斗山重工業労組活動家ペ・ダルホ
抗議焼身事件に無策の次期大統領 |
ペ・ダルホ氏の抗議焼身死亡事件が、斗山重工業と労組、焼身死亡対策委の主張が鋭く対立したまま長期化のきざしを見せている。民主労総は、この過程でノ・ムヒョン次期大統領がどんな選択をするのかによって、ノ・ムヒョン政権初盤の労政関係は多大な影響を受けざるをえない、と主張している。
民主労総関係者は「新政府はまだ発足してはいないものの、いずれにせよ実権はノ・ムション次期大統領に委ねられている。ノ氏の側が今回のことを財閥改革の契機とみなし、労働界との関係も円満にやっていける契機とすることを心から望みたい。選択は、ノ・ムヒョン次期大統領の判断にかかっている」と語った。
スキを逃さず攻撃に出たハンナラ党
けれども同関係者は「引受委(大統領職引受き継ぎ委員会)側は、権力を引き継いだわけではなく政策を引き継いだのだから、この問題に対してひとことで言えば『いかなる考えもない』との態度だ。韓国重工業からの引受特恵疑惑、便法的財閥相続、労働弾圧を別にしても、財閥改革に真正面から抵抗してきたパク・ヨンソン会長の言行自体が財閥改革の第1号として挙げられるべきなのに、政治圏は財閥から突かれはしないかと考え、身を引いている」と批判した。
このような中でハンナラ党が1月17日、ペ・ダルホ氏事件に関して声明を発表し、注目を引いた。9日の焼身事件以後、民主労働党・社会党や社会団体が相次いで声明を出したことはあったが、保守政党としてはハンナラ党が8日目にして初めて「政府や次期大統領側は斗山重工業の問題解決のために踏み出せ」との声明を出した。常日頃、庶民や中産層の政党であることを押し出してきた民主党が知らぬ顔の半兵衛を決めこんでいる間にハンナラ党が一歩、先んじたのだ。
一部の労働者たちは「ノ・ムヒョンは、まさか違うだろう」といちるの望みを捨て切らずにいる。けれどもノ・ムヒョン側の立場から重荷となるこの問題を、任期がまだ1カ月残っているキム・デジュン政府の判断に委ねたいものと伝えられる。この隙を逃さずハンナラ党は、無策と責任逃れに終始している政府やノ次期大統領をともに叱責したというわけだ。
ハンナラ党の声明は「斗山重工業の労働者焼身死亡事件は当局の無関心と放置の中で労使紛争の火種へと悪化している」として、状況を正確に把握している。また「労働界が大規模集会・デモを通じた社会的争点化を予告しており、事態の展開いかんによっては春闘までつながる可能性がある。そうでなくとも景気の展望は暗く、国家の信頼度の下落が憂慮される状況にあって、個別事業場の問題が全国的な紛糾へと飛び火するのは心配せざるをえないところだ」と憂慮してみせた。ここまでは実に説得力のある内容だ。
ところで院内多数党であるハンナラ党は、この問題を何の言及もしなかった。ハンナラ党は「今回のような事態が発生すれば、大統領が紛糾の現場に飛び込んでいって直接、問題を解決していく、としていたノ・ムヒョン氏の豪気は、どこに行ったのか」としてノ・ムヒョン次期大統領にねらいを定めた政治攻勢によって声明を締めくくった。
真相調査団の派遣を求める民主労総
これに対して民主労総は「ハンナラ党の声明には焼身を招いた財閥の残酷な労働弾圧については、ひとことの言及もない。国会レベルで真相調査団を構成し、関連常任委を開き労働部(省)長官やパク・ヨンソン斗山会長、労組関係者らを呼んで事態の真相を調べ、解決策を立てるのが院内第1党の責任ではないのか」と反問した。
ソン・ナック民主労総教育宣伝室長は「民主党、ハンナラ党、キム・デジュン政府、ノ・ムヒョン次期大統領側は、いかに保守勢力の側だとは言え、最小限の水準と格調とがあって然るべきだ。政治圏は斗山重工業の労働者焼身の事態と関連して@真相調査団の派遣A財閥改革の観点から斗山財閥の不正全面調査B損害賠償仮差し抑えの社会的解決と対策の策定に乗り出すべきだ」と促した。(「ハンギョレ21」第444号、03年1月30日付、クォン・ヒョンチョル記者)
「焼身事件は47日間の不法ストライキが原因」
労働組合に責任押しつける会社側
民主労総や各社会団体が集まった焼身死亡対策委などが、今回の事態の原因として斗山重工業パク・ヨンソン会長の前近代的労使観を批判している。彼らは、さまざまなデモと同時に@斗山製品の不買運動A韓国重工業の特恵引受疑惑究明のための特別検査制の導入Bパク・ヨンソン大韓商工会議所会長職の退陣、および国際機構の職責はく奪のための国内外の運動などを計画している。
斗山重工業側は大韓商工会議所会長、国際オリンピック委(IOC)委員、国際商業協力(ICC)副会長、国際柔道連盟(IJF)会長など活発な対外活動をしてきたパク・ヨンソン会長に対する批判を極めて負担に感じている。このためか会社側は状況が変わるたびに報道資料を出し、労働弾圧が死を煽ってきたとの労働界の主張に対し、「昨年の労組の無理な長期ストが現在の事態を招来した」と反ばくしている。
会社側は、ペ・ダルホ氏死亡事件は民主労総傘下の金属労組斗山重工業支会が昨年、雇用安定や賃金、福祉などの勤労条件とはまるで関係のない賃金・団体交渉の交渉方法に関する労組案を会社が受けいれなかったのであり、W杯を前にした昨年5月23日から47日間、全面ストを繰り広げたことが原因だと主張する。
会社関係者は「昨年のストによって会社は900億ウォンを超える金銭的損失を被り、1600余に及ぶ社内外の協力業者が斗山重工業のストによって操業や納品が全面中断され、資金難などによって大変な経営難を味わった」と語った。
会社は労組の暴行や無断占拠、器物破損、業務妨害などの不法行動に対しては今後このような事態の再発を防止するとの観点からも不法ストの主導者54人に対する集団損害賠償請求訴訟を提起し、45億ウォンの各種差し抑えに入ったと説明した。亡くなったペ・ダルホ氏も47日間の不法ストを主導した人物として、責任(停職3カ月、懲役1年・執行猶予2年)から逃れられない位置にいた、というのだ。
会社は1月16日に発表した談話文で「故人の意志を尊重するとの口実で遺体を放置したまま一部の労働活動家らが自らの立地確保のために会社と取り引きをしようというのは極めて不道徳なことであり、全く理解できないし、また決して受けいれることはできない」との主張を展開した。(「ハンギョレ21」第444号、03年1月30日付、クォン・ヒョンチョル記者)
「次期大統領に環境哲学がないのは残念だ」
環境運動連合新事務総長に聞く
「国土全対話生態的観点から眺められるようにしなければなりません。公害や開発阻止中心から脱け出し、社会のシステムを生態主義的共同体を目指す方向へと変えていく努力も必要です。そうしてこそ未来世代のための環境の真の『公共性』を確保できます」。
1月4日から13日まで会員の直選制で進められた環境運動連合第6代事務総長選挙で、ソ・ジュウォン事務次長が当選した。国内の市民・社会団体において会員らの直接投票によって事務総長が選出されるのは今回が初めてだ。
総投票数4853票のうち2453票を得て、チャン・ジェヨン候補(アジュ大医学部予防医学教室教授)を249票で破ったソ当選者は「地域とともに歩む環境運動をしてくれ、という会員らの願いを充足させられるか、最初から荷が重い。環境破壊の現場で、さらに熱心に活動していく」と語った。2月末に開かれる代議員総会で公式の確定手続きを経てチェ・ヨル事務総長に続き環境連合を率いることになった彼に1月24日午前、ソウル鍾路の事務所で会った。
南北環境連帯を模索
――今後2年間、会員数8万6千余人の巨大組織を率いていくことになったが。
会員や市民らが参与する環境連合となるようにしていく。大型国策事業への反対運動などイシュー中心のあり方から脱し、生活廃棄物から輸入農産物の問題まで、実生活において表されている環境問題に集中する考えだ。52の地域組織と中央の役割の定立を通じて住民と会員が結合できる構造を作る計画だ。
――新政府の発足を前にしている。セマングム(新万金)事業をはじめ、京仁運河、北漢山貫通道路など環境がらみの心配がメジロ押しだが。
ノ・ムヒョン次期大統領には環境哲学がほとんどないという感じがする。手続き的民主主義や利害関係の調整ばかり繰り返して強調している。セマングム事業が抱えている環境問題について考えられずにいるようで、残念だ。既存の農地を休耕地にしながら干潟を埋め立てて巨大農耕地を作り出そうという非常識を、どうして受けいれることができるだろうか。手続きだけ問うのではダメだ。1兆ウォンが投入されて約30%の工程を示している今、やめにするほうがまだマシだ。後になったら10兆ウォンを投入しても一度破壊された環境の復元は難しい。
京仁運河も非常識な点では同じことだ。政府が民間資本の誘致に乗り出すと、各企業は収益の不足分を政府が補ってくれ、という話をする。それほどに経済性はない、ということだ。水質汚染や環境破壊も火を見るよりも明らかだ。北漠山貫通道路問題も常識的に判断すべきだ。北漠山は国立公園の中でも国民に最も親しまれている山だという象徴性がある。環境破壊に対抗して仏教界までが起ちあがったという点を注目しなければならない。
――89年に安眠島で始まった、核廃棄物処理場建設問題が15年目にしていまなお行方が定まらない。
エネルギー政策を根本的に再考せよ、という市民社会の要求は無視したまま、いかなる対策もなしに核廃棄物ばかりが蓄積されている。供給重視のエネルギー政策から需要管理のエネルギー政策へと移行していかなければならない。核発電所(原発)の縮小という大前提の下、現在出てきている核廃棄物問題に対して国民的同意を踏むのか順序だ。
セマングム事業は農林部、北漠山貫通道路と京仁運河の建設は建交部、核廃棄物処理場問題は産資部の所管だ。各部署の組織利己主義によって引受委(大統領職引き継ぎ委員会)に報告さえされないという、ひどい状態だ。就任前に政策の方向を決定しなければならないのに、深刻な状況だ。しかも新政府の10大政策課題において環境問題は言及されておらず、引受委には環境担当の委員は、ただの一人もいない。
――事務総長選挙の際に南北環境連帯を積極的に模索していくと公言したが。
南北の河川の発源地共同調査や風力発電機支援、非武装地帯の生態共同調査などを展開する計画だ。特に南北の河川の発源地共同調査を進める過程で北韓の「微量分析センター」設立を支援する計画だ。相次いだ洪水や山林破壊によって北韓地域の土壌の有機質含量は極めて低い。飲食物のゴミを活用した有機質肥料を支援する方案も検討している。
問題は政府当局の認識だ。道路、鉄道を連結することだけでなく韓半島(朝鮮半島)全体の環境問題を考えなければならない。現在、環境影響評価もしないまま「連結」にばかり没頭しているのは問題だ。南北環境協力委員会を構成して韓半島全体を対象にして統一に備えた国土総合計画案を準備しなければならない。
ソ当選者は大学時代、農村活動で出会い、81年に結婚した連れ合いのナム・インスンさん(女性団体連合事務総長)とともに80年代には仁川地域で労働運動をした。91年に仁川国際空港建設反対運動を繰り広げるとともに環境運動に初めて接した彼は94年、仁川環境運動連合事務局長を経つつ環境運動家へと変身した。(「ハンギョレ21」第445号、03年2月13日付、チョン・インファン記者)
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