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戦争も雇用破壊も許さない              かけはし2003.3.3号より

労基法大改悪NO! 03年春の共同行動スタート集会

4〜6月国会行動に向けて

 二月十七日、東京総評会館で「戦争も雇用破壊も許さない!こんな解雇ルールはいらない!労基法大改悪NO! 2003年春の共同行動スタート集会」が同共同行動主催で開かれた。
 最初に、鎌倉淑子さん(全統一千葉市非常勤組合)が「イラク戦争反対の運動が全世界で闘われている。私たちも連帯して闘う必要がある。労基法の改悪が進んでいる。憲法改正、教育基本法改悪など次々と目論まれている。力を合わせて阻止していかなければならない。微力であるが、無力ではない」と主催者あいさつを行った。
 続いて、鴨田哲郎さん(日本労働弁護団幹事長)が「労基法・派遣法改悪の内容と問題」について講演を行った(別掲)。
 寿町でカラバオの会として活動している渡辺英俊さん(移住労働者と連帯する全国ネットワーク)が次のような問題提起をした。
 「十六年間移住労働者の問題に取り組んできた。いま、その問題が日本人に襲いかかろうとしている。移住労働者は一九八〇年代半ば頃から急激に増えた。円高になった日本に来るようになった。最初はこの問題を日雇い労働運動が取り上げたが、大手の建設や港湾労働運動は『自分たちの仕事が奪われる。移住労働者を使うな』と敵対的であった」。
 「九〇年代になって、ユニオン組合運動が広がり、自分の問題と受け止めるようになった。市民運動と組合運動が提携するようになった。九〇年代後半に全国のネットワークが作られた。かつて、在留資格のない労働者は無条件に首切りをやられていた。労働力不足をおぎなうために九〇年頃、政府は日系の労働者を大量に呼び寄せ、派遣労働者として企業に送りこんだ。労災でさえ、労基署に持っていけなかった。労働法は国籍による差別を禁止しているが、入管法は公務員に通報する義務を課しているからだ。さらに悪いのは外国人研修制度だ。賃金は払わなくてよい。宿舎は住み込み。残業はやらせ放題。KSDなどのような共同組合形態のところからしか派遣ができないようになっている。これは現代の奴隷制度だ」。
 「われわれは、次のような提言をしている。@労働法の全面適用と均等待遇の実現A研修制度の抜本的見直しB労働の在留資格の新設C労働組合への加入の保障。日本社会を多民族・多文化共生社会に変革してゆかなければならない」。
 均等待遇アクション2003年、昭和シェル労組、都庁職、青梅信用金庫冤罪事件被告、千葉市非常勤組合、日経スタッフユニオン、郵政労働者ユニオン、大塚製薬労組、全造船いすゞ分会などから闘いの報告が行われた。最後に集会アピールを採択し、4月2日日比谷野音中央集会に参加すること、四月〜六月国会行動を闘うことを確認した。(M)



鴨田哲郎さん(日本労働弁護団幹事長)の講演から

労基法・派遣法改悪の内容と問題点


 労基法を使用者側にのみ有利になるように改悪しようとしている。経営者側は法案改悪を、「いろんな形の働き方が認められるようになって、ニーズにあっている。経済活動の自由のためであり、雇用の拡大になる」と説明している。しかし、解雇しやすくなったら雇用が増えるという実証的なデータは何もない。
 解雇に規制があったのは必要があったからだ。最初に出されて検討された案は、いままでは、正当な理由がなければ解雇できないとなっていたのを解雇できるとした。さらに、裁判で争われた時、労働者が勝っても企業はカネを払って復職させないようにすることができるとなっていた。審議会で労働者側が反対したのはもちろんのこと、使用者側も要件が厳しく、カネがかかり過ぎるとして反対した。それで、カネさえ払えば解雇できる――これが消えた。批判の集中が成果を生んだ画期的な成果である。しかし、本体は変わっていない。
 解雇の正当性について会社側が立証しなければいけないのを、労働者の側が説明する責任が生まれる。いままでは、グレーな場合は労働者側が勝っていた。今後、使用者側の言い分が採用されて勝訴していく可能性が生まれる。労基法の中に解雇できるという条文が入ることは、労基法の「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」(第一条)という、労働者保護の観点を大きく変える危険性があり、異常な事態だ。解雇の自由を認めた法律はどこにもない。(発言要旨、編集部)

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