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    かけはし2019年4月29日号

STOP!治安弾圧体制


改悪刑訴法施行をやめろ!

強権的国家支配に反撃を

改憲・戦争体制と連動した攻撃

 安倍政権はグローバル派兵国家建設の一環として改悪刑事訴訟法を制定(二〇一六年五月)し、その施行日を本年六月一日とする政令を閣議決定した。改悪刑訴法の司法取引はすでに施行しており、残りの取調べの全面可視化の否定、盗聴法(通信傍受法)も共謀罪(既遂処罰の否定/二〇一七年)と一体で運用することによって治安弾圧体制を強化していくことが狙いだ。新たな反弾圧戦線の準備に向けてあらためて改悪刑事訴訟の反動性を確認する必要がある。
 日本政府は、米国と日米安保共同宣言(一九九六年)、日米防衛協力のための指針改定(一九九七年)から新ガイドライン(二〇一五年四月)を結ぶことによってグローバル派兵を射程にした日米共同実戦態勢へと踏み出していった。
 同時に国内において戦争準備の構築の第一弾として民衆監視・治安弾圧強化に向けてプライバシーと「通信の秘密」を破壊するコンピューター監視法(二〇一一年六月)を制定している。警察権力の恣意的判断によってインターネット接続業者などに通信履歴(電気通信の送信元、送信先、通信日時など)の保全、コンピューターの差押え、電気通信回路で接続されているすべてのコンピューターに保存されたデータをコピーすることが可能となった。
 この悪法を皮切りに戦争と治安弾圧の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC/二〇一三年一二月設置)を創設し、特定秘密保護法(二〇一三年)、マイナンバー(共通番号/二〇一三年)の導入を次々と強行し民衆監視・治安弾圧へと加速化していった。この延長線上において戦略的な派兵国家建設に向けて戦争法(二〇一五年七月)とセットで改悪刑訴法(@司法取引の導入A取調べの全面可視化〈録音・録画〉の否定B盗聴法対象範囲の拡大B)を制定した(二〇一五年七月)。

えん罪多発促す
司法取引制度
司法取引制度は、すでに二〇一八年六月に施行している。この制度は、捜査機関が容疑者や被告の処分を軽減することを取引条件にして協力させる手法である。すでに薬物などの組織犯罪、企業犯罪、汚職など経済事件(三菱日立パワーシステム事件、日産自動車カルロス・ゴーン事件)で適用されている。いずれにしても取調官の誘導により、虚偽の自白、第三者の名指しなどの可能性が充分あるため、えん罪事件の多発化の危険性がある。
また、司法取引の合意には、弁護人の合意を条件にしているが、それだけでは冤罪を阻止する保障はない。多くの冤罪事件で元検事の弁護士(ヤメ検弁護士)が権力と一体となって被疑者に圧力、虚偽自白を誘導してきた事例が多発していることが報告されている。多くのケースではヤメ検弁護士が検察人脈を披露し、被疑者に「事件を認めれば早く出れるよ」と誘導することを常套手段としているからだ。
取調べの可視化は、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件に限定した。また、録音・録画すれば容疑者が十分に供述できないと検察官が判断した場合など可視化の例外も認めた。裁判員裁判の対象は、殺人・強盗致死傷・傷害致死・危険運転致死・現住建造物等放火・身代金目的誘拐などであり全事件のわずか二%程度、検察官独自捜査事件は年間一〇〇件程度でしかない。
つまり、任意の取調べも含めて可視化しないということは、強引な誘導尋問などが検証できず、実質的に権力のえん罪再発体質を温存しているのだ。さらに取調官の裁量に委ねることは、検察、警察の取調官が取調べの自白部分、供述調書を被疑者に読み聞かせ、署名・押印させ、供述内容に間違いないと語っているような状況を録音・録画する可能性もあるということだ。
例えば、パソコン遠隔操作冤罪事件(二〇一二年)は四人がデッチアゲ逮捕(脅迫罪、威力業務妨害罪、不正指令電磁的記録作成・同供用罪などを適用)された。権力は、被害者に対して「誤認逮捕」として平謝りしただけだった。このようなケースのように裁判員対象外事件だから取調べを可視化しなくてもいいわけだ。だから強引な誘導尋問などが検証できず、実質的に権力の冤罪再発体質は温存されたままである。すでにデッチアゲに向けた取調べは、任意による取調べも含めてすべての事案で発生しているのであり、可視化を裁判員対象罪だけにするというのは検察・警察の冤罪再犯もやむをえないと言っているのと同じだ。任意の取調べも含めた全面可視化を行え!

無制限の盗聴
態勢引き起こす
共謀罪とセットで治安弾圧の強力な武器が通信傍受法の対象拡大だ。現行の薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航、組織的な殺人に加えて、現住建造物等放火、殺人、傷害・傷害致死、逮捕監禁、誘拐・人身売買、窃盗・強盗、強盗致死、詐欺、恐喝、爆発物使用、高金利の貸し付け、児童ポルノの製造・提供を追加した。さらにこれまでNTTなど通信事業者施設内での立ち合いのもとに盗聴を行ってきたが、通信事業者から警察施設へのデータ伝送によって盗聴が可能となる。つまり、いつでもどこでも無制限に盗聴態勢を敷くことが可能だということだ。
法務省は、全国の警察が二〇一八年、通信傍受法に基づいて一二事件の捜査で携帯電話の通話を傍受したことを明らかにしている。だが都道府県警名と事件内容を明らかにせず、詐欺三、薬物関係三、恐喝・恐喝未遂二、殺人一、殺人・銃刀法違反一、窃盗・窃盗未遂一、詐欺・電子計算機使用詐欺一のみだ。盗聴法施行によって権力の盗聴のやりたい放題へと踏み込み、実施状況が飛躍的に増大することは間違いない。公安政治警察の非合法の盗聴も含めれば盗聴手法は定着している。憲法二一条「通信の秘密」破壊を許さず、盗聴法廃止運動を強化していこう。
盗聴法の導入案審議段階で警察庁は、「会話傍受の導入」を要求していた。露骨な住居侵入罪の成立、プライバシーの侵害のためとりあえず引っ込めたにすぎない。あくまでも権力にとって住居や車両内への秘匿による監視機・盗聴機の設置の合法化を狙い続けている。すでに違法なGPS捜査を強行してきたことに現れている。継続して追跡調査を行い、警戒していかなければならない。
安倍政権は、五月以降のトランプ来日、天皇「代替わり」儀式、大阪サミットなどを人権侵害・憲法違反の治安弾圧を強化することを打ち出している。改悪刑訴法の施行を向かえ、新たな反弾圧戦線を準備していこう。
新たな反弾圧戦線構築に向けて海渡雄一弁護士は、「労働運動への共謀罪型弾圧が始まっている」(「世界」2019・5月号)において全日建関西地区生コン支部の事件を取り上げ、「労働組合の正当な活動が『犯罪』とされた」「これは共謀罪適用の『リハーサル弾圧』だ」と警鐘乱打している。
とりわけ「関西生コンに加えられている弾圧は、現時点では共謀罪が直接に適用されてはいない。しかし、労働組合の日常的な活動の一部を『犯罪』事実として構成し、これに関与した組合員を一網打尽で検挙し、デジタル情報の収集によって関係者間の共謀を立証することで犯罪としようとしている点において、共謀罪型弾圧の大規模な開始を告げるものだ」という指摘は、今後の方向性を指し示しているだろう。
権力・資本・右翼が一体化した関西生コン攻撃を許さず、改悪刑訴法を通した新たな弾圧を跳ね返していこう。    (遠山裕樹)

 

コラム

「校庭の春」

 窓から小学校の校庭とプールが見える現在の住居に引っ越して一年が過ぎた。
 家の中でも車椅子の生活を強いられている私にとって、テレビ・ラジオ・新聞と同等か、それ以上に刺激と潤いをもたらしてくれるのが、窓から見る光景。毎日の天候、四季の移ろいばかりか曜日、時刻まで分かるようになった。とりわけ朝七時四〇分頃から始まる登校は、次の学校の行事まで知らせてくれる。この二〜三カ月の間に垣間見えた光景をスケッチしてみることにする。
 二月中旬、街路樹のイチョウの枝打ちに利用され、夜は隣の駐車場に置かれていたクレーン車が突然校庭の中に持ち込まれた。それから一週間校庭を取り囲んでいた樹木の枝打ちが始まった。枝が切られなかったのは二本の桜の木だけで、校庭には全く緑がなくなった。校庭に松や杉が一本もなかったことに初めて気付いた。枝がなくなるとなんの木であったかさえ皆目分からなくなる。唯一枝がなくとも分かるのは大木である「けやき」だけ。
 三月一一日月曜日、窓からのぞくと校庭に演壇が置かれ、朝礼のための準備が進んでいた。八時半頃、雨がちらつき始めると一瞬で生徒が居なくなり、会場は体育館に移った。九時に突然地震の警報が鳴る。あわててラジオとテレビをつける。緊急地震警報はないし揺れもない。それから六〜七分が経過すると喊声とともに子どもたちが校庭に飛び出して来た。ここではじめて避難訓練であったことを理解。あの東日本大震災から八年目に突入した。
 三月二五日、小学校は卒業式。式は三〇〜四〇分で終了。二分咲きの桜の樹の下で次々と写真撮影。その中に三人程の女の子が“袴姿”。これがテレビで連日「ぜいたく、行き過ぎ」等々と論争になっていた“袴姿”の卒業式かと納得した。そして“袴姿”の女の子と連れ立った母親も全員着物。「なる程!」。
 四月一日日曜日。普段であれば、赤いユニホームを着た野球クラブが練習を開始する時間であるが、校庭のあちこちで新しいランドセルを担いだ子どもたちの撮影会が始まっている。その中にデイサービスで顔を見る看護士親子もいる。
 四月八日の入学式には桜の花が散ってしまうので、咲いているうちに記念写真ということらしい。マスコミによるとランドセルは子どもの親ではなく、両親どちらかの祖父母が購入するケースが七三%にもなるという。桜の下での写真を祖父母に送るためと考えると「安い」お返しかも知れない。
 この日テレビをつけると桜の番組を特集していた。外国人含めて連日宴会が続く上野。市長が開花宣言を発した福島県三春の滝桜。まだ蕾の長野県高遠城址の桜。そして奈良県の吉野山。番組はそれぞれの地域の春の特集だ。登山家で三春出身の田部井淳子が著書で「三春」とは「梅、桃、桜の花が一度に咲き、春を告げる」ことに由来すると書いていた。
 そういえば私の育った田舎も、雪の多い年は梅、辛夷(こぶし)、桜がいっしょに咲く年があった。今日は四月一五日、桜は完全に散り、枝打ちされたけやきの芽吹きが始まっていた。    (武)


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