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                           かけはし2002.1.1号より

闘う闘争団への解体攻撃を許すな

JR東設備メンテナンス3300人削減合理化と大会後の国労本部の反動化


「闘う闘争団」を「主要敵」として

 十月十三〜十四日の全国大会で、追加方針を含む「四党合意」再確認方針の議案を多数決承認で乗り切った「四党合意」推進多数派は、大会以降「闘う闘争団」を解決の主要敵とした攻撃を強めている。
 十月大会直後に発行された「公益企業レポート」で寺内書記長はインタビューに答え、大会冒頭に出された追加方針の意図について「一月続開大会での追加方針にある『最高裁での判断を公正に行わせる』とした内容を、外部(自民党の甘利元労相)外部から矛盾と指摘されたということで『改める』と訂正した」と述べた。その上で解決水準についても「『高い』『中間』『低い』という環境があれば、『低い』という環境の中で努力していく」と発言しそのねらいを明らかにした。
 その上で「解決に応じない組合員に対しては厳しい態度で臨まざるを得ません」と付け加えることを忘れてはいない。十一月二十八日の中央執行委員会で、最高裁闘争を「改める」から「撤回する」と「方針変更」したと報じられた問題を闘争団から追及された寺内書記長は、「同じ意味だ」と開き直りに終始した。発言の意味する内容は裁判の取り下げの布石を打ち、どんな水準であろうとも(限りなくゼロ回答でも)強引に受け入れようとしているのだ。

四党合意推進派の一層の反動化

 大会後の各級機関の定期大会で「四党合意」反対派は、十月末の東日本エリア大会でも、十一月中旬の東京地本大会でも「四党合意」撤回を主張し、三役選挙や執行委員選挙に対立候補を立ててそれぞれ三分の一の得票を得ている。このような「四党合意」反対派の攻勢に対し、本部多数派を中心とする「四党合意」推進派は一層反動を強めている。
 本部は十一月十六日付けで二つの指令を発した。両方とも「闘う闘争団」を「国労から離れた別組織」「四党協議に重大な影響を与え解決交渉を進めるうえでの障害になっている」と断じた。その上で指示十一号では「闘う闘争団」の鉄建公団に対する新たな訴訟の動きに対し「組織の力を分散させる」「政治の場での政府の責任による解決を柱とする大会方針に逸脱するもの」として訴訟参加を取りやめるよう指示した。
 また指示十二号では二百十二人に及ぶ最高裁への第三者参加が「解決交渉を進めるうえでの重大な障害になっている」として「闘う闘争団」の解散と「参加申し立ての取り下げの委任状」を本部に提出するようどう喝している。このように、解決を遅らせているのは政府与党・JRではなく「闘う闘争団」にその責任があるかのようであり、本部は政府与党JRの代理人の様相を呈しているといってよい。
 十一月十六日、本部は新社会党十月大会での「闘う闘争団」支援の方針案決定に対し「国労大会方針を否定するもので『引き回し介入』である」として「撤回」か「棚上げ」を申し入れたが、インターネット情報によれば申し入れは拒絶されたようである。

闘う闘争団をののしる革同

 「四党合意」賛成派の革同(共産党)グループは「闘う闘争団」プラス反対派の「闘争方針」について全面的に批判し中傷する学習討議資料を発行し、組織固めを行っている。学者文化人、弁護士を総動員して書かれたであろう分厚いパンフで「闘う闘争団」プラス反対派の「闘争方針」を「ILO対策も甘いどころか幻想に酔ったほら話」「絵空事とはこういうことか」「ゲーム遊びに過ぎない『闘争スケジュール』を生みだした主観主義」などと薄汚い言葉でののしっている。
 その上で、ILO第二次勧告の修正は不可能、裁判は絶対に勝てない、どの政党も相手にしない、闘う法的手段も根拠も道義もないと述べ、ILO第二次勧告の「関係する労働者が公正な補償を受け入れられるよう保証する」との結論にすがりつくだけの方針を展開している。それがあたかも「四党合意」で実現可能であるかのようである。10・31ILOシンポジウム報告集も同じ内容で貫かれており、二つの敗北主義に貫かれたパンフは彼らのバイブルである。しかし革同の一部は頑強に「四党合意」に抵抗していて、新橋支部では執行委員選挙で調整ができない事態も生み出している。
 本部と「四党合意」推進派は年内最高裁上告棄却、それによる政治解決の破産という危機を煽り立てて、「四党合意」による政治解決方針が粉々になることを恐れ、より凶暴に「闘う闘争団」解体攻撃を強めているのだ。

「第二の分割民営化」計画

 一方、JR東日本では第二の分割民営化ともいわれる設備メンテナンス(運転・車両、電気・通信、建築、機械、保線などの検査・保守業務)三千三百人削減大合理化が段階的に実施に移され始めた。それはJR東日本がニューフロンティア21計画で打ち出した、五年間で一万人削減という民営化後最大の大合理化の始まりである。
 八王子支部では十一月、新橋支部では十二月一日段階的実施の始まりの段階で、まだ全体像を描くことはできないがそれは国労組織に大きなダメージを与えることは必至である。それは直轄で残しておかなければならない管理・運営の業務以外ありとあらゆる相対的に国労の多いメンテナンス業務を、労働者ごと出向という形でアウト・ソーシング会社(JRで言うパートナー会社、グループ会社)に外注化する攻撃である。六十歳以上の「シニア社員の雇用の確保」と言う名目を立ててはいるが、若年出向者も多数出ている。それはひたすら人員削減とコストダウンのためにのみ行われる。
 そしてJR直轄業務も整理統合してしまおうという計画で、来年三月実施の保線のメンテナンス合理化では再び余剰人員さえ生み出そうとしている。六十歳定年制で最長三年の出向協定が締結されているが、転籍や片道切符がほのめかされている。
 出向先の就業規則や労働条件、安全対策はパートナー会社ごとに大きく違うが、交渉権は上部機関に限定されている。分会が構成されている職場が出向や整理統合での不当配転でばらばらにされ分会機能を麻痺される。かろうじて分会を構成していた職場は解体を迫られる。
 しかも出向先やJRに残った職場の再編で不当な国労組織解体攻撃が含まれていることが判明している。分会役員か否かまた「四党合意」反対か否かで差別人事が行われる。地本は組合費の徴収がはん雑になるという理由で賃金の銀行振込、二十四協定による組合費の天引きを提案する。それは組合員の集会、話し合い、交流の場を喪失させる。
 このように、三千人メンテ合理化は国労分会組織の再編まで揺さぶり国労の足元を掘り崩す攻撃になりかねない。組織整備と企業内労働組合運動からの発想の転換が急務だろう。この合理化に対し、上部機関は大衆行動を控え交渉重視で、八月には基本協定の文書確認、妥結を図ってしまった。何の障害もなくこの大合理化に成功するなら、第二第三の人員削減合理化攻撃に弾みがつくだろう。このような人員削減合理化は、JR西日本では五年で九千人削減合理化、貨物六千人体制合理化として打ち出されている。第二第三の分割民営化攻撃といわれるゆえんである。

国労からの集団脱退の動き

 このような時期に長野地本で国労からの集団脱退行動が勃発した。十月大会前は秋田地本チャレンジグループの脱退騒動が持ち上がっていたが、一月続開大会まで本部執行委員で「四党合意」推進派だった新井前中央執行委員を中心として、一支部執行部が総辞職すると同時に、十二月始め、JR東日本ユニオン結成準備委員会名のジェイアール東日本ユニオン結成趣意書なる文書が広められた。
 趣意書では「全国大会では基本的な路線刷新と自己改革が求められながら本部執行部は及び腰に終わった」と総括し、「国労内部の自己改革は絶望的であり」「国労運動は終焉したものと判断する」と断じ、「安全、安定のためには健全にして安定的な労使関係の構築が不可欠」と述べてそれを脱退の理由としている。五十から六十人は参加するだろうといわれている。
 名称と趣意書から推測できる限りでは、旧鉄産労に合流しそして早晩JR連合に参加するだろう。全国大会の直前、採用差別問題で「四党合意」はどんな水準でも丸呑みし、九八年大会の補強五項目(裁判の取り下ろしや名称変更など、連合路線に踏み込む内容)を推進すべきと主張する文書を全国に配布した新井前中執ならではの内容である。
 しびれを切らしたこの国労からの脱退行動に対し、長野地本(八百人)委員長は組合員への訴えの中で、「解決案」の提示に至らないのは(もう裏では出ている?)「一部闘争団がその原因」と責任を「闘う闘争団」にすり替えた上、「心情は理解できる」がまだ早い、と弱々しく脱退行動の中止を要請し、その中で「半年ぐらいがきわめて重要な時期」で「どのような状況になっても地方本部は一本にまとまって対応していく」と主張している。
 この意味するところは重大である。秋田地本や盛岡地本に火種が飛ぶ可能性は大きく、修善寺大会を失敗と総括するチャレンジグループの一部はなだれを打って後に続く可能性がある。一万人人員削減合理化攻撃前段で恐怖のあまり「安定的労使関係を作る」と資本の軍門に下るということは、リストラ解雇を容認する道であり決して雇用を守ることはできない。
 JR東日本にとって「第二の鉄産労」の扱いは一時だけの使い捨てに終わるだろう。革同の「四党合意」賛成派を除く四党合意推進派の大半を占めるチャレンジグループの崩壊の始まりは、国労本部多数派を混乱の極に叩き込んだ。JR資本と政府与党は国労が自壊することを願い、色々手を入れてはかき回し高みの見物を決め込むだろう。
 「闘う闘争団」は十一月末に全国交流会を約百人の結集で成功させ、不退転の決意で解雇撤回・JR復帰の闘いをあらゆる脅しをはねのけて闘いぬいている。ILOへの再取り組みと裁判闘争の再建、政府与党・JRに対する大衆行動の再建を軸に、納得いく解決をめざして闘い抜こう。国労の闘いの旗を堅持し「闘う闘争団」プラス反対派の闘う闘争方針のもとに結集しともに闘い抜こう。 (01年12年6日 蒲田宏)


追記


長野地本での国労脱退行動への本部の対応

 十二月六日、本部から長野地本の国労脱退・新組織結成に関する見解として「『政治の場での解決』をめざして総団結しよう」という声明が出された。十一月二十八日には、中央執行委員会の決定として「第六十八回定期大会方針の再確認に等について」という指示二十一号が出されている。そして東京地本からは、本部の指示二十一号の周知徹底と加えて具体的取り組みを示した地本指示十号が公表された。
 長野地本で発生した国労からの脱退新組合結成に関する見解の本部声明は、「闘う闘争団」による最高裁への参加申し立てや鉄建公団相手の訴訟準備を「全国大会方針を真っ向から否定する行動」、「相手方に対して、本部の『当事者能力』をあげつらい、交渉遅延を正当化する口実を与えている」と中傷している。
 また新組織結成の呼びかけにある「闘う闘争団」への非難を「その非難は全面的に正しく、彼らの行動が最悪の情勢を招きかねない」と理解を示し、しかし「『脱退新組織結成』はどう言いつくろってもどう正当化しようとしても、国鉄闘争の放棄であり」「闘争団・家族を見放すこのような行為を、断じて許すことはできない」と述べている。
 しかし国労脱退・新組織結成「呼びかけ」の撤回や行動の中止を求めてはおらず、また首謀者の除名処分発動にも触れず、本末転倒にも「闘う闘争団」の解散と「参加申し立て」の取り下げを求めているのである。長野地本やその他で起きた国労脱退と新組織結成の責任のすべてが「闘う闘争団」の行動にあるということを証明するために費やされていると言ってよい。
 ところで、脱退・新組合結成者の最近明らかにされた内部文書にある注目すべき点を一つだけあげておこう。彼らの労働組合主義について「経済の現実からスタートする労働組合主義(利益の配分を一に株主配当、二に設備投資、三に内部留保、四に社員の賃金・労働条件の優先順位とする)に徹するJR労働組合の再編が求められている」とわが目を疑うような文章が書かれている。
 しかし本部多数派は彼らが、つい最近まで強力な同志だったためにその点については知らぬふりを決め込んでいる。
 本部指示二十一号は@第六十八回定期大会の再確認について(一)一月二十七日の第六十七定期(続開)大会で決定した追加方針の「最高裁での判断を公正に行わせる」については撤回する。(二)採用差別事件以外の改革法に関わる事件については、速やかに和解がはかられるよう取り組みを強化する。A一部闘争団員の新たな訴訟などに対する対応について(一)訴訟が起こされた場合、原告等については規約に基づき処分の対象とし、直近の中央委員会・全国大会で査問委員会の設置を求める。(二)その間、中央委員会の権限(緊急措置を含む)について対応をはかる。(三)二百十二人の最高裁に対する追加申し立てについては、全員の取り下げを求めて、さらに取り組みの強化をはかる――としている。
 東京地本指示十号は加えて、@本部指示二十一号について、全組合員に周知徹底を図ることA各支部の闘争団員に対して指示の内容について徹底を図ること、なお地方本部は十二月十七日に東京闘争団との「打ち合わせ」を行う予定である――と指示指令を発した。
 本部多数派を中心とする四党合意推進派は、拠って立つ基盤のチャレンジグループの崩壊を食い止めるために、「闘う闘争団」の排除と国鉄闘争の解体に向け闘争団員の査問や厳しい処分の実行、除名処分を含む脅迫や同調者の査問のエスカレートとして、その反労働者的な姿をむき出しにしてきている。それは国労の闘う財産を破壊し尽くすことである。彼らは解決を遅らせている元凶が国労と国鉄闘争の解体をもくろむ政府与党、JRであることをすっかり忘れてしまっているようである。本部に対する抗議の声を職場から上げよう。  (01年12月12日)


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