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石原反動都政の実態を多面的に検証する        かけはし2003.3.24号より

石原都政NO!

再選はばむキャンペーンを


 三月十一日、東京の文京区民センターで「石原都政にNO! 市民の集い」(第3回)が行われ、約六十人が参加した。主催は同実行委員会。昨年十一月、今年一月に続く三回目の「集い」は、三月七日の石原都知事の二期目への立候補声明を受けて、間近に迫った都知事選での石原再選を阻止するために石原都政への批判をさまざまな角度から検証しようとするものであった。
 日本消費者連盟の富山洋子さんの司会で行われた「集い」の最初の報告者は、都庁職員労組役員の柴田英一さん。柴田さんは石原都政が進める十六の都立病院を半分に減らす「都立病院改革マスタープラン」が小児医療や救急医療を切り捨て、都自らが決めた「患者権利章典」に反するものであると指摘し、また都立福祉施設の廃止・縮小・民間委譲に反対する都庁職労組の闘いについて報告した。
 「なんで原宿に大規模留置所?撤回してよ!市民行動」の渥美昌純さんの報告に続いて、編集者の熊谷伸一郎さんが石原の「大規模開発」を批判した。日の出の森を支える会の島田清作さんは、一九九九年の都知事選のアンケートでは日の出の森のゴミ処分場建設に関して「住民とよく話し合いたい」と答えていた石原が、中村敦夫参院議員の見学要請に対して「反対する人には見せることはできない」と見学を拒否し、「日の出の森・トラスト共有地」の仮処分を強行したことを厳しく批判した。
 東京都高齢者事業振興財団の林義男さんは、労政事務所の統廃合、勤労福祉会館の廃止、職業訓練の民間委託の拡大など、大失業の時代に背を向け、労働行政を交代させる石原都政を糾弾した。解雇、賃金不払いなど労働相談の件数は大幅に増加しているにもかかわらず、石原は雇用・就業対策の拡充に関する労働者の深刻な要求を切り捨てているのだ。
 評論家の佐高信さんは、四万人の熱気がみなぎった3・8のイラク戦争反対行動の盛り上がりを、石原打倒につなげようと檄を飛ばした。住基ネットに反対する世田谷の会の馬場正俊さんは、住基ネットからの離脱を表明した首長は「法律の読み込みが足りない」と述べた昨年八月の記者会見での石原発言を批判した。
 フロアからの発言では石原都知事の「ババアは有害」という差別発言への訴訟の取り組みなどが訴えられた。最後に都労連交流会の柳田真さんが「市民・議員・都区職員が協力して都政の問題点をまとめ、今後の方向を打ち出す共同の活動」のために都政研究会を発足させることを提案した。東京都知事選は三月二十七日公示、四月十三日投票である。石原再選をはばむために、広範なキャンペーンを繰り広げよう。(K)



投書

拉致問題の「解決」と隣国の民衆が餓死することを放置しない取り組みを!

                                鍋山 三郎


 イラク戦争をめぐって、政府・自民党筋や保守評論家などが「北朝鮮有事でアメリカに助けてもらうために、今は、イラク攻撃を支持しなければ」と言っている。週刊誌は、「今にも核ミサイルが飛んでくる」かのように書き立てている。軍事評論家の神浦氏によれば、「核実験もしていない、ミサイルを誘導もできない(どこへ行くかわからない)北朝鮮に、そんな能力はない」と言う。専門家でない私には、よくわからないのですが、「核開発」よりも、チェルノブイリのような事故が心配です。
 北朝鮮の軍事能力などは充分に認識しているはずの「拉致家族を救う会」の会長・佐藤勝巳氏が、二月十八日、東京都議会会議室で開かれた「拉致被害者を救出する地方議員の会」の集会で、「拉致問題の解決のために経済制裁を行う。すると向こうは宣戦布告とみなしてミサイルを打ち込んでくる。戦争を恐れてはならない。日本も核武装を……」という驚くべき発言をした。
 「拉致問題―五人とその家族の問題だけに限っても、経済制裁・軍事的圧力によって、金正日政権を打倒しなければ、『問題は解決しない』」と言っているのである。政治利用主義も極まった感がある。横田さんの訪朝希望も「説得」されたようである。
 昨年十月十五日、五人が帰国してから五カ月が過ぎた。家族が引き離されてから五カ月である。私は、五人だけの問題に限っては「解決」は充分に可能であると考える。「五人が一旦戻ることはしない」としても。たとえば、「五人の問題を解決する国会議員団」を北朝鮮に派遣し、家族の気持ちを聞き、金正日と交渉するのは可能だろう。
 もう一つは、北朝鮮の百万人とも言われる飢餓問題である。もうすぐ「春窮期」になる。つまり、秋の収穫物の蓄えがなくなり、春の作物ができるまで、いちばん食料がなくなる時期である。隣の国の民衆が餓死しようとしているのである。このことを放置して、アジアを語る資格はない。軍隊が横取りして民衆の手には行き渡らないとか、そのまま輸出して、外貨獲得に利用されるというのも事実であろう。無駄な努力が多いかもしれない。しかし、先行するNGО団体の経験に学びつつ、知恵を出し合って、なんとかして民衆に食料を送り届けようではないか。


緊急ビデオルポ        
監督・楠山忠之 撮影/編集・長倉徳生 1500円

「成田暫定滑走路」のいま、現地の声を聞く


 暫定滑走路(二千百八十メートル)の南端、成田市東峰地区には、農家七戸、豚舎、鶏舎、堆肥場、漬物工場、野菜出荷場などがある。ここには、この地で有機農法・無農薬の野菜をつくって、多くの消費者に生命の安心と健康を送りつづけてきた人々が働いている。だが、二〇〇二年四月十八日の「成田暫定滑走路」は、一九六六年七月の「成田空港建設計画」発表と変わりなく、再び住民を無視した国・公団による計画となった。
 日々百便を越すジェット機は着陸時には民家の上空四十メートルに下降、爆音と排気ガスと風圧によって、住民ははかり知れない不安と恐怖にかられている。「国民のいのちを守る農業」を切り捨て、「空港は公共事業」と開き直る国・公団。ここに「民主主義・日本」の姿はあるのだろうか? 撮影は二〇〇二年秋から二〇〇三年春にかけて敢行、暫定滑走路周辺の人々の声を聞いた--。

 注文先 成田暫定滑走路声明事務局 東京都調布市布田二-二-六-一〇三 みさと屋(藤川) TEL0424-87-1714 FAX0424-87-1742
 E-mail:seimei@pen.co.jp 
 郵便振替 「00130-0-22827 ちば・市民ひろば」

新刊案内

「成田空港の暫定滑走路の供用中止を訴えます」編集委員会 1000円

『国がいう〈公共性〉 をひっくりかえそう』

 農を営む人たちの真上にすさまじい騒音をまき散らし、生存の権利を脅かす成田空港の暫定滑走路。その現実を明らかにしながら、国のいう`公共性aを根本から問い直したシンポジウムの報告集。小田実氏の基調講演につづいて、諌早市議の岩永賢一氏、愛知万博中止の会代表の影山健氏、空港はいらない静岡県民の会共同代表の島野房巳氏、三里塚農民の柳川秀夫氏が発言。これらを受けて、原子力資料情報室共同代表の山口幸夫氏を司会に熱い議論をくりひろげた。
 また、宮崎省吾氏の特別寄稿『「公共性」の今日的検討のために』や、島村昭治さん・島村不二子さんへのインタビューも掲載! 国家が押し進める経済効率に対して、住民の意思をどう実現していくのかを展望する。

 注文先 成田暫定滑走路声明事務局 東京都調布市布田二-二-六-一〇三 みさと屋(藤川) TEL0424-87-1714 FAX0424-87-1742
 E-mail:seimei@pen.co.jp 
 郵便振替 「00130-0-22827 ちば・市民ひろば」



読書案内

イグナシオ・ラモネ著/湯川順夫訳 現代企画室 1600円
『マ ル コ ス』
ここは世界の片隅なのか
サパティスタ民族解放軍副司令官は語る


 本書の副題に、「ここは、世界の片隅なのか グローバリゼーションをめぐる対話」とある。メキシコのサパティスタ民族解放軍(EZLN)の司令官マルコスのインタビュー形式の物語である。
 すでに反グローバリゼーションの運動は、フランスやジェノバや最近では、バルセロナでの数十万という大衆的運動へと発展してきた。
 本書は、フランスで反グローバリゼーション運動の世論形成に大きな役割を果たしてきた「ル・モンド・ディプロマティーク」誌の論説委員であるイグナシオ・ラモネが、こうした運動の原点ともいえる第三世界からグローバリゼーションの問題点を大衆的反乱を通じて明確に浮き彫りにしたサパティスタの闘いに深い関心を持ち、マルコスにインタビューしてまとめたものである。
 すでに「かけはし」の読者ならご存知の方は多いだろうが、米国、カナダ、メキシコの間のNAFTA(北米自由貿易協定)が発効した一九九四年一月一日に、サパティスタは決起した。
 歴史をさかのぼれば、一九一〇年のメキシコ革命を経た後も、固有の歴史と権力構造のために農地改革は一九四〇年頃までほとんど進展がなかった。しかも連邦政府と地方のボスは、巧妙な連携で農地改革を事実上、骨抜きにしてしまった。
 メキシコ政府は、戦後期になって作り出した大幅な工業化の陰で、こうした地方の農村部の疲弊を固定化していった。サパティスタ民族解放軍(EZLN)は、こうした状況に置かれていた農民たちの中から誕生した。
 読み進むうちに、サパティスタ民族解放軍(EZLN)の戦いのしたたかさがうかがえる。
 「チアパスの先住民社会内で具体的な反乱を指揮しながら、マルコスはその特異な戦闘の実践を国際的な地政学的状況の中に、そして進行中のグローバリゼーションの枠組みの中に、位置づけ直し、この実践を分析している。……彼は、メディア戦略に裏打ちされたある種の行動する理想主義者、現代版ロビンフッドであることを示した。この全世界をカバーする恐るべき効果を備えた新しい武器としてのインターネットを利用する……」。
 特にこうしたサイバー・ゲリラ戦士の波及力は、新自由主義のグローバリゼーションと対決にあたり、絶大な効果をあげている。
 WTO(世界貿易機関)に抗議する運動は、エマニュエル・ウオーラスティンのいう反システム運動に位置する。世界システムのなかにある国家に対する反体制運動、例えば日本でいうと秩父困民党の蜂起に象徴される自由民権運動が、いつのまにか体制内に取り込まれていく。つまり運動が、当初は強力な打撃的効果をあげたとしても、究極的には、国家間のシステムの調整、強化となり、資本主義のさらなるシステム強化の罠へと落ちていくことになってしまう。
 こうした反体制運動の限界を歴史的にも経験した世界の人々が、反システム運動を意識し実践してきた。マルコスの戦いの柔軟な発想は、ダグダウトの「敵、味方の両方に自己の研究と分析を別の領域に向けざるを得なくさせる結論を出す」ことが運動の最大の効果だとする方法を採っている。
 「不安を抱く投資家を安心させるために、新大統領は、すでに二〇〇一年一月二十六日の時点でダボスの経済フォーラムにおいて次のように宣言した。『何人もメキシコでのEZLNの行進を恐れてはならない。われわれは、国民一人一人の発展を可能にするプロジェクトにすべてのメキシコ国民を組み入れることを恐れてはならない。その行進は平和的なものになるだろうし、われわれはチアパスで和平協定をむすばなければならないだろう』」。
 「その後、ビセンテ・フォックス自身は行進の実際の宣伝者に変貌しさえして、こう語った。『私の政府は行進を支持している。われわれはEZLNを信じて、自身が真に和平を望んでいることを証明する機会を彼らに提供しなければならない。そこには生まれようとしている民主主義の運命がかかっているのであって、たとえ最も急進的な思想であろうともそれらをも含めて異なるさまざまな思考形態を吸収するだけの十分な柔軟性をこの民主主義がもっていることをわれわれは立証しなければならないのだ』」(エクセルシオル紙)、01年2月18日、メキシコ」。
 マルコスは、「われわれは、『ル・モンド・ディプロマティーク』誌によってトービン税を支持して開始されたイニシアティブ、とりわけATTAC(市民を支援するために金融取引への課税を求めるアソシエーション)のような組織によって擁護されているイニシアティブを最大限の関心をもってみまもっているのです」と続けて語っている。
 マルコスのこの闘いにかける情熱とは、どこからくるのだろうか。彼のプロフィールを見ると、非先住民族出身のスポークスマンとある。『サパティスタの夢』(現代企画室刊行予定)で、マルコス自身の活動履歴がかなり明らかになっているが、哲学者エリック・ホッファーは、「情熱の大半には、自己からの逃避がひそんでいる」と分析する。さらに「危険な情熱を飼いならす英知」もまた「魂の唯一の救済こそ、毒をもって、毒を制する例え通り他者、弱者への思いやり」であることを幾つかの著書にわたって述べている。まさにサパティスタ民族解放軍(EZLN)の司令官マルコスは、これを兼ねそなえているといっても過言ではない。  (浜本 清志)

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