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植民地支配への責任を問う!             かけはし2003.1.13号より

ピョンヤン宣言と拉致事件を在日朝鮮人はどう受け止めるか


 十二月十四日に東京(韓国YMCA)で「植民地支配の責任を問う!――9・17を語り在日朝鮮人の再生を目指して」と題した集会が開かれ三百人の在日朝鮮・韓国人、そして日本の労働者市民が集まった。この集会は九月十七日のピョンヤン宣言、そして拉致事件暴露を在日朝鮮人自身がどう受け止め、日・朝・韓の政治的思惑による枠組みを超える新しい在日の未来像をどう築いていくのかという時代的テーマのもと、「2003年在日宣言委員会」が主催する集会として開かれた。
 最初に金石範さん(作家)、徐京植さん(作家)、鄭英恵さん(大妻女子大)、佐藤信行さん(RAIK)の四人が発言。

金石範さん、徐京植さんらが報告

 金さんは国交正常化が全朝鮮を対象としたものでなければならないことを五十七年前の日本の終戦処理過程にさかのぼって明らかにし、植民地支配の歴史を「歴史の呪縛」と言い換えてそこからの「解放」を唱えて歴史の抹殺を図ろうとする動きを批判。
 「首脳会談に淡い期待を持っていたが国家に期待することの間違いを悟った。拉致事件に民族は関係ない。こういうことをやる権力者の下で暮らしている人たちはどうしているのだろうか。日本と北朝鮮が手を組んでやった帰還事業で北朝鮮に行った人たちはいまどうしているのだろうかと考えずにはいられなかった。当時、帰還事業を植民地支配の清算であるかのように報道したメディアの姿勢が今回の拉致事件報道にもつながっていないか。国なき民としての在日として私たちの手によって戦後補償のさまざまな闘いを模索していきたい」(鄭さん)。
 「9・17は自分が日本と南北朝鮮に分裂した存在であることを改めて自覚させられた。経済協力を謳っただけのピョンヤン宣言ほど私たちを軽視したものはない。在日朝鮮人は日本の植民地支配に対する歴史の生き証人として問いかけを続けていく」(徐さん)。
 会場参加者からの発言では、全国各地の在日の人たちの切実な、あるいは新鮮なさまざまな問題意識が提起された。川崎から来たというハラボジ(おじいさん)は「この集会を機に北にも南にもきちんとものを言える民衆交流を」と語り、若い世代は「既存の民族団体ではない民主主義を根づかせる本当の在日の組織を、私たちの民族的覚醒は中身はインターナショナルでなければならない」と訴えた。
 「拉致という北朝鮮の犯罪は在日こそが究明すべき。金正日独裁政権ではない民主化された北朝鮮との国交交渉を。そして私たちも選挙権を持つべき」「ピョンヤン宣言をきちんと批判すべき。植民地支配を認めた日本の謝罪と補償はもちろん、日本人自身が日本の国会決議で謝罪と補償を明らかにすべき」などなど。
 立錐の余地なく埋まった会場での熱気あふれる集会となり、ピョンヤン宣言による謝罪と補償の放棄に反対していく新たな闘いの出発を実感させるものとなった。 (A)


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