もどる

    かけはし2020年6月8日号

小池都政を継続させるな


宇都宮けんじさんを東京都知事に

一人ひとりの生命と暮らしを守れ

大企業・巨大開発優先にNOの声を

極右・自民党政治の踏襲

 四年前の都知事選で反自民を演出した小池都知事。待機児童ゼロ、介護離職ゼロなど七つのゼロを掲げた選挙公約は、生活を置き去りにして大企業優先・巨大開発に邁進する都政に失望していた都民の圧倒的な支持を受け、歴代四位である二九一万票を獲得した。
 しかしその後の四年間は都民の期待を裏切り続けるものだった。何ら政策の一貫性なく掲げられた七つのゼロは全く達成されていない。その他、築地移転、東京五輪会場移転問題でも都民の期待を裏切った。
 その後徹底した情報公開を掲げながら、それら政策変更のプロセスは明らかにされることはなかった。そして一方で就任直後から公約では全く触れられてはいなかった都民が望んでもいない政策を打ち出し、旧来の巨大開発路線を踏襲した。二〇一六年八月にはカジノ誘致を早々に表明。今年三月には、騒音、落下物の危険性などから渋谷、港、大田区などを中心に強い反対のある羽田空港都心低空新ルート導入を後押し。そして極めつけは、コロナ感染が拡大中の三月三一日に都立・公社病院の地方独立行政法人化を決定したことだ。このように小池都政の四年間は、旧来の自民党政治を忠実に踏襲するものでしかなかった。
 小池都知事が旧来の都政に新たに付け加えたこと。それは毎年九月一日に行われている関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者の追悼式に追悼文を三年連続で送らないという極右のエッセンスである。首都直下地震がいつ起きてもおかしくない東京で、ヘイトクライムを扇動するような対応は厳しく批判されなければならない。

「財政調整基金」取り消し

 その小池都知事の評価が都知事選を前に高まっている。一つも公約を守ることができなかった小池都知事の評価が高まっているのは、コロナ対策で手腕を発揮したからというものである。前号でも触れたが、小池都知事がコロナ対策で良くやっているように見えるのは、安倍政権のコロナ対策が愚策のオンパレードだったからである。
前回都知事選と同様に、休業要請の範囲を巡り補償の範囲を少しでも狭めたい国に対して対決姿勢を示し、都独自の「感染拡大防止協力金」を決定した。「協力金」はその後他の自治体も追従することになった。
しかしこの間、都が実施してきたコロナ対策は大企業・巨大開発優先の予算を組みかえて実施されたものではない。石原都政以来、都民の暮らしを犠牲にしてため込んできた財政調整基金九三四五億円をとりくずすことによって可能になった。現在までで基金の九五%を取り崩したという。コロナ感染は未だ収束を迎えていない。
一方、昨年一〇月消費増税以降より冷え込んだ景気は、コロナ感染の拡大によりリーマンショックを超える不況となって労働者に襲いかかっている。小池都知事が強気の姿勢で国との対決姿勢を演出できたのは基金の積み上げによる財政力があったからである。
その九五%を取り崩してしまった現在、都政の在り方を根本から変えなくては、「協力金」などの政策は一回限りとなり、新型コロナウイルスではなく、政治によって命が失われるような事態になるだろう。まさに今回の都知事選は「一人一人の生存権がかかった選挙」なのである。

福祉破壊に一直線

 今回の不況は、現時点でリーマンショックを超えている。五日、厚生労働省はコロナ感染拡大に関連した解雇や雇止めが見込みも含めて四日時点で二万五四〇人に達したと公表した。四月の総務省労働力調査も就業者数は前年同月比に比べ八〇万人の減、完全失業者数も同じく一三万増の一八九万人となっている。
五月以降これらの数字は確実に悪化する。日本ばかりでなく、アメリカの失業率は一四・七%に達している。まさに世界は大量失業時代に突入した。これは、労働者の犠牲のもと大企業優先の政治を行っていても輸出とインバウンドで何とか小売りも含めてやっていけるという経済モデルの終焉を意味している。
この出口の見えない長期の不況に対して、新自由主義者は緊縮財政と雇用・福祉破壊のショックドクトリン的政策を打ち出してくるだろう。現に竹中平蔵などは「政府が雇用調整助成金を出し、雇用を繋ぎ止めるからだ」とさらなる雇用破壊を訴えている。このような時に行われる都知事選の真の争点、それは新自由主義と決別するのか否かである。

検査の拡充に背を向ける


不況に対して緊縮財政による医療費など福祉予算の削減と雇用の破壊で対処すれば、人々の健康を損ない、命を奪い、経済回復も妨げることが、研究の積み重ねで明らかにされてきた。まして今回の世界的不況のきっかけはコロナ感染症である。第二波・三波に備えて、医療費を削減し続けてきた政策から転換しなければならない。医療の供給を民間任せにするのではなく、自治体が責任をもって医療を提供する体制を整備しなければならない。
この点において小池都政の政策は真逆である。感染症医療を中心で担ってきた都立・公社病院を地方独立行政法人化して切り捨てようとしている。小池都政が都立・公社病院の地方独法化を狙うのは一般会計からの繰り入れ金四〇〇億円(都の予算の〇・五%でしかない)を削減したいからであり、おそらく一部病院を民間医療機関に売り払い、都心進出の野望をかなえさせたいからである。不採算な感染症医療を行う都立・公社病院が地方独法化によって独立採算を強制されれば都の感染症医療は大きく後退するだろう。都民の命よりも僅か〇・五%の予算削減を優先する都政を転換させなくてはならない。
「感染拡大防止協力金」の給付など、都は積極的に救済策をとってきた印象があるが、それは錯覚である。都は緊急事態宣言中の期間、収入が途絶え屋根を奪われ命の危機にさらされた都民の命を直接救おうとはしなかった。非常事態宣言によりネットカフェなどで暮らしていた四〇〇〇人が路上に放り出された。この時に都は民間の劣悪な貧困ビジネス施設への入所を強制しようとした。つくろい東京ファンドなど支援団体の抗議と粘り強い交渉で事態が改善されたのは、緊急事態宣言から一〇日もたった一七日である。支援団体の交渉がなければ扉は閉ざされたままだっただろう。
財政調整基金を取り崩した都は、今後不況による税収減に直面する。今後はコロナ不況に苦しむ都民の救済策を打ち切り、コロナ対策の拡充もサボタージュしようとするだろう。その兆候はすでに現れている。五月末から開催されている都議会において、小池都知事はPCR検査の拡充に対して「医師が必要と判断した場合には必要な検査が実施されている」と答弁している。
二波の襲来をいち早く察知するためにはPCR検査体制の拡充が待ったなしに必要である。しかし小池都知事が行っていることは、検査の拡充には背を向けて、夜の繁華街で集団感染が発生していると街頭での注意を促す巡回である。集団感染が発生しているのであれば、補償を行ったうえで休業させるべきである。
それもせずに、三密状態の集団がマイクを持って巡回して歩くことが小池都知事の感染対策なのである。また都が当初整備していた感染症指定医療機関では病床が不足し多くの病院がコロナ感染症患者の受け入れに協力した。しかしコロナ患者を受け入れた病院の約八割が赤字になっている。それにも関わらず、「医療機関の協力を得ながら、都民の命、そして健康を守り」と無内容な答弁を行っている。
都民の医療を確保するために民間病院への経済援助が急務である。都民の命を守るためにコロナに対応した病院が赤字になり医療従事者の一時金がカットされる、まして倒産するなどということが生じれば、第二波が来た時にコロナ患者の受け入れ協力を行う病院はなくなるかもしれない。感染症指定病院以外にも患者の受け入れを要請したのは都なのであるから、責任ある対応が求められるはずである。二波は確実にやってくる。無責任な答弁に明らかなように、小池都政が続けば都民の命と暮らしは脅かされる。

オリ・パラにカネを使うな


宇都宮さんが掲げる緊急の三課題、コロナ対策の抜本的拡充・休業補償の徹底、都立・公社病院の地方独法化中止、カジノ誘致計画の中止、は大企業・富裕層優先の都政から、都民の命と暮らし優先の都政へと転換させる第一のステップだ。そのための財源は、開催が不可能なオリンピック・パラリンピック予算三二六二億円をはじめとして、道路開発など不要な大規模公共事業を中止すれば十分確保できる。自治体本来の仕事は住民福祉の向上にこそあり、大企業やオリンピックのような巨大イベントや開発を行うためにあるのではない。都知事選勝利に向けて宇都宮さんと共に奮闘しよう。(矢野 薫)

6.7

宇都宮けんじさん街頭第一声

新型コロナウィルス
最大の犠牲者のために共に声を

 七月五日投票の東京都知事選に出馬表明している元日弁連会長の宇都宮健児さんは、六月七日に蒲田駅西口で街頭第一声を上げた。この日の街頭演説会は大田区から都議補選に出馬を表明した松木かりんさん(立憲民主・二七歳)とのコンビで行われ、二〇〇人ほどの聴衆から熱い拍手が送られた。
 応援演説は共産党、立憲民主の太田区議、社民党、新社、弁護士が行い、最後に演説を行った宇都宮さんは「新型コロナウイルスの最大の犠牲者たちのために、一緒に声をあげよう」と訴えた。     (R)


もどる

Back