| 米軍はイラクからただちに撤退せよ! かけはし2003.10.27号 |
ブッシュ政権がイラクに無法な侵略戦争を開始してから半年以上が経過した。「大量破壊兵器疑惑」ねつ造など、侵略戦争の不当性が日々明らかにされ、占領米軍のイラクからの即時撤退を求める動きはますます強まっている。労働運動からの反戦の動きも広がっている。
全占領軍のイラクからの撤退とイラク人民の自決権を支持する
シカゴ・戦争に反対する労働者(CLAW)
数千人の民衆を殺害し、無実の人びとに多大の犠牲を与え、米憲法に基づく法律と国際法を侵害した米主導の侵略とイラク占領は、今やワシントンDCの当局者にとってさえ不正と評価されている。
アメリカの数百万人のデモ参加者、USLAW(戦争に反対する全米労働者)など組織労働者の重要な部分は、アメリカの侵略に反対している。そして今や街頭で大衆的デモを行っているイラク人民は、公然と占領に反対している。
この占領は、米兵とその家族に苦難を強制し、退役兵士への恩給は十億ドル以上カットされているが、一カ月に四十億ドルが占領のために支出され、ベクテルやアメリカ荷役サービスといった戦争で不当利益をむさぼる企業には莫大な利潤が作りだされている。
さまざまな労働者組織とともに、シカゴのチームスター労組(トラック運転手組合)705支部は「米軍のイラクからの即時撤退」を要求した。
イラク経済は、IMFと世界銀行の指示によって、さらに占領軍の監督の下で、アメリカの多国籍企業によって私有化され、略奪されている。
われわれは、国民主権の原則に基づいて、またすべての外国による侵略と占領から解放されて、イラク民衆が自らの決定によって自国を統治する権利を支持する。
われわれは、多国籍企業による略奪に反対して自らの権利を守るためにイラクの労働者が自らの選択で労働組合を結成する権利を支持する。われわれはイラク前政権が批准したすべてのILOのすべての協定――とりわけ87条、98条――の履行を支持する。
米政府ならびに同盟国というその共犯者たち、そして軍事産業から利益を得てきたすべての企業は、打撃を受け破壊されたインフラ、サービスの修復と復活のために主権国家イラクへの財政的補償を提供しなければならない。最近の戦争・占領が引き起こした人道的必要への打撃、ならびに長年にわたる経済制裁が引き起こした百六十万人のイラク民衆の死に対する補償を提供しなければならない。
平和のための労働者全国集会とそこから生み出される全国労働者組織は、米軍と外国軍のイラクからの即時・無条件撤退を要求し、主権国家イラクへの外国による占領に反対するものである。
二〇〇三年十月八日
AFL―CIOに訴える――
政府の外交政策を批判せよ
サンフランシスコ労働評議会
ブッシュ政権は、イラク占領のために一カ月で最低四十億ドルを支出しており、アフガニスタン占領のために一カ月で最低十億ドルを支出している。さらにブッシュ政権は、議会に対して八十七億ドルの追加支出を要求した。
しかしAFL―CIO執行評議会は、アメリカの破滅的外交政策と、学校や診療所の閉鎖、すなわち公共性や労働者を犠牲にしたすべての公共サービスへの不十分な支出との内的関係について指摘することを拒否している。AFL―CIO執行部が、労働者が偉大な公民権運動に参加した経験、また現在、一部の労働者の敵意にもかかわらず、移民労働者を防衛し、組織してきた経験を忘れた「統一」の概念の下に、この決定を行ったことは明らかである。
AFL―CIOは、ブッシュを落とす意思を宣言し、カネ持ちへの大減税、数百万の雇用の海外移転や、NAFTA(北米自由貿易協定)やGATT(関税と貿易に関する一般協定)について労働者を教育する意思を宣言してきた。しかしAFL―CIOがブッシュ政権の無謀で軍事主義的な「帝国建設」を批判できないのは、われわれの居間にいる巨象を無視するに等しい。
最近イラクの失業者連合の指導者たちは、なだれのように広がる失業に抗議してデモをしたために占領当局によって逮捕された。そして大量破壊兵器はイラクで発見されていないし、これからも発見されないだろう。わが国のイラク占領をイラク人民が望んでいないことは明らかである。
したがって労働評議会は断固として、記憶にある限り最も右翼的な大統領が主導する外交政策の破滅的現実に反対する。したがって労働者は確固たる決意をもって、不法な占領を終わらせ、軍隊を撤退させ、イラクやアフガニスタンの人びとにすべての諸国民の権利である聖なる主権を返還することを任務とすべき国連にアメリカの権力を譲り渡すことを要求するものである。 二〇〇三年九月二十二日
映画「フリーダ」を見て
神奈川 S・M
八月にシネスイッチ銀座2で「フリーダ」(ジュリー・テイモア監督作品)を見た。『かけはし』八月二五日号(二〇〇三年。第一七九三号)に「映評」が載っているが、ぼくの感想も言わせてほしい。ストーリーについては省略したい。
これはフリーダ・カーロ(実在した人物。メキシコの画家。注1)の生涯(愛と芸術「障害」)を描いた劇映画だ。フリーダ(サルマ・ハエック)は女性であり「障害者」であり両性愛者だった。フリーダは自らの「障害」や女性としての感情を絵に描いた。絵を描くことがフリーダにとっては生きることだった。フリーダは自分の内面を描くことによって「宇宙」を描いたのではないか。
これは躍動感があふれる映画だ。民族音楽という言い方を真似るなら、これは「民族映画」だ。この映画は映像がカラフルで音楽も良かった。ただ、ぼくの誤解でなければ、この映画には「精神障害者」を差別するような表現(「クレイジー」)があった。それが残念なところだ。
ディエゴ・リベーラ(フリーダの夫。アルフレッド・モリーナ)はアメリカのロックフェラー・センターの壁画にレーニンの顔を描いたため、ネルスン・ロックフェラー(エドワード・ノートン)に解雇される。壁画は破壊される。ディエゴが「レーニンの顔を消せ」とロックフェラーに言われても消さなかったところがすごい。ぼくは、そう思った。
この映画の中で、レオン・トロツキー(ジェフリー・ラッシュ)は「偉大な人物」「立派な人」として描かれている。トロツキーはヒトラーもスターリンも、きっぱりと両方否定している。ただ、この映画の中にはトロツキーが「スターリンよりもヒトラーの方が優れている」という意味のことを言うシーンがある。トロツキーはナチズムに反対してソ連を擁護した。「資本主義の打倒、労働者国家の再生」のために闘った。「ホンモノの社会主義」のために闘った。トロツキーは本当にそんなこと(反共主義者が喜びそうなこと)を言ったのかどうか、疑問を感じた。また、この映画にはトロツキーが自分の無力さに打ちひしがれているシーンがあった。その点についても、ぼくは疑問を感じた。少し一面的な描き方なのではないか、と思った。
この映画の最後の方に出てきたフリーダの部屋にはマオ・ゼドゥン(毛沢東)の写真のようなものが飾られていた。フリーダ美術館にあるフリーダのベッドの枕元には、「マルクス、レーニン、スターリン、毛沢東の四枚の肖像写真が掲げられてあった」(堀尾真紀子さん)という。「フリーダ最後の未完の作品はスターリンの肖像画」(森村泰昌さん)だったという。フリーダは画家としてはすごい人だったかもしれない。フェミニズムから見ればすごい人だったかもしれない。だが、フリーダは政治的・思想的に見れば「革命的ではなかった」のではないか(注2)。スターリンやマオ・ゼドゥンの肖像はキム・ジョンイルの肖像とどこが違うのか。ぼくは、そう思う。
なお、この映画の原作(ヘイデン・エレーラ『フリーダ・カーロ 生涯と芸術』野田隆・有馬郁子訳、五八〇〇円+税)が晶文社から発行されている。フリーダ・カーロについては『フリーダ・カーロ 引き裂かれた自画像』(堀尾真紀子、中央公論新社・中公文庫、七二四円+税)という本も出版されている。また、『芸術新潮』九月号(二〇〇三年。新潮社。一三三三円+税)には「森村泰昌が語る 伝説の女性画家フリーダ・カーロのざわめき」という特集が載っている。フリーダの絵がたくさん載っている。
「フリーダ」/二〇〇二年/アメリカ映画。
注1。フリーダ・カーロについて。フリーダは、一九〇七年七月六日、メキシコのコヨアカンで、ユダヤ人の父とメキシコ人の母との間に、生まれる。乳母の手で育てられる。一九一三年、六歳の時に、小児麻痺にかかり右脚が不自由になる。一九二五年、一八歳の時に、交通事故(バス事故)で重傷を負う。以後、生涯に三十二回の手術を繰り返す。「フリーダの負った傷は、脊椎と骨盤がそれぞれ三カ所、右足が十二カ所骨折、鉄のパイプが腹部から子宮を貫通するというすさまじいものだった」(堀尾真紀子さん)。
一九二九年、二二歳で、ディエゴ(四二歳)と結婚する。一九三七年、トロツキー夫妻に住居を提供する。トロツキーと恋をする。一九四〇年、右足の指を切断する。一九五三年、右膝から下を切断する。四月、故郷メキシコで初の個展が開かれる。一九五四年七月十三日、四十七歳で、死去する。
死の十一日前、ディエゴとともにアメリカ(CIA)によるグアテマラへの内政干渉に抗議するデモに参加している。交通事故の後遺症のためか、中絶・流産を繰り返す。夫の繰り返される浮気に悩まされるが、自らも浮気を繰り返す。短い生涯に、約二百点の作品を描いた。
注2。フリーダ・カーロの政治的・思想的側面について。「やがて二人(トロツキーとディエゴ。引用者)の友情は、ある政治上の意見の食い違いをきっかけとして完全に崩壊した。ディエゴのトロツキーへの接近は政治的野心を孕んだ多分に対外的なものであった。その後ディエゴはトロツキズムに反対の立場をとるグループに近づき、のちにはスターリン派と結びつくという経過を辿り、フリーダもそれに同調している」(堀尾真紀子さん)。(10月13日記)
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