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                           かけはし2002.2.4号より

02年政府予算案--「戦争国家体制」強化と新自由主義を貫く


 第百五十四通常国会(一月二十一日)が始まったばかりの二十八日深夜、衆院予算委員会において与党は、〇一年度補正予算案審議を単独で採決を強行するという暴挙を行った。補正予算案を早期成立させ、ただちに〇二年度予算案の審議に入り強行成立させようとしている。小泉首相は、〇二年度予算案について「国債発行三十兆円枠を守りながら、削減すべきは削減し、増やすべきは増やすというメリハリの効いた」内容になっているなどと発言している。だが、予算案の実態は、従来どおり日米共同軍事体制強化のための軍事費増、政財利権構造を温存したばらまき型公共事業費増に比重を置き、逆に社会保障・福祉・教育関係費の大幅な削減を行い、大リストラと失業を推し進めていく新自由主義政策が全面化された内容になっている。
 
 一般会計の総額は八十一兆二千三百億円(〇一年度当初比一・七%減)。歳入では、景気悪化で税収が四十六兆八千百六十億円(同七・七%減)へと落ち込んだ。その穴埋めのために小泉は「公約」であった国債の新規発行を三十兆円に抑えたと見せかけるために、「隠れ借金」(交付税特別会計の借り入れと償還延長、外国為替資金特別会計からの繰り入れ、日本中央競馬会特別納付金\合計四兆百七十億円)を行った。本当の国債新規発行額は約三十四兆円なのである。
 結局、国債依存度は〇一年度当初の三四・三%から三六・九%に上昇し、〇二年度末の国の長期債務残高も五百二十八兆円で、さらに国と地方を合わせると〇一年度末を二十五兆円上回る六百九十三兆円という巨大な額に膨れ上がってしまった。国民一人あたり約五百五十万円の負担額という計算が出てしまう状態なのだ。
 政府の借金財政が限りなく膨らむ一方で日銀は、一月十六日に物価下落と景気悪化のデフレ・スパイラル状況に対して大量のマネーを放出するインフレ政策を選択し、「量的金融緩和」策の継続、金融機関から国債を買い取る対象拡大(一年以内の銘柄でも買い取り可能)を決定した。これは米国のITバブルの崩壊などを通した急激な株価下落傾向に対して、金融機関への資金量を増大させ、企業への資金供給量を増やし、株価と物価上昇、円安を誘導するのがねらいだ。すでに昨年三月に初めての「量的金融緩和」措置に踏み切ったが、自ら作り出した不良債権で四苦八苦の金融機関が生き延びるために貸し渋りをせざるをえない状況だから、その成果があらわれないのも当然だ。
 金融危機は徐々に深刻な局面へと突入しつつある。財政破綻と停滞経済状態を反映して投資先のない日本からの資金逃避を加速化させ、アメリカへと拡大し、円・株・国債のトリプル安となり、やがて株と国債価格の暴落を引き起こす可能性が大きくなっている。事実、昨年十一月二十八日、米格付け会社S&P社が日本国債の格付けをAAプラスからAAに引き下げたとの発表を受けて同日の東京株式市場は三百二十四円の大幅安となった。このような悪循環を繰り返しながら、すでに始まっている大中企業倒産や破綻金融機関の関連倒産が続き、また大量の国債を持っている金融機関が新たな巨大な損失を抱えることによって金融危機が波状的に広がっていくのである。現在のような小泉政府の財政政策が続くのであれば不況下の物価高騰が続くスタグフレーションへと突入し、日本財政の根本的な破綻にいきつくことになる。
 このような財政破綻状況のなかで、予算案の一般歳出は四十七兆五千四百七十二億円(同二・三%減)で、四年ぶりに前年度を下回った。だが、以下の主な予算関係費は、従来通りの軍拡とバラまき型公共事業と社会保障切り捨て、リストラ促進の反動的な編成となっている。
 社会保障関係予算は十八兆二千七百九十五億円で〇一年度比三・八%増となっているが、本来必要だった上積み額が九千四百億円だったものを二千八百億円カットしたうえでの数字だ。小泉は、昨年五月の所信表明で「これからは給付は厚く、負担は軽くというわけにいかない」と脅迫し、社会保障の自己負担の増額を強要している。それは高齢者の医療費負担引き上げ、定額負担制度の廃止、低所得者も含めた負担上限の引き上げ、健保本人の三割負担などと目白押しで具体化しつつあるのだ。さらに国立病院の統廃合を強行し、医療サービスの削減、医療労働者に対するリストラ攻撃を強化しようとしている。
 厚生労働省予算案のうちの失業対策費は、四千八百七十二億円で〇一年度に比べ一三・六%増であるが、完全失業率が実質的に六%を越えている状況下においてあまりにも少額な予算措置だ。改悪雇用保険法によって失業給付を大幅に削減しつつ、資本のリストラ促進と雇用流動策を支援するための諸制度に予算をつけている。職業訓練期間中でも失業給付が受けられる制度の拡充が必要なのに、これもまた七百三十六億円という少額の予算措置でとどまっている。
 リストラ拡大化と大失業状況であるからこそ、労働者民衆のために社会保障・失業対策関係費の増額が求められている。しかし、小泉政府は、新自由主義路線の貫徹という立場から社会保障・失業対策関係費の徹底削減を行おうとしているのだ。
 文教予算も同様に、五兆五千二百二十四億円で百二十四億円(同〇・二%減)も削減している。例えば、親がリストラ攻撃に合い、学費が払えなくなり、やむなく中途退学する学生が増えているのに国立大学の授業料を大幅値上げしたり、無利子奨学金の貸与枠減など「受益者負担」を押しつけているのだ。
 さらに許しがたいことに文科省は、私立学校への統制強化に向けた経常費補助の意図的編成、産学協同路線の一環である大学「トップ三十」構想、「学力向上フロンティア事業」「スーパーハイスクール」事業などの能力主義と国家主義的教育の強化にむけた諸事業計画に多額の予算をつけている。
 公共投資関係費は、九兆二千五百二十億円で前年比一・七%減となっているが単価の見直しやPFI(民間資金を活用した公共事業)方式によって事業量は確保している。さらに、〇二年度予算案と一体で大型幹線道路や空港建設など従来型の公共事業を積み増した〇一年度第二次補正予算案(二兆六千三百九十二億円)を提出しており、族議員や大資本、ゼネコンらにとっては満足な予算措置になっているのだ。小泉政府は「公共投資削減」とコマーシャルしたが、「構造改革に資する重点分野に注力して社会資本の整備をおこなう」と居直り、借金を増やしながらカネをバラまいていく公共事業を繰り返している。
 とりわけ重点的に配分されたのは、成田・羽田・関空・中部などの大都市拠点空港建設と関連事業、幹線道路建設など人権・生活・環境破壊のための「都市再生」関係予算だ。さらにダム建設反対が大きくなっているため調査段階のダムについては予算抑制し、批判をかわしつつ、熊本県川辺ダム建設に関しては国が県に対して強制収用を申請することにみられるように大型ダム建設についてあくまでも建設を強行しようとしている。いずれにもしても借金返済の展望が全くないまま財政破綻の拡大に寄与している。
 軍事費は、内閣官房予算に計上している軍事偵察衛星開発のための情報収集衛星予算六百七十七億円を加えて五兆二百三十七億円と増額し、海外派兵のための軍備装備の拡充を強めている。中期防衛整備計画にもとづいて空中給油機四機分の一機の頭金千二百二十二万円、イージス護衛艦一隻分千四百七十五億円の頭金二十一億円を計上した。さらにC1輸送機後継機開発費三百四十四億円、戦略ミサイル防衛(TMD)の日米共同技術研究経費六十九億三千万円等々と膨大な軍事予算を立て続けに確保した。
 また、日米共同軍事体制強化にむけて在日米軍駐留経費の「思いやり予算」が二千五百億円、沖縄米軍基地強化のための日米特別行動委員会(SACO)関係費が百六十五億円、名護市米軍新基地建設に向けた調査費等が三十億八千万円、浦添市新軍港建設調査費二千二百万円など次々と巨額な財政的バックアップを行っている。
 科学技術関係費は、文字通り資本の利潤増のための新商品開発に向けた科学技術振興費の増額を柱に総額で三兆五千三百八十七億円となっている。原子力関係予算も四千八百億円で前年度より百四十六億円も上積みし、とりわけ経済産業省の原子力立地推進費が千百五十九億円、立地住民買収費用が百二十七億円にするなどいずれも増額し、原発開発拡大予算措置を行っている。原発事故のひん発化状態に対して多くの民衆が原発はいらないと抗議し、大きくなっているにもかかわらず、真っ向から対抗するために原発建設推進予算をつけたのである。
 小泉政府は、結局のところ国債発行を繰り返し、借金を雪だるま式に膨れ上がらせる手法を継承しながら、「持続可能な財政への転換を図るためには、歳出面の改革を推進しつつ、受益と負担の関係についても検討が求められる。目の前の痛みを恐れて問題を先送りすることは許されない」などと叫び、自らが作り出してきた泥沼状態の財政破綻問題を棚上げにして、そのツケを民衆に転嫁する消費税大増税をねらっている。すでに塩川財務相が「直接税を軽減して間接税にウェートを置く必要がある」と強調している。また政府税制調査会(一月十七日)は、大企業・金持ち優遇のための課税最低限の引き下げと消費税増税を主張している。竹中経済財政担当相は、自著の「みんなの経済学」で「消費税は最低でも十四%」への引上げが必要だと公言しているのだ。
 消費税大増税の策動や反動的な予算案を強行成立させようとする小泉政府を批判し、軍事費やゼネコンを優遇した公共事業費の大幅な削減、大資本のための政策反対を掲げ、労働者のための福祉・教育・雇用関係費などの増額をかちとるための闘いを前進させていこう。
 政府予算案反対! 消費税増税を許さない! 小泉政府を打ち倒そう!
 (1月28日 遠山裕樹)

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