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    かけはし2019年2月4日号

「民族の指導者」への不信兆す


ロシア

物議かもす年金改革

国家の真の保護対象明るみに

カリン・クレメント

 ロシアでは昨年からプーチンの求心力低下が著しい。日本では北方諸島問題の困難化に関連づけて報じられているが、支持率低下の実態を伝えるものは少ない。以下はその実状と背景を伝えている。混沌化と不透明化が深まる世界の今後に小さくない影響を及ぼす可能性をはらむ問題であり、以下に紹介する。(「かけはし」編集部)

年金大改悪がプーチンを直撃


 ドミトリー・メドベージェフ首相は昨年六月、まさにワールドカップに合わせて、ロシアの年金制度の大改革を公表した。それによれば、退職年齢は女性の場合五五歳から六三歳へと、男性の場合は六〇歳から六五歳へと引き上げられるだろう。プーチン大統領は論争の外部にとどまろうとしたが、この公表は、彼に対する支持率が八〇%から六三%に急落する事態をつくり出した。プーチンは、国中での数百に上る抗議行動の後、国民に語りかけるためにテレビに出演し、計画された改革を変更し、女性が年金を受給できる年齢を六〇歳に修正、年金額も相当引き上げると約束した。
 この宣伝キャンペーンは、部分的にうまくいったにすぎない。街頭の抗議行動は次第に消えていったが、プーチンの統一ロシア党は選挙で報いを受けた。九月の地方選挙では、プーチンの党の候補者四人、いずれも現職の州知事が、決選投票に臨むことを強いられた。ロシアでこれは普通のことではない。ウラジミール州とハバロフスク州では、極右の民族主義野党(ロシア自由民主党、LDPR)が勝利した。プリモルスキーとクハカシアでは、共産党の前進を止めるために、当局が選挙を取り消したり、延期したりした。
 ロシアの年金に関する全面見直しのペースと範囲は、他で持ち込まれた諸政策と比べて目立つものになっている。ロシアの労働者は二〇二九年までに、退職年齢が年六カ月延びる形で、年金受給のためにさらに五年働くことを強いられるだろう。
 一九九八年、韓国政府もまた退職年齢を五年引き上げた。しかしその引き上げは、二〇年にわたる段階的なものだった。ドイツ政府は六二歳まで一年だけ退職年齢を引き上げ、フランス政府も六七歳まで二年だけそれを引き上げた。しかしそのペースは年に一カ月、あるいは二カ月というものだった。

高齢者めぐるさまざまな論争

 ロシアの年金改革擁護者は、他でも聞くことのできる議論を引用する。人口が高齢化を続けていると。ロシア統計局の公式統計数字によれば二〇一七年、ロシアには年金生活者の三六五〇万人に対し稼動労働力が約八三〇〇万人存在し、一人の年金生活者に対する労働者の比率は二・三人だ。二〇〇二年、この比率は三対一だった。
しかしこれは一時的な局面だ。労働力市場ではまもなく、混沌を極めた一九九〇年代生まれの世代に、強力な経済と人口の成長の時期だった二〇〇〇年代の、もっと大きな「歩兵隊」が加わるだろう。
年金生活者はどれほど生きるのだろうか? 第二の人口論的議論は、ロシアの退職年齢は一九三二年以来変わっていないが、一方で期待寿命は著しく改善された、というものだ。
メドベージェフが引用したロシア統計局の数字にしたがえば、一九三〇年代初頭の平均期待寿命は三五年にすぎず、それに比べ現在は七二・七歳に達している。しかし一九三〇年代の非常に高い幼児死亡率は、その時期の平均を相当程度引き下げているのだ。そして比較としてそれを考えることは、いわば成果として、欧州では最低の寿命期待の一つを示すことを可能にしている。
一九三二年、高齢者の少数だけが年金を得ていた。その権利は、一九五六年に全都市居住者に広げられ、一九六七年には集団農場の労働者と農民に広げられた。一九六七年にソ連で生まれた赤ん坊は、六九・三歳まで生きることを期待できた。二〇一八年の年金受給資格者となる新しい年齢は、彼らの現期待寿命(女性に対する期待寿命は七七歳)、六六・五歳まで一年半しかない。
新自由主義のエコノミストたちは、重要な数字は誕生時の期待寿命ではなく、退職年齢後に生きることを期待できる年数だ、ということに異議を唱えている。ジャーナリストや改革の擁護者が引用したモスクワ高等経済学院による調査は、退職年齢に達した人々は、たとえその年齢が延ばされるとしても、男性の場合はさらに一三・四年、女性の場合はさらに二一・七年生きることを期待できる、という事実を浮き彫りにしている。人口学者のアナトリー・ビシュネフスキーはこれまで、この数字は一九六〇年代以来ほとんど改善せず、労働生活が延長される場合低下する可能性がある、と指摘してきた。

若い母親は働けなくなる?

 しばしば提起されたもう一つの問題は、伝統的に女性が果たしてきた社会的役割だ。そして女性たちは五五歳で労働力であることを辞める。そのもっとも若い世代は、社会学者のエレナ・ツドラボミスロバが「サンドウィッチ世代」と呼ぶものに属している。彼女たちは、子どもの面倒を見、そのことで彼女たちの子どもが働くことを可能にし、さらに国家からの支給がほとんどない彼女たち自身の老いた両親の介護まで行うという、重要な役割を受け持っている。政府は、若い母親が働くことをどうやって可能にすると想定しているのだろうか? そして年老いた者の面倒は誰が見ることになるのだろうか?
改革の支持者たちは、労働生活の延長が年金引き上げを可能にする、との経済的主張を行っている。ちなみにこの年金額については、改革派もその反対派も双方が不十分だと見ている。現在年金月額は一万三三〇〇ルーブル(およそ二〇三ドル)であり、平均賃金の約三四%、したがって男性の四〇%、女性の六六%は、年金生活者になってからも五年間雇用を通して賃金を受け続けている。
こうした行為は、ソ連期にも似たレベルで存在していた。しかし当時年金生活者は、もっと良好な国家からの支給――一九七六年には、平均の年金額は平均賃金の半分を超えていた――を受け、またもっと良好な医療の権利を享受していた。
年金年齢の女性は、教育、医療、社会サービス、さらに文化といった、伝統的に「女性の」、また賃金が不十分と考えられてきた部門で働き続けている。年金年齢の男性は、低賃金の臨時労働に頼っている。プーチンは彼のテレビの語りかけの中で、年金月額は二〇二四年までに平均二万ルーブル(三〇六ドル)になるだろうと約束した。しかしこれは外見ほどの気前の良さはない。つまり、過去六年と同じくインフレが続くならば、それは単に、実質消費力がそのままになる、と意味するにすぎない。

「普通の人々」の擁護者イメージ


プーチンには、トップダウンの権力を回復することに熱心な国家主義的指導者、というイメージがある。彼の最初の二期(二〇〇〇―八年)の間政府は、寡頭支配層に譲り渡された戦略的経済部門、特に原油と天然ガスに対する支配を回復した。経済成長への復帰は、諸々の俸給と年金を再び支払うことを可能にした。これは、中間階級と労働者階級、彼が好んで褒めそやす「普通の人々」をテコに、プーチンの人気を確実にした。
しかし多くの評論家たちは、プーチンが権力に到達してから、公的支出を抑制し、富裕層と事業を利する税制を確立することで、社会的国家の近代化を遂行してきた、という事実を見逃している。
彼は二〇〇二年、均一税率所得税を一三%に設定、連邦支出を効率性基準と生産性基準にしたがわせ(大きく引き下げ)ることで医療と教育を改革(二〇〇六―一二年)、さらに雇用主を利する新労働法を採択した(二〇〇二年)。
年金制度もそこから逃れられなかった。政府は二〇〇二年、現在の高度に不公正な、後向きの拠出制度を設立した。ほとんどの労働者は彼らの総俸給の二二%を国家年金システムに払い込んでいる。しかし現在月額六万七九〇〇ルーブル(約一〇四〇ドル)以上稼いでいる者――上位一五%――は、彼らの俸給の一〇%しか払い込んでいない。当局は二〇〇二年、新たな義務的年金基金を現在の制度に接ぎ木した。その下では、年金拠出の六%は金融仲介者あるいは私的年金基金に入る。
二〇〇五年、ポストソ連では前例のない抗議運動が、緊縮が駆り立てた改革を停止させ、政府に再考を強いた。反対派は、社会的給付の貨幣化、多くが利用できる交通や医療といった類の給付の削減提案に焦点を当てた。原油価格の上昇が、誕生時や第二子を設けた際の母親に対する七〇〇〇ドル支払い、教育、医療、住宅に関する連邦計画の発足のような民衆懐柔を可能にした。これらには、一時的な教員や医療労働者へのより高い支払い、住宅改善に向けたより多くの国家資金投入が付随した。

国家をめぐる陶酔感は終わった?


先の状況を二〇〇八年の世界金融危機が終わらせた。原油価格下落とクリミア併合後に西側が課した制裁を経て、二〇一四年に経済後退がロシアに打撃を与えた時、ロシア政府は緊縮を再開した。そこで打撃の対象にされた最初のものが福祉、医療、教育への支出だった。最大規模の企業には、それらが最高の利益を上げ、プーチンに近い取り巻きの百万長者向けには税率が引き下げられたにもかかわらず、支援と納税留保特認が提供された。ちなみに先の百万長者たちは、制裁によって打撃を受け、西側に旅をする権利を否認されている。
ロシア会計院によれば、前記の課税中断は、一一兆ルーブル(一六八〇億ドル)の連邦財源不足をつくり出した。二〇一八年予算は一五兆ルーブル(二三〇〇億ドル)にまで減額されるだろう。
最新の改革――退職年齢の引き上げ、付加価値税の引き上げ(一八%から二〇%)、均一所得税の引き上げ――は、労働者、特に暮らし向きが最低の人々にかかる税負担を引き上げつつ、福祉給付を引き下げ、資本課税を下げる傾向と一致している。当局は民衆に、ロシアの国際的威信のために犠牲を払うよう強く勧めている。しかし他の財源を利用すれば、退職年齢を変えずに残し、特に年金がGDPの七%、フランス、ポーランド、ポルトガルの半分にすぎない中で、年金を引き上げることも可能になると思われるのだ。
ロシア会計院は、国家に払っている配当を引き下げたいと思っている大規模国家企業に許されている控除を、限定するよう勧告してきた。そこには十分な根拠がある。この種の収入は二〇一七年には七五%低下し、その時それは、六六七六億ルーブル(一〇〇億ドル)に達した。
国会における社会的主張の主な唱道者であるオレグ・シェイン(前公正ロシア、中道左派)は、課税の抜け穴、社会保障拠出の単一率を終わりにすること、そして課税当局に労働力をごまかしたり隠したりすることに関わった事業に対決する力強い行動を求めてきた。いくつかの評価は、非公式経済に雇用されているロシア人の数として、ほぼ三五〇〇万人を上げている。
二〇一四年以後、実質所得は約一〇%下落した。しかし政府は富裕層の面倒を見ることにもっと関心を向けている。プーチンは一〇月に新年金法に署名を終えている。それは抗議への推進力を引き下げるかもしれない。
しかし当局が無傷のままの姿を見せることにはならなかった。歴史家で左翼活動家であるイリヤ・ブドライツキスは「『多数派の伝統的価値』とその民族的指導者を軸として社会を一体につなぐ『精神的結束』に訴えることは、問題がそのような不人気な方策になると無益だ」と語った。
普通の人々の保護者としての彼のイメージに誘い込まれている多くのプーチン支持者にとって、証拠は今やはっきりしている。すなわち、労働者階級と中間階級の利益は、経済的かつ金融的エリートの利益に比べてほとんど価値がない、と。二〇一八年夏は、クリミア併合で始まった陶酔感の終わりを刻み付けたのかもしれない。

▼筆者は、社会学者でモスクワの集団行動研究所(IKD)の代表。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一月号)

ベネズエラ

帝国主義者のクーデター策動反対!

主権に基づく民主的危機解決を!

2019年1月24日

第四インターナショナルビューロー

 ベネズエラでは、マドゥロ大統領の正式就任に対抗し、大統領選挙を不正とし、したがって就任も認められないとして、議会の議長が自らを大統領と宣言、民衆のかなりの部分が同調し、米国とラテンアメリカの右翼政権が後者を大統領と認めるにおよんで、政治的な危機が一段と深まっている。米国は軍事介入をも否定していない。この危機は米副大統領のマイク・ペンスによるビデオを通じた求めを契機に表面化した。このビデオ表明に対し、第四インターナショナル執行ビューローは以下の声明を採択、ベネズエラ民衆の自己決定を否定する帝国主義者の策動への対抗を訴えている。FIメキシコ支部の同趣旨の声明も合わせて紹介する。(「かけはし」編集部)

 第四インターナショナルは、米国副大統領のマイク・ペンスにより(ラテンアメリカで信用を失っているトランプに代わって)冷笑的に組織化され、求められた、ベネズエラでの最新版クーデター策動、および帝国主義的介入に反対する自らの立場をはっきり宣言する。この策動に対する号砲は、簒奪者になると見られるフアン・グアイドが、彼には誰も票を投じていないにもかかわらず自ら「大統領」と宣言することを始まりとする一つの戦略の展開に向けて、一月二二日夜に流されたビデオ映像の中で鳴らされた。
そしてこれには、自称新政権を「認め」ようと殺到する、ラテンアメリカと世界中の一連のネオコン、右翼、そしてネオファシスト大統領と政府が続いた。米州機構と「リマ宣言」(マドゥロを選出した昨年の大統領選挙を正統性がないと断定:訳者)署名国もまた、グアイドの正統性のない大統領職を認め、ベネズエラに封鎖を課し、それによって軍事介入の口実として機能すると思われる対応を挑発する試みに力を貸すことによって、すぐさまこの帝国主義的諸計画に同調した。
われわれは、民族的主権の基本的諸規範を侵犯する、このクーデター策動と帝国主義的介入を糾弾するキャンペーンを全力を挙げて支持する。われわれは、このクーデターに反対するもっとも幅広く、民衆的で統一された国際主義的かつ民主的な決起を呼びかける。それが意味することは、われわれにはマドゥロ政権とそれが実施した制度との間にさまざまな意見の違いがあり、またそれらには批判が多々あるとしても、帝国主義者によるクーデターを介した解決などわれわれは考えない、ということだ。自らの未来の選択は、ベネズエラ民衆の自由で、独立した、民主的な決定に委ねるべきだ。
ベネズエラの否定できない政治的、社会的、経済的諸問題の解決は、「民主主義と人権」を守るという彼らの主張では完全に信用を失っている帝国主義者によるあらゆる介入のない形で、民主的な方法ではじめて可能になる。
確かに、民衆の重要な諸層は、この国の非常に深刻な経済情勢に、また政府が抱える諸困難や諸矛盾、また誤った諸決定に憤激を覚え、クーデターを支持して街頭に繰り出している。しかし悲劇だが、民族の寡頭支配層、また国際的な反動的でネオファシストですらある帝国主義諸勢力の指揮下に自らを置くことによっては、彼らは、ベネズエラにおける経済的、社会的情勢、また人権状況をいかなる意味でもよくする道には向かえない……、ということだ。
現時点であらゆることは、このクーデターを遂行中の者たちが内戦の押しつけ、あるいは外国の諸大国による直接介入を試みつつある、ということを示している。そしてそれらのことは、この国の問題を悪化させるにすぎず、アメリカ大陸と世界中での右翼と極右による政治的攻勢の深刻化に導くだけだろう。
軍事紛争は、この地域にとって破局的となり、この国の原油資源に対する大手国際寡占資本による支配を求める新たな聖地奪回に扉を開くだろう。米国によるイラク占領が引き起こした破局は、クーデターに参加する者たちがその方向を変えることができない場合、ベネズエラおよびこの地域全体で起こり得ることに関し一定の予感を与えるのだ。
われわれはあらゆる革命的、進歩的、民主的諸勢力に、この帝国主義者の最新版介入に対決して決起するよう訴える。そして、投票箱を通して表現された多数派の意思を尊重しつつ、軍事介入の脅威なしに、また経済的サボタージュから解放されて、自らの政治的、社会的、経済的諸問題を民主的かつ平和的に解決する点で、ベネズエラ民衆の主権を擁護するよう訴える。
ベネズエラのクーデター反対!
ベネズエラの危機に対する反帝国主義的で、独立した解決を!
(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年一月号) 

 

ベネズエラ

クーデター反対!

帝国主義的介入への対決を!

2019年1月23日

メキシコ革命的労働者党(PRT)


 PRTは、ベネズエラに対し企てられた新たなクーデターと帝国主義的介入に、断固として対決し立ち上がる。
 一月二二日夜に流されたビデオ映像の中で、マイク・ペンス米副大統領によって(ラテンアメリカで不信を買っているトランプを前提に)呼びかけられた、あからさまかつ冷笑的に組織化されたキャンペーンという形で、一つの戦略に向け号砲が鳴らされた。それは、せいぜい数時間の内にフアン・グアイドという実質的簒奪者のベネズエラ「大統領」自称宣言――彼に票を投じた者がまったくいないまま――に導いた戦略だ。
 そしてこの自称宣言には、トランプ自身からマクリ(アルゼンチン大統領:訳者)やボルソナロにいたる、何人かはあからさまなネオファシストの、また民主的な伝統をまったく欠いた世界中いたるところの大統領や政府による、新政権と想定されたものに対する「認知」の殺到が続いた。
 われわれは、このクーデター策動と帝国主義の介入を糾弾する国民的、国際的キャンペーンに、決然と加わる。このたくらみは、わがアメリカ大陸の民衆がそのために二世紀以上の年月闘ってきた、民族主権の最低限の基礎を侵犯しているのだ。われわれは、このクーデターに対決する、もっとも幅広く民衆的な、統一した、国際主義的かつ民主的な決起を呼びかけ声を上げる。
 そこに込められた意味は、投票箱を基礎とした民主的正統性を保持している政権は――それに対する意見の相違や批判や反対があろうとも――、いかなる形でも、帝国主義者のクーデターで転覆されてはならない、ということだ。自身の未来の決定は、自由で主権をもち民主的に行動するベネズエラ民衆に委ねよう!
ベネズエラでのクーデター反対!
ベネズエラの危機に対しては、反帝国主義的かつ主権に基づく解決を!

▼PRTは第四インターナショナルメキシコ支部。(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年一月号)


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