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    かけはし2019年6月24日号

闘争は継続しなければならない


必要に応じた賃金、最低賃金の引上げ

ペク・ジョンソン組織・闘争連帯委員長


 韓国で最低賃金1万ウォンを勝ち取ったが、その後、ムン・ジェイン政府は、賃金の中にいろいろな手当てを含めるという詐術を使った。この中で労働者にとって、必要に応じた賃金、最低賃金引き上げを労働者全体の政治的な闘争にしなければならないと訴える社会変革労働者党の変革政治87号の論文。(「かけはし」編集部)

これがすべて最低賃金のためだというのか


 最低賃金の引き上げで国が破綻するという。2018年適用の最低賃金が10・9%上昇して国家経済をどん底に落しこんでいるという。しかし、2017年比29%上昇したという最低賃金は8350ウォンで、OECD加盟国最低賃金額平均の6・4ユーロ程度に過ぎない。
 29%上げて到達した最低賃金が8350ウォンという事実は、資本がこれまで労働者たちの賃金を安く抑えてきたということを意味するだけだ。にもかかわらず、資本は常にそうしてきたように、最低賃金の引き上げ要求を集団利己主義に追い込んでいる。「最低賃金の引き上げで仕事から押し出される労働者」に対する心配も忘れない。
 しかし、彼らが最低賃金の引き上げに反対する理由は、劣悪な労働者のためではない。国家経済全体を破綻させているためでもない。大資本と中小資本、保守マスコミと資本家団体が協力して最低賃金に対する攻勢を浴びせる理由は、最低賃金の引き上げが全体生産中の資本が持っていく分、資本所得分配率を下げるためだ。
 振り返ってみてみよう。「最低賃金1万ウォン」運動は「必要におうじた賃金決定」という労働運動の長年の要求を簡明なスローガンとして提示した。これは2015年以後、全体労働者たちの要求になり、2016から2017年のろうそく広場の要求にまで発展した。
 最低賃金の引き上げが国民的要求になり、与野党の政治圏のすべてがこれを受け入れた背景には20年あまりの間、貫徹されてきた労働所得分配率下落がある。
 2018年8月15日、労働研究院発表によると、韓国労働所得分配率は1996年66・12%から2016年56・24%に下落し、分析対象OECD20の加盟国のうち、下げ幅が最も大きかった。分配の悪化は、最低賃金1万ウォン要求が国民的支持を受けられた背景であり、資本は「必要に応じた賃金」だという一般的欲求をろうそく以前の状態に戻そうということだ。景気減速はその扇動に非常に良い条件だ。

最低賃金の引き上げは国を破綻させているのか

 かれらの言葉通り、最低賃金の引き上げは破局的な結果を生むのか。大きく3つの軸で最低賃金の引き上げの影響を考えて見ることができる。物価、労働者内部の格差、雇用だ。最低賃金の引き上げに反対する彼らは、最低賃金の引き上げが物価を高め、労働者の内部格差を解消することもできず、雇用を減らすという。
第1に、最低賃金の引き上げと物価の関係だ。資本家らの主張とは異なり、現在の物価上昇の懸念は存在しない。2019年4月の消費者物価指数は前年同月比わずか0・6%上昇して、むしろデフレを心配しなければならない状況だ。
第2に、最低賃金の引き上げが労働者階級内部の格差解消に役立っているかどうかだ。最低賃金の引き上げが賃金格差を緩和し、低賃金労働者の割合を減らしているのは事実だ。2018年6月基準の中間賃金の3分の2未満の賃金を受ける低賃金労働者の割合は19%に、2017年より3・3%ポイント下がった。低賃金労働者が20%を下回ったのは調査を開始した2008年以降初めてだ。
第3に、最低賃金の引き上げと雇用の関係だ。 現在、最も議論になっている点でもある。最低賃金が雇用を減らしたという確実な証拠はない。彼らが信奉する主流経済学の内部でも、最低賃金と雇用の関係に対する単一な仮説は存在しない。
需要独占労働力市場の場合、すなわち資本家が単に市場で決定された賃金を収容する主体ではなく、賃金決定力を持っている場合、最低賃金制は、雇用と賃金水準の2つとも効果があり、まさにこのような研究は1990年代主流経済学内の最低賃金論争を生んだりもした。

最低賃金を生産性に従属させようという主張は最低賃金制度を廃止しようという主張

 国は社会的・経済的方法で勤労者の雇用の増進と適正賃金の保障に努めなければならず、法律の定めるところにより最低賃金制を施行しなければならない。「労働条件の基準は、人間の尊厳性を保障するように法律で定める」。
憲法が明示した最低賃金の趣旨があるが、資本家たちも最低賃金制度と最低賃金引き上げの趣旨自体には敢えて反対できない。そして、彼らは一般的に「最低賃金の引き上げ」に反対する。現在の最低賃金の引き上げは行き過ぎ、その結果被害を受けるのは結局低賃金の労働者ということだ。猫がネズミを心配する格好だ。
問題はこうした主張が運動社会内にもあるということだ。資本主義社会で生産性増大を超える賃金引き上げ要求は常に「資本の反撃」にぶつかり、これによって雇用―労働時間の減少効果が賃金引き上げを相殺して労働者の損害に戻ってくるということだ。
主張の概要は以下の通りである。第1に資本主義社会で労働者闘争は常に資本の反撃に遭う。
第2に、資本の反撃にもかかわらず、労働者闘争が実際の労働者の待遇改善につながるかどうかは、当該事業部門の労働生産性にかかっている。
第3に、低賃金労働者が密集している飲食業と卸小売業の資本集約度は極めて低く、その結果、労働生産性は低い。その結果、最低賃金引き上げ闘争は雇用と労働時間の縮小という資本の反撃に勝てない。
第4に、したがって実際に労働者の賃金格差を縮小するために必要なのは、最低賃金闘争ではなく、大企業労働者の賃金下方修正、そしてそれによる雇用だ。
結局、最低賃金引上げ闘争は不況期の資本の攻勢を乗り切ることができず、その結果、実際の雇用減少につながり、必要なのは連帯賃金―連帯雇用闘争であって、最低賃金引上げ闘争ではないということだ。このような主張は資本側でさらに確実になっている。支払能力の落ちる産業部門のための最低賃金の業種別差別化、最低賃金決定基準に企業支払い能力を含めて、非正規職の量産につながる大企業労働者の賃金引き上げの自制と雇用硬直性の解体など。
これは結局、賃上げの幅は市場の規律内で行われる場合、実際にその意図を達成できるというもので、最低賃金制度が非自発的な失業問題を発生させるという資本家の主張と同じものだ。最低賃金の引き上げを生産性の範囲内に限定しようという主張と、最低賃金制度を廃止しようという主張の距離は近いということだ。 

最低賃金への攻撃と大企業の賃上げに対する攻撃は一つだ

    
「昨年、大手企業の正規職の平均賃金は400万ウォンだが、中小企業非正規職は151万ウォンに過ぎなかった」、「高賃金を受けている大手企業と公共部門の正規職労組が3年ないし5年間賃金引き上げを自制する決断を下してくれなければならない」。2019年3月、当時の民主党院内代表の洪永杓(ホン・ヨンピョ)の言葉だ。
景気指標の悪化とともに、最低賃金に対する攻勢はもちろん、大企業、公共部門の賃金・団体交渉に対する資本の攻勢も強化されるだろう。
大企業の正社員の実利主義は確かに存在する。しかし、実利主義が存在するという事実から導き出さなければならない結論は、最低賃金引き上げ闘争、労働時間短縮闘争、非正規職撤廃闘争、未組織労働者の組織化など、全体労働者の分け前を増やす闘争であって、大企業労働者の分け前を低賃金労働者に与えようという主張ではない。必要なのは大企業労働者闘争の政治化にあるだけで、大企業労働者の経済闘争中断にあるわけではない。
大企業の労働者が零細業種の低賃金労働者を雇ったりしたとでも言うのだろうか。2019年配当で836億ウォンを受け取った現代重工業の鄭氏一家が下請け労働者の賃金さえ支給しない状況で、現代重工業の正規職労働者の課題は下請け労働者に賃金を提供することではなく、下請け労働者の賃金を争って共に闘うことだ。
エンゲルスは、英国の貧民街の労働者たちが受け取る賃金が、レンガ工が受け取る賃金の半分にも満たないと記録した。特定の資本が一定の支払い能力を有しており、またその資本が雇用した労働者が集団化されているとすれば、資本の譲歩を強制することに有利だという原理は昨日今日のことではない。
労働者内部の格差の歴史は、資本主義の歴史と同じくらい長いということだ。資本の利潤蓄積が危機に直面する時、必要なのは労働組合の原理を否定し、空想的な分配の像を求めることでも資本の利潤が許す範囲内に賃上げ闘争をすることでもない。
必要なのは、すでに現存する闘争の政治化だ。エンゲルスとマルクスは次のように書いた。
「労働組合は、資本が労働階級を引き締める束縛から労働階級を自由にすることに成功したのか?…労働組合がそうしなかっただけでなく、試みなかったことはよく知られている。それをやってこなかったために、労働組合が『役に立たない』と我々は言わない。…労働組合の抵抗手段がなければ、労働者は賃金制度の基準によれば、自分の分け前さえ受け取れない」。(エンゲルス、「賃金制度」の中から)
「ある階級を抑圧するなら、少なくとも抑圧される階級が奴隷的な生存を維持できるだけの条件は保障されなければならない。ブルジョアが支配する能力がない理由は、ブルジョアが自分の奴隷たちに奴隷的な生活水準さえ保障する能力がないためであり、彼らの扶養を受けるどころか、むしろ自ら彼らを扶養しなければならないほど、彼らを苦しい立場に追い込まざるを得ないからだ。社会はこれ以上ブルジョアの支配の下で生きていけない。 すなわちブルジョアジーの存立はこれ以上社会と両立できない」。
(マルクス「共産党宣言」の中から) 社会変革労働者党「変革政治87号」より

  
座談会:「地下鉄民間委託システム」の問題はどこに(下)

あなたは安全ですか?

公営化は必要ではなく必須

 地下鉄民間委託
破竹の勢いで押し寄せる

 市民と地域の必要性のためには、公共交通機関を作る場合、当然、公共的にも責任を負うべきです。国や自治体、交通公社が直接公的に運営する公営化の必要性についてはどのように考えますか。

金浦―委託契約自体が間違っていた。当該する官庁が金浦市であり、金浦都市鉄道は金浦市所有とすべきだ。現在の契約期間は5年であるが、この期間が終了すれば金浦市が直接運営することもできるが、そうではなくまた、入札を付けて運営会社を募集しようとするだろう。この時、民間業者が入ってくることもある。例えば議政府軽電鉄の場合、「ウジンメトロ」という民間企業が運営権を取った。同様に民間企業である「ネオトランス」もシンブン短線と龍仁軽電鉄を運営している。私たちが正規職だとするが、結局は5年間の契約に違いない。
金浦市民のために軽電鉄を設けて運営するのであれば、市民の安全のためにも、最終的には金浦市が責任を持って運営しなければならない。

9号線―地下鉄は公共機関だ。ところが、1千万の市民が利用する交通手段にもかかわらず、市民の安全をないがしろにしてお金を稼ごうとし、労働者をこき使う。このような状態では、緊急事態や事故が発生したときの措置が不可能である。例えば大邱地下鉄惨事だが、最初は人が死ぬことはなかった。初期対応ができなかったため、火が大きくなったのだ。列車もお金を惜しんで作った。ソウル市も収益と効率しか考えなかったために結局は大事故を招くことになった。
公営化は必要ではなく、必須だ。特に市民の安全については、ムン・ジェイン政府も直営に転換するとしていたが、民間委託は、その約束を覆すことではないのか。
私たちは、ソウル市を相手に民間委託の中止を求めて闘争を続ける。簡単に言うと9号線の第2、第3区間はソウル市の財政で作ったのだから、所有権をソウル交通公社に移転して、1〜8号線と同じように動作するようにということだ。1〜8号線は完璧なものではないが、9号線よりはましだ。このことはソウル市が動けば解決できる問題だ。現在の契約が来年8月までなので、今年の年末までには、ソウル市から回答を引き出そうと闘っている。

最後に、読者に伝えたいことがあれば?

金浦―金浦都市鉄道で明らかになった最低価格での契約が、最小人員と低賃金、劣悪な労働条件をもたらしたという問題は、私たちだけでは終わらない。ソウル近郊には8つの路線が新たに作られるので、私たちが一種のモデルケースになるだろう。最終的には、鉄道での安全と収益を合理性をもたせて解決することだ。従って私たちにはそれなりに責任感もある。この状態が変わらなければ、今後の鉄道と地下鉄は多くの不安を抱えていくしかない。最終的には、ソウル交通公社や鉄道工事にも劣悪な条件を突きつける圧力が生じるのではないか。
そして、こうした状態を作り出した、自治体の責任も明確にしなければならない。子会社を作るときに、ソウル交通公社は、ソウル市が承認を受けることになっている。実際にソウル市が承認検討報告書を出すこともしたが、低賃金と福祉、勤務環境をめぐって問題が発生することがある。そうしておいてソウル市はいま「あなたがた金浦市だから、私たちとは関係ない」と開き直る。このように責任転嫁することができる。

9号線―破竹の勢いという言葉がある。今の地下鉄の状況にぴったりな表現だ。最初に9号線第1区間が民間委託で運営して料金値上げを狙った。その後9号線第2、第3区間は第1区間よりも少ない人員とコストで労働者を搾取する。そしてその後作られた金浦都市鉄道ではより過酷な条件を作り出した。今後建設される軽電鉄や新設区間などは言うまでもない。当初から労組を結成して闘ったら防ぐことができただろうが、闘争で防げないので、まるで竹を割り切るような勢いで民間委託があっという間に広がったのだ。
資本は、労働者が立ち上がらなければ、竹を割るように労働者を分断する。私たちは、この悪循環をたち切りたい。地下鉄労働者の共同闘争に多くの関心を寄せて下さい。(社会変革労働者党「変革政治」87号より)

 


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