もどる

イラク戦争開戦決定を糾弾する!           かけはし2003.3.24号より

怒りの反戦運動の渦を!

ブッシュ・ブレア・小泉を全世界で包囲しよう


国連を利用する目論見の破綻

 ブッシュ米大統領は、三月十八日午前十時(日本時間)の大統領演説で、イラクのサダム・フセイン大統領とその息子たちが四十八時間以内に亡命しないかぎりイラクへの軍事攻撃を開始する、と宣言した。開戦のボタンが押された。
 国連安保理で「武力行使容認」の新決議を上げる可能性がなくなったのを見た米英両国政府は、ついに新決議の提案そのものをギブアップし、国連決議によって担保されることのない大規模侵略の道に踏み込んだ。ブッシュ政権は一貫して、サダム・フセイン政権が「アルカイダなどのテロリストを訓練・支援」しており、「大量破壊兵器」を現在も保有・隠蔽しており、「これ以上の査察は無意味だ」と述べてきた。
 しかし新たな国連決議が成立しなかったこと自体、あらゆる脅しと圧力を行使した非常任理事国への多数派工作にもかかわらず、ブッシュのこうした言い分が、なんらの説得力をも持ちえなかったことの現れであった。国連全体をブッシュの戦争に組み込もうとした思惑は破綻したのである。
 米英両国による国連新決議成立のための努力の放棄と国連にとらわれない「単独戦争宣言」は、ブッシュ政権の政治的・道義的敗北を意味する。アナン国連事務総長でさえ「安保理の支援なしに武力行使が行われれば、正当性には疑問が出てくる」と述べている。
 「国連安保理のメンバーの中には、あらゆる決議に拒否権を発動する意思を公然と表明した国がある」とフランスを事実上名指しで批判した三月十八日のブッシュ演説は、続いて「国連安保理はその責任を果たしていない。だからわれわれがわれわれのための立ち上がるのだ」と打ち上げた。この傲慢な宣言の背後には、自らの政治的・道義的孤立を強がりで押し隠そうとする悔しさがにじみでている。

帝国主義グローバル戦争の論理

 ブッシュ政権は、イラクに対する武力攻撃の目的が「フセイン政権の打倒」そのものにあることを決して隠してこなかった。それはイラクを突破口にした「中東全体の民主化」という主張にまでエスカレートし、中東地域に石油資源の排他的支配をふくむアメリカの帝国主義的秩序を樹立することが、その戦略的目標であることは明白になった。
 三月十八日のブッシュ演説は述べる。「各国の情報機関によれば、イラク政権がもっとも恐ろしい兵器を保持し、隠しているのは疑いがない」「テロリストたちは、イラクから入手した生物・化学兵器あるいは核兵器を使い、これまで表明してきた意図を達成し、米国や他の国の何百、何十万人もの罪もない国民の命を奪うかもしれない」。
 このようにして3・18ブッシュ演説は、「9・11」テロのイメージと対イラク侵略戦争を結びつけ、サダム・フセインが政権の座にあるかぎり「大量破壊兵器」を使った新たな大規模テロや侵略が不可避だという恐怖を煽り立てている。しかし前述したように怪しげな「各国情報機関」が集めた明白な証拠なるものをブッシュ政権は提示しえていない。そんなものはどこにも存在しないからである。
 ブッシュは「先制攻撃」の必要を強引に主張する。「恐怖の日が来る前に、行動が遅すぎる事態となる前に、危険は取り除かなければならない」「フセイン大統領とそのテロリストの仲間は、その力が最大になったときに、死の闘いを挑むことを選ぶ。われわれは、その戦いが、空や街に突然現れる前に、その脅威に向き合うことを選んだのだ」「彼らが攻撃した後に、そうした敵に対応することは自衛ではない。それは自殺だ」。
 ブッシュは「われわれは、こうしたテロリストたちがわれわれの国民、我が国に対して危害を加えるのを阻止する目的で先制的に行動することによってわれわれの自衛権を行使するために、必要とあらば単独で行動することをためらわない」という昨年九月の「国家安全保障戦略」(ブッシュ・ドクトリン)の立場を繰り返している。
 「脅威が現実化する以前の先制攻撃」論が、「自衛権の発動」が正当化される要件についての国際法や国連憲章の最低限の前提をふみにじるものであることも、ブッシュは重々承知している。そして国際法や国連など「時代おくれ」だというのが新自由主義的グローバリゼーションの時代における帝国主義的グローバル戦争の論理なのだ。
 「9・11」が解き放った「対テロ・グローバル戦争」は、アフガニスタンからイラクへと向かう永続的な戦争の力学を形成した。そしてこの力学は、必ずや新たな軍事攻撃の対象としての「ならず者国家・無法者国家」を次々に作りだす。今こそこの「終わりなき戦争」の回路を断ち切らなければならない。

全国で連続的行動を組織しよう

 小泉首相は、三月十八日午後一時の記者会見で、ブッシュの3・18戦争演説を全面的に支持すると態度表明した。
 ブッシュにつき従うイギリスのブレア政権内部で相次いで閣僚が抗議の辞任を行い、与党労働党からも大量の反対派が生み出されているにもかかわらず、小泉連立政権からはたった一人の閣僚も辞任していない。世論調査でも八割が「国連決議のない戦争」に反対しているにもかかわらず、「世論に従えば間違った結果をもたらすこともあることは歴史が証明している」と述べた小泉は、あくまでも「日米同盟」にしがみつき、「北朝鮮の脅威」を口実にして、国際的にも孤立したブッシユュの無法きわまる侵略戦争を無条件で支持したのである。むしろ小泉政権と反動的メディアこそがイラク侵略戦争を利用して「次は北朝鮮の脅威」というキャンペーンに乗り出しているのだ。
 ブッシュのイラク侵略戦争は、イスラエルの極右シオニスト・シャロン政権によるパレスチナ人民への植民地支配の暴力を激化させた。三沢、横須賀、岩国、佐世保、沖縄などの米軍基地はこの侵略戦争のためにフル稼働している。フィリピンの「反テロ第二戦線」に参戦する米海兵隊も沖縄から派遣された。
 「アフガン作戦支援」を名目にインド洋に派遣されているイージス艦をふくむ海上自衛隊が、ブッシュの対イラク作戦と連動した対米支援活動を展開することが予想される。
 空前の規模をもって繰り広げられている全世界の反戦運動と連携し、今こそ全国でブッシュの大虐殺と破壊をやめさせる行動を連続的に組織しよう。「ワールド・ピース・ナウ」実行委員会を軸にして作りだされてきた平和運動の新しいうねりの真価が、まさにいま問われている。
 一刻も早く戦争を止めよう! これ以上イラクの人びとを殺すな! ブッシュ、ブレア、小泉などの戦争屋を追放しよう! ただちに行動を! 
 (3月19日 平井純一)

もどる

Back