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韓国はいま                     かけはし2002.1.21号より

「東北アジアの平和」を撃沈

日本政府の軍事力拡張の欲望をあらわにした公海上での武力行使


 日本の「小泉」は米国の「ブッシュ」に似ていくのだろうか。両国ともに経済はぐずついているのに軍事部門の膨張を手がつけられないほどに押し進めている。日本の沿岸警備隊が昨年十二月二十二日に怪船舶を撃沈した事件は周辺国に憂慮をかもし出している。日本政府の軍事力拡張の欲望をあるがままにしたのでないのか、との指摘だ。
 今回の事件は怪船舶の発見から沈没まで、すべて領海外の排他的経済水域(EEZ)内で起きた。排他的経済水域とは自国の沿岸から二百海里までの水域に対して天然資源の探査・開発および保存、海洋環境の保存や科学的調査活動など主権的権利を認める国連海洋法上の概念だ。海上保安庁の巡視船は日本の排他的経済水域を侵犯した船舶を追って中国の排他的経済水域に侵入し船体への射撃を加えることによって外交的な論争まで引き起こしている。

はたして「正当防衛」だったのか

 日本は昨年十一月、海上保安庁法などを改め、日本の領海で検問に応じず逃走する船舶に対しては船体への射撃ができるようにした。けれども領海外では正当防衛の場合を除き相手方の乗務員を威嚇したり傷つける射撃などはできなくなっている。
 日本政府は今回の怪船舶撃沈を「正当防衛」だったと主張している。日本の経済水域を侵犯した船舶は経済水域外で引き続き追跡権が認められる、と強弁する。けれども相手方がまず攻撃してきた場合は正当防衛と見ることもできるが、そうでなかったのに経済水域内で船を停止させるために威嚇射撃によって撃沈までするのは過剰対応だと専門家らは指摘する。
 だが日本の警備隊は怪船舶の生存乗務員を救おうとしなかったことが明らかになっている。リチャード・メックノリン米ミシシッピー大・海洋法専門教授は「どこの国であれ、自分たちの排他的経済水域内で他国の船が不法漁労作業をしているのを阻止できるが、それを執行するためにどんな種類の強制措置を取ることができるかを規定した国際法はない」と語る。
 専門家たちは、過剰な軍事対応も問題だが、この事件を口実に日本政府が自衛隊の武装を一層強化しようという腹づもりを示していることについて、舌を巻いている。小泉総理は今回の事件が日本軍の武器使用についての規制緩和の必要性を立証した、と声を高めた。他の諸閣僚も日本軍の火力を防御的目的にのみ使用するように制限している各種の諸法規を強く非難した。
 日本側が先に被害を受けていない限り応戦できないようになっている現在の法体系も変える予定であり、海上保安庁に委ねてきた沿岸警備の権限を海上自衛隊に相当部分を委ねる計画であることが明らかになっていて、自衛隊の活動範囲も一層広がる見通しだ。しかも今回の事件は二〇〇二年の通常国会に提出されるものと予想される有事法制の内容にも影響を及ぼすものと見られる。それこそ日本内部の好戦勢力らは9・11米国テロに続き、自衛隊の力を増強するもう一つの好材料に出合ったわけだ。
 日本は昨年十月、戦後五十年余り固守してきた専守防衛と集団的自衛権の不行使という安保の原則の大変化を予告する「テロ対策特別措置法」を作った。これは自衛隊を第三国の領土ならびに領空にまで進出できるようにし、武器使用の範囲も大幅に広げたのだ。いまこそまさに自衛隊が「自衛」の境界を完全に踏み越え始めたのだ。同法によって日本は海上自衛隊の補給艦一隻と護衛艦二隻をインド洋に送り、テロ戦を展開していた米軍を支援した。
 そればかりではない。自衛隊の初の海外派兵以後、平和維持活動(PKO)協力法や自衛隊法を改め、自衛隊の武器使用の基準を緩める一方、活動範囲を大幅に広げた。自衛隊はこれまで小銃や機関銃など最小限の武器だけを使用できたがいまやロケット砲さえも携帯できるようになったのだ。また、これまで後方支援にのみとどまっていて自衛隊が取り組めなかった日本のPKO活動が@停戦および武装解除の監視A緩衝地帯の駐屯および巡察B武器搬入および搬出の検査C放置された武器の回収D地雷除去作業などの準軍事的な分野にまで可能となった。

過小評価できない日本の軍事力

 小泉政府は二〇〇二年の初めには、このような余勢をかって、今日まで「戦時総動員法」だとの激しい非難を受けてきた有事法制を作り、有事の際に自衛隊が民間の土地や空港施設などを使用できる法的根拠を用意する態勢だ。国民総生産(GNP)の一%以内に縛られていた防衛予算の上限ラインも破った。いまや究極的に自衛隊の正規軍化と海外派兵の正当性を確保するために事実上、軍隊の保有と戦争放棄を規定した平和憲法九条を改めようとするだろう。これに成功したなら国連安全保障理事会の常任理事国に進出しようとするだろう。このようなシナリオがそのまま実現すれば日本は、それこそ名実ともに備えた軍事強大国の座に上ることとなる。
 事実これまで日本の安保専門家たちは、少なくとも軍事的側面において日本は自主独立国家ではないと嘆いてきた。もちろん韓国のように、自衛隊の作戦権や指揮権が駐日米軍司令官に委ねられていたわけではない。したがって駐日米軍司令官が自衛隊を指揮することはできない。自衛隊と駐日米軍は連合軍体制によって束ねられているわけではないがゆえに、独自的に行動できるのだ。けれども自衛隊は第二次世界大戦の敗戦国という〈くびき〉のゆえに正規軍への変身はできなかった。そうは言うものの、いまや事情は大きく変わっている。自衛隊の兵力は多くはないが持続的な防衛費の投資や世界最高を誇っている精密技術の能力に助けられて、質的には中国、ロシアなどの周辺軍事大国に伍してひけを取らないとの評価を受けている。
 兵力二十三万五千六百人と予備軍四万六千人で編成されている自衛隊は九九年末現在で三百六十三機の戦闘機と十六隻の潜水艦を含む百十隻の艦艇を持っている。日本の軍事力を爆撃機がないからと言って過小評価する場合がある。
 けれども軍事専門家たちは、目標物を破壊するためには、かつてのように大量の爆弾を必要とはせず、精密度の高い一〜二個の爆弾があれば充分だと語る。このように現代戦は正確さが命だ。正確さを統制するのが電子装置であり、半導体技術は電子装置の核心部分だということを考え合わせるとき、汎用技術によって日本の先端半導体技術は加工する軍事力の基盤となるだろう。
 日本政府は一九七六年に「防衛大綱」を発表して以来、五年単位で「中期防衛力整備計画」を立て、防衛力を絶えず増強してきた。二〇〇一年〜〇五年の中期防衛力整備計画」には@P3対潜哨戒機とC1後継機開発(三千四百億円)A最新鋭ミサイル護衛イージス艦二隻導入(二千八百億円)B哨戒ヘリ機搭載空母級護衛艦(一万三千五百トン級)二隻導入(千九百億円)C空中給油機四機導入(九百億円)D情報技術革命に対応した小型軽量戦車開発(五百億円)E迎撃戦闘機F15の現代化(二百五十億円)などが盛り込まれている。特に日本は北韓の九八年の長距離ミサイル実験発射や怪船舶事件を契機に新型ミサイル艦艇を導入し、哨戒ヘリ部隊と特別警備隊を新たに編成した。

日本社会の右傾化の雰囲気も一役

 また日本政府は今後五年間に十七億ドルを投じて四機の諜報衛星を国内で自力生産する方針を決めた。この衛星の解像度は一平方メートル程度で、米国の軍事衛星の解像度十五センチメートルには及ばないものの、日本が自ら開発するという点で耳目をひきつけている。専門家らは日本の技術力から判断すると世界最高レベルの解像度を持つ諜報衛星の開発は時間の問題であり、航空宇宙力と情報体系の役割が重要視される未来の戦場で日本軍の力と比重は一層強大になるだろうと見ている。
 小泉総理が登場するとともに、このような軍事主義への独走が可能となったのは、何よりも日本社会全体の右傾化・保守化の雰囲気が一役、買っている。日本国民の間では他の国のように国旗(ヒノマル)や国歌(キミガヨ)はもちろんのこと、正規軍も持っているべきだという「普通の国家論」が根底に流れている。周辺国家の憂慮の声にはどこ吹く風で小泉総理は靖国神社を参拝し、歴史教科書の歪曲を放っておくのは日本社会の右傾化の動きを端的に見せつけている。
 これに加え、日本軍を再武装させてアジア・太平洋地域の防衛負担を減らそうとするブッシュ政府の日本重視政策も日本の全般的な保守化に少なからぬ影響を及ぼしている。日本は脱冷戦以降、新たに浮かび上がっている不特定の脅威を考慮して、米日安保体制を土台にして自衛隊の役割を日本の防衛ばかりではなく周辺地域や世界的なレベルへと広げる全防衛戦略を推進している。
 一部の野党や市民団体などが日本の再武装に反対する声をときおり出してはいるものの力不足に見える。辛うじて最大のけん制勢力と言える社民党は昨年七月の参議院選挙で大敗し、群小政党に転落してしまった。九〇年の湾岸戦争のときまでは日本の国民は、そのほとんどが自衛隊の海外派兵に反対した。米国が執拗に海外派兵を要請したけれども、日本政府としては国民感情のゆえに、のらりくらり対応するしかなかった。そのような日本が最近の9・11テロ事件のときには米国の派兵要請を受けるやいなや、法制定から派兵までわずか二カ月という超スピードで処理した。国民からの反対の声が以前のようには高まらなかったからだ。日本軍の軍靴の音と銃声が東北アジアを緊張させている。(「ハンギョレ21」第391号、02年1月10日付)


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