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国労大会、鉄建公団訴訟原告など22人に不当処分    かけはし2003.10.9号より

国鉄闘争への裏切りだ

一〇四七人の不当解雇撤回めざし国鉄闘争の大義を守りぬこう


 九月十三〜十四日、国労第七十一回定期大会が社会文化会館で相変わらず機動隊が導入されるなか開催された。今定期大会の焦点は、査問委員会による闘争団への統制処分、スト基金の取り崩し、書記職員の合理化、強制配転であった。
 大会議案(方針)は賛成七十五、反対二十二、棄権一で可決。修正動議四本は否決された。
 書記職員の退職金にあてるということで提案されたスト基金の目的外使用のための規約改定には、「ストライキのための基金に手をつけるとは」という組合員の強い批判があったが「今回限り」との理由にもならない理由で可決。その他、本部は「連合加盟」にむけた各エリアへ同基金の取り崩しを目論んだが、断念せざるを得なかった。
 国労本部は昨年十一月、「本人の同意なく配転できる」という労基法以下の就業規則の変更を書記労と妥結。スタッフユニオン(全国一般東京労組加盟)と交渉継続中であるにもかかわらず、七月十五日に配転を強行した。本人との同意どころか打診もなく家庭環境への配慮もない、にもかかわらず「最善を尽くした」と言う。明らかに本部方針に批判的な書記に対する差別配転・出向である。当局の配転や合理化に抵抗してきた国労の歴史が葬り去られようとしている。新執行部には機動隊導入の張本人東京地本・酒田委員長、長野地本の吉田書記長が選出された。
 闘争団への査問委員会報告は、激しい野次と怒号に包まれた。寺内書記長は集約発言で、「不団結要素の克服は重要だが、一部闘争団とそれに同調するJRの国労組合員の行動には問題がある。四党合意が破棄されたのも不団結要素があったからだ」と述べ、組織混乱は闘争団とそれを支援する国労組合員に責任があるとしたのである。
 東京地本の青柳代議員はこの本部方針を厳しく批判し、「統一と団結は何のためにあるのか。九八年の補強五項目から四党合意に至るまで団結を破壊してきたのは本部ではないか。闘争団に対する生活援助金の打ち切りと査問委員会の設置こそ、団結の破壊だ。本部が闘いを放棄した以上、人生をかけてきた闘争団が独自の闘いを展開するのは当然のことだ。鉄建公団訴訟も闘い方の一つとして本部も取り組むべきだ」と述べた。
 権利停止三年の不当処分をうけたのは二十二人。鉄建公団訴訟原告団役員、闘う闘争団事務局、闘争団団長、機関役員を対象とするもので、内わけは北海道が十五人、九州が七人である。賛成六十四:反対十三:白票七:棄権十八。
 国労は今大会で闘争団の処分に踏み切り、数の論理で良識ある組合員の意見を封殺した。しかし、国労内の最大勢力である革同(共産党)の動揺は大きく、実際除名処分を目論んでいた本部派(チャレンジグループ)の権利停止への転換はその結果であろう。鉄建公団訴訟、最高裁第三者申し立ては確実に新たな国鉄闘争の扉をこじ開けつつある。国労内の再建グループや確固たる闘争団の決意は、運動的には国労運動の主流にある。そのことも明らかにした大会であった。 (岸本 豊)


鉄建公団訴訟原告などへの処分に対する抗議声明
鉄建公団訴訟原告団/国鉄闘争共闘会議


 国労本部は、九月十三日・十四日に開かれた第七十一回定期全国大会において鉄建公団訴訟原告と最高裁第三者参加申し立て者二十二名に対して、組合員権三年の権利停止の処分を決めた。
 処分は「国鉄労働組合規約第三十二条〈三〉に示されている『組合機関の決定に服すること』に違反したことにより、第三十三条四―(二)に基づき組合員権三年の権利停止とする」というものである。
 国労本部は「四党合意」以降の混乱の責任を、すべて鉄建公団訴訟を闘う闘争団に押しかぶせ、本部としての責任については、いっさい言及しないという無責任さである。そもそもの混乱の原因は、国労本部が、嘘と詭弁で幻想を煽り、解雇された当事者の意思を尊重せず、闘争団の苦闘の歳月と、その重さを省みずに、強引な手法で完全屈服の「大会決定」を押し付けてきたことにある。
 国労本部が、国家的不当労働行為による解雇に対する最高裁での闘いをいっさい行わないなど、政府、JRへの責任追及を放棄したことから、私たち解雇された当事者たちが、もっとも有効と判断した鉄建公団裁判や、最高裁への第三者参加申し立てをしたことの一体どこが査問に付されなければならないというのか。最高裁のこの第三者参加申し立てに関する決定においても「労働組合に所属する労働者は自ら救済申し立てをする権利」がある(第三者参加でなく)ことは、はっきりみとめられている。
 国家的不当労働行為に対して断固闘い抜くことは、私たちの権利であるとともに、労働委員会制度を維持発展させる上での責務でもある。更に、支援者の方々や、ILOに対する信義でもある。
 今回の処分は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」とする憲法三十二条に抵触することはもちろん、査問委員会の設置そのものがでたらめであり、民主的な組合運営の観点からも、重大な問題を含むものである。そして、戦後の混乱と窮乏の時期から半世紀以上にわたり平和と民主主義を守り、営々と闘い続けてきた国労の歴史と伝統を踏みにじる愚挙であり、国労綱領にも明らかに違反している。
 私たちは、このたびのいわれなき処分は断じて許さない。
 不当な査問委員会答申と、憲法を無視する愚かな処分を撤回させ、汚された組合員としての誇りと尊厳を回復するために、「法的措置を含む対抗手段」をとり、闘う決意である。
 二〇〇三年九月十六日
鉄建公団訴訟原告団
国鉄闘争共闘会議


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