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読者からの通信                          

03・4・7号高島論文への感想


お久しぶりです、覚えているかどうか解りませんが。時々、『かけはし』のサイト、覗いています。新左翼で唯一、海外に特派員をもっているようなものですから、面白いです。中東問題には関心があるので、4月7日号の「イラク侵略ー帝国主義の論理と戦争のゆくえ(下)」、興味深く読みました。3月31日に執筆したもののようですから、戦争のなり行きを正しく予見したものと言えますね。アメリカは勝利にもかかわらず、中東支配の破綻と自らの危機を一層拡大し、アラブ、中東地域の反米意識は一層高揚していくという基調はその通りと思います。
ただ、イランに関する記述に異議があります。一つは、79年のイラン革命をわれわれ左翼までもが「イスラム革命」と呼ぶのはおかしいのではないでしょうか? イラン革命は高島論文にもあるようにパーレビ傀儡体制を打倒した民衆の反米蜂起です。当時の『世界』なんかにも書いてあったと記憶しますが、蜂起の先頭にたったのは、左翼や左翼的イスラム勢力の青年たちです。かれらは大きな犠牲をはらってたたかいに献身したようです。ホメイニは最後の方まで、「蜂起の指令はでていない」というようなことを言っていたように記憶しています。はじめから総体がイスラム体制をめざしたのではなく、民主主義を求めるものも、社会主義を求めるものも、イスラムを求めるものも反米反パーレビでたたかったのでしょう。そして革命後の権力内闘争でイスラム原理主義者が勝利したものと思います。もう一つは、現在のイランを「ハタミ体制」としているのはおかしいです。現在のイランはハメネイ体制です。この宗教指導者の権限が大統領や国会に圧倒的に優先しています。ハメネイは大統領や国会の決定を全部覆す権限をもっています。したがって高島論文に引用されたハタミの言辞は、ハタミ的なニュアンスはありますが、基本的にハメネイら保守派の容認の範囲内のものと思います。アフガン戦争やイラク戦争では、ハメネイら保守派自身がアメリカに屈服的に対応したのです(シーア派のイラン政府とスンニのタリバーン・アルカイダとは宿敵関係)。また、最近の選挙では保守派に対してあまりに無力なハタミの与党から大衆が離反したとも報じられています。あと、イランとアラブをごちゃまぜにしたように読める記述も少しひっかかりました。
先日、TBS系ニュースで平和アクションに参加した滞日イラン人を取材して報道していました。かれはかつてイラン・イラク戦争の最前線にいて、「フセインは絶対に許せないが、戦争における市民の悲惨を知るものとして、イラク戦争には涙がでる、戦争がつづく限り集会にくる」とテレビで言っていました。アメリカの侵略戦争と各国の独裁体制に反対して苦悩しているのが、真の中東地域の人々の姿ではないでしょうか。これからも日本の連帯した闘いを頑張りましょう。
PS。一部の党派が中東地域総体を「イスラム諸国」「ムスリム人民」とか言っていますが、ナンセンスですよね。中東の先進的な活動家ならこんな表現はしないんじゃないですか? 中東においてイスラムは大きなファクターですが、様々な宗教を信仰する人がいるし、そこでの共産主義者は無神論者ですよね。

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