かけはし重要記事

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脱原発のチャンスを生かそう             かけはし2003.1.13号より

欠陥原発動かし2法案の成立強行を糾弾する

悪あがき許さず推進派を追いつめよう

 十二月十一日参議院本会議で『欠陥原発動かし二法案』が与党三党と民主党などによる賛成多数で可決・成立した。『欠陥原発動かし二法案』とは、「電気事業法と原子炉等規正法の一部を改正する法案」と「独立行政法人原子力安全基盤機構法案」を指し、両法案の廃案を目指して活動を続けてきた「原子力安全規制問題・国会プロジェクト」が命名したものだ。なお、「電事法・炉規制法改正案」は衆議院で修正されている。
 法案は数年前から原子力官庁・事業者・学者ら「原子力ムラ」のなかで論議されてきた内容だ。原子力ムラの御一同は、二〇〇四年四月を目標に制度化を計画していた「維持基準」の切り下げを、東電など「不正再発防止」を逆手にとって前倒しし、法律改正に臨んだものだ。
 「電気事業法と炉規制法改正案」の改定内容は、@不正があった自主検査を定期自主検査として法定化し記録の保存を義務化するA主務大臣は電力事業者から報告聴取ができるB担当大臣は安全委員会への一年ごとの報告を報告するC懲役刑(最高で三年)と法人重課(最高で三億円)を加えて罰則を強化するD維持基準は省令で別途定めることなどである。
 衆議院での修正は自民・公明・保守の与党三党と民主・自由の五党による。@の「定期自主検査」を「定期事業者検査」としAでは安全委員会も報告聴取ができるとし、Bの報告を四半期ごととするというもの。青森県はじめ、立地自治体からの「保安院を推進の経産省から分離せよ」との要請に対し、小泉首相は「保安院が経済産業省の中にあっても安全委員会のダブルチェックが機能しているから分離しない」と国会答弁をしている。いかにも安全委員会の権限が強化されたように見せかけ、立地自治体の要請をかわす役割を付け加えられたわけだ。
 また、「原子力安全基盤機構」の主務大臣は原発推進の経済産業大臣であり、東電などの不正を見逃した天下り公益三法人(原子力発電技術機構、原子力安全技術センター、発電設備技術検査協会)の機能の寄せ集め、中立とも第三者とも考えることはできない。
 『欠陥原発動かし二法案』成立を阻止することはできなかったが、Dの維持基準関係の省令や告示が整うのは〇三年十月が目標とされ、「原子力安全基盤機構」立ち上げも同じく十月と説明されている。
 一月六日現在、東京電力の原発十七基のうち、九基が停止している。昨年八月末不正発覚以降、運転再開できた原発は一基もないばかりか、残り八基のうち七基は三月末までに、残る一基(福島第一・六号機)も四月十五日には停止させねばならないとの説明を東電は行っている。
 「すべての原発を一旦止めて点検を」という地元要請を東電は受け入れ、運転再開も地元同意を前提としている。平山新潟県知事は運転再開を「維持基準」が出来上がってからとしており、また福島では佐藤知事はじめ地元の不信は全く払拭されていない現在、東京電力ではすべての原発が停止したまま夏のピークを迎える状況となることは必至の状況である。
 『はんげんぱつ新聞』を発行する「反原発運動全国連絡会」などは、統一地方選挙終了後の六月七日に代々木公園を会場とする大規模な全国集会の準備を開始している。『欠陥原発動かし二法案』は成立したが、「維持基準」はまだ出来上がってはいない。いまほど日本のエネルギー政策を脱原発に転換させることができるチャンスはないだろう。すでに開始した青森県知事選はじめ地域の闘いを六月代々木に集めよう。
(斉藤浩二)

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