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地球温暖化問題-共産党系原子力学者・中島篤之助の腐敗(下)
                           
かけはし2003.10.27号

「ブッシュさんと同じ」だって?

温暖化防止の闘いに水をさす反動的主張

               

加速度的に進行する環境の危機

 今年の夏、フランス、イギリス、ドイツ、スイスなど夏の最高気温が例年二二〜二三度Cにしかならないヨーロッパ諸国を、四〇度Cを超える猛烈な熱波が襲った。それは、フランス保健省が八月二十九日、猛暑による死者が一万千四百三十五人という推計結果を発表したほどのすさまじさだった。熱波と干ばつはヨーロッパにとどまらず、インドや中国、台湾でも広がった。
 インドでは五月から六月、南部、西部で四九度C台に達し、数千人の熱射病による死者を出した後、七月上旬から北部では例えばニューデリーで過去一世紀で最高の多雨となった。中国では台湾と同様、上海で六十年ぶりの猛暑となる一方、中部の江蘇省などでは豪雨では大洪水が多発し、三千万人が被災した。日本では、気象庁が六月末に出した「今年の夏は例年より暑い」という三カ月予想が完全にはずれ、低温と日照不足が続いてコメなど農業に深刻な影響が出ている。
 激しい高温や低温、大雨による大洪水、干ばつといった「異常気象」はこの間、毎年必ず地球上の各地を襲っており、しかも年々その激しさの度を加えている。昨年夏は、南アジア、中国、北朝鮮、中部ヨーロッパ、ロシア、イランなど世界各地で極めて大規模かつ深刻な水害が発生した。中国では六月からの豪雨で二十五の省で一億二千万人が被災、ヨーロッパではドイツ、オーストリア、チェコ、スロバキアなどで数百年ぶりという大洪水となり、ドレスデンやプラハなど多くの都市の市街地が水没した。
 ここで気候変動のメカニズムについて詳述する余裕はないが、気温上昇による気流の変化は降水分布を変え、著しい多雨と激しい干ばつをもたらしており、「異常気象」はいまや常態化しているのである。北極海を覆う氷の量は、すでに四〇%も減少した。今世紀半ばには、北極海の氷は夏にはすべてとけてしまうだろうと予測されている。
 九二年の「地球サミット」は、このままでは地球環境の破局が到来すると警告し、「断固たる、そして緊急の全地球的な行動が不可欠である」と訴えた。先に触れたように、IPCCの九五年の報告書は、温室効果ガスの六〇%を占める二酸化炭素の排出量を直ちに五〇〜七〇%削減し、さらに削減し続けない限り地球温暖化を食い止めることはできないと提起していた。しかし、「断固たる、そして緊急の全地球的な行動」はその後も取られることなく、環境の危機は加速度的に進行してきたのである。

「枠内改革」路線のあらわれ

 ブッシュ政権は、「京都議定書に従えば、七〇年代の石油危機当時のような深刻な景気後退を招く」と主張し、議定書の枠組みから離脱した。日本の財界は「これ以上の省エネ投資は国際競争力の後退につながる」と主張している。常態化する異常気象と深刻さの度を加える気象災害の激発は、大量のエネルギーを浪費し続けなければ景気後退に陥る現代資本主義経済が、人類の未来を閉ざしつつあることを象徴している。
 日本共産党の「資本主義の枠内での改革」路線では、当然のことながら地球環境破壊との闘いは後景化する。広告代理店とあらゆるメディアに何兆円も投資して労働者人民の意識まで支配し、人間の文化的発展に不必要なものまで必要と思わせて浪費を強制する現代資本主義の大量浪費経済システムが存続している限り、「直ちに温室効果ガス排出量を五〇〜七〇%削減する」ことなどとうてい不可能であるからだ。
 党の規約から「革命政党」という規定を削除した第二十二回大会(00年9月)の「赤旗」紙面五面分にわたる長大な決議のなかで、「環境問題」と題する項はわずか十九行、しかも「地球温暖化問題」などは単語としても出てこなかった。
 来年一月に開催される第二十三回大会に提出される綱領改定案と不破の報告では、さすがに地球環境問題や温暖化について触れてはいるが、人類の未来がかかった一刻を争う緊急の課題としては全く打ち出されてはいない。
 確かに、現在進行中の地球温暖化のメカニズムについては、太陽活動量の変化との関連を含めていまだ解明されていない点も多い。たとえば、地球に到達する素粒子ニュートリノの測定によれば、太陽活動は八〇年代に入ってむしろ大きく低下しており、寒冷化が進行してもよさそうであるにもかかわらず、逆に猛烈な温暖化が進行している。だからこそこの温暖化が、人為的なものである可能性が高いのである。
 この問題で決定的に重大なことは、温暖化の進行によると思われる深刻かつ大規模な気象災害をはじめとする影響が、すでにさまざまな形で現われ、人類の存続の基礎となる地球環境に深刻な影響と被害をもたらし始めているということである。
 すなわち、今後の研究で温暖化のメカニズムの完全な解明がなされるまで対策を取らないとしたら、手遅れになる可能性が極めて高いということなのであり、だからこそ一刻も早く強力な対策が立てられ、実行される緊急の必要があるということなのである。
 中島篤之助が自ら「ブッシュさんと同じ」と言うとんでもない主張は、「資本主義の枠内」で現代資本主義社会が作り出した深刻極まりない人類的危機を解決するという日本共産党の誤った綱領路線の、いささか突出した「学問的」表現にほかならない。
  (9月20日 高島義一)


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