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漁業環境と国立公園の自然を破壊する暴挙だ      かけはし2003.2.10号より

広島県沖美町への米軍夜間離着陸訓練(NLP)基地建設を阻止しよう!

完全断念に向け全国から抗議を

 広島県沖美町の谷本英一町長が誘致を表明した米空母艦載機夜間離発着訓練(NLP)基地について、二月三日に開かれた同町議会全員協議会は誘致計画白紙撤回を決めた。町長は辞意を表明したが、防衛施設庁は断念していない。

 【広島】広島県沖美町の谷本英一町長が一月三十日、米空母艦載機による夜間離着陸訓練(NLP)基地を、同町の大黒神島に誘致する考えを表明した。二千メートル級の滑走路などを整備したい意向だ。被爆地広島の南へ約二十キロ、世界遺産である厳島神社が立つ宮島から約十キロに浮かぶ無人島だが、周辺にはもちろん住民がいる。大黒神島周辺は、マダイやタコなど一年を通して漁が可能で、ハマチなどの養殖施設もある一帯の海域は、瀬戸内海国立公園に含まれる。
 NLPは、米空母が横須賀基地を事実上母港にした一九七〇年代以降に本格化し、厚木、三沢、横田、岩国の各基地で実施されたが、騒音問題から政府は三宅島に移転を計画した。住民の反対運動、噴火による全島避難で硫黄島での訓練を九一年から実施。しかし、遠距離のため米軍は難色を示し、新たな候補地を探していた。何者かの助言で沖美町長が昨年一月から防衛施設庁にかけあい、交渉は六月から秘密裏に行われた。
 同島の約十二キロ西にある米海兵隊岩国基地(山口県)を訓練支援基地に使うことを日米当局は検討している。同基地では二百十三ヘクタールを埋め立てて滑走路を一キロ沖合に移設する事業が進み、格納庫なども新たに建設される。同基地に駐留している主力機は艦載機の主力と共通しており、米海兵隊岩国基地の機能強化と一体の計画である。
 沖美町に隣接の大柿町が「許せぬ暴挙」として反対姿勢で、広島防衛施設局に計画中止を求める陳情書を三十一日提出した。海上自衛隊基地や米軍弾薬庫を抱える江田島町長も「騒音公害のある基地は受け入れられない」と表明し、広島県知事、広島市長、呉市長も反対を明言した。能美町長は様子見。
 また、イラク攻撃反対決議を挙げている廿日市市議会の廿日市市など近隣二市五町村の首長は反対意見書を石破防衛庁長官などに送付した。沖美町議のうち慎重意見もある。漁業環境が破壊されるとして地元漁協も反対決議をした。有事立法はイケン(違憲)!広島県市民連絡会、ピースリンク、平和委員会、原水禁、原水協、社民党、共産党もただちに抗議の申し入れなどをした。
 沖美町長ひとりの暴走のように見えるのだが、誘致の動機は「防衛施設周辺整備等の補助金による一般財源に期待している。訓練期間以外は海上自衛隊が管理する。海自隊員と家族の居住による人口増、町民の雇用なども望める」と過疎対策と雇用対策をあげての苦渋の選択だ。いわば、保険金欲しさの自殺路線である。人口約四千人。高齢化比率三五・一%。四町合併協議は事実上破たん。厚木基地爆音防止期成同盟(厚木爆同)の人たちの話を住民、町議、町長らに知らせてあげねばならない。全国からはそのような抗議の声を伝えてほしい。
(野田 久)
沖美町、谷本英一町長への要請FAX、電話を!
Fax:0823-49-1359 Tel:0823-48-0211
注 NLP:空母艦載機が、航行中の空母に夜間着艦できる技能を養う訓練。滑走路を空母に見立てて離着陸を繰り返す。実施の一週間前、米軍は地元自治体に通告することが必要。悪天候下や暗闇での着艦は、高度の技術が求められ、昼間だけの訓練では習得不可能といわれる。


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