| 柏崎刈羽3号炉浜岡4号炉--ひび割れ原発に保安院が「安全宣言」 かけはし2003.2.3号より |
多数の深いひび割れを放置
一月二十一日、経済産業省原子力安全・保安院は、総合エネルギー調査会の原発設備健全性評価小委員会で、原子炉圧力容器内の炉心隔壁(シュラウド)に多数のひび割れが発覚して停止していた東京電力・柏崎刈羽3号炉(沸騰水型BWR・百十万キロワット)と中部電力・浜岡4号炉(百十三・七万キロワット)について、ひび割れを修理しないまま運転を再開して構わないという恐るべき「見解」を示した。
欠陥原発動かし二法の成立を強行した小泉政権のもとで、原子力安全・保安院はボロボロ化し傷だらけであることが発覚して停止を余儀なくされた原発に、修理もしないで動かしていいという「安全宣言」を出したのだ。何十万人、何百万人の命と安全をもてあそぶこの暴挙を、われわれは怒りを持って糾弾する。
浜岡原発四号炉のシュラウドのひび割れは、水中カメラで点検できる範囲内だけで六十七カ所も発見されている。ひび割れの深さは、最大で十四ミリにも達している。中部電力が昨年十二月十七日に発表した調査結果では、ひび割れは緩やかに進行するが深さ三十六ミリで止まるので、修理をせずに運転し続けても五年間は大丈夫だという。なぜ深さ三十六ミリでひび割れの進行が止まるのかは不明のままだ。
また中部電力の「強度評価」では、厚さ五十ミリの部分でも八ミリ残っていれば、すなわち厚さの七分の六にも達する深いひび割れが生じていても東海大地震にも耐えられるという、驚くべき「評価」が行われている。
柏崎刈羽3号炉のシュラウドには、ほぼ全周にわたる長さ十六・五メートルにも達するひび割れが生じている。深さも最大で十二ミリに達している。これほど大きなひび割れがあり、しかもそれがさらに進行することがわかっているにもかかわらず、東京電力と中部電力は修理もせずにあと五年間は動かし続けて大丈夫だという途方もない調査結果を報告し、保安院は全くまともな検討もせずにそれをそのまま認めてしまったのである。
ひび割れの原因も不明のままで
シュラウドは原子炉内の冷却水の流れを制御するために設置された数トンもあるステンレス製の巨大な構造物で、九〇年代初め頃からひび割れが問題化し、膨大な被曝労働者を出しながら「ひび割れが生じにくい」という新材質のステンレスで作られたものに取り替える大修理を、各地の原発で行ってきた。
しかしひび割れしにくいはずの新しいシュラウドでもひび割れが多発しており、しかもその原因はいまだ解明されていない。そのため、一月二十一日の小委員会でも「ひび割れの進行を説明する記述が示されていない」などの意見が出され、「報告書」としてまとめることはできなかった。
にもかかわらず小委員会の佐藤一男委員長は、「技術的な評価についておおむね了解を得たと受け止めている」として、「現時点で構造強度に余裕があり、直ちに補修する必要はない」というとんでもない「見解」を発表してしまったのである。
この「安全宣言」を受けて東京電力と中部電力は、運転再開に向けて地元と協議するという。そして他の停止を余儀なくされている原発でも次々に「安全宣言」を出し、運転再開を強行しようとするだろう。
大惨事を招き寄せる暴挙だ
言うまでもなく浜岡原発は、東海大地震想定震源域の真上に立地している。昨年十一月には、気象庁長官が記者会見で「東海大地震がいつ起きてもおかしくない状況になりつつある」と述べている。マグニチュード8クラスの大地震が起きた時、最大で深さ十四ミリものひび割れが六十七カ所もある浜岡4号炉が動いていたら、大震災と原子力災害が複合した、文字通り未曾有の大惨事が発生するだろう。
大地震が起きなくても、進行のメカニズムさえわかっていない多数のひび割れが、予想もしない形で急激に進行するかもしれない。八九年一月の福島第二原発3号炉の再循環ポンプ大破壊事故、九一年二月の美浜2号炉の蒸気発生器細管ギロチン破断事故、九五年十二月の高速増殖炉もんじゅのナトリウム火災事故、九七年三月の東海再処理工場爆発火災事故、九九年七月の敦賀2号炉の冷却水大量喪失事故、九九年九月のJCO臨界事故、そして〇一年十一月の浜岡2号炉の緊急炉心冷却装置配管爆発破断事故。これらのいずれの重大事故も、予想もしない形で突然発生した。
全周にわたるひび割れが進行し、数トンもある鋼鉄のシュラウドが割れて落下するような事態になれば、原子炉圧力容器そのものが破壊されてしまう可能性は十分にある。昨年十二月二十日、浜岡2号炉の運転再開に抗議する申し入れの際、稼働から二十五年もたつ老朽化した浜岡2号炉のシュラウドをほとんど調査していない問題について、参加者が「ひび割れが生じていないと言うなら証拠を示してほしい」と追及した。これに対して保安院は、「調べていないところにないとは言えない」と平然と言い放った。
このような無責任極まりない態度で住民の命と安全をもてあそんでいるのが、原子力安全・保安院であり、電力会社であり、小泉政権なのだ。それは、世界的に進行する脱原発の流れと多発しつづける重大事故によって追いつめられた原子力開発推進勢力が、ますますやる気を失い、投げやりになり、最低限の責任感も喪失していることを象徴している。当然にもそれは、大事故をますます引き寄せることになる。
脱原発はいますぐ可能だ!
原子力安全・保安院の「安全宣言」を糾弾する。ひび割れだらけの柏崎刈羽3号炉と浜岡4号炉の運転再開を阻止しよう。数え切れない事故と事故隠しが発覚して次々に原発が停止することによって、原発などなくても日常生活に全く影響がないことが日々実証されている。東京電力の原発十七基のうちすでに十二基が停止しているが、停電する可能性は全くない。すでに原発は時代後れの過去の技術になっている。脱原発は今すぐ可能だ。取り返しのつかない大惨事を引き起こす前にすべての原発を止め、脱原発をかちとろう。
(1月26日 瀬戸沢登)
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