もどる

県が「土地収用」手続き開始決定           かけはし2003.5.12号より

強権発動許すな!

国交省は申請を受けつけるな! 追いつめられた知事の暴走を打ち破る闘いを

 【静岡】静岡空港をめぐる攻防がまさに天王山の局面を迎えた。空港建設に完全に行き詰まった静岡県知事石川嘉延は四月二十二日、「用地取得」について強制力行使を公表した。この暴虐きわまりない強権発動を、県下の反対運動はもとより、全国世論に訴えて、われわれはあくまでも抵抗し、闘いぬき、断固「土地収用」を阻止する決意である。
 この空港計画は当初から一方的かつ権力的な予定地決定で始まり、空港不要とする県民世論を欺き続けてきた。知事と県当局の「息のかかった」茶坊主をかき集めて各種委員会を次から次へと立ち上げてはみたが、それはしかし、世論を説得する役割を果たすことなく終わった。
 そして今年に入って知事と県当局は国土交通省から今後の事業見通しを立てるように迫られ続けたのである。その核心が「問題を後に残すことなく用地取得ができるかどうか」であり、この事業計画が十年を経過することから八月に予定される国交省の事業再評価に際して「審査条件を満たすことができるかどうか」にある。さらに、県当局が言う〇六年開港予定から逆算すれば「用地取得」期限はギリギリのところに来ているということだ。以上のことが、強権発動開始の背景にある。
 だが、この空港計画には県民合意は成立していない。一昨年空港の是非は住民投票で決めるべきとする請求署名が、実に二十七万筆を超えたことに明確に表現された。この県民世論の盛り上がりに驚いた石川知事は「空港建設は住民投票の結果に従う」と公約せざるを得なかった。しかし知事三選を手にしたとたん、いとも簡単に公約を破り捨ててしまった。このように知事と県当局の度重なる裏切りとサギ行為のうえに今回の「土地収用」手続き開始決定がなされたのである。
 しかし、空港建設の前途は全く絶望的であり、強権発動によって反対運動を切り崩すことはできないし、県民世論を押さえつけることも不可能である。なぜなら、空港建設行き詰まりの実態が事実をもって明らかになったからである。
 その一つが、公式には三度目となる需要予測見直しの結果「お手盛り」ながら大幅な下方修正を余儀なくされ、当初の百七十八万人が百万人を割り込み、マスコミから採算割れ必至とたたかれる始末であることだ。ごく普通の感覚では百万人でも多過ぎるというのが実際であり、よくて六十万人前後というのが一般的認識となっている。
 さらに、茶坊主からなる委員会の一つ「空港戦略プロジェクト会議」なるものが空港運営についてまとまった結論を出し得ず、県当局が期待する「公設民営」という「丸投げ」方式も「貨物空港」案も全く現実性がなく宙に浮いてしまったのである。つまり、仮に、静岡空港が出来たとしても、まるで使い物にならないということだ。
 そして、決定的なことは「用地取得」を阻む反対地権者の強固な意思と全国に広がった共有地権者の結束が一段と強化されていることである。
 反対地権者を軸にした闘いは「土地収用」のための事業認定申請と国交省の申請認定の間の、行政手続きに対して強力に反対介入するとともに、認定された場合には、法廷闘争を含む大反撃を開始するだろう。この大反撃は知事と県当局の予定するギリギリのタイムスケジュールを大幅に後退させ必ず挫折に追いこむだろう。そして、われわれは統一地方選の成果を生かし、世論に訴え、あらゆる勢力との共同行動、共同戦線の構築をめざして闘いぬくだろう。
 また、昨年十一月、静岡の地で開催された反空港全国集会の成功と全国連絡会の今後にとって、静岡空港「土地収用」阻止の闘いが一つの分岐となり、ムダな公共事業と闘う全国的な住民運動、市民運動との合流を促すことができるだろう。全国の仲間の皆さんの応援・御支援を訴えたい。(S)
 追記 静岡の事業認定申請は今年八月概算要求取りまとめと事業再評価時期か年末の予算編成に間に合わせようというものである。いずれも、国(国交省)の〇四年度補助金が打ち切りとならないための、せっぱ詰まった「見切り発車」にほかならない。また、県当局は、国交省の事業評価の前に、県独自の事業評価を義務づけられており、需要予測の見直しや空港運営の将来図が、妥当なものかどうかを、お手盛り機関とは言え、審議することになっている。この審議が五月七日から始まる。
 なお、五月中に、国交省に対して「申請を受けつけない」ように、反対地権者と共有地権者を中止に申し入れ行動を予定している。



すべての原発を止めよう 柏崎6号機を動かすな
チェルノブイリ事故から17年 東電原発17基停止を脱原発へ

 四月二十六日、東京渋谷・宮下公園で「チェルノブイリから17年このまま動かすな!東電原発17基」集会/パレードが原発とめよう!東京ネットの主催で行われた。東京ネットの仲間たちは会場で十七基の原発のハリボテを作りパレードの準備をした。
 集会の最初に、大地を守る会の小池さんは「チェルノブイリ原発事故から十七年。ずいぶん時間がたったが事故の影響は残っている。事故は過去のものではない。水、母乳などが汚染され、死者も出た。しかし、日本の原発は当時三十四基だったものが現在五十二基に増えている。東電の全原発が止まっているのはねばり強い反原発の運動の結果だ。六月七日の脱原発全国集会に集まろう」と訴えた。
 続いて、東京ネットの松丸健二さんは「東電は三月末に、国に年間の事業計画を出した。それによると、このまま全原発が止まったら、夏場に九百五十万キロワットの電力不足が生じるとしている。それで原発を動かしたいとキャンペーンをし始めているが、工場や会社の夏休みを少し増やすだけで電力不足にはならない。脱原発社会をめざすべきだ」と東電を批判した。
 原水禁の井上年弘さんは「東電は柏崎6号機を動かすために、新潟県平山知事に申し入れをした。さらに四月三十日には三つの自治体に動かす申し入れをし、早ければその日にも稼動させようとしている。事故隠しの後、東電は『動かすには地元の理解を得てから』と説明していた。現在市町村議会選挙が行われている。新しい議会での論議・合意が必要だ。原水禁は東電に動かさないように申し入れをする。五月十八日には、柏崎現地で緊急集会が行われる」と報告。最後に、浜岡原発止めよう関東ネットからの訴えを受けてパレードに出発した。 (M)


ひびくチェルノブイリの歌声
チェルノブイリ原発事故17周年救援コンサート開く


 四月二十七日、東京・日比谷公会堂で「チェルノブイリ17周年救援コンサート――チェルノブイリと地球」がチェルノブイリ子ども基金主催で行われた。会場は若い女性を中心に満席になった。
 ウクライナの歌と民族楽器バンドゥーラ演奏を披露したナターシャ・グジーさんは六歳の時、原発に隣接したプリピャチで被曝し、キエフに避難した。避難民の子どもたちを中心に結成された子ども民族音楽団「チェルボナ・カリーナ」に参加。「子ども基金」の招待で、一九九六年と九八年に音楽団の一員として来日し、日本各地で救援コンサートを行い反響を呼んだ。そして二〇〇〇年から日本へ留学。現在、ウクライナ民謡を教えながら救援活動を行っている。
 演壇の後ろに大きなスクリーンが用意され、ナターシャさんの歌に合わせて広河隆一さんが撮影したチェルノブイリの病気の子どもたちや廃村が映し出された。
 最初に、『チェルノブイリ』が歌われた。歌詞はこうだ。
青い空が どこまでも 続いている
森は 陽を浴びて 眠っている
道は 果てしなく 誰かを待つ
歌声は もう 聞こえない
窓の あかりは もうともらない
扉は 冷たく 閉ざされている
子供らが 遊んだ 庭には
笑い声は もう聞こえない
チェルノブイリ チェルノブイリ チェルノブイリ 物語じゃない
チェルノブイリ チェルノブイリ チェルノブイリ 帰れないふるさと

 彼女の素晴らしいソプラノはチェルノブイリの悲劇を強烈に訴えるもののだった。最初から、涙が止まらなかった。
 彼女の熱唱の後、フォトジャーナリストで基金の代表の広河隆一さんがスライドを交えて講演。
 「チェルノブイリ事故によって、四百五十八の村がなくなった。最近になって子どもたちの甲状腺がんが、恐ろしい勢いで急増し始めた。一九九一年に国際的調査団が事故の影響を調べたが、事故によるがんなどの発生はないという報告を出した。この時の団長は日本の広島での放射線医学の第一人者だった。これにより、国際的支援が断ち切られた。イラク戦争でも日本は米英軍を支持し、加害者の方に回った。ウクライナやベラルーシで、チェルノブイリではもう被害は終わったとして、医療支援を打ち切ろうとしている。放射線被害で苦しむ人々への救援のさらに強めたい」。
 この後、日本のミュージシャン・中納良恵、青柳拓次、鈴木正人、広河J・民、菅沼雄太によるコンサートが続けられた。子ども基金はウクライナに療養所を立て持続的な支援を行っている。ぜひ、協力を。(M)
チェルノブイリ子ども基金 募金口座 郵便振替 00160―4―98316 電話03―5376―7897FAX03―5376―7890



イラク侵略戦争と有事立法にどう対決するか
新しい反安保実VIIが討論集会

 四月二十日、東京・文京区民センターで「アメリカのイラク攻撃に抗議し、有事立法に反対する集会」がアメリカの戦争と日本の参戦を許さない!実行委員会(反安保実VII)の主催によって行われ、五十一人が参加した。
 集会開催にあたって実行委の天野恵一さんは、イラク反戦運動の高揚の中で@有事立法を制定しようとする小泉政権批判A沖縄米軍基地の存在B北朝鮮を排外主義的に煽るマスメディアの問題が後景化している状況があると指摘し、実行委がこれらの問題を正面から取り上げ、厳しく批判していく必要がある、と集会の主旨を報告した。
 次に三人から「報告と提起」が行われた。
 木元茂夫さん(すべての基地に「NO!」を・ファイト神奈川)は、「北朝鮮と有事立法」というテーマから提起した。木元さんは、冒頭、北朝鮮の日本人拉致犯罪を取り上げ、「『本質的に解決した拉致問題』という主張を北朝鮮は繰り返しているが、その人権無視の姿勢は、絶対に容認できない」と批判した。
 そして、「北朝鮮には、『朝鮮半島の非核化に関する共同宣言』の遵守と拉致被害者の家族の帰国について、その日程の明確化を求める。日本政府には、植民地支配に対する謝罪の具体的内容の明確化・経済協力の内容及び資金規模・個人補償の道を開け。ブッシュ政権には、空母戦闘群の日本海への侵入など、すべての軍事的威嚇中止・北朝鮮非難をやめよ」と主張していかなければならないと強調した。
 佐藤文明さん(フリーライター)は、「有事法制・国民保護法制批判」を中心に提起した。佐藤さんは、、「有事法制は、ブッシュ政権の世界戦略にもとづく周辺事態法、テロ対策特別措置法の延長であり、明確な戦争準備法案だ」と厳しく批判した。さらに、「国民保護法制は、直接市民一人一人を対象としたもの。保護とは名ばかりで、軍の行動を保護するために、市民の人権、私権を制限するための法律」であることを明らかにしていった。
 また、これらの法律制定にあたって防衛庁と警察庁・総務省の対立などがあるにもかかわらず、民主党の対案は、その分裂をまとめるようなものとして提案しようとしていると指摘し、「非常に危険な動きだ」と注意を喚起した。
 知念ウシさん(フリーライター)は、国連安保理がイラクに対する大量破壊兵器の査察団を送ろうとしていた時期、この動きの批判とともに沖縄米軍基地に反対する立場から「国連安全保障理事会に在沖米軍基地への査察団派遣を求める会」の結成をかちとった報告を行った。また、知念さんが米軍兵士が同乗した飛行機に乗り合わせた体験を述べながら、「米軍兵士との同乗拒否運動」について提起した。
 続いて、アメリカの戦争と天皇制を問う4・29集会実行委、「5・3生かそう憲法、高くかかげよう第九条」(正午・日比谷公開堂)集会実行委、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの上原成信さん、グループ武器をつくるな!売るな!、「一万人のハガキ」からアピールが行われた。 (Y)

もどる

Back