされた会場では、自主的に質問用紙が回収され、質疑応答が始まった。
隠された真実を伝え続けるために
会の最後に広河さんは力を込めてまとめた。「大手メディアは、もはや完全に戦争に組み込まれている。戦争をする側も、彼らを十二分に利用している。犠牲者に対する想像力を持たないジャーナリストは、戦場へ行くべきではない」「こうして、戦争の真実が隠されている。しかし私たちは手をこまねいているわけではない。私たちのメディア=巨大メディアが伝えないことを報道する発行物が必要だ。しかし、印刷の見積もりなどを取るとやはり相応の資金がいる。ぜひここにいるみなさんも私たちの活動を理解し、協力してほしい」。
国内でのイラク反戦運動の高揚を受けてだろうか。平日夜間でありながら、これだけの人々が集まる現実に、日本のメディアの偏向報道への批判と、真実を知ろうとする人々の要求の大きさを感じずにはいられない。会場には他に、市民運動のなかで精力的に活動するカメラマンらの姿もあった。今回の報告者たちは、再びイラクへ出かける予定だという。多くの困難や制約を抱えながらも、相互が運動的にも支え合いながら、侵略者たちの野蛮や残虐を暴露し、全世界からあらゆる暴力を一掃しなければならないと感じた。(S)
STOP!有事法制
厳しい攻防局面で市民や労組が議員激励集会
五月六日、国会近くの星陵会館で「STOP!有事法制 市民と連帯する議員激励集会」が開かれ三百人が集まった。この日の集会は、有事法制3法案の衆院通過が日程に上っている緊迫した状況の中で、労働者・市民の有事法制に反対する行動と国会内での闘いを結びつけ、有事法制を阻止する運動を大きく盛り上げるために準備されたものである。主催は陸海空港湾労組二十団体、平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネット、戦争反対・有事法案を廃案へ!市民緊急行動。
航空連の村中哲也副議長の司会で行われた集会では、最初に全日本海員組合の福岡真人政策教宣局長が主催者あいさつ。続いて参加した約三十人の国会議員を代表して、社民党の土井たか子党首、共産党の市田忠義書記局長、民主党の生方幸夫衆院議員、無所属の川田悦子衆院議員が国会状況を報告し、「有事法制は修正ではなく廃案を!」と口々に強調した。
市民の側からは日本弁護士連合会の小山達也さん、日本青年団協議会事務局長の渋谷隆さん、市民緊急行動の富山妙子さん、平和をつくり出す宗教者ネットの武田隆雄さん(日本山妙法寺)、平和を実現するキリスト者ネットの大津健一さんが発言した。
日弁連の小山弁護士は、昨年、全国の九割に上る単位弁護士会で憲法と人権を破壊する有事法制に反対する声明が上がったと報告した。
最後に、航空労組連絡会(航空連)の内田妙子議長が「生命と安全を守ることが労働者にとって働くための最低条件だ。絶対に有事法案を通すな」と力強く檄を飛ばした。有事法案をめぐるギリギリの攻防に勝ち抜き、五月二十三日の「STOP!有事法制5・23大集会」(午後6時半・明治公園)に総結集しよう!(K)
「昭和の日」法案に反対!
アメリカの戦争と天皇制強化に対決し集会とデモ
四月二十九日、東京・渋谷勤労福祉会館で「アメリカの戦争と天皇制を問う4・29集会・デモ」(主催・実行委)が行われ、百二十人が参加した。
集会開催にあたって実行委の中川信明さんは、「国会で『昭和の日』法案が提出され、連休明けにも審議が開始されようとしている。イラク戦争が継続している中、この日の意味を検証し、批判していこう」と発言した。
次に立川自衛隊監視テント村の加藤克子さんは、「国家\枠を超えることと、相対化することと」と題して提起した。加藤さんは、一九七二年からの反軍放送など基地反対運動の取り組みや八三年天皇公園開園阻止闘争などを紹介しながら「地域で闘っていく場合、いかに天皇制が抑圧装置として地域に立ち現れたかを実感した。この天皇制をなくさなければ世界の人々とも結びつけないと確信した。現在、『昭和天皇記念館』の建設が始まっており、あらためて反天皇制運動の重要性を実感している」と報告した。
さらに、「イラク戦争は国家の枠を越える戦争だった。同時に反戦の波も国家の枠を越えた大衆的な闘いとして取り組まれた」と確認しながら、現実問題として戦争を止めることができなかったことや日本の反戦運動の限界や諸課題について問題提起し、今後の反戦反基地運動の方向性を示した。
続いて武藤一羊さん(ピープルズ・プラン研究所)は、「イラク戦争と言うが、実際に起こったことは、米の完全に大量の技術と物量、情報の集積のうえの一方的な軍事力の徹底的行使であり、征服行為だった。具体的に言えば、ネオコンは、九・一一テロを契機に世界再征服綱領をブッシュ政権を通じて実行に移した。そして、今度は、ブッシュ政権は、国際政治を『ハイジャック』する『世界的な軍事クーデター』を行ったと言っていい。しかも合法性さえも求めもしなかった」と述べ、米政権の国連、国際法を無視してイラク侵略戦争を強行したことを厳しく批判した。
さらに「フランス・ドイツは、米英の軍事行動に反対したが、それがクーデターだとは言えなかった。そして現在、既成事実に屈服してしまっている。私たちは、ブッシュの戦争が徹底的に非合法であり、正当性がないと主張すべきだ。すでに世界的な反戦運動が起こり、また新自由主義的グローバリゼーションに反対する世界社会フォーラムの運動がある。世界的運動の一環として、アメリカ帝国内の存在としての戦後天皇制を暴露し、支配と向き合い、新たな運動を展望していかなければならない」と強調した。
続いて連帯アピールに移り、植樹祭・インターハイ・国体に反対する千葉の会、「日の丸・君が代」の強制と法制化に反対する神奈川の会、「日の丸・君が代」被処分者、女性と天皇制研究会、五・三憲法集会実行委、「一万枚のハガキ」、共謀罪新設に反対している北部共闘から活動報告と決意表明が行われた。
集会終了後、参加者全体でデモに移り、渋谷一帯に向けて「イラク侵略戦争糾弾!天皇制はいらない!」と訴えていった。
なお天皇制右翼は、街頭宣伝カーを列ねて、集会・デモに対して差別排外主義に満ちた罵倒、挑発を繰り返してきた。このような右翼を権力は、見守るだけで放置状態だった。まとしても権力と右翼が一体となった集会破壊策動が行われたのである。実行委と参加者は、権力と右翼の敵対を許さず、断固として集会を貫徹し、最後まで毅然たる隊列をもってデモを行った。(Y)
首切り自由の過労死社会はごめんだ 労働法制大改悪阻止を
奪われる人権―職場の人権と法改悪のねらい
大阪法律家7団体がシンポジウム
【大阪】五月七日、大阪たかつガーデンで、「労基法・派遣法改悪を許さない」シンポジウムが大阪法律家七団体共催で開かれた。
開会のあいさつは、在間秀和さん(連合大阪法曹団幹事・大阪労働者弁護団代表幹事)が行った。
「一九四七年に労基法ができてからいままでに、これほど大きな曲がり角はなかった。一九六八年に労働者派遣法が成立したときも大きな曲がり角であり、その時から労働時間の規制緩和が進んだ。今回はその集大成だ。労働者の保護は遥か彼方に追いやられている。西欧では労働者の保護は強い。解雇は自由だと言われるアメリカでも、差別については強い規制がある。日本に近いと言われる韓国でも勤労者基本法で正当な理由のない解雇はできないことが明記されている。どうして日本でこの規制ができないのか」。
デッチ上げ解雇と
闘った経験から
「『この国で今起きていること』労基法改悪のねらい」と題して、ノンフィクションライターの島本慈子さんが講演。
島本さんは、大企業の子会社に勤めていたとき、阪神大震災について本を出版するために休職をすることで会社と契約書を交わして休職した。復職すると退職を勧奨されたが断った。役員が大企業から天下りするこの会社は、四年半前に会社に損害を与えたというウソをでっち上げ、島本さんを懲戒解雇した。
会社と交渉してもらちがあかず、労働組合に入って闘うしかないと考えた島本さんは管理職ユニオンに加盟し、裁判に訴えた。一審裁判は全面勝訴し、会社は控訴。大阪高裁の判決が出る前に会社は控訴を取り下げた。会社は損害賠償を払い謝罪文を書いた。解雇をする前に事実関係を調べもせず、一方的に天下り上司の言うことを会社が信用したことのつけであった。その後島本さんはこの会社を退職し、解雇問題を扱うフリーライターになった。
解雇制限ルールをつくろうという姿勢の下で、上司に反対する者を追い出しやすいシステムづくりが進行している。労基法の改悪でいま焦点になっているもののひとつは、解雇の無効が裁判で確立しても、金銭解決で雇用契約を破棄できること。厚生労働省は、そのような場合として、労働者が使用者を個人攻撃した場合、労働者が原因で職場の秩序が乱されるとき(就労闘争など)、としている。
労働者がたまたま上司に気にくわない存在である場合は、職場から排除されると言うことだ。まさに、島本さんの解雇は、このケースであった。「金銭解決は今回は引っこめられたが、また出てくる。正当な理由がなく解雇されるようになると、職場に人権がなくなる」と島本さんは訴えた。
続いて、長谷川裕子さん(連合労働法制局長)が国会情勢を報告した。
任期1日の日々雇
用―郵政非常勤職
各職場からの報告と訴えとして、四人が報告した。花房京子さん(全逓近畿地本)は、郵便局に勤務している非常勤職員。全国に十万人いる。ちなみに正職員は十四万人。局の窓口業務に就いていても、客から見て正職員と区別がつかない。全く同じ仕事をしている。一応予定雇用期間はあるが、任期一日の日々雇用。一年を超えても、再任用される保障はないし、されてもその時の労働条件の変更に文句は言えない。理由がなくても解雇される。とにかく労基法が適用されない、全く不当な任用制度の下で働いている。
花房さんは、「郵政省が公社化されてから、より民間企業に近い経営形態になっているから、一層非常勤職員が増えていくのではないか」と述べた。
いつでも契約終了
の銀行派遣労働者
岡崎栄子さん(コミュニティーユニオン関西ネットワーク)は、派遣労働者の実態を報告した。違法派遣をチェックできないまま、契約にない労働をやらされ、常用労働者から差別扱いされ、セクハラでダメージを受けている。業務請負会社は、派遣労働者が休んだときは、会社が損害を被ったとして賃金を引く。土日派遣をする、残業手当は支給しない。雇用保険・社会保険はない。契約していても、いらなくなると契約終了といつでも切られる。一例として、時給九百九十円ではたらいている銀行窓口の派遣社員の実態を報告した。
裁量労働制―保険
会社の過労死労働
労働相談をしている綱本守さん(民放労連)は、裁量労働制が悪用されたケースを報告した。転勤になったとき新給料体系で裁量労働制適用の労働者になり、本給が減額された分が裁量手当になった。ところが、業績評価が悪いとのことで、裁量手当がなくなった。
最後は、三井生命保険会社の営業所長をしていた夫が夜中に過労死した件で今年四月十五日に訴訟を提訴した妻の渡邊陽子さんが、労働時間の管理のない、すさまじい職場の実態を報告した。会社は管理職には労働時間の規制はないと言うが、管理職になる前から同じ実態であったこと、また、夫が高血圧の持病を持っているとことを分かった上で採用した会社の責任を訴えた。
このあと、会場発言として、この法案が成立すれば、組合があってもなくても賃金は下がる、職場で声を上げる労働者はいなくなり、大変なことになる、厚生労働大臣を首にするぐらいの覚悟で闘いたいとの連合大阪の決意表明があり、最後に、河村武信さん(民主法律協会副会長)がまとめをし、みんなが国会議員への要請書を出すこと、国会行動をそれぞれの団体で取り組むことの二点の行動提起をして閉会した。(T・T)
労働・環境・人権・生活があぶない!
日韓自由貿易協定に反対する闘いを作り上げよう
韓国民主労総代表を迎えて
四月十八日、東京文京区民センターで「異議あり!日韓自由貿易協定――労働・環境・人権・生活があぶない!」東京集会が集会実行委主催で開かれた。
中岡基明さん(中小労働組合政策ネットワーク共同代表)の主催者あいさつの後、土松克典さん(日韓投資協定NO!緊急キャンペーン事務局)が「日韓投資協定では労働組合を取り締まる紳士条項を削除させたが、前文に精神的文言が入れられた。投資協定に盛り込むことのできなかった労働運動に対する弾圧条項を今度は自由貿易協定に盛り込むように、日本経団連など財界から強い意向が出されている。相互認証制度や問題発生時の支援制度など、私たちの暮らしと安全に重大な影響をおよぼす各種条項も盛り込まれようとしている。来年七月に報告書を提出しその後、政府間交渉が秘密裏に開始されようとしている」と経過を報告した。
続いて、ソン・ナックさん(韓国民主労総・教育宣伝室長)は「韓国における新自由主義がどのように進められ、それに対する闘いについて」講演を行った(要旨別掲)。その後、ATTAC・Japan、日韓ネット、AWC(アジア共同行動)などによるWTO批判の寸劇が行われ、大いに会場をわかせた。水原博子さん(日消連)、大野和興さん(アジア農民交流センター世話人)から連帯のあいさつがあった。今後、日韓自由貿易協定に対する闘いを作り上げることを確認して集会を終えた。(M)
ソン・ナックさん(韓国民主労総・教育宣伝室長)の講演から
一九九七年にアジア通貨危機が起こり、韓国はIMFの支配下に入った。この時から、グローバリゼーションと新自由主義に対応せざるを得なくなった。金大中政権とそれをひきついだノ・ムヒョン政権は@構造調整(リストラ)A公共事業の民営化B外国企業への開放策――を推し進めてきた。この政策は労働者の生活を根本から破壊していった。
ノ・ムヒョン政権と構造調整政策
最初に構造調整の問題から説明したい。
金大中政権は九八年から構造調整の名のもとリストラを進め、正規職の半分しか賃金がない非正規職員を大量に作り出した。〇〇年には労働者の五三%を非正規職が占めるようになった。社会保障システムが整っていない韓国では労働者の生活はたいへんだった。
九八年に現代自動車などで整理解雇反対の激しい抵抗闘争を組織した。〇〇年からは非正規労働者の闘いも作り出した。現在、非正規労働者の闘いは市民権を得ている。非正規労働者は社会の極貧層に追いやられている。いつこの矛盾が爆発するかという危機感を作り出している。われわれは非正規労働者の問題を闘争の中心にすえ、非正規労働者の権利の保護の法制化をめざしている。ノ・ムヒョンは非正規職の差別の撤廃を公約して当選した。ノ・ムヒョンの労働政策は満足のいくものではないが、金大中よりは前進している。
鉄道・ガス・電力民営化との闘い
第二に、民営化問題について。国・地方自治体のサービスを民間企業、外国資本に売り渡していく。韓国通信や浦項製鉄が民営化された。焼身抗議自殺があった斗山企業も民営化になっていった。鉄道・ガス・電力の民営化が出されたが、〇二年二月に労働者側は民営化反対でストに入り、現在民営化はストップしている。ノ・ムヒョンは民営化をいったん留保するとした。国鉄労組は四月二十日、民営化反対でストをかまえている。外国資本が三部門をねらっている。闘いは厳しいものになるだろうが阻止していかねばならない。
経済特区問題と自由貿易協定
第三に、外国企業への開放問題について。@経済自由区域をつくるA投資協定とWTO――によってなそうとしている。
@の問題点。労働者の有給休暇をなくし、ただ働きにさせる。女性から生理休暇をとりあげる。このことによって月給の五分の一が引き下げられる。さらに、派遣労働は二十六種類に限られているがこの制限をなくす。この結果、専門職がいらなくなり、ほとんどが派遣労働者のみになってしまう。障害者を二%雇わなければならないという条項もはずされる。ストはしてはいけないという労使協調を強制する。また、環境保護の規制をはずす。教育・医療部門では健康保険が適用されなくなり、公共サービスが受けられない。法人税も低くなっている。
この法案は去年通ってしまった。ノ・ムヒョンは特区について手直しをする必要があると言い出しているが、あまり期待できない。これは特区だけでなく全国に広がる可能性がある。港湾・空港も地方自治体の首長がOKすればできるようになる。さらに、外国資本が一〇%入っていれば、外国資本とするとなっているので、韓国の財閥も注目している。
特区が広がれば、労働・環境基本権や労働者保護が一瞬にして崩されてしまう。七月一日に施行される。反対のために大きな闘いが組まれる。
Aの投資協定問題について。韓米投資協定は現在ストップしている。それは映画産業が闘っているからだ。映画の国内保護のために、映画館では四〇%の韓国映画を上映しなければならないことになっている。アメリカはこの条項を撤廃させようとしたが、『JSA』の俳優や監督が頭をそってデモをした。韓・チリ自由貿易協定が進められ、国会の批准を待つ段階だ。韓国制の自動車を売り、チリ産農産物を輸入するというものだ。農産物を開放しなければならない。農民は生きるか死ぬかの闘いをやっている。ソウルのど真ん中で豚を放したり、腐った物を国会に投げたり、農耕機で高速道路をマヒさせる過激な闘いを行っている。二百七十人の国会議員のうち百十四人が反対する署名をしている。
道は険しいが、闘わなくては民衆の生きる道がなくなってしまう。資本のグローバリゼーションではなく、人権と労働者のグローバリゼーションにしなければならない。(報告要旨。文責編集部)
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