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国労本部の裏切りと敵対を許さない!         かけはし2003.3.17号より

鉄建公団訴訟第5回口頭弁論を軸にしてJR総行動を展開

国労本部は査問委員会を即刻解散せよ

 三月三日、鉄建公団訴訟第五回裁判が東京地裁で開かれた。当日の早朝ビラまき行動と傍聴行動には二百人近い参加者が結集した。開廷の前のミニ集会では原告団長の酒井さんが「鉄建公団訴訟・最高裁闘争・労基法改悪阻止を、差別され解雇されがんばっている仲間とともに闘い抜く」との決意表明を行った。
 音威子府から駆けつけた家族会の二人が、解雇されたときの驚きと悔しさと抗議に立ち上がったときの状況を話しながら「清算事業団を受け継いだ鉄建公団に責任を取ってもらいたい。夫の十六年間の生活を取り戻すため子どもとともに闘う」と発言した。その後、支援からは新潟県職労の仲間、共闘会議からは内田事務局長が決意表明した。
 十時半から始まった法廷では、音威子府闘争団の岡嶋さんが陳述に立ち、解雇権乱用を否定する鉄建公団側の「再就職斡旋は適正に行われた」とする主張のでたらめさと書証の偽造を暴露する陳述を展開した。
 「斡旋回数が三年で七回しかなかったのに十二回と捏造(ねつぞう)されている」「重複記載や架空の企業名がある」などの偽造があり、公的部門の斡旋が受験日前日であったり、競争率二百倍の一般応募の紹介であったりと、ずさんでいいかげんなものであることも明らかにされた。最後に「家庭を犠牲にしても鉄路を守るためにと体を張り、鉄道を愛した私の心を踏みにじり、再就職を妨害し国労差別を貫き、解雇したJRと清算事業団に怒りを覚えます」と発言、陳述を終えた。瞬間法廷は暖かい大きな拍手に包まれた。
 閉廷後、地裁前で報告が行われ、佐藤昭夫弁護団長が鉄建公団の、「再就職斡旋は適正に行われた。原告らは地元JR採用に固執した。社員採用はJRの自由意思でなされるものでJRに責任はなく労働委員会命令は裁判所で取り消されている」という主張に詳細に反論した。
 再就職斡旋については今回の陳述でも捏造とでたらめさが明らかになった。労働委員会命令は行政処分の判決が確定するまで有効で、使用者に履行義務があることは川田悦子議員の質問に答えた小泉首相の答弁書でも確認された。
 「新企業体職員としてふさわしいものが採用された」とする全動労高裁判決を引用しているが、裁判所がJRの主張すら超えて不当労働行為を否定するのは手続き違反で団結権侵害、ILO条約違反である。このような点を指摘した佐藤さんは、「公団側主張はことごとく粉砕された」と断じた。
 最後に、国鉄臨時雇用員解雇と闘う和田さんの発言を受け、高裁に向けてシュプレヒコールを繰り返した。その後、十二時半からJR東日本要請行動を闘い抜き、鉄建公団、厚生労働省、国土交通省、最高裁要請行動を取り組みJR総行動の締めくくりとして十八時半から日本教育会館で「イヤです!戦争、首切り3・3鉄建公団訴訟報告集会」と銘うった集会を開催、全一日行動を終了した。

 昨年十一月に開かれた七十回国労定期全国大会は、「四党合意」による解雇撤回闘争の終結に固執し、鉄建公団訴訟原告と闘う闘争団に対する査問委員会設置継続を賛成多数で押し切った。しかし十二月六日、与党三党は採用差別最高裁訴訟と鉄建公団訴訟の取り下げと、闘う闘争団の除名を実現できなかった国労本部に愛想を尽かし、「四党合意」からの離脱を宣言、名実ともに「四党合意」は崩壊したのである。
 しかし国労本部はあくまで政治解決にしがみつき、社民党から今度は民主党にアプローチしたが、受け入れられることはなかった。万策つきた国労本部は「四党合意」破綻の責任と無策を覆い隠す言い逃れとアリバイ作りのために、ILO連絡会を立ち上げた。しかしその内容は「採用差別はなかった」とする第二次勧告を徹底的批判することもなく、また「解決の遅れの責任は国労内部に問題があった」とする「追加情報」の送付などの支援に対する信義違反にも一切反省することなく、再びILOへの取り組みなるものを再開した。
 また採用差別最高裁訴訟の取り組みについても、緊急な取り組み強化をという国労弁護団の進言にも耳を貸さず、「国労は最高裁への取り組みはしない。労働組合と弁護団は別」と完璧に開き直っており、いつでも取り下げる態勢と無為無策のまま最高裁による判断を待つという姿勢を崩していない。
 一方、二月十五日に開催した拡大中央委員会では、単一組織の解体と連合体化の組織方針、闘争団を本体から組織として切り離す(解体するということ)などを討議資料として下ろすことを決定した。冒頭の委員長発言では、「六百人の闘争団員」と述べ、闘う闘争団をすでに除名したものとして扱ったことに、本部の闘争団に対する対決姿勢を見て取ることができる。
 二月十六日には、査問委員会の田中副委員長名で、闘争団員に「意見聴取」をするので、九州は福岡会場に二月二十六日、北海道は札幌会場に三月三日、四日出頭せよとの強引な「出頭通知」が届けられた。その数は三十一人でその後に到着ししたものも含めると総数三十三人に通知が届いたことになる。
 この二月十六日は、八七年の分割民営化に当たって国鉄職員の振り分け通知書が手渡された日であり、とりわけ闘争団員にとって絶対忘れられない日なのだ。国労本部はそれを承知で二月十六日を選んだのであり「今度は組合が首を切ってやる」ということである。人間らしさのひとかけらも持ち合わせていない連中なのだ。
 闘争団と国労組合員による弁護団(査問される側一人に一人の組合員の弁護人が認められる)は通知を受けて、送致理由の組合規約第三十二条(機関決定に服すること)に違反していない旨を述べたうえに、@闘争団は生活援助金停止中のためアルバイトに専念中なので休業補償と旅費規定に則り査問委員と同様交通費を支給することA弁護人の組合員にも交通費を支給することB日程についても調整して欲しい――という「申し出」を査問委員会に送付した。
 しかし査問委員会は、「本人にのみ交通費を支給」との決定を通知してきた。闘争団と弁護団は、このような回答では査問委員会での弁護の権利を行使できる条件は整わないとして、不利益扱いをした場合、法的手段も辞さないとの警告を含む「申し出」を再度送付した結果、査問委員会は開催に到らなかった。
 このように国労本部は、実質的に弁護の機会さえ奪い取り、はじめに除名処分ありきで突き進んでいる。
 敵を取り違え、組合員にばかりに攻撃の矛先を向けている国労本部に徹底抗議していかなければならない。そして国労本部は、春闘期間中に「スト基金の取り崩し」の職場討議文書を降ろし、JRに今後はストを放棄すると同様の宣誓を行い、春闘に立ち上がろうとする組合員に冷水を浴びせ掛けている。
 鉄建訴訟原告団、国労に人権と民主主義を取り戻す会、勝利させる共闘会議、支援の仲間は、鉄建公団訴訟裁判闘争、報告集会、JR総行動、「採用差別最高裁の弁論開始と一〇四七人の救済判決を求める」署名運動を全力で取り組みながら、国労本部に代わって解雇撤回闘争を全力で闘い抜いている。次回裁判は四月二十八日に開かれる。東京地裁に結集しよう。 (3月8日 蒲田 宏)


パンフ紹介

エルネスト・マンデル著 新時代社 400円

『第四インターナショナル宣言』

社会主義かバーバリズムか ―21世紀を前にして


  新自由主義の嵐が吹き荒れている。資本のグローバリゼーションは、全世界の労働者人民に「底辺へ向かっての競争」を強制している。賃下げ、労働条件の切り下げ、不安定雇用化、大量解雇、工場閉鎖が、労働者を襲っている。社会保障水準が切り下げられ、公的責任が放棄されて「自己責任」が押しつけられ、公的に保障されてきた社会サービスが次々に民営化され、資本の利潤追求の新たな分野として開放されている。
 各国の地域で、気候風土に合わせて生存のための食糧生産を支えてきた家族農業は、WTO体制のもとでアグリビジネス(多国籍農業資本)によって解体され、一掃されようとしている。利潤を極大化するために環境を収奪し続ける新自由主義は、もはや取り返しのつかないところまで地球規模での環境破壊を続けている。人類の未来が、貪欲な資本主義によって食いつくされようとしているのである。
 ここにパンフレットとして再刊される『第四インターナショナル宣言――社会主義かバーバリズムか、21世紀を前にして』は、このような現代資本主義の暴虐に立ち向かい、破産し崩壊したスターリニズムに代わる新しい世界社会主義革命運動を建設するために、八九年の東欧諸国の崩壊から九一年のソ連邦崩壊へ至る激動のさなか、九一年の第四インターナショナル世界大会に向けて同志エルネスト・マンデルが起草したものである。
 その意味でこの『宣言』は、マルクスとエンゲルスが提起した『共産党宣言』を現代化したものであると言っても過言ではない。この中で同志マンデルは、現代資本主義が世界の労働者人民をどんな状態に陥れているのか、七〇年代後半から八〇年代全体を通じて労働者運動がどのような政治的後退に陥ったのか、そしてその原因と突破する方向性と展望は何かということを、簡潔に解き明かしている。
 第四インターナショナルは現在、ヨーロッパとラテンアメリカをはじめとして、崩壊したスターリニズムや新自由主義に全面的に屈服した社会民主主義勢力に代わって、労働者階級の闘いの責任ある位置を獲得しつつある。この『宣言』を手に、二十一世紀を社会主義革命運動の世界的攻勢の時代とするために、ともに闘い抜こう。03年1月

もくじ
 1、賭けられているもの
1、拡大する脅威 2、不況に軟着陸の脱出口はない 3、「第三世界」で進行する破局 4、ソ連邦と東欧諸国の危機 5、社会主義への移行は市場の支配を排除する 6、賃労働は依然として疎外されている
 2、克服すべき障害
7、社会主義の信頼性の危機 8、消費者社会と私生活主義 9、「対抗文化」の衰退 10、労働者階級の指導部の危機の新しい段階とその客観的原因
 3、目標――完全な解放
11、全体的目標 12、プロレタリアートだけが階級なき社会を建設することができる 13、プロレタリアートとその同盟者、そして「新しい社会運動」 14、女性への抑圧に対する闘争 15、ゲイとレズビアンの権利のための闘い 16、社会主義なしには、環境を救うための効果的闘争はあり得ない 17、民族的抑圧に対する闘争 18、軍国主義反対のための闘争 19、国際主義再建のための闘争 20、希望の奪還と個人的尊厳ならびに幸福追求の権利のために 21、革命の立場 22、新しい大衆的革命党と新しい大衆的インターナショナルのために


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