| 03年度政府予算案批判 かけはし2003.2.3号より |
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財政破綻と大不況促進、大増税、福祉切り捨て、大軍拡 |
一月二十日、第百五十六通常国会が始まり、政府・与党は冒頭、二〇〇二年度補正予算案、二〇〇三年度予算案、税制改悪、戦争国家作りに向けた有事関連三法案とイラク参戦のための特別立法の成立を強行することを宣言した。
予算案に関して小泉首相は、財政破綻が深刻化しているにもかかわらず「構造改革なくして景気回復なし」「財政健全化」などとウソを繰り返し、あげくの果てに「改革断行予算」だと豪語している。だがその実態は、大企業・金持ち減税と出口なき大不況の中で税収不足が進行し、二年連続国債増発で新規発行額が三十六兆円を突破し、歳入に占める国債依存度が四四・六%になってしまった。さらに国と地方の長期債務残高は約七百三十兆円に膨れ上がった。
それにもかかわらず小泉は、当初の「国債三十兆円枠内」という公約を「この程度の約束を守れなかったのは大したことではない」などと開き直っている。予算案の実態の暴露と徹底批判を行い、イラク侵略戦争反対と小泉政府を打ち倒す闘いを押し進めていこう。
〇三年度一般会計予算案の総額は、八十一兆七千八百九十一億円だが、税収が四十一兆七千八百六十億円と半分しかなく、借金である国債を増発することによって帳尻合わせをするというパターンだ。建設国債が六兆四千二百億円、赤字国債が三十兆二百五十億円と巨額な数字に膨れ上がってしまった。国債額は過去最高でほとんど国債漬け状態であり、その症状がさらに深まった。
税収が当初予算を二兆五千四百億円も下回ってしまったために、〇二年度補正予算では、一兆五千億円の公共投資、一兆五千億円の雇用・中小企業対策とセットで、穴埋めのための国債発行をねらっている。政府は自らの責任を棚上げし、安易な手法としての国債依存を深刻化させている。このような雪だるま式な借金依存症によって国と地方の長期債務残高は七百三十兆円となり、民衆一人当たりの借金が、なんと約六百万円という額に膨らんでしまっている。
小泉にとって「大したことではない」かもしれないが、歴代政府と小泉政府が作った借金をなぜ民衆が負担しなければならないのだ。民衆に犠牲負担を上乗せしようとする小泉政府を批判していかなければならい。
小泉政権は、それに加えて、大増税を行おうとしている。そのメインが配偶者特別控除(三十八万円)の廃止だ。年間収入三百万から千二百万円以下の約千二百万人に国・地方税合計で最高十万千円の負担の強制。さらに発泡酒やたばこ増税、中小企業特別措置の縮小、外形標準課税の導入など次々と大衆収奪を強行しようとしているのだ。
政府は、このような増税攻撃を助走としつつ、念願である消費税増税によって搾り取ることも策動している。〇二年六月の政府税制調査会は、五%の消費税率をアップしろとゴーサインを出した。今年に入ってから日本経団連の奥田会長を皮切りに、経済同友会の小林代表、日本商工会議所の山口会頭が応援団として登場し、「社会保障の財源として消費税の引き上げが必要だ」と提言した。奥田は、「〇四年度から一四年度まで毎年税率を一%ずつ段階的に引き上げろ」と言い出した。
財界は、「少子高齢化社会に備えた社会保障改革」のために消費税増税と言っているが、その本音は社会保障関係費の負担削減と法人税減税にある。資本のグローバル化にとって社会保障関係費の負担は、コスト高を自動的に作り出し、競争力後退を導くため真っ先に削減しなければならない対象なのだ。このような資本の意図を暴露し、政府と財界が一体となった消費税増税攻撃を阻止しよう。
小泉政府は、新自由主義的経済再編の一環である「総合デフレ対策」を掲げて不良債権処理の加速政策を推進している。「産業再生機構」に十兆円の政府保証枠を設定し、体力がない企業を潰し、資本再編・リストラを促進しようとしている。銀行の「貸し渋り・貸しはがし」は横行し、企業倒産が増大している。昨年八月の企業倒産負債総額は一兆五百九十二億円。九月の完全失業率は五・四%、完全失業者数が三百六十五万人。そして、全国三万人以上の野宿労働者が存在している。
このような深刻な事態にもかかわらず社会保障関係予算は、前年度比三・八%増の十八兆八千二百九十一億にすぎず、各予算項目の伸び率は抑制された。事実、高齢者人口の自然増によって約九千億円が必要にもかかわらず二千億円も削ってしまった。失業対策費は、前年度費一八・一%という伸び率だが、五千七百六十四億円という額は、大失業状況に対して少額すぎる。
さらに、雇用保険の給付、物価スライドによる年金給付、児童扶養手当、障害者諸手当などを削減した。生活保護の扶助基準や介護報酬を引き下げた。来年四月から介護保険料増、健保がサラリーマン本人の三割負担を実施。賃上げと一時金の凍結、リストラで苦しめられている中小企業の労働者が加入する政府管掌健康保険の保険料も引き上げ、自己負担を増額しようとしている。このように具体的に中身を点検すると削減や引き下げ、本人負担増が実態だ。
文教予算は、前年度比五・一%減の五兆二千四百十四億円。とりわけ義務教育国庫負担金(約三兆一千億円)の中の教職員などの年金積み立て金の共済費と公務災害補償基金負担金は、二千百八十四億円が削減されるが、その分を地方交付税などの一般財源で手当した。将来的には地方の負担を増大させることをねらっている。例えば、文部科学省は、四十人未満学級を容認したが、そのための教員増の給与負担を地方に押しつけようとしている。
その一方で新自由主義的教育改悪、差別・選別教育の推進、「日の丸・君が代」「愛国心と道徳教育」重視路線の貫徹のためには、予算を増額している。企業に奉仕する国公私立大学諸研究室に対する資金援助事業(前年度一・八倍の約三百三十四億円)、習熟度別授業指定校増、スーパー理科高校四十五校(約十一億九千万円)、スーパー英語高校五十校(二億三千四百万円)、「心のノート」(三億六千万円)と「新家庭教育手帳」(三億四千万円)の発行など政府の意図が現れている。
新自由主義的グローバリゼーションを反映したスクラップ対象には、露骨な予算削減を行っている。その一つが中小企業対策費で前年度比七・一%減の千七百二十九億円。大資本にとって必要がなく、競争力がない中小企業はどんどん潰していく政策である。
農業関係費も削減だ。小泉政権は、世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉で日本農業に対するバッシングと農産物輸入量拡大の強まりに便乗して稲作を農業破壊のターゲットとして設定している。例えば、食糧庁特別会計の稲作経営安定資金助成金を前年度比二十一・二%減の六百八十二億円まで下げてしまった。米価が暴落し続けているなかで、稲作農業を廃業せよと圧力をかけているのだ。
このような予算削減攻撃とは逆に公共投資と軍事費関係に対しては、以下のように手厚い予算措置を行っている。
公共投資関係費は、前年度比三・七%減の八兆九千百十七億円。減額になっているが、物価下落で単価が下がっただけで事業量は維持されたままだ。これに農林水産関係予算の公共投資五〇・四%の一兆五千六百六十九億円と〇二年度補正予算案の公共投資追加分の一兆五千億円を加えれば大幅増であり、大資本・ゼネコンへのカネのばらまき体質はなんら変わってはいない。
予算増額が著しいのが、人権も生活も環境も破壊するゼネコン政治型大規模公共事業だ。羽田、成田、中部、関西空港建設強行のために三四・七%増、住民追い出しと環境破壊を拡大する東京など環状道路建設に一一・二%増と高速道路建設拡大路線は維持されている。都市再生特別措置法にもとづく四十四の規制緩和地域に対する財政措置も行われた。また、本州四国連絡橋公団の巨額な債務に対しては道路関係予算をあてたり、関西空港の一兆二千億円の債務には羽田や伊丹空港の着陸料値上げを通して返済していこうとしている。
軍事費は、四兆九千五百三十億円で前年度比〇・〇六%の三十億円だけの減額でしかない。また、内閣官房予算に組み込まれている軍事偵察衛星予算の六百四十四億円を加えれば減額どころか増額である。この軍増額は、米のグローバル戦争への参画とともに海外派兵のための自衛隊建設方針に沿ったものになっている。
顕著なものとして最新鋭イージス艦調達経費(千三百八十九億円)、航空自衛隊戦闘機の航続距離を伸ばす空中給油機(二百三十七億円)、弾道ミサイル防衛の日米共同技術研究費(十九億円)、無人偵察機研究(二億六千万円)、不審船対処(九十億円)、ゲリラ・特殊部隊対処(百九十二億円)など高額予算を充てている。さらに、日米共同実戦体制の強化に向けた在日米軍駐留経費の日本側負担は、二千四百六十億円。沖縄の米軍基地強化に向けた日米特別行動委員会(SACO)経費が二百六十五億円だ。他の予算と減額率と比較しただけでも軍事費が特別扱いになっていることがわかる。
科学技術関係予算は、前年度比一・二%増の三兆五千八百七十六億円だ。とくに文科省と経産省の原子力関係予算を合わせると前年度並の四千八百二十八億円になっている。原発事故を繰り返し、各地域で反原発・即時停止の要求が高まっている。世界的な原発建設中止と廃棄の流れに逆行して、核燃料サイクル開発機構と原子力関連施設の立地推進にむけて巨額な予算を増やし続けている。
小泉路線とは、新自由主義的グローバリゼーションの拡大にもとづく多国籍企業支援を柱とした資本・金融再編であり、労働者民衆に対するリストラの拡大、大失業攻撃と農業破壊の貫徹、弱肉強食型競争社会を作り出していくことである。そして予算案は、膨大な借金を作りながら資本・ゼネコンのためのばらまき型公共事業予算を温存し、グローバル戦争に参画するための自衛隊作りに向けた軍事費を増額しながら、同時に社会保障・福祉・教育関係費を大幅に削減して、民衆に犠牲を転化しなければ延命できない日本資本主義の姿を描き出している。この弱さに楔を打ち込む闘いを作り出そう。人権・生活・環境破壊のための公共事業ストップ! 戦争のための軍事費はいらない! 消費税増税攻撃をやめろ! (遠山裕樹)
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