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    かけはし2019年2月25日号

国際的反権威主義、反寡頭制の運動が必要だ


ブラジル

ボルソナロのネオファシスト政権反対
抵抗する民衆への国際連帯を

2018年12月5日

第四インターナショナルビューロー


 以下は、昨年一二月はじめに第四インターナショナルビューローが採択した国際的アピール。ブラジルに成立した極右政権が民衆にとって極めて危険な政権であり、特に周辺化され差別されている人々、および左翼と民衆運動の活動家への暴力的な攻撃もが危惧される情勢であること、に国際的な注意を喚起し、この政権と対決する国際的な連帯を呼びかけている。(「かけはし」編集部)


 プラナルト・パレス(ブラジリアのブラジル政府機関庁舎)の新しい占拠者の「ウルトラ」新自由主義、かつ保守的、権威主義的諸政策からこれから標的にされる人々、つまり労働者、黒人民衆、女性、若者、農民、土地なき家なき人々、LGBTIコミュニティ、教員、教授、科学者そして芸術家への全面的な連帯を。

通常では考えられない事態


 ラテンアメリカの最大の国におけるウルトラ右翼に向けたこの転換をもって、ラテンアメリカにおけるこの二〇年の社会的かつ民主的な達成成果が、かつて以上に脅威の下に置かれている。この情勢は、あらゆる種類の抑圧と不平等に反対し、民主主義に、また環境を守る闘いに打ち込んでいる世界の政治的、社会的諸勢力すべての、一つの幅広い決起を求めている。
 昨年一〇月のブラジル大統領選最終結果は、下院議員および元陸軍大尉であり、僅か一年にも満たない以前には、二八年もの議員歴をもつにも関わらず、支持率が一〇%以下で抗争のアウトサイダーであった、そのジャイロ・メシアス・ボルソナロを権力に押し上げた。ブラジルで選出された大統領は事実上、軍事独裁(一九六四―八五年)と拷問へのあからさまな擁護、都市の暴力に対する解決策として大量投獄と無法者「射殺」への熱情的な擁護、フェミニストと全体としての女性に対する見苦しい頑迷さ、ゲイ、レスビアン、トランスセクシャルさらにあらゆる周辺的な人々を敵視するはなはだしい偏見、そして基本的な社会的権利、環境に関する権利、行動の権利、そして労働者の権利に対する侮蔑、という彼の政治的立場に基づいて、ほとんどある種床屋談義の種でしかない人物だった。
 しかし、肉牛牧畜産業、金融システム部門、ネオペンテコスタリスト(キリスト教内の原理主義的新運動:訳者)の福音派教会のほとんど、さらに富裕な都市中間階級のほとんどと大きな民衆層の支持を確保したこのウルトラ右翼の人物は、二〇一九年一月一日にブラジル連邦共和国第三八代大統領として就任するだろう。
 ボルソナロは、長く続いた軍事独裁の終わりにより一九八五年に開始された政治システム、いわゆる新共和国の歴史上、もっとも二極化し暴力的となった選挙キャンペーンを経て、得票率五五%をもって権力に到達した。それはまた、ソーシャルメディアを通じたフェイクニュースのもっとも決定力を発揮した操作、確度は非常に高いと思われる諸個人と外国企業の参加、を伴ったブラジルの選挙でもあった。

前例のない鋭い社会二分の選挙


 これらは他のどのようなものとも似ていない選挙だった。選挙を前にした環境はすでに、世論調査をリードしていた人物に対するいわば政治的暗殺、次いで訴追という最初の合図で始まった。それは、二〇一六年の制度的クーデターというスリラー劇のもう一つの恐るべき章だった。ちなみにこのクーデターがPT政権を葬り去った。
 まず今年(二〇一八年)三月一四日の殺害は、リオデジャネイロの市議会議員、フェミニスト、そして黒人とLGBTの活動家であり、PSOL(社会主義と自由党)のマリエレ・フランコの殺害だった。彼女の死については、運転手を務めたアンデルソン・ゴメスの死と共に、未だ明らかにされていない。それは、前例のない制度的な形態における、全黒人、あらゆるファベーラ活動家、あらゆるフェミニスト、あらゆるLGBTの人々に対する、もっとも反動的な諸勢力からのぞっとするようなメッセージだ。
 高裁、伝統的諸政党、議会、さらにまた草の根のボルソナロ派グループ(国の南部での前大統領のキャラバンで、一台のバスに銃撃まで加えた)がしでかした迫害は、PTの指導者、ルラに対する迫害であり、高度に問題含みの手続きに続く、四月七日の彼の逮捕であらためて固められたある種のクーデターだった。
 九月はじめボルソナロは、フイツ・デ・フォラ市(ミナスジェライス州)で遊説中に「一匹狼」に刺された。この攻撃は、彼の命を危険にさらし、彼を三度手術室に送ったが、彼に復活するヒーローというオーラを与え、さらに論争――彼は早くから、それが彼にとって難しいものであることを示していた――を回避するために彼が必要とした口実まで与えた。鋭い二極的対立は、このエピソード以後ブラジルでは知られたことのないレベルに達した。
 決選投票に向けた最初の世論調査は、この将校候補者の圧倒的勝利を指し示した。しかしそれは最終的に現実とはならなかった。第一回投票での彼の勝利が、左翼と民主主義諸勢力の多数派に基づく、「投票先を変える」ことがうまくいくという見込みの下に初めて街頭に繰り出した人々、および活動家からなる数百万人を含んだ統一した行動の形で、決起と統一双方を迫ったからだ。
 一〇月の最後の二週間におけるアダジ支持の決起は、「ワッツアップ」(リアルタイムで情報交換が可能なウェブサイト:訳者)でのフェイクニュース発信――二〇一六年にフェースブックを介してドナルド・トランプがすでに利用していたものに似た行為――に対する支払いのために、ボルソナロが違法な事業資金を利用していた、という「フォラ・デ・サンパウロ」紙の暴露によって強化された。多くのボルソナロ支持者は、投票しない、あるいは投票取り消しの選択を行った。
 しかしファシスト的キャンペーンは衰えなかった。この候補者は一つの演説で、「赤」とこの国で最大の新聞を地図から消し去る、と公約することで応じた。政治的空気は、親アダジ活動家に対する肉体的暴力、レイプ、さらにサルバドール(バヒア州)でカポエイラ(アフリカ起源の男性舞踊:訳者)の名手の殺人まで起きる状況を特徴とした。
 そうであってもボルソナロは最終的に、アダジより一〇〇〇万票多い得票(五五%対四五%)という極めて重要な差で勝利した。またそこには、ほとんどの州での勝利――北東部とパラ州(アマゾン)を例外として――も付随していた。
 しかしながらPTは、下院での最大グループを何とか維持できた(ボルソナロのPSL〈社会自由党〉の五二議席に対し五六議席)。さらにその連携勢力と共に、北東部すべてで州政府を維持することもできた。
 同時に、極右は、南東部の裕福で戦略的な州――リオ、サンパウロ、ミナスジェライス――の政権を獲得した。ボルソナロを背後で支える連合の中核は、九〇人の下院議員を選出させたが、しかし彼らの連合は全議席五三四のうち二〇〇以上に達する可能性があると思われる。

ボルソナロの浮上なぜ可能に?


 ボルソナロの台頭を理解するためには、記録で二、三年遡り、二〇一六年の制度的クーデターで倒されたPT政権の一三年間、を特筆するできごとと主な特徴を再生しなければ不可能だ。
 PTは二〇〇三年から二〇一三年まで連邦政権の中で、商品輸出における世界的ブームから利益を受けた。国の脱工業化を深めつつも、輸出の伸長を基礎としたその政策は、ルラの内閣(二〇〇三―一〇年)とディルマの一期目の内閣(二〇一一―一四年)双方に、金融資本に対し、またアグリビジネスに対し法外な利益を保証し、建設、鉱業、テレコミュニケーション、さらに食肉といった主な資本家グループに、公的な財源で資金を与える余地を与えた。
 しかしPTの諸政権はそうであっても、限定的な再配分政策も推し進めた。そしてそこには、郊外や田舎のもっとも脆弱な住民への実体的な影響が付随した。彼らは、インフレ率よりも高い率で最低賃金を引き上げ、ボルサ・ファミリア計画(子どもを学校に通わせ続けることを条件とした、貧困線以下の家族に対する毎月の手当支払い)、多数の積極的差別是正政策(大学や技術学校における、貧困層、黒人、先住民学生の割り当て)、そして新たな公立大学、公立学校、私立大学における奨学金、の増大を維持した。
 公立銀行の簡単に借りることのできるマネーという手段による国内消費に対する幅広い刺激と組になった先の諸方策は、労働者の広い層が家を購入し、彼らの生涯でははじめて大量消費市場に入ることを可能にした。
 そうであってもすでに二〇〇五年には、ルラ政権による議会内の票の買い取りというスキャンダルにより、PTの威信は下降し始めた。この時までに明確になったことは、階級的主張をずっと前にどんなものも放棄していたこの党が、公的生活への民衆と市民の参加を励ますどんなタイプの方策あるいは政策も取り入れはしないだろう、ということだった。PTはその代わりに、連合政権としての統治能力を確保する目的で、議会内のその基盤に福音派教会のグループを維持するために、巨大な譲歩を行った。この福音派グループの例としては、神の王国万物教会や神の議会を挙げることができる(これらは二〇一八年に、ボルソナロの勝利にとっては決定的になるだろう)。
 農業資本、ネオ福音派、さらに「銃弾グループ」(警察と兵器製造業界の代表)に対するこれらの譲歩は、中絶の脱犯罪化と合法化のようなフェミニストの指標での前進のために何の行動もとらず、先住民の土地の境界画定を無力化し、大規模インフラと大規模事業計画を取り入れた、ということを意味した。そしてその最後のものは、先住民と川沿いの住民を、彼らの土地から排除することに帰着した。
 PTは、麻薬戦争、大量投獄、黒人皆殺し(特にファベーラの若者)に終止符を打つために、司法、警察、刑務所システムの深い改革に向けた論争で、いくらかのことを前に進めている。しかし二〇一三年にはディルマの下で、PTの政治的・イデオロギー的降下は、不満の社会的噴出によって転落の様相を帯びる。
 教育、医療、より良い都市交通を求めた巨大なデモの真ん中で、右翼グループは、左翼と闘い、汚職に反対する運動を全政党に反対する、特にPTに反対する方向に向けるために、街頭に繰り出した。しかしながら二〇一三年六月は、PTが述べているように、反動的な性格の爆発ではなかった――それとははるかに距離がある――。
 しかしそれは疑いなく、PTにはもはや大衆を「受動的に」とどめておくという効用が以前ほどはないということを、エリートの一部に明らかにした。そして右翼と極右はその時から、われわれが二〇一五年と二〇一六年にディルマを放逐するための幅広い抗議行動に見たように、大衆動員に向けた政治的、イデオロギー的闘争において、主流メディアの決定的な支持を勘定に入れることになった。

汚職蔓延発覚と経済停滞の役割


 政府に対する政治的・社会的不満は、二〇一四年に始まる長期の経済停滞で大きく強まった。それは、ルラ主義の基盤を形成した諸層に対し所得の下落を押しつけ、都市と田舎の暴力爆発を焚きつけた。ディルマの深い信用失墜に決定的に寄与したものは、彼女が二期目の左翼としての大統領選キャンペーンに乗りだし(二〇一四年八月―一〇月)、二ヵ月も経たないうちに、彼女の敵対勢力出身の一人の閣僚、新自由主義派のホアキム・レビをもって、彼女が約束したすべてに反する向きの経済綱領を適用し始めたことだった。このレビは今や、ボルソナロ政権の一部になるだろう。
 PTの敵前逃亡は、金額と全政治システムに広がった感染という点で最大の汚職、が労働者の意識に及ぼした衝撃により加速した。ラバ・ジャト作戦が暴露したそのペトロブラス(国営のブラジル石油:訳者)・スキャンダルでは、事実上共和国の全政党が、百万長者の賄賂のネットワークに巻き込まれていたのだ。二〇一四年末から二〇一五年初頭のどこかで(よりありそうなこととしてディルマがレビを解任した時)、「汚職」に反対して右翼が動員した街頭での数十万にのぼる「黄色と緑」(ブラジル国旗の主要色)をもって、ブラジル資本家の基幹部分は、彼らがPTの階級協調構想に与えていた支持を断ち切り、クーデター共謀の側に付いた。
 ディルマの弾劾の後、二〇一六年四月から九月にかけて、PTが支持者や活動家や闘士を失う一方で、右翼とそのもっともウルトラな変種が社会の中で成長した。伝統的により反動的な(レイシスト、女性差別主義者、ホモ嫌い、そして新しい世代の社会的に進歩的な習慣に怖れを抱いた)、ブルジョアジーと大きな中間階級層のやけっぱちになった部分は、極右を迎え入れた。
 PTに対する迫害は本物だった。つまり司法と警察は選択的だった。
 クーデター勢力は「司法取引」の仕組みの悪用を頼りにした。しかしルラは、明らかな証拠もないままに訴追され、その後公正な裁判もないまま有罪を宣告された。メディアは、公式の認定のないルラとディルマの音声を公表した。判事たちは、そうする必要がないにもかかわらず数人のPT指導者を逮捕した。弾劾は政治的にも法的にも正当化できないものだった。
 しかしながら、党はそれほど多くの指導者による「悪行」(ディルマの表現を使えば)についていかなる自己批判もまったく明らかにしなかった。指導部の公式路線は、二〇一八年のキャンペーンにおいて、アダジにそうした自己批判を禁ずることだった。問題はPT指導部にとって、多くの個人的「過ち」――彼らの大部分は今刑務所にいる――だった。そして、その寡頭支配層の連携相手から党が最悪の習慣に感染したという、政治システムの支配にそれほどまで深く順応した「PTの統治のやり方」に関しては、一言もない。
 これこそが、PTに対する強力な拒絶がブラジル社会のかなりの部分の中でどのように生まれ成長したか、だ。ルラの年月から利益を受けてきたより貧困な諸層な中では、これが固まることにはならなかった。より情報があり活動的な若者たちと左翼の労働者階級層の中では、PTに対するこの疑問突き付けが、シロ・ゴメス(PDT、民主労働党)、マリナ・シルバ(環境活動家、二〇〇九年八月までPT上院議員、PT政権で環境相にも就任:訳者)、そしてPSOL(社会主義と自由党)に力を与えた可能性がある。
 しかしそれは、裕福な都市の中間階級、特にその上層(特に南東部と南部の)の中では、メディア、ラバ・ジャト、右翼諸政党の助けをテコにPTに対する見境のない憎悪になった。それは、左翼、社会的諸政策、全員に効力がおよぶ人権という理念、もたざる者たちへの連帯という理念、世界の一部であるという観念、科学と真理、これらに対する見境のない憎悪であり、赤という色、キューバ、ベネズエラ、フェミニズム、ゲイ、トランス、環境保護への憎悪、そして、全員への機会並びに異なることへの侮蔑という姿を取った、「神の市場」への信仰と繁栄の神学を基礎とした、純粋に自己中心的個人主義を除くすべてのことに対する憎悪だった。
 ボルソナロ大統領を選出したものは、この反動的な反PT主義と、労働者にまさに多くの幻想をもたらした政党に対する何百万人という労働者の正当な幻滅、この二つの組み合わせだった。

ボルソナロは驚きでなかった

 ミシェル・テメル(前大統領)は、経済を停滞から抜け出させることができずに、前例のない不人気を抱えたまま去ることになる。とはいえ、資本にとっての土台となる作業を行い、ボルソナロの選出を助けた。ディルマの前副大統領によって導入された公的投資凍結という急進的計画と労働者の諸権利取り上げは、経済危機を深めることになった。
深く保守的で家父長的、そして権威主義的な奴隷制的基盤と先の危機の爆発的組み合わせは、奴隷制廃止が世界で最後となり、極右の成長にとっての土壌が肥沃に蓄えられたこの国には、常に潜んでいるのだ。いずれにしろ、ブラジルブルジョアジーのもっとも重要な部分は、ボルソナロにではなく、ゲラルド・アルキミン(サンパウロのPSDB〈ブラジル社会民主党〉)に賭けた。最初からボルソナロに賭けた部分は、兵器産業界、小売業界、そしてアグリビジネスの多数派だった。
われわれはまた、判事たち、ラバ・ジャトを指揮した検察官たち、主流メディア、そして(今や十分に知られているが)軍部の大多数間の「神聖同盟」から油を注がれた、汚職反対の実体ある政治的・イデオロギー的十字軍があったことも思い起こさなければならない。この四年にわたる長期のキャンペーンは、今の政治システム、古い政党と人物に対する使い尽くしたという感覚――しかしまた、反システムの「救済者」をボルソナロが体現している、と思い込む幻想――を、世論の中で強化する上で決定的だった。
伝統的に支配政党であったPSDBやMDB(ブラジル民主運動)は、旧スタイルのシステムを代表すると見られ、獲得議席が各々三四と二九という形で、選挙で鉄槌を受けた。アルクミンが選出されることも決してないだろう。

国際的広がりもつメディア操作


ボルソナロ・キャンペーンによるワッツアップ諸グループの操作の成功は、ブラジル選挙の危険な国際化を指し示し、一つの世界的な傾向を予示している。おそらくこのキャンペーンには、スティーヴ・バノンにつながる市場調査企業からの国際的な助言があったと思われる。ちなみにトランプの選挙戦略家であったこの者は今、極右「ポピュリズム」の「インターナショナル」を組織することに取りかかっている。
しかしこれは、ブラジルの選挙プロセスに対する外国からの介入を形にした。この監視資本主義の中で選挙に影響を与えるデジタルデータの生産センターは、世界的には米国に置かれている、ということを心にとどめることが重要だ。それは、国民主権に対する告別を示すもう一つの標識だ。
この極右候補者は、腐敗し不人気なテメル政権、不況と失業、伝統的な諸政党、そしてPTに対する不満という大波に乗った。こうしてボルソナロは、自らに「反システム」イメージを何とか与えることができた。したがって彼の台頭は、第四インターナショナル一七回大会が採択した文書、「資本主義グローバリゼーション、帝国主義、地政学的カオスおよびその意味」が描いた予測不可能性と世界的な統治不可能性というシナリオに、完全に合致している。
ブラジル資本の諸部分は、銀行や保険会社やアグリビジネスのように十分にグローバル化していてさえ、民主主義の体制と従属的な諸階級と取引する形の「調停」を完全に放棄するにいたり、超搾取と略奪を深めるためのより大きな容易さを彼らに提供する、そうしたオルタナティブ取り入れを選択した。
ここにあるものは、それによって公的資金――そのすべて――とあらゆる共有財、諸領域、森林、エネルギー、また水がシステムによって利用されるべきとされる、新たな世界的な資本主義的再編だ。そのような構想は、社会におけるあらゆる透明な論争に終止符を打たない限り、決して生き残ることはできない。そしてレイシストの、外国人排撃の、民族主義の諸グループが米国、フランス、ドイツ、インドで成長を続け、ハンガリーやフィリピンで彼らが権力に到達しているのは、同じ脈絡の中でのことなのだ。事実として、二〇〇七/八年の金融の津波以前の、二〇〇七年までに得られた利潤率に回帰する困難さは、世界のブルジョアジーを次のことへと押しやってきた。

(1)労働者階級と「グローバルサウス」の民衆の諸権利を一層強奪する世界的な構想の遂行。そしてそこには、領土それ自身、水(帯水層、河川、海洋)、鉱床、エネルギー資源といった、国の共有財であるべきものに対する、絶対的権利を獲得することが含まれる。(2)したがって、国民主権とブルジョア民主主義体制に対する一層の攻撃。これらの攻撃対象は、システムとその国際機構が強要する、構造調整、緊縮、私有化、債務化また諸地域と諸々の財の回収という、新自由主義諸計画の実行に対しては、ますます障害を意味しているのだ。
(3)工業諸国では民族主義・保護主義の含みに基づく、グローバルサウスでは経済戦線に関するもっとウルトラな自由主義の諸特性に基づく、そして習わしに関する強硬で保守的な主張、極めて過酷な諸政策、反人権、貿易に関する残忍な戦争、さらに概して山賊行為を付随した、少なくとも部分的な極右の解決を選択すること。

レジームチェンジめぐる動乱期


ブラジルの搾取され抑圧された者たちの前に控える時代は、むしろ暗く困難であることに加えて、激しい動乱を呼ぶものになるだろう。ブラジルでのネオファシスト政権の選出は、世界とラテンアメリカの社会運動と民主主義運動にとって厳しい敗北だとはいえ、これは歴史的な敗北ではない。現在の反動的な情勢からあからさまな反革命的な情勢への飛躍は、まだ起きていず、起きない可能性もある。つまりこれは、依然これから闘われるものとしての、衝突と闘争の結果次第だ。
ブラジルにおける政治情勢の急進化は、世界的な経済危機の展開とブラジル経済へのその影響、ボルソナロの支持ブロックとこの国の労働者および被抑圧民衆の抵抗力がつくる国内的諸矛盾を解決する、ボルソナロとその政府の能力に依存している。
政権の基幹部分がもっている計画は、今の体制の終結へと、民衆的圧力をよりはねつける政治システムへと導く構想だ。もう一つの問題は、政治システムのこの変革に見合った力関係が現在あるかどうか、そして、ボルソナロと彼の第一列が彼の構想をどのペースで適用できるか、ということだ。この政権は本質的に、民主的諸制度に無関心な、また国内と外国の敵をつくり出す論理に立って行動を展開することが暗に示された、権威主義的、レイシスト的、女性差別的、LGBT排撃の、反左翼のそれ、一言で言ってネオファシストだ。このすべては、古典的ファシズムの保護主義的民族主義とは逆向きの、つまりウルトラ自由主義の、私有化推進の、そして諸権利取り上げという設定課題には助けとなるのだ。
新政権の支持ブロックは、軍とウルトラ自由主義の中核と並んで、ウルトラ自由主義の宗教的原理主義(その中では神の王国万物教会が際立っている)、司法の諸部分(たとえばセルジオ・モロ)、アグリビジネス、シカゴ大学学派の銀行家とエコノミスト、さらに伝統的諸政党と袂を分かった生来的政治屋――二〇一六年のクーデターを作り上げた重要な一部――を含んでいる。
諸勢力のこの総計は、その設定課題と諸構想間に矛盾をいくつか抱えている。この政権の将来は、その中核の政治的構想に取りかかる上で、先のブロックの団結を確保する中核部分の能力にかかることになるだろう。これらの国内的、対外的諸課題の展開次第で、政権の基幹部分は、その構想の、つまりもっと非民主主義的な政治システムの急進的な実行へと動いたり、動かなかったりするだろう。極右的再起に対するいくつかの主要な試金石は、すでに二〇一九年に向けて計画されている。

攻撃―ネオファシズムの「実験」

 国際的な諸条件は、ブラジル経済の新たな成長に有望であるようには見えない。見通しは、二〇一九年の世界的景気後退というものだ。そしてボルソナロは、米国とイスラエルの利害への薄汚い同調、およびアルゼンチンと全体としてのメルコスール(南米共同市場)を犠牲にしたピネラのチリへの接近を公表している。 これらの連携は、経済の回復に向けて鍵を握る経済的連携相手との関係の均衡を壊している。つまり中国との関係であり、この国は、ブラジルにとって極めて良好な貿易収支を伴った、ブラジルの重要な貿易相手国なのだ。そして中国企業は、たとえば電力部門において、この国への大きな直接投資を保持している。
アラブ諸国も、アグリビジネスが提供する鶏肉の、さらに牛肉の主な買い手になっている……。現在の不都合な世界的脈絡の中で国際政策を誤ることは、公的財政の帳尻を最小に合わせる見込みを、また産業部門の稼動を維持する見込みを実行不可能にする可能性がある。
「党なき学校」構想は、教室で語られることの統制――ジェンダー問題、性教育、そして政府批判に関する特別の懸念に基づいて――を目的にしている。選出された大統領はソーシャルネットワークを通じて、教室で歴史の諸問題を政治化し、ジェンダー問題を講義する教員たちを糾弾するよう、親と生徒たちに呼びかけている。選出された大統領の長男で、サンパウロ選出の連邦下院議員となったエヂュアルド・ボルソナロはすでに、さらに加えて「共産主義の擁護」を犯罪にすることを目的とする法案を公表した。
その上に教育分野での公約には、特に高等教育部門における公的かつ無料の学校に対する乱暴な攻撃がある。またボルソナロは、校長の選抜を直接妨げている。同時に彼は、小学レベル(最初の五年!)を含んで、通信教育の利点に賞讃を与えている。そして、チリのように、私立学校を利用できるようにバウチャーモデルを、あるいは私立学校に公的資金を移すやり方をこの国に取り入れる、と示唆している。
第二の試金石は、新たな反動的諸グループによりすでに早々に起案された、反テロ法(悲劇的かつ皮肉にも、二〇一三年への対応としてディルマが制定した)の改正を通して、土地と住宅の占拠運動(MSTとMTST)に対する犯罪化になるだろう。
もう一つの重要な試金石は、「神の市場」とすぐさまボルソナロ主義に転換したメディアから毎日求められているものだが、社会保障制度の改革だ。選出された大統領はすでに、社会保障制度でのいかなる変更に関しても年内の票決を行わないこと、をテメルとの間で交渉を済ませた。強大な権力をもつ経済相となりシカゴボーイであるパウロ・グエデスは、二〇一九年に向けてもっと根底的とさえ言える改革を公約している。それはピノチェト社会保障(労働者各自が退職後に備えて個人的に貯蓄することに基づく)を範とすることを基礎にしている。しかしそれは、本物のニュースに接すれば分かるように、チリでは社会的惨害に帰着した。論争と闘争は請け合いだ。
後景では、底辺のブラジルで、麻薬に対する、また貧しい者に対する戦争が強化されるだろう。そしてそれは、新政権が黒人民衆に対する皆殺し的行為を強化する、ということを意味している。
この攻撃は、嫌疑だけでも殺害をいとわず発砲すること、および大量投獄継続に対し、残忍な軍警察と自治体警官に許可を与えることを通して、また武器携行の解放を通して起きるだろう。この組になった方策は、労組、諸市民団体、諸政党の機能に対する制限(ボルソナロと彼の追随者たちは早くから、PTとPSOLの指導者たちとの戦争を約束していた)、また報道の自由や表現と組織化に対する制限へと、拡張される可能性もあるだろう。
ボルソナロはさらに、トランプの後に従って、CO2排出に関する壊れやすいパリ協定との関係を断つと約束することで、世界の環境にとっての大きな脅威になっていると分かった。そしてそれを仕上げるために、先住民の土地の境界画定を止めると約束している。それは特に肉牛牧場の地主(しかしまた、アマゾンの農業未開発地における大豆や他の穀類生産者)への明白な信号として、熱帯雨林破壊に青信号を出すものだ。
大きな熱帯雨林がPTの資源略奪主義の君臨の下ですでに脅かされてきたとするならば、チェーンソーとアグリビジネスのこの連携が指揮する下では、この世界の肺の状況と、南米における一定の気候の均衡保証は、はるかに悪いものになるだろう。

国際的抵抗と連帯の組織化へ

 ブラジルにおける基本的任務は、民主的な自由と民衆の社会的諸権利に対する新政権の攻撃に、民主主義と諸権利並びにネオファシストが破壊するつもりの達成成果を守りたいと思っている人々すべての統一した闘いを通して、抵抗を組織することだ。われわれはこの闘争の中で、民主的で社会的な諸権利を防衛する単一の反ファシスト戦線――政府と資本による諸攻撃と対決する部門のまた地域のイニシアチブを接合でき、統一できる――の創出に向けて努力する。第四インターナショナルの戦士たちと共鳴者たちは、民主主義とあらゆる社会的かつ人間的権利を防衛するこの闘いの中にいるだろう。
われわれはまた、労働者、若者、黒人と黒人女性、LGBTの人々、先住民衆、さらに住民のあらゆる層の自主的組織体と組織された運動の一部ともなり、ブラジルの民衆を支援するために、かつて以上に職場、貧困地区、大学、学校、不安定かつ急進化した若者の文化グループ、土地のない貧しい者たちの占拠といった場に密着するだろう。
そしてわれわれは、若い女性たちの運動に特別の重要性を置く。彼女たちは、二〇一六年春以後、事態を動かす力を生み出し続け、「♯Elenao」(反ボルソナロ決起を呼びかけた:訳者)の組織化をもって、すべての者にまさに多くのことを教えてきたのだ。
ボルソナロの選出が見てきたような影響力を及ぼしてきたラテンアメリカの場合、極めてはっきりさせられなければならないことは、マクリ、ドゥケ(コロンビア大統領)、ピネラ、オルテガと彼の計画に反対するあらゆる小闘争、すべての勝利は、部分的だとしても、同時にボルソナロに対する抵抗の勝利でもある、ということだ。一歩も後退するな! ブラジルでの抵抗は、ラテンアメリカ全部の粘り強さ、および世界中の闘争の進歩にかかっている。
それこそが、ブラジルの新政権が民主主義、立法権と国際的な環境諸条約(アマゾンは大きな危険にさらされている!)、労働者の社会的、政治的諸権利に敵対する下稽古にするつもりの、諸々の攻撃に反対する広範な糾弾キャンペーンを、欧州、米国、アジア、オセアニアで、われわれが十分な気配りの下に遂行することも、また決定的である理由だ。
第四インターナショナルは、闘うあらゆる人々、あらゆるエコロジスト、あらゆる民主主義者に、ボルソナロ政権を糾弾し、以下のことを要求するために、彼らの諸力を統一するよう訴える。
▼ブラジルの土地なき者たち、家なき者たちを攻撃するな! 反テロ法とそのぞっとするような強化を拒む国際的キャンペーン支持! MSTとMTST、およびあらゆる活動家との全面的な連帯!
▼アマゾンの熱帯雨林に手を出すな! 先住民の土地に手を触れるな! 先住民衆のための土地の境界画定を保証する法を維持せよ!ブラジルはパリ協定にとどまれ!
▼ブラジルの労働者の社会保障に関する権利を維持せよ! まず社会保障の債務者に関する徹底的な監査とその公表なしには、いかなる年金制度改革も行うな!
▼ブラジルの公立大学に手を出すな! 学問の自由を保障せよ! 校長(学部長)の選抜を絶対に妨げるな!
▼「党なき学校」をつぶせ! 教室に携帯電話を一切持ち込ませるな! 教育予算を維持し、小中教育では対面の教育を!
▼麻薬と貧しい者との戦争を終わらせよ! 銃所有許可証の自由化絶対反対! 将来の閣僚であるセルジオ・モロが提案した、刑事罰年齢の引き下げ反対! 若者には刑務所ではなく学校が必要だ! マリファナの合法化を。判決なしに投獄されている二〇万人の囚人の裁判をスピードアップするために、司法による総力を結集した努力を。

 選挙でのボルソナロの勝利は、事実として、権威主義体制再起の一部だ。その再起は、ロシアのプーチン、ハンガリーのオルバン、ポーランドのPiS(法と正義)政権、トルコのエルドアン、フィリピンのドゥテルテ、米国のトランプ、イスラエルのネタニエフ、さらにオーストリアあるいはイタリア……の政権に応じている極右諸政党と共に、この何十年かの民主的諸成果を絞め殺しつつある。
一つの国際的な反権威主義、反寡頭制の運動が必要だ。先の情勢が、民主的諸権利、労働者の権利、女性の権利、環境や気候の保全、つまりあらゆる種類の抑圧に反対して運動する人間の自由、に打ち込んできたすべての政治勢力の広範な決起を必要としているからだ。そのような世界的運動の建設が任務として課題に設定されている。
(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一二月号) 



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