戦争・貧困・環境破壊を許さない
6・23、6・28デモに結集を
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虚構のサミットと安倍
政権の見え透いた思惑
G20サミットが六月二八・二九日に大阪で開催される。
本紙二月二五日号掲載の「地政学的カオスの下の六月G20サミット」で述べているように、G20はいかなる意味でも国際社会を代表するものではなく、しかも今では当初想定されていた機能さえ失っている。各国首脳が国内向けに自分の政権の存在感を宣伝し、実効性のない宣言を採択して記念写真に納まるだけの空虚なイベントとして漂流している。
しかし、G20は役割を失ったわけではない。G20サミットに参加する各国首脳の多くは米国、サウジアラビアのように直接に戦争と大量殺戮に関与しているか、インド、ブラジルのようにファシスト的独裁者であるか、ロシア、中国のように強権的支配を続けている。その多くは世界の環境を破壊し、気候変動の大部分に責任がある諸国でもある。それらの諸国の首脳たちが、政治的・経済的利害やイデオロギー・価値観における違いにもかかわらず、あたかも自分たちが世界を仕切っているのだという虚構を作り上げることが各国首脳たちの共通の利害なのである。毎回、開催国では「テロ防止」を名目に準非常事態的な状態が作られ、警備のための国際的な技術協力が緊密化している。
主催国である日本の安倍政権は、一七年と一八年のサミットでは米国とEU、中国の対立の中で全く存在感を示せず、トランプ政権への追随の姿勢に世界中から冷笑を受けたことを教訓化して、今回は気候変動問題やプラスチックごみの問題で日本が主導するという虚構と、日米同盟が盤石であるというアピールで存在感を誇示しようとしている。そのためにわざわざ五月二五―二八日、トランプを国賓として招き、新天皇との会見、大相撲見物、自衛隊の艦船でのツーショットなど異例ずくめの饗応を行った。また、日米経済摩擦に関連して、米国に対する新たな大がかりな譲歩の密約が交わされたことがトランプの一連の発言から示唆されている。天皇代替わり、そしてG20サミットを七月参議院選挙あるいは衆参同時選挙での勝利のため、そして自分の政権を維持するために利用するという意図が見え透いており、隠そうともしていない。
四月一日の新元号発表の入念な演出によって「新しい時代」への期待を煽り、天皇代替わりと大型連休によって「平成30年」をリセット(忘却)するという戦略は、見事に成功しているかに見える。その結果もあって七月の選挙を前に政権支持率が大幅に上昇している。
根拠のない高揚感の中でナショナリズムが煽られ、テロ対策を名目にした過剰警備の常態化の中で言論・表現が畏縮する状況が2020年東京オリンピックまで継続されようとしている。
G20大阪サミットに対する闘いは、このような政治状況に違和感、危機感を持つ人々の広範な声を表現する場となる。
5・11プレ企画―小倉
利丸さん講演会で始動
大阪では広範な運動団体による共同の闘いを目指してG20大阪NO!アクション・ウィーク実行委員会が結成され、6月23日と28日に「サヨナラ安倍! サヨナラ・トランプ!」デモを呼びかけている。斉藤日出治さん(大阪労働学校アソシエ学長、大阪産業大名誉教授)、高里鈴代さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会)、服部良一さん(元衆議院議員)を呼びかけ人代表とする同実行委員会は、6月の本番に向けたプレ企画として、五月一一日に小倉利丸さんを迎えて「G20の混迷と私たちの未来」と題する講演会を開催した。
服部さんの主催者あいさつに続いて登壇した小倉さんは、G20はもはや世界が向かう方向を示したり、調整する役割は果たしえないが、メガイベントとしてのプロパガンダ機能を無視できないこと、反あるいはオルタ・グローバリゼーションの運動は資本主義と国家の廃絶に向けた議論を始めるべきであること、テロ対策を名目とする治安・監視に対して街頭や空間を占拠して市民的自由を確保する必要があることを明快に提起した。
質疑と海外からのビデオ・メッセージの後、斉藤さんが講演と質疑を受けての問題提起。資本主義の行き詰まりの中で、新たな方向が連帯経済や協同組合運動をはじめさまざまな形で表現されていることをグローバルな視野から提起し、最後に全日建連帯労組関生支部への弾圧の問題に触れて、自分たちの課題として弾圧を撥ね返していくことを訴えた。
このあとのリレー・トークでは、沖縄、朝鮮半島の平和、アイヌ民族、リニア新幹線。パレスチナ、非正規労働などさまざまな分野から十二人が二分ずつの持ち時間で報告と問題提起を行った。
プレ企画は一六〇余人の参加で成功し、六月の本番に向けた好スタートとなった。賛同も広がり、公開の実行委員会も開催されている。五月二六日にはトランプの来日に抗議する街頭宣伝活動で、六月のデモへの参加を呼びかけた。
同実行委員会とは別に、G20市民社会プラットフォームとG20大阪市民サミット実行委員会が六月二五―二六日に「大阪・関西の市民の声を世界へ!! G20大阪市民サミット」を開催する。運動のスタイルや構成団体は異なるが、G20に世界の未来を委ねるのではなく、民衆の力で世界を変えていこうとする点では想いは同じであり、相互に補完・協力する関係である。
全国のみなさんに六月二三日から二八日の一連のアクションへの参加と注目を訴える。
(小林秀史、六月一日)
六月二三日(日)午後一時、新町北公園集合(地下鉄御堂筋線/四つ橋線・本町駅二三番出口)、三時ごろからデモ
六月二八日(金)午後一時 天保山公園集合(地下鉄中央線・大阪港駅から徒歩五〜七分)、三時ごろからデモ
*第五回実行委員会とミニ学習会。六月一〇日(月)午後六時半、エルおおさか七〇一
トランプ来日とは何だったか
危機の中で深まる「戦争同盟」
「国賓」として五月二五日に来日し、二八日に離日した、米国のトランプ大統領の訪日外交にはどのような特徴があったのか。来日した翌日の二六日のトランプのスケジュールは、早朝からの安倍首相とのゴルフ、大相撲千秋楽の取り組み観戦と、優勝した朝乃山への米大統領杯授与、そして六本木の炉端焼き店「六本木田舎家東店」での会食、という文字通りの接待行事に終始した。米のマスメディアはこのトランプの一日について「完全な観光スケジュール」と評した。
因みにトランプの相撲観戦のため、ます席にソファが用意され、表彰式で土俵にあがりやすいように階段まで設けられた。炉端焼き店のメニューでは「キンキの焼き物」が一万円もする。
しかし言うまでもなく、トランプは日本へ遊びに来たわけではない。ここでは緊迫した国際情勢の中で、トランプのアメリカにとって最大の忠実な同盟国である日本の安倍政権に対する、「期待」と一体になった「脅し」が、あからさまな形で表に現れている。
友好の演出と
駆け引き・脅し
三日目の五月二七日には、まず新天皇・皇后にとって最初に迎える「国賓」となるトランプへの歓迎行事から一日のスケジュールが始まった。
午前中、安倍首相との間で「日米貿易交渉」や北朝鮮問題についての協議を行ったが、六月に大阪で開催されるG20でも論議の対象になる貿易交渉の妥結については、トランプは自らのツイッターで七月に行われる日本の参院選後になる、と述べている。
五月二七日の貿易交渉のやりとりについて、記者の一人が安倍首相に対し、「関税についてはTPP水準が最大限との考えに変わりはないか」、と質問した時、トランプが割って入り「私はTPPとは関係ない。私は他の人がサインしたものには縛られない」とまくしたてた、(日経新聞5月29日朝刊)という。
「TPPはオバマ前大統領の政治的レガシー(遺産)で、トランプ氏が離脱を決めた。オバマ氏の業績を否定してきたトランプ氏はTPPという言葉が出た瞬間に拒否反応を示す」「中国との貿易交渉が長引き、2020年11月の米大統領選を控え成果を急ぐトランプ氏と、今夏に参院選が迫り妥協できない首相。『ディール』外交の矛先はともに票田にかかわる農産品に向かった」と前掲「日経新聞」は書いている。
戦争同盟加速化
に向かう日米
訪日最終日、四日目の五月二八日、トランプは安倍首相とともに横須賀で海上自衛隊初の空母型護衛艦「かが」に乗艦した。米国の現職大統領が海上自衛隊の軍艦に乗るのは初めてのことだ。ヘリコプターで「かが」に降り立ったトランプは日米の兵士五〇〇人に対して、「ここは米海軍艦隊と同盟国の海軍艦隊が並んで司令部を置く世界で唯一の港。われわれのパートナーシップの生きた証だ」と強調した。
続いてトランプは米強襲揚陸艦「ワスプ」にヘリコプターで移動し、米軍兵士に向かって演説した。この日はアメリカでは南北戦争以来の戦没兵士を追悼する「メモリアルデー」とされている。
米軍兵士に向けた演説の中でトランプは述べた。「日本は同盟国の中でも最大規模のF35B戦闘機群を持つことになる」と。自衛隊によるF35B一四七機体制(一〇五機追加購入)は、アメリカ軍事産業にとっては一兆円を超える買い物(F35A一機で一一六億円)を意味する。トランプが大満足の意を表明するのも当然の大盤振る舞いだ。
「ファーウェイ」問題に端的に示された、世界大の広がりと射程を持つ中国との政治・経済的・軍事的対立の進行、イランへの戦争準備――こうした世界規模の戦争への危険性が確実に高まる中で、日米同盟こそ両国の支配階級にとって最大の重要性を持つものとなった。
当初、新天皇が迎える最初の「国賓」が中国の習近平国家主席になるのではないかとの取り沙汰もされていたが、それが対中・対北朝鮮の日米実戦体制の強化を示すイベントとして横須賀での「かが」と「ワスプ」の艦上での、イベントが開催されることになったわけだ(ちなみに旧日本海軍の空母「加賀」は一九四二年六月のミッドウエー海戦で米軍機の猛攻によって沈められ、米海軍空母の「ワスプ」も同年七月に日本海軍潜水艦の雷撃で沈められた)。さらに「ワスプ(WASP)」とは、W(ホワイト=白人)、AS(アングロサクソン)、P(プロテスタント)という「アメリカ建国の理念」を担うとされた特権的・差別的グループ分けを示す言葉だ。
トランプと安倍の「同盟」は、日米軍事同盟のグローバルな実戦化という内実を伴って強化されている。今回のトランプ訪日は、その実態を象徴的に示すものだった。
新天皇の時代は、憲法改悪と「戦争国家」体制へと向かうベクトルをいっそう顕著に表面化させている。この動きをなんとしても止めなければならないし、それは可能である。 (純)
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