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    かけはし2020年5月4日号

コロナ危機状況下での労働相談


感染と生活の不安の訴え次々

星野憲太郎(全国一般全国協議会 宮城合同労組委員長)


この間受けた
典型的相談例


 コロナ関連の労働相談の共通項は、「感染防止のため休業したい、しかし生活はどうなる」ということであろう。一例を紹介すると、仙台市内のコールセンターに勤務する女性契約社員から、「咳が出て体調が悪い。コロナかもしれない。しかし会社に知らせても、休ませてくれない。休むなら辞めてもらうしかないとさえ言われた。とても悩んでいる。」という電話相談があった。
 コールセンターは、「在宅者が多い今こそ営業のチャンス」と語られる一方、職場環境は「三密の極み」だ。コロナ以降、入電(問い合わせ)件数が平時の二〜三倍に増えた。詳しい状況を聴き、自己都合にされたとしても休むことが自分のためにも同僚たちのためにも唯一の選択であると話をした。さらに生活対策としては、健康保険の傷病手当金を申請して受給する手続きを説明した。療養のため労務に服することができなくなった日から起算して,三日を経過した日から労務に服することができない期間を対象として、標準報酬の三分の二が手当金として受けられる。手当金は退職しても継続される。労働者自身と周りの人々の生命の防衛、生活の防衛を第一に考えなければならない情勢と言える。 
 今年四月一日から仙台市の会社に採用された五〇歳代の新規採用者から、一度も出社することなく自宅待機を命じられ賃金がどうなるのかわからないという内容の電話相談があった。詳しく聞くと、休業手当のもととなる平均賃金を計算する基礎になる「過去三カ月の賃金」がないので手当が出せないかもしれないと言われたということである。感染防止のため、使用者の判断で新入社員を休業させたからには休業手当を支払わなければならない。一度も労働日のない労働者の休業手当は特別の計算方法があるので労基署に問い合わせて確認するように話した。

電話による
団交も開催


今の時期は丁度毎年の契約更新時期に重なる。中にはコロナ不況を予想した雇い止めと思われるものもある。今年一月までは「空前の人手不足」の労働情勢であり、三月から四月に至る有期雇用労働者の契約更新も無難に行われるはずだった。雇い止めの相談に対して団交を申し入れたところ、仙台〜東京間の電話交渉ですぐに撤回にこぎつけた中堅パッキング会社の例もある。
今宮城合同労組は、コロナで団交できないと言うのなら、電話交渉でもいいという立場をとっている。最近東京本社の保険会社の団交申し入れ書に「やむをえない場合に限り、電話団交を申し入れてください。検討して回答します」と添え書きしたばかりである。

雇用調整助成金
引き上げ不可欠


次に、支部・分会の状況を述べる。雇用調整助成金のコロナ特例では解雇・雇い止めをしない場合、資本金一億円以上の大企業では支給した休業手当の七五%、一億未満の中小企業では支給した休業手当の九〇%が助成される。いずれも一〇〇%ではなく、しかも上限が一人当たり日額八三三〇円であるため、一〇〇%の賃金保障のためには各企業との交渉がいる。労基法による休業手当最低基準は平均賃金の六〇%であり、最低基準のレベルでは休業が長期化すると生活が破壊される事態がやってくる。安倍政権や宮城県は五月六日までの休業要請を該当する企業に行っている。使用者たちは少なくともその後二週間くらいは感染者が減らず休業が避けられないと感じているようだ。また、一度沈静化しても半年後、一年後に再びパンデミックが来るかもしれない。休業の長期化に備えて、まず各企業が休業手当を支給する財源となっている政府の雇用調整助成金を一〇〇%とし、上限は撤廃することを要求する。

社会矛盾露出の
中での相談活動


安倍政権はコロナ対策の真っ先に「潤沢な資金供給」と称して、日銀を通して行う株価つり上げのためのETF購入予算を年間六兆円から一二兆円に引き上げた。年金財源からの支出金と合わせて連日一〇〇〇億、二〇〇〇億の株買いを行っている。したがって前記助成金の引き上げは資金の方向を変えれば不可能ではない.
労働者は毎日感染不安と生活不安のさなかにいる。定員ぎりぎりにされてきた医療、介護の組合員は施設自体休業することができず出勤している。ことさら日本株への潤沢な資金供給を宣伝する安倍政権と労働者の環境との落差、格差が目立ちすぎる最中で労働相談活動を今行っている。

4.22

80人で防衛省に抗議

埋め立て工事設計変更提出糾弾

辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会

 四月二二日午後六時半から、防衛省による辺野古の地盤改良のための設計変更提出糾弾行動を防衛省に対して行った。辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会が呼びかけ、八〇人が参加した。
 四月二一日午前、防衛省沖縄防衛局は名護市辺野古の新基地建設を巡り、軟弱地盤の改良工事に入るための計画変更を沖縄県に申請した。新基地建設に反対する玉城デニー沖縄県知事はこれに応じない構えを見せている。辺野古埋め立てを止めるために、いっそうの闘いのために防衛省抗議行動が取り組まれた。

感染対策奔走下
の提出許さない


埋めるな連が設計変更の提出について報告し、「軟弱地盤で工事はできない。巨額の税金を使うな。直ちに基地建設を止めろ」と主催者あいさつをした。平和運動センター議長の山城博治さんが沖縄から電話メッセージを寄せた。
「四月一八日、コロナウイルスが沖縄でまん延している事態を受けて、すべての抗議行動をいったん中止することを決めた。設計変更に対して代表団で抗議した。東京での行動に心から感謝したい。集団感染があり、それに対して必死に取り組んでいるこの時に、基地建設を進める政府の対応に怒りが湧いている」。
「安倍は非常事態宣言に続き、改憲・非常時大権をねらっている。憲法には人々の命と人権を守る条項がある。これをすべて無に等しくしようとしている。辺野古の闘いは基本的人権や命を守る闘いでもあり、改憲反対とつながっている。県は変更申請に毅然とNOを言うだろう。工事は今後一〇〜二〇年かかり、費用は一〜二兆円にもなる。それまで普天間基地は残る。埋め立てを止め、辺野古基地建設を断念させよう」。
国会包囲実の仲間は「大浦湾の軟弱地盤問題は二〇一六年の調査で明らかになっていた。今後大浦湾の四割で新たな工事を行うことになる。環境調査評価をやり直すべきだ。今後、埋め立て用の土砂の全量を沖縄でまかなうように変更した。沖縄の山が削られ、自然破壊が進む。土砂投入を即時中止せよ」と訴えた。
全関東単一労組が医療現場の過酷な現状を報告し、松戸市でメーデーデモを行うことを報告した。4・29集会実が「今年の行動は中止するが、沖縄で殺された性犯罪被害者の女性のことを忘れない。基地があることが性被害・命を奪われている。軍事費をコロナ被害にあっている人たちのために使え」と話した。
沖縄の闘いと連帯する南部の会など三団体が防衛省に抗議文を手渡した。今後の行動。五月一一日、防衛省月例申し入れ行動、五月一二日、総がかり行動、防衛省抗議行動。六月二二日、日本教育会館で、沖縄連帯講演集会。     (M)



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