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原口国連大使演説                   かけはし2003.3.3号より

イラク戦争開戦のための新しい国連決議を要求

侵略戦争阻止へ国際反戦闘争の強化を

 「大統領は小泉首相に抱きついてキスしたい気分だろう」――これは「朝日新聞」(2月23日付)で報じられた、ブッシュ政権高官の言葉である。二月十八日、国連安保理の公開討論で原口幸市・国連大使が日本政府の名において行った演説の内容は、米英両国によるイラク侵略戦争を全面的に支持する点で、国際的にも突出したものだった。
 原口は「イラクの大量破壊兵器問題」が「平和と安全への脅威」であり「国際社会全体の問題」であるとした上で、「問題の根源は、イラクが査察に即時、積極的かつ無条件に協力し、関連する安保理決議に従い、大量破壊兵器を廃棄するかどうか」にあると決めつけた。その上で彼は、フランス、ロシア、中国、ドイツなどによる「査察継続論」を批判し「単に査察を継続・強化しても、これまでの消極的な協力姿勢が改められない限り、大量破壊兵器の廃棄に結びつかず、査察継続の有効性に疑問が残る」「安保理が結束して行動できなければ、国連の信頼性を傷つけ、イラクに間違ったメッセージを送ることになる」と、安保理内でも広がるアメリカ批判の動きに水をさした。
 「査察」を行っても「大量破壊兵器」廃棄決議にイラクが違反している「証拠」が出てくるかどうか分からない、だから「査察」結果に依拠することなどできない、というわけだ。「査察」に無条件・全面的に協力することをイラクに求めながら、「査察」結果がアメリカの武力攻撃を「正当化」するものにはならないだろうから「査察」の継続など無意味だ、という判断が、原口演説の本当の意味である。
 さらに原口は、「日本政府は国際社会の断固とした姿勢を示す新たな安保理決議の採択が望ましい」と強調し、米英主導の対イラク侵略戦争の発動を国連の名で担保すべきことを訴えた。それは「新たな安保理決議」がなければ武力行使をすべきではない、ということを意味するものではない。かりに新しい国連決議が採択されなかったとしても「平和と安全への脅威」を除去するための武力行使は正当であるという予防線が引かれているのである。「新たな国連決議」とは、決してアメリカの武力攻撃に何らかの条件、制限を付すものではなく、侵略戦争を「国際社会」の名で飾りたてるための、「望ましい」条件整備に過ぎないのだ。
 二日間にわたって六十二カ国が演説した公開討論で、米英の速やかな武力行使を容認した国は、日本をふくめてオーストラリアやアメリカの援助を当てにせざるをえない旧東欧、中央アジアなど十カ国にとどまった。日本政府は、国際社会での「孤立」も省みず、あくまでブッシュ政権の戦争政策を擁護する立場を表明し、国際的な反戦運動の高揚に敵対しているのである。
 この原口演説が、いかに孤立感を深めるブッシュ政権の「励み」になったかは、アーミテージ米国務副長官は、二月十九日に「日本の最近の態度・行動には非常に感謝している」と述べたことに示されている。二月二十二日に来日したパウエル米国務長官も「イラク問題での強力な支援」に謝意を表明した。
 小泉政権は、国会質問では「武力行使支持か否か」の質問に一貫して明言を避けながら、安保理非常任理事国に対して「武力行使容認」のための新決議を支持する多数派工作を続けてきた。原口国連大使演説は、その集大成であった。原口演説は、アメリカによる「開戦」が不可避であると判断した上で、アメリカの戦争に「国際社会」を同調させようとする役割を、日本が買って出たことを示している。
 原口大使の国連演説は、米軍の対イラク侵略戦争を前提とした「難民支援」「周辺国支援」の検討とセットである。二月二十日の毎日新聞は、「米英寄りの姿勢を鮮明にする日本への感情悪化を緩和する狙い」を込めて、総額四億ドル超の支援策を行うことを検討していると報じた。パウエル米国防長官と小泉首相、川口外相との会談でも、パウエルは「日本が将来、戦後の復興支援を行う」ことを期待した。
 つまり自衛隊の「多国籍軍」としての戦闘への直接投入ができない状況の中で、インド洋に派兵されたイージス艦・護衛艦や補給艦、輸送艦などによる作戦支援と戦費支出に加えて、「難民支援」「復興支援」の役割を日本が担い、米軍がイラクへの全面戦争を開始しイラクを長期占領支配する国際的条件を主体的に作りだそうというのである。
 原口演説の後、小泉首相や川口外相の発言は、米軍のイラク攻撃支援の点でより明白なものになっている。二月二十四日の国会答弁で小泉は、「新しい国連決議がなくても米国の武力行使を支持するのか」という質問に答えて「国際協調体制と日米同盟の重要性を考えながら判断したい」と述べた。それは、どのような場合でも「日米同盟」に従ってアメリカと同一歩調を歩み、アメリカの戦争を支持するという態度の表明であった。
 毎日新聞の岸井編集委員は、テレビ番組などで日本政府の対応を「ギリギリの外交努力」として高く評価している。しかしこの「ギリギリの外交努力」とは、ブッシュの理不尽きわまるイラク侵略戦争が「単独行動」として貫徹されることを回避し、国際的な同意を取り付ける体裁を取るための「外交努力」に過ぎない。それはまさしく、アメリカの帝国主義的利益に沿ったものである。他方、民主党などの主張もアメリカの戦争を支援する「国際社会全体の合意」が必要だという枠組みを前提にしたものである。
 しかし「新たな国連安保理決議」によって、対イラク戦争の不法性・不当性がなくなるわけではない。われわれは、何よりもアメリカの帝国主義的軍事支配、グローバル資本主義の支配秩序を維持するための戦争と、この不正で民主主義を破壊する体制に対する労働者人民のあらゆる抵抗を抑え込む民衆虐殺を絶対に許さない、という立場から、アメリカの戦争と小泉による戦争加担への抗議の行動を広げていかなければならないのである。
 小泉政権の国際的にも突出したブッシュ支援と戦争協力の姿勢は、二月十五日に全世界で一千万以上を結集した歴史的な反戦運動に対する敵対である。われわれは、小泉政権のイラク戦争に対する事実上の参戦に反対する闘いが、国際的に決定的な重要性を持っていることを改めて自覚しなければならない。沖縄をはじめ、横須賀、厚木、佐世保、岩国、三沢などの米軍基地は、米軍のイラク侵略戦争にとって不可欠の戦略的出撃拠点であり、その意味からも日本における反戦運動が果たす役割は大きいのである。
 イラク侵略戦争に反対する運動が、小泉内閣の参戦政策を揺るがすことができるならば、ブッシュの戦争への突進は大きな制約を受けることになるだろう。われわれはその国際的責務を全力で果たそう。
 三月八日、東京で「WORLD PEACE NOW もう戦争はいらない」行動が開催される(日比谷野外音楽堂、午後2時集会開始、午後3時半からパレード)。一月十八日、二月十五日の行動に続き、さらに大規模な結集で「戦争を止めよう!」の訴えを!
 新しい胎動を開始した全世界的な反戦運動と合流する行動を、日本の力から定着させていくために! (2月25日、平井純一)                      


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