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    かけはし2019年1月28日号

STOP! 大軍拡と生活破壊


2019年度予算案を批判する

変えよう、大資本のための政治

深刻化する貧困

 安倍政権は、二〇一八年一二月二一日、グローバル派兵国家建設の推進と資本に奉仕し、消費税一〇%増税と社会保障の抑制と削減を強める民衆生活破壊に貫かれた二〇一八年度第二次補正予算案と二〇一九年度予算案を決定した。
 一般会計の総額は一〇一兆四五六四億円となり、七年連続で過去最大となった。一〇月に消費税を八%から一〇%に引き上げるため税収は六二兆四九五〇億円となり、過去最高を更新した。 政権の狙いは、増税による消費の落ち込みを抑えようと、キャッシュレス決済した人に対する増税分を上回るポイント還元や、低所得層などを対象にプレミアム付き商品券の発行、ゼネコン優遇政策のままの「防災・減災、国土強靱化対策」(一兆三四七五億円)と称する景気対策を打つために約二兆二八〇億円の歳出を意図的に膨張させたのが実態だ。
 もちろん真の狙いは、春の統一地方選、夏の参院選を控えており、カネのばらまきによって与党多数派維持という政治目的にあることは言うまでもない。
 そもそも消費税増税は、逆進性が強く低所得者ほど負担が強まる。総務省は、一八年一一月の家計調査によると全世帯(単身世帯除く二人以上の世帯)の消費支出は二八万一〇四一円で前年同月に比べて実質で〇・六%減少(変動調整値)していることを発表している。しかも三カ月連続で減少しているのだ。物価の影響を加味した実質賃金(厚労省/一八年八月)も前年同月比〇・六%減の傾向に入っている。
 一方、企業の内部留保は四四六兆四八四四億円(二〇一七年度)と過去最高を更新しているが、株主分配率を上げるだけで、労働者への配分を増やしていない。要するに民衆の所得が増えておらず、経済体力減という状況下で消費税増税を行えば消費不況になるのは必至だ。民衆からカネを搾り取るのではなく、大企業と富裕層への税の応分の負担、とりわけ輸出戻し税などの大企業優遇税制の撤廃、法人税の増額、「累進課税」最高税率(四五%)の引きあげが必要なのだ。
 それにもかかわらず麻生太郎財務相は予算が「経済再生と財政再建の両立を図るものだ」(一二・二一)と言うが、預金保険機構の利益剰余金など六兆三〇一六億円を確保しつつも、新規国債の発行額は三二兆六五九八億円であり、歳入全体に占める借金の割合は三二・二%だ。しかも国と地方の長期債務残高は一一二二兆円に達しており、民衆一人あたり七一三万円の借金になる計算額となってしまうのだ。そもそも基礎的財政収支(政策経費を税収などの収入で賄えるかの指標)は九兆二〇〇〇億円の赤字であり、政府は黒字化を目標としていたが、繰り返し先延ばししてきた。今回も財政規律を無視した予算作りを再犯したのである。

勤労統計の組織的不正

 歳出の膨らみはこれだけではなく、「自爆」的に拡大しつつある。厚生労働省の毎月勤労統計(毎月の賃金や労働時間の統計)の組織的不正調査の発覚によって政権は、一月一八日、政府危機への転化を恐れてあわてて雇用保険の追加給付を行うなどの対処に踏み切った。その対策費用のうち国庫負担分として六億五〇〇〇万円を追加計上し、一般会計総額は一〇一兆四五七一億円に変更した。新規国債発行額も三二兆六六〇五億円に増やして追加計上した。
労働者への追加給付は当然だ。その対象者は延べ約二〇一五万人以上、追加給付は総額で約五七二億円以上になる。安倍政権は、事件の早期沈静化のために厚労省に相談窓口を設けさせ対処せよと対応せざるをえなかった。だがこの違法行為は、森友学園公文書改ざん、中央省庁の障がい者雇用の水増し、裁量労働制をめぐるずさんなデータ問題、出入国管理法(入管法)改悪法関連データ改ざんなどのように民衆生活の軽視という共通した体質をもっている。
一月一七日の「勤労統計問題・野党合同ヒアリング」によって不正調査の実態の一面が明らかになっている。つまり、安倍政権は、「アベノミクス」の破綻と「トリクルダウン」(大企業が儲ければ、民衆所得、消費も増えるという願望論)がまったくの嘘であったことが実証されたことを覆い隠すために実質賃金増を操作し、厚労省に対して圧力をかけ続けていたのである。その結果として東京都においては三分の一程度の事業所しか調査していなかったにもかかわらず、低賃金額(〇四年〜一七年)を不正に操作して賃金が上がったと主張していたことが明らかになった。厚労省は労働者の賃金上昇率が上がったとデッチ上げるために統計法違反を知っていながら行っていたのである。安倍政権を支える官僚らの忖度というよりも、確信犯として実行していたのだ。一連の不正操作を徹底的に解明し、首謀者である安倍政権を糾弾していこう。

加速する戦争国家化


それでは予算案の無駄な編成を見ていこう。主なものはこうだ。
とくに異常な突出をしているのが軍事大国化に向けた軍事費だ。五兆二五七四億円(前年比六六三億円増)の七年連続の増額だが、後年度負担(兵器ローン返済)など三九九八億円(一八年第二次補正予算案)を加えると五兆六〇〇〇億円を超える。
新「防衛大綱」・「中期防衛計画」に基づいて高額な武器を次々と購入、研究費用を計上した。とりわけ陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(二基一七五七億円)、ステルス戦闘機「F35A」(六機六八一億円)、無人偵察機グローバルホーク(三機六二九億円)などが増強される。しかもグローバルホークは、当初、三機五一〇億円(二〇一四年一一月)だったが、米国から追加費用が発生したとして二三%も値上げして請求してきた。要するに安倍政権はトランプ政権に追随し、価格根拠も不明なまま米政府の言い値で買わされる「有償軍事援助(FMS)」が七〇一三億円(対前年度比二九一一円増)に達しており、拡大傾向にあるということだ。
さらに「専守防衛」を投げ捨て敵基地攻撃能力の強化に向けて「いずも」型護衛艦の空母化調査研究費(七〇〇〇万円)、長距離巡航ミサイル「JSM」(七九億円)、対艦用・対地用ミサイル改修費用(一〇八億円)、「高速滑空弾」研究(一三九億円)、「誘導弾」研究(五八億円)などを計上した。さらに新「防衛大綱」では「多次元統合型防衛力」の構築として宇宙領域やサイバー領域、電磁波領域における能力の獲得・強化を押し出し、巨額の予算を投入していくつもりだ。
政府は、グローバル日米安保体制下、在日米軍駐留経費負担(一九六八億円/前年度当初予算比二二億円増)、沖縄の辺野古新基地建設費など米軍再編経費(二一六一億円/同一五〇億円増)とSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)経費(五一億円/同二三億円増)で、合計四一八〇億円の過去最大の大盤振る舞いだ。
このように安倍政権のカネのバラマキは、米軍も含む軍事費に対しても例外なく展開している。社会保障費を抑制して民衆生活破壊予算を作り上げながら米軍とともにグローバル戦争への参戦を前提にした軍事費を配分しているのである。軍事費を大幅に削減させ、民衆生活予算へと配分させなければならない。戦争のための武器はいらないなどの反戦運動の強化が求められている。

ゼネコンへの手厚い配分


公共事業費は、一八年度当初から八〇七億円増の六兆五九六億円となり、七年連続の増加だ。
「防災・減災、国土強靱化対策」と称して今後三兆円超を投じる予定だ。予算では自然災害が増えているため水害対策、土砂災害対策、地方自治体「防災・安全交付金」などを増額した。だがこの政策によってゼネコン・中小土建業は、与党道路・建設族議員を中心に癒着構造を強め、談合を繰り返しながらカネを配分しているのが実態だ。統一地方選、参院選時における集票マシーンとしてフル回転することも合意ずみだ。また、このプロセスでは、必然的に工事費の水増しなども行われており、無駄な支出を膨らませている。同時に、入管法改悪では建設業からの早期成立が求められ、人手不足を外国人労働者への搾取強化によって埋め合わせるという狙いだ。
ゼネコンへの手厚い配分は、主なものでも@環境破壊につながる三大都市圏の環状道路関係費(三七三一億円)A国際コンテナ戦略港湾整備(七九〇億円)B過密運航・環境人権破壊の羽田空港の機能強化(七三三億円)、成田空港機能強化(八一億円)C族議員・地域ボスなどと一体となった整備新幹線建設(七九二億円)などに現れている。ゼネコン・道路土建業・族議員・官僚らが一体となった予算使い込みを暴露し、とくに無駄で環境破壊の大型プロジェクト予算を優先的に削減させなければならない。

原発推進への固執

 エネルギー対策特別会計(経済産業省分)は、七一七四億円を計上した。
「エネルギー基本計画」は、いまだに原発を「重要な基幹電源」と位置付けている。だが、福島第1原発事故以降、原発の建て替えや新増設のトーンを低くせざるをえない状況だ。しかし、予算では@小型原子炉など新たな原子炉技術開発に向けて六・五億円A核燃料サイクル政策の「復活」願望でしかない高速炉研究費(四一・五億円)B原発立地地域買収費の「電源立地地域対策」(八〇九億円)C高速増殖炉もんじゅの廃炉関連費(一七九億円)などを計上した。
安倍政権の「成長戦略」の一つである原発輸出は、東芝の海外原発事業撤退、三菱重工のトルコ原発建設計画撤退、日立の英国原発建設凍結によって完璧に頓挫状態だ。原発政策の破綻を反映して中西経団連会長は、年頭のインタビューで「(原発を)国民が反対するものはつくれない」とヤケクソ発言をしていたが、首相官邸や経産省、原発推進派からクレームが入り、一月一五日には「再稼働をどんどんやるべきだと思う」などとトンデモ発言をしだす始末だ。日本の原発政策の破綻を確認し、「原発ゼロ基本法案」を成立させ、脱原発社会を実現しなければならない。

「代替わり」・オリンピックNO!

 天皇制強化に向けた新天皇即位関連予算一六六億円を計上した。予算内訳は@「即位礼正殿の儀」(一〇月二二日)一七億六七〇〇万円A皇室行事「大嘗祭」(一一月一四〜一五日)の費用が二七億一九〇〇万円B宮廷改修費(一二億八四〇〇万円)など次々と巨額な予算を投入している。天皇教儀式を政府が取り組むことは、憲法の「政教分離」違反であり、民衆統合装置の強化の一環とした政治利用そのものだ。
秋篠宮が天皇教儀式に「公費支出に疑問だ」とアピールしても、あくまでも天皇教防衛と強化を前提にした宣伝でしかない。新元号への対応やシステム改修費なども含めれば、もっと巨額な支出に膨れあがっている。これ以上、天皇制強化に向けた無駄な税金投入は必要ない。天皇制は解体しかない。
関連して警察庁は、天皇「代替わり」や東京五輪・パラリンピックのテロ対策推進費として一〇八億円を計上。対テロ治安弾圧体制の強化に向けて公安政治警察の拡大を軸に、すでに盗聴・盗撮、行動確認、各地への配置などに着手している。天皇制強化と連動した治安弾圧体制の構築を許すな。
二〇二〇年東京五輪・パラリンピックは、前年度比一〇億円増の三五〇億円を計上した。とりわけ「競技力向上事業」(一〇〇億円)、ナショナルトレーニングセンター整備(二五億円)に手厚く配分した。オリンピックを通した国威発揚とナショナリズムの強化、メダル獲得至上主義の煽り立てを許さない。
フランス司法による日本の五輪誘致賄賂捜査の表面化を通して日本オリンピック委員会の竹田恒和会長を筆頭とするオリンピックマフィア・族議員・ゼネコン・スポーツ関連企業の腐敗・堕落が明らかになりつつある。その責任は安倍政権にある。オリンピックを返上せよ。無駄な税金支出を明らかにし、無駄な予算配分を削減させ、民衆生活に支出せよ。

生活破壊に反撃を


民衆生活にとって重要な社会保障関係費は、二・九%
増の三一兆五九三〇億円だが、「自然増」の一二〇〇億円を圧縮した。「全世代型社会保障」などとコマーシャルしているが、強引な社会保障抑制政策を維持しながら後期高齢者医療保険料の大幅値上げ、生活保護費の切り下げ、年金の実質減額など民衆への犠牲転化に貫かれている。財源不足などと言うが、無駄な軍事費などを大幅に削減し、社会保障関係費に組み替えればいいのだ。
幼児教育・保育関連の政策に総額約三兆三〇〇〇億円を計上。だが「無償化」だと言うが給食費については保育所、幼稚園ともに全額を実費徴収とする。認可保育所は慢性的に少ないため手厚い支出が必要だ。公立保育所増加が求められているにもかかわらず、政府は新自由主義政策の一環として規制緩和で民営化を進め対応しているにすぎない。「待機児童解消加速化プラン」の充実化はもちろんのこと賃上げも含めた職員待遇改善のための予算支出増大を実現せよ。
復興庁予算案は一兆四七
八一億円で前年度一八〇〇
億円減額した。復興庁廃止まで二年であり、今後の復興政策の豊富化が現地民衆の諸要求から積み上げていかなければならない。その前提となる災害公営住宅の家賃支援、仮設商店街補助、コミュニティー応援など被災地のニーズに見合った予算支出が求められているのに削減傾向を強めている。とりわけ福島第1原発事故福島被災地の軽視は許されず、「子ども・被災者支援法」に基づく予算計上が必要だ。
以上のように予算案は、突出した支出をピックアップしただけでも民衆生活を支えるにはほど遠く、無駄な支出にみちていることがはっきりした。予算案に反対し、民衆のための予算組み替えを行えと国会を包囲していこう。 (遠山裕樹)  




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