沖縄報告5月19日
日本政府と県民の対立は深まるばかり
沖縄 K・S
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5.15
復帰47周年平和行進に2千人
基地と戦争の危険のない平和な沖縄へ!
一九七二年の沖縄の本土復帰からすでに四七年。県民が強く望んだ核も基地もない「即時無条件全面返還」とは程遠い、日米による軍事要塞基地の島・沖縄の姿をさらけ出している。国家権力を掌握する支配者たちが描く沖縄像と県民が求める沖縄の未来は非和解的で、根本的に相いれない。全国の米軍専用施設の七〇%以上を占める米陸海空海兵隊基地に加えて、何が何でも建設を強行しようとする米海兵隊の辺野古新基地。そして、琉球列島に拡大配備が強行されつつある自衛隊基地と米日共同訓練・軍事一体化の進行。
軍事要塞基地の矛盾はあらゆる面で県民生活の安全を破壊している。京大医学部の教授が四月に実施した調査によると、普天間基地周辺の住民の血中有害物質の濃度は全国の四倍にのぼる結果となった。基地が汚染源となり河川や湧き水に流れ出たPFOS、PFOA、PFHxSの有害物質が体内に蓄積されているのだ。嘉手納、普天間を飛び立つ航空機の騒音は、最近特に増えたF35などの外来機も含めて耐え難いレベルに達している。静かな夜と生活を返せという県民の当然の願いは無視されたままだ。実弾演習による山火事は跡をたたない。米兵による女性殺害のあと自殺する事件も先月発生した。女性には二人の子供がいる。米軍が駐留する限り米兵による凶悪犯罪は起こり続ける。嘉手納ラプコンによる空の支配は米軍政時代と変わりがない。そして、今度は、ドローン規制法の改正により、県民の基地を監視する目を奪おうとしている。沖縄基地の維持のためには厚顔無恥、鉄面皮に何でもやる日本政府と県民との対立はいっそう深まるが、県民は屈しない。あくまで基地のない、戦争の危険のない平和な琉球列島を実現するために県民ぐるみの闘いを続けていく。
韓国基地平和ネットワーク14人参加
沖縄平和運動センターが主催する5・15平和行進は県内外に加えて、韓国各地で軍事主義に反対する運動を繰り広げている韓国基地平和ネットワークの一四人を含め、二〇〇〇人の参加で貫徹された。
五月一六日沖縄県立武道館で開催された全国結団式に海外ゲストとしてスピーチした平澤平和センターのイム・ユンギョンさんは「朝鮮半島の戦争は去れ、平和よ来い!」と訴えた。スピーチに合わせて、演壇前に立った参加団は「平和は銃剣で守ることはできない」「軍事基地はどこにもいらない」「辺野古新基地建設反対!米軍はアメリカに帰れ!」との横断幕を広げてアピールした。
一七日から中北部と南部の二コースに分かれて行われた行進には、全国各地の労組、平和団体と共に沖縄から教組、自治労、全港湾その他市民団体がそれぞれノボリを掲げて参加し、蒸し暑い天候の中、シュプレヒコールを繰り返しながら元気に行進した。戦後七四年の今なお残る沖縄戦の傷跡と基地の重圧を全身で受け止めながら進む平和行進は、改めて沖縄の現状に向き合い戦争と基地にNO!を突き付ける大きなデモンストレーションとなった。
手をつなごう!沖縄・韓国・アジアの国々
一六日夜ぎのわんセミナーハウスで開かれた「海を越え手をつなごう!沖縄・韓国民衆連帯と平和構築」と題する交流集会には五〇人余が参加した。韓国各地・各団体からの報告は、平澤平和センター、韓国国際平和フォーラム、開かれた軍隊のための市民連帯、サード基地に反対する星州ソソンニ、済州島カンジョン村の住民会が行った。沖縄側からは、4・27DMZ人間のクサリに参加した沖縄訪問団がパワーポイントを使用して報告した。
そのあとはお茶とオードブルでの交流会。日韓両国語が混じる自己紹介、歌、プレゼント交換、そして最後は全員が輪になって盆踊りのように安里屋ユンタを歌った。年々交流が深まっていく印象だ。海を越え、国境を越え、言葉の違いを越え、ともに戦争のない平和で、人間が人間らしく生きられる世界をめざして闘っている者同士の連帯が自然に感じられる。平和と人権を共通の価値観としたアジアの人々の連帯の輪を大きく育てよう。
炎天下、基地のない沖縄へ向けた歩み
平和行進の最終日は一九日日曜日、宜野湾市役所から海浜公園まで行進した。例によって、5・15平和行進には毎年必ず現れる右翼の街宣車一〇台近くが大音響のマイクで汚い言葉を吐き出しながら妨害行動を行い、市役所前では、行進参加者の一人を押し倒すという暴挙を働いたのである。暴行を働いた右翼の三人はその場にいた警察官によって逮捕・連行された。この日はからりと晴れて、気温は三一度まで上昇する中、県民大会の会場となっている海浜公園屋外劇場へ向かって歩みを進めた。
大会のオープニングは川口真由美さんが「We shall overcome」などを力強く歌った。山城博治平和運動センター議長のあいさつのあと、照屋寛徳、屋良朝博、糸数慶子、伊波洋一の衆参議員四人と高良鉄美予定候補が連帯のあいさつに立った。ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表も「沖縄の未来を安倍政権に委ねない。辺野古新基地は必ず止める」との断固たる決意を明らかにした。韓国訪問団はシン・ジェウクさんが「三日間戦争の傷跡が残る場所を歩いた。辺野古、普天間、嘉手納、様々な基地を見た。歴史が刻まれた場所を歩くことは過去の歴史を心に留めることだ。長い足跡の一番後ろに私たちは立っており、どのように歩いていくかを知っている。皆さんと共に平和の道を進んでいく」と述べた。
最後に大会宣言、ガンバロー三唱、「沖縄今こそ立ち上がろう」「沖縄を返せ」の合唱、閉会宣言で、炎天下一時間半に及ぶ大会の幕を閉じた。
5.18
対外問題研20周年記念シンポジウム
「辺野古を止める構想力」
五月一八日土曜日、那覇市おもろまちの沖縄県立博物館・美術館で、沖縄対外問題研究会二〇周年記念シンポジウム「辺野古を止める構想力」が開かれ、二階講堂を満員にする二〇〇人以上が集まった。
司会は星野英一琉大名誉教授。対外門研代表で琉大教授の我部政明さんの進行で、はじめに第一部基調講演として、豊下楢彦さん(元関西学院大教授)が「『軍事の要石』からの脱却を求めて/米中対立の間の沖縄」と題して講演した。
豊下楢彦さんの講演から
「沖縄を軍事の要石から軍縮の要石に」
まず歴史的な背景から述べたい。国連の信託統治が提案・承認されるまで米国が沖縄で全権を行使するとしたサンフランシスコ講和条約第三条は米国の全権支配のためのレトリックにすぎなかった。カギはもちろん全権行使にあった。その結果当時の八〇万県民が無憲法・無国籍という事態に置かれた。米国は東アジアに雲一つなく空が青くなるまで沖縄を支配するというブルースカイ・ポリシーにのっとって沖縄返還を行い、今日まで貫徹している。問題の核心はいかにこの論理を打破するかだ。
当面する課題の第一は、安倍一強体制、すなわち自公連立政権の問題だ。強そうに見えて、実は公明党・創価学会の支持なしに自民党支配はない。公明党はこの間、かつての九〇〇万票から七〇〇万票に得票を減らした。内部から、いつまで自民党に協力するのか、平和の党の理念に背いているのではないかなどという深刻なジレンマがある。玉城知事が公明党の山口代表に会い、公開の形で辺野古新基地反対を訴えるとよい。公明党が安倍政権から離れれば勝機がある。
普天間の危険性の除去のために辺野古新基地という安倍政権の宣伝はレトリックだ。辺野古を造りたいから普天間を利用しているに過ぎない。普天間の危険性除去は辺野古と切り離して、直ちに進めなければならないことだ。先日、北方領土をめぐる交渉の中で、プーチン大統領から歯舞・色丹二島での米軍基地配備の問題を指摘されたのに対し、安倍首相は「二島には米軍基地を置かない」と答えた。米軍基地をどこに配備するかをめぐって、日本政府が拒否権を持っていることを表明したのだ。とすれば、沖縄にも同様にできる筈だ。まず子どもたちを米軍機の飛行の危険から守れ!
アメリカが安保を看板に世界中でやっていることは軍拡と兵器販売だ。二〇一八年の世界の軍事費は二〇三兆円で、うち半分を米中が占める。中国の場合は軍事費より、国内の治安維持費の方が大きいと言われる。いまや制約のない軍拡競争によって世界は未曽有の危機状態にある。国連のグテーレス事務総長が提起したように「軍縮アジェンダ(計画・議題など)」が求められている。命を救う軍縮(通常兵器)、人類を救う軍縮(核・大量破壊兵器))、将来世代のための軍縮(AI、サイバー、宇宙)。脅威があるから軍拡というのではなく、軍拡そのものが脅威だ。沖縄が国連の「軍縮アジェンダ」の担い手になるべきだ。国連事務総長を沖縄に呼ぼう。国連軍縮部の地域センターとして国連の東アジア軍縮センター(仮称)を設置しよう。沖縄を軍事の要石から軍縮の要石にしていこう。この闘いに女性と若い力を集めよう。
北上田毅さん 今後の見通しを語る
第二部の討論では、北上田毅さんが「軟弱地盤問題の意味するところ」と題して、辺野古埋め立て工事の困難な現状と今後の見通しについて話した。
「県は民意に従い再度埋ろ立承認撤回を!」
土砂投入からすでに五カ月。沖縄防衛局の当初の届け出では辺野古の埋立ては六カ月で終了予定だった。ドローンの上空写真に明らかなように、埋め立て工事は決して順調には進んでいない。土砂の陸揚げ桟橋としての利用が予想されるK8護岸は予定の二五〇mまで、来月末あたりにできるかもしれない。政府は、沖縄の民意が示されるたびに、県民を打ちのめし諦めさせようと逆に強権姿勢をエスカレートさせてきた。しかし、肝心の大浦湾側での工事のメドは全く立っていない。軟弱地盤の地盤改良工事について沖縄県知事は決して承認しない。工事は頓挫する。全体の工期は大浦湾側の工事で決まる。辺野古側でいくら工事を進めても全体の工期は短縮されない。
この図のように、大浦湾の軟弱地盤は海面下九〇mの深さに及んでいる。今年一月の衆院の答弁で、安倍首相は地盤改良工事の必要性と県へ提出する変更承認申請の必要性を認めた。大浦湾の埋め立て予定地の約六〇%で地盤改良が必要とされている。工法はサンドコンパクションパイル工法とサンドドレーン工法であるが、国内では六五mまで世界でも七〇mまでしか実施例がない。
実は軟弱地盤は四年前に判明していた。政府は市民の情報公開請求まで隠し続けたのだ。七万七千本もの砂杭の打設、敷き砂・砂杭の六五〇万立方メートルの砂(沖縄の年間海砂採取量の三〜五年分)、地盤改良工事の最低五年におよぶ工期、大規模地盤改良工事による深刻な環境破壊、さらにとてつもない費用だ。安倍首相は国会で「今後の工期や費用について確たることを申し上げることは困難」と答弁した。県の試算では、一三年、総工費二兆五五〇〇億円となった。政府の当初の埋め立て承認申請の計画では二三一〇億円だったので、実に一〇倍以上に膨れ上がる。陸上・海上の警備費用は一日に二〇〇〇万円、一年で七三億円、五年で三五〇億円。まさに天井知らずの無駄な公共工事の典型だ。
辺野古新基地の完成は全く見通しがつかない。すべてが順調にいったとしても今後一五〜二〇年は要するだろう。また、辺野古が完成しても普天間が確実に返還されるという保証はない。これらすべてにかかわらず政府はなぜ辺野古に固執し続けるのか。断念しか道はない。沖縄県は、県民投票で示された民意に従って、再度、埋立承認撤回に踏み切るべきだ。
そのあと、文化・応用人類学者の吉川秀樹さんが「環境問題でつながる沖縄と世界」、大城尚子さん(沖国大非常勤講師)が「環境保護区と米軍基地/ディエゴガルシアを事例に」、共同通信記者の豊田祐基子さんが「トランプのアメリカと朝鮮半島と日米関係」と題してそれぞれ報告を行なった。
【訂正】本紙前号(5月20日号)5面、読書案内『戦後が若かった頃に思いを馳せよう』の2段目見出しから2行目「日本の」を「二本の」に、同5段目右から3行目「歴史とは現実と」を「歴史とは現在と」に、本紙前々号(5月13日号)1面、東京5・3憲法集会の記事の最下段9行目「鳥居一平さん」を「鳥井一平さん」に訂正します。
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