| 韓国 追加派兵問題 かけはし2003.10.27号 |
| 派兵許さず、「ただの1人もダメだ!」をスローガンに闘おう! |
胸がどきっとし、目の前が真っ暗になったことだろう。米国のイラクへの追加派兵の要求に最初に接したとき、彼ら、資本の分派ども、大統領、青瓦台と閣僚ら、官僚ども、ブルジョア政党の諸勢力は目の前が見えなくなったことだろう。
相手は米国だ。米帝国主義だ。要求内容は帝国主義の徴兵だ。米帝国主義の侵略戦争に合流させるのだ。国民を説得できる道理はない。根拠も、然るべき論理もない。どんな方法も、手にできるものはない。
最初、追加派兵要求の事実を確認したまさにその時、この国の支配階級たちは、そうだった。居ても立ってもいられなかった。まさに彼ら、資本の分派どもは、大統領は、青瓦台と閣僚ら、官僚たちは、ブルジョア政党の諸勢力は、韓米同盟の威力の前で、超国籍資本の脅しの前で一言も発することができず首をうなだれてしまった。
保守は大統領にゲタを預けた。大統領は国民世論に委ねた。閣僚や官僚らは、保守の論客らは、新自由主義の支配分派のラッパ手らは、ラッパを吹き始めた。いかさまの論理の組み立てに突入した。国益イデオロギーを動員した。実利論も出てきた。どうすることもできないとの悲観論も助長された。もっともらしい論理によって懐柔することや脅迫することもいとわなかった。エリートの指導論や、挙げ句には無条件論さえ持ち出した。北核問題と派兵を一緒に論じる、したがって韓(朝鮮)半島の平和論まで振りかざすというメチャクチャな話も登場した。経済副総理、国防長官、外通長官、駐米大使、統一部長官がシナリオでも組み立てたかのように入れかわり立ちかわり出演した。
そうだ。支配階級は、あらゆる手段を動員して派兵を強弁している。派兵に障害となり得るすべての所に、まるで命を賭けたかのように派兵のじゅうたん砲火を加えている。
追加派兵の問題は部分的で局地的な事案ではない。派兵は今後の階級闘争の地形の変化にたいへんな影響を及ぼすだろう。なぜ、そうなのか、まず今回の派兵は、その性格からして異なる。追加派兵は過去のすべての派兵、あまつさえ今春のイラク派兵ともハッキリと区分される。イラク追加派兵が大量殺傷兵器やイラク民主化などの名分にそったものでないことは、すでに明白となった。米国による同盟国への追加派兵の要請は、戦争を繰り広げても過剰蓄積の危機から1ミリたりとも脱け出せずにいる世界資本の運動の危機を、その本質としている。
英米帝国主義の政治的危機はイラク戦争ぼっ発以前から、すでに予告されていた。世界の秩序においての帝国主義国家間の利害の対立、世界の労働者民衆の反帝―反グローバリゼーション運動の高揚、イラク民衆の反発、イラク占領とその維持に伴う政治的、経済的負担の加重による英米帝国主義の政治的危機は日を追って一層、深まっている。そのうえブレア、ブッシュ行政府の国内での支持率の下落は、もう後がない。そしてこの国の支配階級は韓米間の政治的、軍事的同盟関係に強く縛られて派兵に関する限り、労働者民衆の利害と妥協するいかなる余地も持てずにいるというのが事実だ。
したがって今、労働者民衆の追加派兵反対は労働者民衆の生存、生活を守り抜く問題であり、新自由主義のグローバル化攻勢に反対する、引き下がることのできない闘争だ。労働者民衆の追加派兵反対闘争は、政治的危機に直面した英米帝国主義に深刻な打撃を加えるものであり、韓米の政治的、軍事的同盟に亀裂を与えるものであり、資本と政権の新自由主義グローバル化攻勢を無力化することであり、保守勢力と新自由主義改革勢力に深刻な政治的心理的打撃を加えるものであり、世界の労働者民衆の反帝―反グローバル化運動に活力を吹き込むものだ。これらすべてのことが一挙になされていく。現在、追加派兵反対闘争、派兵を阻止する闘争の意義は、このように重大なのだ。
米国の追加派兵が確認された瞬間、韓国の大部分の諸政治勢力は、これに中途半端な態度を表明した。ハンナラ党、統合新党から、市民運動、民衆運動の大部分が派兵に対する政治的立場を明らかにした。ところで初めは保守でさえ露骨に戦闘兵の派兵を語りはしなかった。青瓦台や大統領はいまなお断固たる態度を取れずにいる。伏魔殿のざわざわとした気運だけが高まっている。
9月23日、14団体の提案によって「イラク派兵反対非常国民行動」が緊急に構成された。民衆運動、市民運動勢力の大部分が派兵反対の声を挙げている。ところが追加派兵についての態度をめぐる政治勢力間の態度において微妙な違いが発生した。
最初、組織の名称に「戦闘兵」を挿入するのか、しないのかの問題が論争になった。「戦闘兵」を挿入しようとの立場は、そうしてこそ国民的公憤をより手にすることができるという主張であって、挿入すべきでないとの立場は、一切の派兵がダメだというものだった。「戦闘兵」の挿入を強調する勢力は主に市民運動勢力で、この背景には統合新党や制度圏との利害関係が作用しているものと推定される。したがって「非常国民行動」は今後、派兵をめぐるすべての政治勢力間の利害と対立がどう形成されるのか、また「戦闘兵派兵」問題がどう扱われるのかによって多くの影響を受けることになるだろう。
一方、改革新党や民主労働党は追加派兵の要請が伝わると、直ちに声明を出して国民投票を主唱した。改革新党や民主労働党が来年の総選挙を意識した態度を取るという点について、優勢な派兵反対の世論を活用するために国民投票の主張を展開するのは理解できないわけではない。だが追加派兵についての労働者民衆の初期の対応は追加派兵の政治的、情勢的性格を暴露すると同時に派兵の挙論を全面否定することでなければならない。これは今も有効だ。
ところで派兵の論議自体を拒否すべき時点で派兵論議の拡張を意味する国民投票を、それも実行の方案も考慮しない議題化だけを念頭において公式の立場として採択したのは極めて当惑すべきことと言わざるをえない。そのうえ民主労働党が発表した「戦闘派兵反対についての党の闘争指針」には、いかなる形態の派兵にも反対するとの意志が示されてはいない。
この時期、「戦闘兵派兵」を挙論するのは、どんな場合でも正しい立場とはなれない。いまは派兵なのか、そうでないのかという2つの立場だけが提起されなければならない。「戦闘兵」派兵の表現は、派兵なのか、そうでないのかという対立ラインを引くための、この時期の労働者民衆の闘争の準備をかき乱すということをハッキリとしなければならない。
支配階級の派兵の既成事実化は新自由主義の攻勢に立ち向かう労働者民衆の闘争に火に油を注ぐ檄だ。資本と政権の新自由主義のグローバル化攻勢に屈せず生存権、労働権、生活権争取のために闘争してきた労働者民衆の怒りが一層、高まっている。このような怒りは派兵反対、戦争反対の大きな声へと発展させていかなければならない。
派兵反対、戦争反対で闘争に踏み出す労働者民衆のスローガンは「派兵許さず、ただの1人もダメだ」でなければならない。これは帝国主義侵略戦争反対、派兵推進の新自由主義政権反対の意志を満天下に示すものだ。いかなる場合の追加派兵も容認しないということが労働者民衆の態度でなければならないし、いかなる場合の追加派兵も実行されないようにすることが労働者民衆の実践でなければならない。
「ただの1人もダメだ」。これは追加派兵の時期、形態、規模ばかりではなく、支配階級のすべてのイデオロギー攻勢や論難を終息させる当面の労働者民衆のスローガンなのだ。
今日から政府の立場が出てくる時点まで労働者民衆は、現政府がいかなる派兵も決定できないようにすることによって米国との政治的、軍事的同盟に亀裂を与えることを直接的な目標としなければならない。
10月中旬を前後して政府の立場が提出されるものと見られる。派兵賛成の諸勢力は持続的で漸進的な世論作りとイデオロギー攻勢を通じて派兵を既成事実化し、派兵なのか、そうでないのかではなく、「非戦闘兵派兵」、「非戦闘兵中心の派兵」、「戦闘兵派兵」のうちの1つを秤(はかり)にかける条件を作りあげていくだろう。だから労働者民衆は現在の有利な世論の条件を基盤として派兵賛成勢力のしゅん動を無力化することによってノ・ムヒョン政権の派兵の意思を根本から断ち切らなければならない。「派兵許さず」「派兵論議の封鎖」「派兵イデオロギー粉砕」を基調として政府の派兵決定を阻止するか、最大限遅らせるために闘争しなければならない。
政府が派兵の立場を決定する時点を前後として労働者民衆が全面的な対応を展開しなかったり、市民運動勢力が局面の主導権を握ることになる場合、ボールは国会に委ねられる公算が大きい。つまり国会での派兵決定をめぐる対立が中心の流れとなるだろう。対国会請願、促求を皮切りに派兵賛成国会議員の落選運動のような実践が頭をもたげることとなるだろう。
このような流れの現実化は、すなわち「ただの1人もダメだ」という労働者民衆の要求がうちくだかれるも同然だ。したがって労働者民衆は派兵決定時、「派兵政権退陣」という背水の陣を敷き、対応しなければならない。国会の派兵反対、国会議員の反対請願のような対国会闘争に集中するのではなく、ノ・ムヒョン政権の派兵決定の撤回に集中する闘争を展開しなければならない。労働者民衆は政府が派兵の立場を取ると同時に、即時に派兵政権退陣運動に突入しなければならない。
このような反戦闘争を展開するためには民主的、階級的運動陣営の連帯の強化と現場を中心とした力ある大衆行動を同時に実現しなければならない。現在「新しい反戦連帯(協議)体」の論議は「非常国民行動」の構成とともに足踏み、膠着状態におかれている。新たな反戦連帯(協議)体の提案が現場や労組での反帝、反米、反戦活動を強化し、消耗な論争や反目に染みついた連帯運動の弊害を克服するために提案され、推進されてきただけに、このような趣旨は、ぜひとも生かしていかなければならない。仮にも「非常国民行動」をもってこれを代替するだとか、状況に押されてしまうことがないようにしなければならない。
「非常国民行動」は追加派兵に対応している民衆運動や市民運動が網羅された一時的連帯体だという点において、その役割は極めて重要だ。だが「非常国民行動」は多様な政治的見解を包括しており、派兵の事案に制限されていて、上層の連帯を中心に進められているので現場や地域の実質的な労働者民衆の闘争を企画し実践するということにおいては弱さを持っている。したがって「非常国民行動」が派兵反対の実質的な闘争を展開できるようにするためにも、現場や地域を初めとした積極的な全階級的大衆行動の企画をともに実現しなければならない。
民主的、階級的運動陣営は「ただの1人もダメだ」という大衆的意志の結集と労働者民衆の大衆行動を企画、実行することに即刻、突入しなければならない。このために今日までの反戦闘争の蓄積された成果を土台として出発しなければならないし、特に9・27組織委員会の成果(注)は断絶することなく、より大衆的なやり方で継承発展できるようにしなければならない。
ところで大衆行動の企画において現場や労組の活動家がこの闘争の中心に立つことができるようにすることが重要だ。この実践において最も重要なのは現場活動家と部門、社会団体の活動家らがこの時期、派兵反対をイシューとした積極的な反帝反戦活動に積極的に乗り出すのか、そうでないのかにかかっていると言っても過言ではない。
また、上層レベルだけの対応とならないようにするために、地域活動に力を集中しなければならない。民主労総の産別連盟や地域本部が動けるように上下を問わず、あらゆる多角的な努力を傾け、長期的には堅固な地域の反戦連帯体の設置と、短期的には地域のさまざまな部門、社会団体、個人が現在の派兵反対闘争、さらには反戦闘争の主体として、すっくと立つことができるようにしなければならない。(「労働者の力」第40号、03年10月5日付、ユ・ヨンジュ政策宣伝部長)
注 9月27日、国際行動の呼びかけに応えて、410余の社会団体は「国際反戦共同行動」集会で「米国が国連の承認を得て多国籍軍の外皮をかぶったとしても韓国の戦闘兵派兵が正当化されるものではなく、ウソと証拠のでっちあげによる不法・不義の戦争は国連の承認があろうが、なかろうが不法・不義」だと主張した。この日、ソウルでは5千余人。釜山で約500人、仁川150人、全州で150人などが参加した。
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