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韓国は、いま                    かけはし2003.5.12号より

東北アジア経済中心国家構想と経済特区建設は何をねらうのか

新自由主義的グローバル化を打ち破ろう

グローバル化と東北ア経済国家

 経済特区構想は、キム・ヨンサム政権の時代にグローバル化推進の過程で東北アジア中心国家機構の必要性とともに登場した。以後、98年の第4次国土総合計画(00〜20年)で開放型の国土拠点を提示した後、貿易協会など財界の提案や研究を経て02年1月の大統領年頭会見で「東北アジア・ビジネス中心国家育成基本構想」(以下、東北ア構想)が提示された。
 政府は02年の1年間、東北ア構想の試案を確定し、東北ア構想の核心的要素である「経済自由区域指定および運営に関する法律(案)」(以下、経済自由区域法)を制定するなど極めて早い歩みを示してきた。これにより今年の7月から仁川、光陽、釜山港を中心に経済自由区域法の施行が予定されており、京畿道庁をはじめ各地方自治体は経済自由区域の指定を先を争って要請しているのが実情だ。
 ところで、この構想はそれほど目新しいものではない。韓国政府が1970年に「輸出自由地域設置法」にそって指定した馬山輸出自由地域も経済特区の一形態だ。当時、輸出自由地域設置法第1条で明文化した「外国人の投資を誘致することによって輸出の振興、雇用の増大および技術の向上を期し、国家経済の発展に寄与」するということを見れば、一般的に外資誘致のために関連の制度を構築し区画を設定するとの側面において、いわゆる70年代の「輸出自由地域」が2000年代において「経済自由区域」として焼き直されているのだ。

構想実現の核心的手段―経済特区

 ノ・ムヒョン政権は、国政の12大課題中の経済分野の核心的課題として「東北ア経済中心国家建設」を提示した。東北ア構想の試案を確定したキム・デジュン政権の政策を継承したノ・ムヒョン政権は、東北ア構想を実現するための核心的な手段として経済特区政策を押しだしたのだ。東北ア構想実現の先決条件を国家の競争力強化と考えるノ・ムヒョン政権は、このために「物流中心地」、「先端産業クラスター(注)」、「国際金融クラスター」という3つのクラスターの概念を提示しているが、ここで産業クラスターを形成させる特殊な方法のなかのひとつが経済特区だ。
 つまり経済特区は、新自由主義のグローバル化が大勢であることを主張するノ・ムヒョン政権の東北ア構想を実現するための具体的プログラムであり、核心的手段のうちのひとつだ。
 ノ・ムヒョン政権の東北ア構想は経済政策にのみ局限されるものではない。12大課題のうち地政学的危険を最小化し、外資が安定的にとどまるようにする「外交、統一、国防分野:韓半島の平和体制構築」を根幹として、地方分権と国家の均衡発展、科学技術中心の社会構築、教育改革と知識文化強国の実現、社会総合的労使関係の構築を、東北ア構想を完成させる政治、社会、経済的課題として提示する。
 したがってノ・ムヒョン政権は任期期間中、この課題の完成のために各種の制度や法律、社会的システムを整備するだろう。現在推進中のものだけ見てもWTO(世界貿易機関)の教育開放のための教育部門の譲歩案(開放計画書)およびサービス部門の譲歩案提出、地域均衡発展特別法(案)、FTA特別法(案)、外換(外為)取引法の外換法での代替などの構想や立法化がある。
 このうち最も先鋭な争点中のひとつが、いわゆる「国益のための派兵決定」だが、米国の侵略戦争を支持する対価として韓半島の平和の体制を手にするほかはない、と主張する裏面にも東北ア構想がある。だが「血を与えて買う平和」が、はたして、どれぐらい、そしてどのように維持されるかは、よくよく見ておかなければならないところだ。

労働のフレシブル化と構造調整策

 だが東北ア構想のカギは、何よりも労働のフレキシブル化と、これのための協力的労使関係の構築にあるようだ。すでに経済特区などの外資誘致政策を実施した諸国の事例を見ると、各種の投資誘因策の核心を労働のフレキシブル化と協力的労使関係においている。
 韓国でもまた昨年11月に制定した経済自由区域法において、深刻な労働基本権の侵害や労働者の生存を阻害する要素を規定した。70年のチョン・ティル烈士の焼身以後、闘争の歴史によって闘いとられた労働基本権を深刻に否定したのだ。21世紀の資本の投資と再生産の条件は結局、労働条件を1970年代に後退させるというわけだ。
 月次休暇は適用を排除し、生理休暇は無給休暇である場合にのみ適用することしたものの、これさえも財界をはじめとする資本の陣営は適用の排除を要求しているのが実情だ。
 争点のひとつだった派遣労働の場合、業種および期限の制限を完全に排除していた立法予告(案)を修正し、専門業種にのみ適用するが、専門業種の指定を使用者ができるようにしたり、あいまいな表現を使って使用者が望む通りに派遣勤務が可能となるようにする状況だ。それこそ労働者の労働力がゴムひものようになるという形態だ。
 一方、韓国の資本側の研究機関は、馬山輸出自由区域で80年代から発生した外国企業や外資の離脱の原因を、賃金上昇や労使の葛藤および労働組合の結成にあると見ている。これは「韓国の労働生産性が相対的に低く、労働の柔軟化政策および労働構造調整を常時化しなければならない」という資本側の主張や、「これまで関連する労働法を改正してきたが、いまだに一部の条項が国際基準(グローバル・スタンダード)に達せず、国家イメージの改善に否定的な影響はもちろん、労使紛糾の主要な要因」だというノ・ムヒョン政府の評価と脈を同じくしている。

資本にはバラ色の青写真が

 資本と政府は経済特区を指定し、外資の誘致と活動を保障する前提条件としてグローバル・スタンダードを提示する。ここには大別して資本の活動保障と外国人(従事者)の生活条件の助成という二つの側面がある。
 まず資本活動の保障の側面を見ると、世界の共用語の使用と行政システムおよび外換取引の自由と通用性の便宜、資本市場・労働市場・土地市場での国際的慣行の適用、経済特区内外間の資本および金融移動の規制緩和、交通・物流ネットワークの発達(空港、港湾、テレポート=高度情報通信処理基地)、高級人的資源のインフラ、各種税制の支援などだ。
 外国人の生活条件の助成は、労働生産性向上のための立地条件の形成によって、外国人、高級人力などの労働力再生産のための各種生活システムの確保を1次的目標としている。同時に週5日制の拡大によって5日間消費した労働力を経済特区内で再生産するようにし、生産と循環を目的とする産業テーマ・パーク(インダストリアル・パーク、ビジネス・パーク、オフィス・パーク)を助成するというのだ。このようにして自然と産業団地が一体となるようにし、公共の便益施設の拡充のためにサービス部門の開放や措置も伴うという構造だ。
 このような各種の諸措置は国際基準によって運営・管理され、経済特区は一種の経済自治区ないしは経済治外法権の性格を帯びるが、このような国際基準が特区に限定されれば、そこだけが孤立した島として残りかねないので国全体に範囲を拡大しようという基本的属性を持っている。
 つまり経済特区はクラスター形成のために地域に限定して出発するけれども、結局は全国化、全一化、さらにはグローバル化しようという資本のバラ色の青写真だと言えよう。(略)

労働者・民衆に突きつけられるもの

 99年からずっと論議されていた労働部門のグローバル・スタンダードは資本側が激烈に強調してきており、ノ・ムヒョン政権はこれを、先に述べたように特区構想の核心とみなしている。政権や資本の側のグローバル・スタンダードは、そもそもいかなるものか。今後、経済特区を手段とする東北ア経済中心国家の構想が実現されるとき、労働者・民衆にはどんなことが繰り広げられるのかは以下のような諸主張から余りにも明々白々だ。
 全経連が主張している国際基準を見ると、生理休暇の廃止、超過勤労割増率25%引き下げ(ILO基準)、1年単位の弾力的勤労時間制の導入、法定退職金制度の廃止、スト時の代替勤労の許容、航空運輸事業の必需公立(注、安保、軍需、通信など)事業範囲への包含(ILO基準)、正規職の解雇要件の緩和、公共部門の民営化などで、賃金、労働時間、雇用、私有化部門に至るまで全分野にわたった労働のフレキシブル化を主張している。
 経済特区内では基本的に国際労働基準に立脚した勤労条件が適用されなければならないだろう。……したがって経済特区内では必需公益事業に準じる職権仲裁や団体行動権制限などの規定を新設し、原則的にストを禁止するが、労使間の葛藤や紛争を解決するための労使仲裁委員会を設置。運営することによって……労使当事者間の協定を重視する慣行を定立することによって無労組協約なども締結できるようにする必要……雇用および処遇に関する契約は企業と当事者個人間の合意を優先させ、できる限り政府や裁判所の介入を自制しなければならない。……成果と能力に基づいた雇用契約の締結が実現できるようにし……大規模な解雇でない場合には30日間の予告期間を経て雇用契約を破棄できるようにする必要がある」(チェ・マクチュン、「経済特区の成功の条件」、『韓国経済の生存プロジェクト―経済特区』サムスン経済研究所、2003年、P189)。
 最近では、外国資本を誘致するために国内の財閥企業をホストとして立てるとして国内資本に特恵を与える方針さえ立てている状態だ。いまこそ全国の経済特区化、全国の資本市場化や新自由主義的グローバル化の時代(?)が開かれる状況だ。

新自由主義的グローバル化との闘い

 これまで探ってみたのは労働部門に限定したものだ。だが外国の特区の事例や韓国政府の特区の政策を見ると、特区の指定を通じた産業クラスター化戦略と、これの核心である労働フレキシブル化戦略は、単に労働部門ばかりではなく政治、社会、文化、教育など人間生活の底辺を資本主義市場化および再生産の概念へと変態するものだ。
 昨年11月の法改正によって当面、今年の7月から仁川、光陽、釜山港を中心に経済自由区域法が施行される。われわれは、この5年間、新自由主義的構造調整を阻止するための闘いを展開してきたけれども、まさに新自由主義的グローバル化の決定版とも言うべき経済自由区域法に対する組織的な闘争においては一定、立ち後れてしまった。経済自由区域を阻止するための闘争はノ・ムヒョン政権をはじめ、新自由主義的グローバル化に風穴をあける最も重要な闘いの環であり、民衆運動陣営の課題だ。同時に労働、環境、教育、医療、農業など各部門の単一の戦線を設置できる課題であることが明白だ。
 経済特区の背後にたれこめている「東北ア経済中心国家」構想自体を白紙に戻さなければならない。この構想はすでに労働問題の範囲を超えている。新自由主義的グローバル化粉砕のための単一の闘争戦線構築が急がれる。(「労働者階級の力」第28号、03年4月5日付、キム・ヨンソン、政策宣伝局長)
 注 クラスター(Cluster)、単語の意味は群れ、集団、集積体というもので、経済用語としては産業集積地として使われる。90年代ハーバード大学のポター教授がクラスターの重要性を力説したことが契機となり、産業団地に代わって使われる用語として定着した。おおむねクラスターは▽企業、大学、研究所などが▽特定地域に集まり▽ネットワークの構築や相互作用を通じて▽産業展開、技術開発、部品調達、人力・情報の交流などで連関効果を出すことを意味する。


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