かけはし重要記事

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「もう一つの世界は可能だ!」            かけはし2002.3.18号より

「もうひとつの世界」を作り出すための具体的闘争課題に取り組もう

第3回フォーラムへのより実践的参加めざして

 二月一日、労働に関するコンフェレンスは、警察学校の体育館で行われ、ILOの組織的参加や各国労組、女性団体などが参加した。韓国民主労組は六人余で交通部門の民営化反対の国際署名を取っていた。司会のCUT委員長ジャン・フェリーショは、前日の労働組合の世界的連帯を求めるセミナーの内容に触れ、新自由主義グローバリゼーションの世界的進行に対し、労働組合相互そして他の社会運動との連携が実践的に問われていることを強調した。
 南アフリカ労働組合会議(COSATU)ウイリエ・マディシャは、世界的社会的公正を求める闘争での労働組合の指導的役割を指摘した。社会的、政治的、経済的議題において、革命的労働組合の力が増大することが必要であり、そして、一般的連携ではなく、「ワシントン合意」に反対する闘争的同盟を築くような連帯がきわめて重要である。そして、世界的なオルタナティブが必要であり、「権利のグローバル化」を推進する行動には、共通のベースを見つけだすことが必要であると主張した。
 彼の意見では、この目的に向かう基礎的ステップは、一体誰が、実際の権力を保持し、現行の世界の方向を決めているのか、そして、投機ファンドを規制し、労働や収入の配分に効率のよい手段があること、これを暴露し証明することである。これらのステップは、ポルトアレグレにおける参加型予算や南アフリカで討論された民衆予算のような経験の中から利点を得ることができる。
 「これには地域や世界のエリートから抵抗があるだろう。しかし、彼らに対する挑戦を受け入れなければならない。でなければ、彼らがわれわれを社会的・エコロジカル的破滅に導くだろう」と彼は警告した。
 女性の世界行進のフィリピン代表シルビア・エストラダ・クラウジオは、人権―特に女性の―を護る議題を含んだ労働組合潮流の必要性を取り上げた。女性たちは最後に雇われ、最初に解雇される。そしてより悪い仕事上の地位と収入のインフォーマル部門に多数存在する。それに加えて、労働運動を含めた権力や決定の場面では少数派である。全体像を見れば、彼女たちは家庭で、仕事で、路上でおどされてきたと報告した。そして、労働組合運動は女性、青年、他の差別された階層に対し、権利要求の本当の意義についてもっと力量を割いて提起するよう、シルビアは力説した。このような民主主義が達成されない限り、もう一つの可能な世界についての話のすべては空虚なものだと……。

いくつかの提案

b労働者が十分に参加でき、貧しい者の立場が擁護され、経済的・政治的民主主義が推進されるような、新しい型の世界的組織を創ること。この組織は、世界中の労働組合を強化する側面を持つ。
b「ワシントン合意」に対する世界的オルタナティヴを創っていくために、「国際主義」(国際連帯)を超えて「グローバル市民権」を推進しなければならない。
bわれわれは、諸権利の世界化に関し、具体的内容を持ち、世界的に結びついたキャンペーンを行うため、オルタナティブとその実現戦略に対する共通基盤を創っていかなければならない。
b北と南の労働運動が異なる道を歩むことを防ぐため、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジアの労働運動間の絆を築かなければならない。
 ブラジルの労働組合運動のなかには、新自由主義グローバリゼーションの進行がインフォーマル部門を拡大し、賃金切り下げ・権利削減・解雇が増大していることに対して、旧来型労働運動では戦闘的労働者の階級意識を防衛できないことへの強い危機意識がある。
 労働者は、最も抑圧されているインフォーマル部門から最もよく組織されるべきであるという主張がある。南米では労働者の五〇%がインフォーマル部門に存在する。極論をいえば、本工主義を全面否定するものである。すなわち、いままでの産別本工主義では、新自由主義グローバリゼーションと対決できる階級意識が育まれないとの認識があり、そのために世界的労働組合の連帯および社会運動との同盟を強調し、「権利のグローバル化」の創出を願っているようだ。
 フォーラム期間中の二月二日、アジアからの参加者による反戦の集いがもたれ、アジアからの参加者五十人余で別掲の宣言が確認された。前段で各国状況を報告したのは、韓国、フィリピン、スリランカ、インド、パキスタン、アチェ、パレスチナ、東チモール、アジアの女性(アフガニスタン情勢)。
 世界社会フォーラム最終日、社会運動体から呼びかけられた「ポルトアレグレ宣言」(『かけはし』第一七二〇号参照)は、五月一日メーデー行動について、新しい運動へのリメイクを模索し「ミリタリズム反対・平和を目指す国際デー」と位置づけた。これには、パレスチナ情勢に深い危機感を抱き、パレスチナ連帯を望むATTACイタリアをはじめヨーロッパからの参加者の声が反映した。ATTACイタリアは、五月に「ミリタリズムと反戦」をテーマにした大きな国際セミナーを計画しているという。
 また、三月二十一日から米韓軍合同演習「フォール・イーグル」が開始されるが、アジア反戦声明にも触れられているように日韓共催ワールドカップに向けて対テロ米日韓軍事作戦も予定されている。ワールドカップ開催期間中の日韓両サイドでの反戦闘争がいくつか企画されつつある。アジアでは、来年のポルトアレグレ世界社会フォーラムに向け、前段の地域フォーラムももたれようとしている。
 フォーラムは参加することも重要だが、そこに至る具体的闘争こそ最も重要なものだ。今フォーラムでのワークショップも七百以上あり、それぞれが各々の闘争課題を持ち、たとえば、「女性に対する暴力」会議、対外債務帳消しを求めるジュビリーの国際法廷、世界先住民会議、農民会議、世界議員フォーラム、難民・女性売買・移住労働者問題会議、国際青年キャンプなど重要な課題での会議内容もいずれ共有化したい。訳文などで反映したいと決意しながら、私の世界社会フォーラム報告は今回で一段落としたい。最後に、フォーラムで流行した一つ、「アナザー×××イズ・ポシブル」をもじり、「アナザー・ニューロール(新しい役割)イズ・ポシブル」。新しいことに挑戦しよう! 
(林 のぼる)
 九月十一日以来、「テロとの戦争」にアジアの多数の地域が焦点とされた展開に、私たち、アジアの社会運動の代表たちは大きく狼狽させられた。世界の最貧国アフガニスタンへの戦争を遂行することによって、アメリカはイスラエル・シオニズム体制に、パレスチナ占領下民衆へのテロによる新しい支配を引き起こす許可を与えてきた。
 アフガニスタンとパキスタンでのアメリカの軍事力は、フィリピン南部への最近の介入を伴う東南アジア全体にいまや拡大してきた。アメリカのABM条約からの一方的脱退とそのミサイル防衛計画は、アメリカ軍国主義がその醜悪な頭をもたげ始めたという暗い現実を付け加えた。日本はこれに配慮し、自国の再軍事化をはかることでアメリカと同調しつつ、経済支配の再宣言のためにアジア地域へ危険をおかして進出している。九月十一日は、国際資本の暴政の再正当化を前面に出すことに利用されているし、アメリカとその同盟国の軍事侵攻は、資本主義経済や新自由主義的方法論の拡張のための、ただの煙幕にすぎない。(中略)

 私たちは要求する!
bアジアにおけるアメリカ軍国主義体制の終焉を
bすべての基本的人権・共同体の権利は保護されるべきで、アジアの社会運動の意志決定にIMFや世界銀行が従うよう認めること
bイラク人民への経済制裁の解除および、アメリカとその同盟者によるイラクに対する野蛮な政策の撤回を
bパレスチナにおけるイスラエルの占領の終結を
bアメリカ軍のフィリピン、アフガニスタン、韓国、パキスタン、この地域の他の国々から撤退を
bアメリカと多国籍資本は、ビルマの軍事独裁制の支援を止めること
bインド・パキスタン両国の核武装めぐる軍事緊張を凍結すること
bアジアを縦横に越えて労働する権利の保護を
b児童労働の廃止と、働いている子どもへの教育保証と同時に報酬を
bアメリカは国際法に従い、繰り返される人権侵害とアジアの国々の主権侵害について釈明すべきであること
 最後に、来る二〇〇二年六月日韓で開催されるワールドカップ期間中に、新自由主義とその軍国主義体制が実施する計画に反対する直接行動に、再びアジアにおいて参加するよう伝えたい。世界社会フォーラムの決議文において告知される国際的行動日に参加するよう強く勧める。  以上
 二〇〇二年二月二日


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