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「心のノート」「愛国心」「日の丸・君が代」は学校を苦しめる |
三月二十一日、東京・豊島区立勤労福祉会館で「『心のノート』『愛国心』『日の丸・君が代』は学校を苦しめる 3・21意思表示の会」が「日の丸・君が代」の強制反対の意思表示の会の主催で開かれた。
最初に、主催者を代表して天野恵一さんは「アメリカこそが国連の意志を踏みにじり、イラクへの戦争を開始した。これを全面的に支持しているのが小泉政権だ。小泉は戦争支持声明において、北朝鮮への恐怖をあおっている。今後、北朝鮮を脅迫する外交をしていくだろう。北朝鮮の体制を支持する立場には立たないが、日米安保が生命線という小泉とブッシュ政策は北朝鮮との関係において戦時的緊張感を作っていくだろう。今後、北朝鮮への排外主義キャンペーンと闘う反戦闘争が本当に問われている」と問題提起した。
北村小夜さん(元教員)は教育基本法改悪の動きについて、「昨年十一月から十二月にかけて、厳重な警戒の下で形式的な公聴会(一日中教審)を東京など五カ所で開き、三月二十日に最終報告を出した。はじめに改正ありきで、ヒアリングではほとんど賛成者が発言した。中教審では十六人のうち、九人そろった日はまれであり、ほとんどおしゃべりをして終わってしまった。したがって文科省作成のたたき台がそのまま報告になって出てくる始末だ」と手続きを批判した。
続けて北村さんは改悪の本質である「愛国心」の強制がすでに、「日の丸・君が代」の強制で進められ、「心のノート」で子どもの内心にまで踏み込んできている現状を批判した。さらに、現在の教育基本法の3条の「すべての国民は、能力に応じる教育を受ける機会をあたえられなければならない」という、「能力に応じて」規定にもとづき、「障害者」を排除する役割をしてきた点を触れて、教育基本法そのものにも問題点があることを指摘した。
子どもの心に踏み込む「心のノート」
続いて、三宅晶子さん(千葉大学教員)は、「教育基本法の十条では『教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきである』として、国家による教育への介入を禁止しているが、今度の改正をめざす中教審の最終答申では『`必要な諸条件の整備aには、教育内容等も含まれることについては、既に判例により確定していることに留意する必要がある』として、国家の介入を認めようとしている。ここに『改正』の本質がある」と指摘した。
三宅さんは、「心のノート」について次のように批判した。
教科書のように検定も各教育委員会の採択もない「心のノート」が配布されたのが〇二年四月からだ。同年七月十日、衆院予算委員会で配布状況が質問され、二日後の七月十二日には調査が行われた。その結果、全国小中学校の九八%に配布(千二百万部)されていることが分かった。
「心のノート」は著者名や部署も書いておらず、ただ文部科学省発行となっており、事実上の「国定教科書」である。さらに、道徳の時間だけでなく、全教育活動において使用し、家庭や地域でも活用するように要請している。これは九年間続く心のプログラムだ。愛知県では使用について会計監査が行われた。
「心のノート」の中味は「ないしょのはこ。その はこを もって いること、あなたは すきかな。きらいかな」のように、児童の心の中に踏み入り、悲しみや負の感情を抑圧しようとするものであり、個性をないがしろにしてしまうようになっている。さらに、中学生には「ルールとはなんのためにあるのだろうか?」「権利と義務ってなんだろう?」「我が国を愛しその発展を願う」のように、抵抗権を奪い、愛国心を注入ものになっている。
福岡の「愛国心」通知表が問うもの
問題提起の最後に、李博盛さん(ウリ・サフェの会/弁護士)は福岡で起こった「愛国心」通知表問題について報告した。
昨年七月、福岡市内の小学校で一学期末に渡された六年生の通知表の社会科の評価に「我が国の歴史や伝統を大切にし国を愛する心情をもつとともに、平和を願う世界の中の日本人としての自覚をもとうとする」という項目があり、これにABCの評価が付されていた。
この小学校に私の子どもを含む四人の在日コリアンが在学していた。在日コリアンにとって、日本人としての自覚など評価しようがない。私はこの通知表は人間をランクづけして在日を排除しようとするものだとして、削除訂正を要求し、学校側と話し合った。
学校側の説明では、この通知表は任意の団体である校長会の公簿等研究委員会で作られ、各学校で教師の意見を聴いて最終的に当該学校長の権限と責任において、採用したという。百四十四校のうち、この通知表を使ったのは六十九校であった。しかし、任意とされる公簿委には市から補助金が出されていた。
学校は削除訂正をするかどうかの返答を避けたので、八月二十六日福岡弁護士会に救済申し立てを行った。この後、弁護士会は訂正するよう勧告した。
十月十一日、市議会で福岡市教委は「保護者などに分かりやすい説明をする工夫が必要」としながらも、「自覚を評価しようとはしていない。そういう心情を持とうとする意欲があるかどうかで、それは評価できる」と評価項目の文言の変更などには応じない方針を示した。二学期末には当該学校は、「国を愛するとかなどの強制ではない」と説明文をつけて使用することになった。校長は二学期から病欠で卒業式まで学校に来なかった。来年度は変えると約束しているが、教育基本法改悪をめざす中間報告の骨子には「国を愛する心」が明記され、日本人としてのアイデンティティを教育基本法の基本理念として規定している。こうした流れから、より悪い方に変える可能性もあり危惧している。
集会は、三人の提起を受けて質疑応答、参加団体がアピールを行った。 (M)
四月統一地方選とわれわれの立場
戦争と新自由主義に反対し、労働者・市民の「自治と民主主義」を地域から作りだそう
四月十三日と二十七日に統一地方選の投票が行われる。十三日は都道府県知事選・道府県議選、二十七日は市町村長・市町村議選の投票である。今回の統一地方選は、自治体選挙ではあるが、同時に持続する深刻な経済・金融危機の中で、「構造改革」路線の破綻を露呈させた小泉政権の命運に大きな影響をもたらす政治的闘いとして、全国的性格を持つことは明らかだ。
第一に、今回の自治体選挙は、とりわけ米ブッシュ政権の露骨に帝国主義的なイラク侵略戦争が開始され、小泉政権が国際的にも突出した形でこの戦争に全面的支持を与えたという世界情勢の重大な転換期で行われる。
ブッシュ政権が主導するイラク侵略戦争は、かつてない規模での反戦運動を全世界に登場させた。二月十五日にはすべての大陸の六百以上の都市で一千万人以上が参加した平和行動がくりひろげられた。一九九九年のシアトルでの反WTO闘争以後顕在化した、新自由主義的グローバリゼーションに反対する国際的な運動が、こうした国際的な反戦運動の原動力の一つであった。日本も例外ではない。「ワールド・ピース・ナウ」実行委員会を軸にしたイラク反戦運動は、ベトナム反戦運動以来三十年ぶりに、若者を中心にした活気に満ちあふれたものとなっている。
イラク侵略戦争反対の世論は、ただただブッシュの戦略につき従うだけの小泉内閣を追い詰め、二年前の「小泉ブーム」を完全に過去のものにしてしまった。
われわれは統一地方選の中でも、イラク戦争反対運動の新しい高まりを「地域から、自治体から平和を作りだす」課題に結びつけなければならない。従来、左派や市民派の中でも「護憲」や「反戦・平和」は自治体選挙の争点にはならない、という意識が広がっていた。旧来からの反戦・平和運動の衰退が、そうした意識を規定していた。しかし、明らかに状況は転換しつつある。
今や通勤電車の中でも、飲み屋でも、ブッシュのイラク戦争と小泉政権の戦争支持政策をめぐって侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が闘わされ始めている。われわれは人びとの注目を集めている「戦争と平和」の問題に対して、統一地方選の中でもしっかりと立場を提示していかなければならないのだ。
もちろん多くの人びとの意識の中には、ギャップが存在している。ブッシュのイラク戦争に反対している人びとが、政府・マスコミが意図的に展開している北朝鮮の「軍事的脅威」キャンペーンに必ずしも疑問を抱いているわけではない。北朝鮮・金正日独裁体制による拉致犯罪、二千万民衆の自由と権利を奪い、飢餓を作りだしている「収容所国家」体制、そして核開発をもてあそぶ「瀬戸際外交」が、「北朝鮮嫌悪症」とも言うべき感情を形成し、それが伝統的な排外主義と結びついて、「北朝鮮の脅威に対する有事体制確立の必要性」という政府や保守派マスコミのキャンペーンに根拠を与えている。
だからこそわれわれは、イラク反戦運動の高まりの中で迎える統一地方選にあたって、ブッシュの戦争と小泉政権の「戦争支持」の態度への批判をはっきりさせ、日本の「戦争国家」体制構築に反対し、地域・自治体からの「平和」を実現し、「有事法」による戦争動員を拒否し、多様な人びとがお互いの文化・価値観を尊重してともに生きる社会を作りだす訴えを強めていかなければならない。
とりわけ、北朝鮮への戦争をアジり女性や外国人の人権に敵対する石原慎太郎東京都知事に代表される、差別的・強権的国家主義の「リーダー」たちとの正面からの対決が、決定的に重要なのだ。
第二に重要なのは、小泉「構造改革」という新自由主義路線に対決する地域からの反撃である。深刻な不況は、地域の経済的・社会的崩壊現象を加速している。公共投資主導の開発政策は、環境を破壊し、自治体財政を破産させてしまった。政官財の癒着と地域ボスが結びついた「利益配分システム」の破綻のしわ寄せは、なによりも高齢者、障害者、女性、失業者、若者たちに集中している。新自由主義的グローバリゼーションの嵐の中で、中小の企業、商店は倒産し、農業経営はたちいかなくなり、雇用の機会が奪われ、労働者の権利は剥奪されている。
こうした中で押し進められているのが、公共サービスの民営化・下請け化、自治体労働者の賃金・労働条件の押し下げ、医療・福祉・教育支出などの切り捨てである。それは「大失業の時代」における雇用破壊・流動化・不安定化とセットになっている。「地方分権」の看板を掲げて政府が強制的に進めている市町村の大合併は、地域に根ざした住民自身の自治を剥奪し、行政的管理を強化するものであるとともに、こうした新自由主義的な公共サービスの民営化と一体になっている。
医療・保健・介護などの公的福祉の解体、公的サービスの民営化・市場万能の競争原理は、最も公的・社会的援助を必要とする「弱者」を確実に犠牲にし、社会的差別を拡大するものである。しかもそれが「市民参加」や「自立」などの美名の下に行われているのだ。
われわれは、住民、とりわけ最も犠牲を押しつけられる階層の人びと自身の参加と自治で地域からの民主主義を作りだしていく立場から、こうした公共サービス民営化の論理に立ち向かっていかなければならない。
昨年九月、保守派が圧倒的に主導する県議会での不信任を受けた長野県知事選において、田中康夫知事が圧倒的多数の得票で再選された。すでに徳島県では、吉野川可動堰建設に反対する住民運動の支援を受けた大田正氏が知事に選出されていた。続いて十一月には兵庫県尼崎市の市長選で、市民運動をバックにした白井文氏が当選した。
このような住民運動、市民運動の支援による「無党派」首長の相次ぐ当選の中で、今回の統一地方選では「政党ぬき」の枠組みが飛躍的に増加している。その意味で「無党派・市民派」的状況は、さらに深まっているというべきだろう。旧来の保守派の側も、こうした「政党ぬき」の状況に積極的に対応せざるをえなくなっている。
元大蔵省官僚の榊原英資慶応大教授がコーディネーターとなり、北川正恭三重県知事(北川自身は今回で退陣)を中心にする「地方分権」「情報公開」を旗印にした「新党」の動きや、松下政経塾OBの小田全宏を代表にし、稲盛和夫・京セラ名誉会長、中田宏・横浜市長、江口克彦・PHP研究所副社長が賛同発起人となった「日本フロンティアの会」の発足などがそれである。
「日本フロンティアの会」は、道州制の導入による「地域主権」、脱組織型選挙などを掲げ、「無党派市民」層を対象にして、首長選などでの推薦候補を募るとしている。こうした流れは、「無党派市民」や「地方分権」を掲げて新自由主義的路線を貫こうとするものである。
「無党派市民」候補の中からも、こうした動きに棹さして、「効率」を大義名分にした公共サービスの民営化や、自治体職員の減員、賃金切り下げを積極的に支持する新自由主義路線の担い手になっている人びとも少なくない。それは「虹と緑の500人リスト」に結集する人びとにおいても例外ではない。
われわれは政党不信と「無党派」状況の一層の広がりの中で、グローバル戦争と日本の「戦争国家」化、新自由主義路線による「公共サービス解体・民営化」、原発・空港・ダム・高速道路などの大規模開発による環境破壊と対決する、住民主権を軸にした「自治と民主主義」のあり方を、意識的に追求していこうとする。
われわれはそうした立場から、各地域で四月統一地方選の取り組みを進めようとしている。いまだ、左派の側から主体的に政治的分化を表現することがきわめて困難な状況の中で、われわれは平和のための運動や、医療・福祉切り捨て反対、原発・巨大開発反対の闘いと結びつけ、そうした運動を表現する候補者を広範な共同の力で当選させるために努力する。「無党派」自身の政治的分化は、この闘いと経験の中でこそ具体的な姿を取ったものになるだろう。
それは「グローバルな平和・人権・公正・民主主義」を地域に根づかせ、戦争と新自由主義に反対する左翼の政治潮流を現実化するためのステップなのである。反資本主義的オルタナティブを築き上げていくために!(3月24日、平井純一)
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