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    かけはし2019年3月25日号

住民意思拒否する原発推進派


3.14

宮城県議会 県民投票条例案を否決

県民投票実施は圧倒的民意

女川原発再稼働止めよう

 【宮城】みんなで決める会は、県民投票条例の採択を翌週に控えた三月九日、仙台市の中心街で、県民投票条例への注目を呼びかけようと、街頭宣伝・チラシ撒き・シール投票を行った。署名協力への感謝と県議会の状況を報告しながら、女川原発再稼働の是非を問う県民投票の実施に賛成か反対かの「シール投票」を呼びかけた。投票には一時間で二七六人が参加し、その結果は賛成二六六人・反対一〇人と圧倒的多数が、県民投票の実施に賛成で民意が歴然と示された。

地元住民こそ県民
投票を望んでいる
三月一四日、県議会の連合審査会(総務企画委員会と環境生活農林水産委員会の合同委員会)が開催され、五時間にわたり審議が行われた。傍聴席三八席に対して二〇〇人を超える傍聴を求め県民が集まり、溢れた方々は、県議会庁舎一階ラウンジのモニターで視聴した。先月二一日の県議会開会日と同じ状況で、県民の関心の大きさを示していた。
はじめに、請求代表者の多々良氏の意見陳述が行われた。多々良氏は、「大事なことはみんなで決めよう、子ども達の未来、私たちが暮らす宮城のことは私たちが決めようというシンプルな訴えが県民の共感を得たこと」「国策と言うが人権問題でもある。福島第一原発事故の被害者となった宮城県民が自分たちの意思表示の機会を設けることは当然のこと」「県民投票の実施は、議会に対する県民の関心を高め、対話を促進し議会の活性化に寄与する。県民投票(直接民主制)は議会(間接民主制)を補い、地方自治を豊かにする」。そして議論になっている「選択肢」については、「知事の同意は、『了解する』『了解しない』の二択なのだから、県民投票の選択肢も『賛成』『反対』の二択であるべきだ」と明快に陳述した。最後に「八年前の今日(三月一四日)は、一一時一分に福島第一原発3号機が水素爆発を起こした日であり、未来の子ども達に対する責任を果たしましょう。未来に向かって、胸を張れるよう『協働』を進めましょう」と陳述を結んだ。
審査会委員からの質疑では、立地市町選出の自民党議員からは「賛成か反対とする条例案に違和感をもっている。立地自治体は、原発と共存してきた。全県的な判断に温度差が大きく、なじまない」と発言。多々良氏は、「女川町は二割の町民が署名した。温度差はなく、地元の方が求めている。福島事故は地元も県内もなくすべてにその被害を及ぼした」と明確に返答した。
県民投票の実現を求める野党会派で「脱原発県議の会」の議員からは、「直接民主制は間接民主制を補完するもので決して議員活動を制約するものではない。県民の意見表明する機会を奪ってはならない」「福島原発事故で今も苦しんでいる人たちの痛み、苦しみを受け止めた議論を」と発言、「国の責任についてどう考えているか」という質問には、「誰も責任を取らない。規制委員会は判断を示すだけで安全だとはいわないし、国は規制委員会に安全性を丸投げ、県、市町は国の責任という姿勢である」と批判した。

住民の声を聞くことになんの損失もない
引き続き野党側の推薦の武田真一郎氏(成蹊大学教授)が参考人として意見を述べた。武田氏は、「住民投票とは、住民が賛否両論に耳を傾け一票を投じ政治に民意を反映させるもの」とし、「間接民主制の機能不全(住民とのギャップ)を埋めるためにも重要」と述べ、新潟県巻町や徳島市の吉野川河口堰建設時の住民投票を紹介しながらその機能を示した。そして「県議会が県民の意見を聞かない理由はなく、聞くことになんの損失もない。聞かないことで政治不信を高めるという損失が生じる。県民の信託に応える判断をして頂きたい」と締めくくった。
質疑で自民党委員から「住民投票の結果で国策がぐちゃぐちゃになる」という質疑に対し武田さんは徳島市の事例をあげ「建設省は計画を撤回した。意見を示すことで国の方針を変えることができる。民意を示すことは重要」と応えた。

反対する理由
集めた不要論
自民・公明の推薦の参考人の河村和徳氏(東北大学准教授))は、「間接民主制の補完という視点からすれば『しないより、した方がよい』」と言いつつも、二元代表制との整合性の議論(賛意表明は、議員不要論を招くことなど)、実施可能性に対する議論(分権時代に県の事務を市町村にやらせることやコスト)、選択肢を巡る議論(二択でいいのか)、投票後に起こるであろう可能性についての議論(燃料税や失業対策などの自治体への影響、国や東北電力との関係、賠償含めた訴訟リスクや失業対策)が不足していると、条例案の不備を指摘した。反対するための理由を探し出してきたという印象が否めない。条例案に反対する議員からも、政局リスクや多様な判断ができないことなど反対ありきの表明で議論を深める機会をなくそうとする姿勢が際立った。
条例案を県議会に提案した宮城県から県民投票議案の概要説明があり、与野党委員から質疑を受け、四三年ぶりに開催された連合審査会は五時間にわたる審議を終えた。同日、別室で開催された「総務企画委員会」で自民党と公明党の反対(三対六)で否決した

県民の意思表示
を破壊するな
三月一五日に開催された本会議で、条例案は自民党、公明党の反対で否決された。
採決を前に条例案に賛成する野党側から、知事が意見書で指摘した「運営上の課題」に沿った形の「修正案」(公務員の意見表明可能とした項目の削除など)を提出した。
与野党それぞれ二人が賛成、反対討論に立ち条例案への意見を表明した。「新たな安全神話を作って過ちを繰り返そうしている。県民の思いは、声を聞いてほしいということだ。その機会を求めるのは当然」と賛成意見。反対意見の自民党議員は、「二択では県民の思いをくみ取れない。原子力政策は国策。投票結果の尊重義務規定は議員活動を制約する。原発と共存する地域や事業者への影響、交付金や雇用問題が発生する」として「熟慮して反対することにした」と自民党。そうであれば修正案を提出して討論をたたき合えばよいのに、それすらしない。県当局においても、「知事意見」で「運用上の課題」を指摘しながらも請求者への「訂正」対応すらしてこなかった。
酷かったのは公明党!「ポピュリズムの負の側面も無視できない。安易に住民に委ねることには弊害が多い」とまで言い切った。一一万筆の県民の思いを愚弄する発言で傍聴者から憤る声が上がった。
採決は、修正案も含めて自民党公明党の反対で否決された。反対が三五(自民三〇、公明四、21世紀クラブ一)、賛成は二一(みやぎ県民の声九、共産党八、社民党二、無所属の会二)採決時に自民党の一人(脱原発議員)が退席した。

県知事と議会の責任は非常に重い!
本議会終了後の意見交換会で、多々良氏は、「反対する理屈を探し出してきただけだ。反対した県議と知事は、どう県民に説明責任を果たしていくのか、重い責任を負わされた」「県民の参加を得て民意の力を形にした。運動を引き継ぎ、民意を力に変えていこう」と。
本会議で賛成討論した「みやぎ県民の声」の佐々木功悦議員は、「申し訳ない。議会制民主主義の結果だ。数をしっかりつくることだ。秋から来年が勝負だ」と今後も再稼働を許さない闘いの決意を語った。共産党の遠藤いく子議員は、「直接民主主義の力強さを感じた。議会で一一万人の思いを述べた。四会派はこれからも力を合わせていこう」と語り、社民党の岸田清実議員は、「二択がダメなら何故対案を出さないのか。やってほしくないために理屈をつけただけだ。政治を変える力にしていこう」とまとめた。
県議会が県民投票条例を否決したことについて地元紙河北新報は、「再稼働の地元判断に、県議会は住民投票によらず責任を持つと意思表示したことに等しい」として「議会制民主主義の担い手として責務が重みを増すことを自覚すべきだ」と報じた。
今年の秋には宮城県議会議員選挙が実施される。吉野川河口堰建設に関した住民投票条例案を否決した徳島市で、住民投票賛成派が次の市議選で逆転して住民投票を実現させた。県民投票条例制定運動の力を統一地方選、参議院選へと繋いでいくことが重要な局面になっている。再稼働を許さない闘いはこれからが本番だ。傍聴席は今日も満席だった。      (m)

3.8

ウィメンズマーチ東京2019

差別や暴力のない
社会を作るため!

 三月八日、ウィメンズマーチ東京2019は、国連大学前(渋谷)に四五〇人が集合し、「差別や暴力のない誰もが生きやすい社会を目指して」ともに歩いた。この日は、国際女性デー。世界の仲間たちは、ジェンダー平等を求めるグローバルマーチに数百万人が参加する。ウィメンズマーチ東京もその一環として取り組まれた。
 マーチ出発前、主催者から今日の取り組みの意義、およびみんなで掲げる要求スローガンを以下のように提起した。
?憲法24条を含む憲法の改悪をやめること
?男女間の賃金格差を是正する措置をとること
?夫婦同姓強制および再婚禁止期間の撤廃を含む民法改正を行うこと
?優生保護法下における強制不妊手術について、国の責任を認め、被害者中心アプローチによる被害の回復を行うこと
?女性差別撤廃条約の選択議定書を批准すること
?「慰安婦」問題について被害者中心による解決を目指すこと
?朝鮮学校に対する「高校無償化」制度からの除外や補助金の停止等の差別的な扱いを改めること
?現行の外国人技能実習制度を見直し、外国からの労働者も国内の労働者と同じ保護・権利の下で働けるようにすること
?公人による性的少数者に対する差別発言を許さず、性的少数者の権利を確立すること
?基地周辺における性暴力の現状を理解し、新たな基地建設を中止すること
 要求スローガンを全体で確認し、マーチへ。渋谷一帯に渡って「今日は国際女性デー わたしたちの声で社会を変えよう あなたの声で政治を変えよう」などのコールを響かせた。
 マーチ終了後、東京ウィメンズプラザでリレートーク。
 『週刊SPA!』の「ヤレる女子大学生RANKING」企画に抗議する「Voice Up Japan」、佐藤かおりさん(女性と人権全国ネットワーク共同代表)、林美子さん(メディアで働く女性ネットワーク代表世話人)、議会の男女同数を目指す元橋利恵さん、移住労働者と連携する全国ネットワーク(移住連)、レズビアンのためのスペース「れ組スタジオ・東京」、医学部入試における女性差別対策弁護団、YMCA、マイノリティー差別を取り組む堀あきこさん、柚木康子さん(均等待遇アクション21)が発言。
 女性差別、性的少数者抑圧社会について次々と告発、批判が続いた。 (Y)

コラム

「万年筆」が語るもの

 万年筆がブームだという。パソコン全盛の時代、専門店は活況を呈している。
 筆記具としてお世辞にも便利とは言えない。高価で扱いにくく手入れも面倒。書いた文字も退色する。それでも人気が出るのは、欠点に勝る奥深い魅力があるからだろう。子どもの頃、文房具屋のガラスケースに並んでいた廉価品。キラキラ光る切ない憧憬だ。
 私も何本か所有している。手にすると心が安らぎ、「さあ、書くぞ」という気になるから不思議である。背筋を伸ばし、頭の中であれこれと推敲してからペン先を垂らす。至福のひと時である。
 こちらは一本の万年筆に、人生がかかっている。狭山差別裁判。石川一雄さん宅の鴨居から突然発見された。警察の数回に及ぶ徹底捜索が終わった後の出来事である。
 極貧家庭には似合わぬ高級品。用意した捜査陣はインキにまで関心を払わなかったようだ。ここにも被差別部落への侮りが見える。被害者が使っていたのは「ジェットブルー」と呼ばれる特殊インキ。鴨居の品には「ブルーブラック」が入っていた。
 厳しい差別で教育機会を奪われ、文字を書くことすらままならなかった。脅迫状との筆跡の違いは一目瞭然。稚拙さを装った真犯人の高度な偽装工作に、警察はまんまと騙された。折から世論の非難を浴び、「生きている」犯人がどうしても必要だった。
 再審無罪を求める部落解放同盟と支援者の長い闘いは、これでもかと科学的な検証を積み上げ、新証拠として裁判所に提出してきた。被害者の「ジェットブルー」からは、「クロム元素」が検出されたが、「ブルーブラック」から浸出したのは「鉄元素」だった。
 それでも検察はシラを切る。インクが異なると、「被害者が当日立ち寄った郵便局で補充した」とまで言い出した。弁護団はもちろん反証した。「蛍光]線分析」では、仮に別のインキが混じれば、それぞれの成分が取り出されるのだ。鑑定ではパイロット社からも回答を得た。昨今の万年筆ファンなら、インクや用紙にはさらに詳しいだろう。書店に行けば専門誌も売っている。
 「プラチナ万年筆」は、各社が撤退するブルーブラックにこだわり、今なお生産を続けている。筆記直後は青色だが、時間が経につれ黒色に変化するという。「青の染料が徐々に分解され、黒色の鉄製分だけが紙面に残るからです。この変色を楽しめるのが、ブルーブラックインクの特権ですね」(万年筆ライフ・玄光社)と、同社執行役員で副工場長のN氏は語る。同誌には写真入り、図入りの解説がある。
 愛好家ならすぐに分かるような見識すら、大変な労力と時間をかけて国家機関に訴えなければならない。えん罪を晴らすためとはいえ、なんという理不尽か。    (隆)


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