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    かけはし2018年11月26日号

国際主義を体現する闘いへ


10.19

アジア連帯講座が公開講座

闘いの教訓を共有化しよう

第四インター17回世界大会に参加して


 一〇月一九日、アジア連帯講座は、文京区民センターで公開講座「反資本主義の共同から21世紀の社会主義へ ―第四インターナショナル第17回世界大会決議集発刊講演会」を行った。
 一八年二月、第四インターナショナル第一七回世界大会(ヨーロッパ)が開催され、アジア・オセアニア、中東、アフリカ、欧州、南北アメリカの三六カ国の仲間が参加した。論点は、@「資本主義的グローバル化、帝国主義、地政学的カオスとその意味」、A「資本主義による環境破壊とエコ社会主義オルタナティブ」、B「社会的激動、反撃、オルタナティブ」だった。
 世界大会は、新自由主義的グローバル化の危機と、レイシズム、あるいは排外主義的ポピュリズムの広がりの中で、労働者民衆の新たな反撃を組織し、反資本主義的オルタナティブへの水路をいかに切り拓いていくかという問題意識の下に熱心な論議が展開された。つまり、労働運動の不均等発展の中での課題、自己組織化と協同組合、農民の闘い、民主主義・社会的公正を求める運動の位置、社会における失業青年の位置、暴力・レイプ・「フェミニサイド」(女性へのジェノサイド)に反対し女性の権利を守ること、LGBTプラスの闘い、移民の権利を守る闘い、地球温暖化に反対する運動について各国の仲間たちから様々な闘いのうえで報告された。世界大会の論議を決議集としてまとめた。

日本の闘いが
果すべき役割
講座は、大会に参加した国富建治さん(新時代社)、大道寺毅さん(労働者の力社)から問題提起を受けた。
国富さんは、「第四インターナショナル第一七回世界大会に参加して」というテーマから次のように提起した。
「私が最初に参加した世界大会は、一九九一年の第一三回世界大会でソ連・東欧ブロックの崩壊と湾岸戦争の開始という情勢だった。続いて二〇〇三年、第一五回大会は、反グローバリゼーション運動の拡大とイラク戦争下だった。二〇一〇年 第一六回世界大会は、〇八年のリーマンショックを受けてオルタグローバリゼーション運動の困難に直面した。さらに、あらためて中心的テーマとして強調されたのは『気候変動』の問題であり、エコ社会主義問題だった」。
「今回の世界大会は、新しい反資本主義的左翼再編問題、例えば、フランス・NPAをはじめとした左翼再編の困難性についても改めて自覚的にならざるを得ない。同時にアジアでは、フィリピン・IIREマニラ、パキスタンのアワミ労働者党(AWP)の積極的な活動、朝鮮半島(とりわけ韓国との関係)、香港の仲間たちとの関係をいかに豊富化させていくのか、その責任は大きい。アジアの同志たちにとっては、日本に同志たちがいて、活動を継続している という事実そのものが貴重なことなのだろうと思う。そのあたりを意識してわれわれの政治論議を積み重ねよう。とりわけ安倍改憲のタイムスケジュールが煮詰まっていく中で沖縄闘争の政治的意味、天皇代替わり問題、2020年五輪に対して、国際主義をどう貫くかが求められる」。

経験を基礎に
した共有化を
大道寺さんは、「総括的感想」を次のように提起した。
「主に『社会的抵抗』議題の論議において、第一に資本主義の歴史的な限界を底流とした、総体的な深い危機という客観的な現実の捉え方に対する不一致はない。だが、不一致は現実に対する対応の方向性だ。民衆の闘争体制(階級意識の後退、社会主義の否定的認識)に対する政治、その克服と再建のあり方に対する違いがある。討論は極めて活発であり、型にはまった発言ではなく、各々の活動から得ている実感を基礎においた模索がにじみ出ていた。また、その中で制度化への吸収というリスクにどう対処するか、にも明確な問題意識が見られた」。
「議論の中では、伝統的な改良主義の指導部が総逃亡している状況の中で、各国の同志たちが多様な戦線での民衆的抵抗を組織する重要な部分になっていることが示されていた。その中で新しい型で階級闘争を再建しつつ、それを足場とする世界的な社会主義革命の道筋・経路をどうつかみ取るか、という強い問題意識が広く感じられた。その上で、階級闘争に有益な幅広い政党建設、それを通じた力関係転換に向けた挑戦という任務設定に対する幅広い共有感覚があった。この活動実践での経験を裏付けに、討論を先の戦略的方向の探究に向けてどれだけ具体的に深めていけるかが今後の課題だと思われる」。
提起を受けて質疑応答、討論を行い、今後も「第四インターナショナル第17回世界大会決議集」や「週刊かけはし」を通して継続討論をしていくことを確認した。        (Y)

11.1

ブラジル大統領選が示したもの

女性たちは極右を拒否

現場を取材した報告集会


 一〇月二八日投開票のブラジル大統領選挙の決選投票で、「ブラジルのトランプ」と言われる極右で軍人出身のジャイル・ボウソナーロが、対抗馬となった左派・労働者党(PT)のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長を一〇%以上引き離して勝利した(ボウソナーロ:五五・一三%、アダジ:四四・八七%)。
 女性、先住民、性的マイノリティーらに対する公然たる差別発言を繰り返し、「ブラジルのトランプ」とも呼ばれてきたボウソナーロが大差で当選したのは、なぜなのか。二一世紀の初めから世界社会フォーラム(WSF)の発祥の地ポルトアレグレを抱える「オルタグローバリゼーション運動」の国際的拠点として、ルラの労働党(PT)政権を生み出してきたブラジルで、また二〇一五年にサッカーのワールドカップ、二〇一六年にオリンピックを開催したブラジルで極右政権が登場したことを私たちは、どう捉えるべきなのか。
 一一月一日、東京・早稲田の日本消費者連盟会議室で「ブラジルの女たちは立ち上がる―『極右の大統領候補はイヤ!』 #Me Too運動から#Ele Nao(彼はイヤ)へ」が開催された。主催はビビール・ビエン・プロジェクト。講師は、この間ブラジルの女性運動を取材してきたジャーナリストの下郷さとみさん。集会には三〇人以上が集まった。うち三分の二は女性で、若い人びとが多かった。以下、下郷さんの話を紹介する。

女性たちは叫ぶ
「彼はイヤだ」
ボウソナーロは軍人出身で二七年間にわたって国会議員をつとめ、多くの政党を渡り歩いてきた男で、「その時々の感情と本能だけで発する暴言で人気を集める『とんでもキャラ』だ」。それまで世論調査でも断然トップを走ってきたのは元大統領である労働者党(PT)のルラだった。しかしルラが汚職を理由に収監された結果、男性優位主義(マッチョ)で社会的少数者を嘲笑する彼が浮上した。一口に言えば、彼は最低限の良識もないヤツだ。
私たちは、彼のような男が浮上してくる背景を冷静に分析する必要がある。それはブラジルだけではない世界的な現象であるがゆえに、ブラジルで起きていることを教訓として捉える、ということだ。
「ELE NAO(彼はイヤだ)」と名付けられたボウソナーロに反対する女性たちの運動のメンバー数は三八〇万人に達する。九月二九日に、彼に反対する女性たちのキャンペーンが全国一一四カ所で行われ、サンパウロでは三〇万人、リオデジャネイロでは六万人の女性たちが集まった。リオデジャネイロの集会に参加したが、地下鉄の中から満員だった。

差別者を押し
上げた背景は
ブラジルは奴隷制が一八八八年まで続く、「収奪の国」だった。西洋の植民者たちは収奪した富を自分たちの国に持って帰った。
ブラジルでは学校に遅刻して走っている子どもを警察官が射殺するという事件も起こっている。子どもの命を奪われた先住民の女性たちが抗議の闘いを広げている。ブラジルでは一六歳から選挙権があり、投票に行かなかったら罰金を科される法律もある。
また人びとの意識の中には「自分の息子がホモになったら事故で死んでくれた方がマシだ」といった男性優位主義の意識もあり、自分たちを批判する主張を「ヘイト」として片づける傾向もある。
ボウソナーロは、治安回復のためにはファベーラ(貧民地区)に軍を投入して一気に解決すればいい、と言っている。
なぜ人びとはボウソナーロのような人物を大統領に押し上げたのか。ボウソナーロを押し上げたのは彼の「言葉の強さ」だった。分かりやすい敵を叩く「感情だけの言葉」が繰り返される。差別的言葉が「キャラだから」で許容される。先住民を大事に思っている人がボウソナーロを支持したりする。新聞を見ていない人たちも、既得権益を持っている人たちも違った回路からボウソナーロを支持する。
在日ブラジル人たちも電子投票制度で投票できるが、実に九〇%がボウソナーロに投票したとされている。フェイスブックなどでは「民主主義のために共産主義者をたたきつぶせ」というメッセージが飛び交い、「共産主義者たちが伸びたら内戦になるぞ、どうするんだ」という言葉が流されたという。
こうした中で、女性たちのボウソナーロに反対する運動は、ダイナミックに広がっていった。そのことから希望、可能性が垣間見える。

今後の闘いに
注目しよう!
本紙一一月五日号の7面には「女性は結束してボルソナロに立ち向かう」と題した、ブラジルの同志であり、第四インターナショナル国際委員会のメンバーでもあるチェロン・モレッティの報告が掲載されている。ぜひこれからの事態の進展に注目しよう。 (K)

朝鮮半島通信

▲朝鮮中央通信などの朝鮮のメディアは11月16日、金正恩朝鮮労働党委員長が「新たに開発した先端戦術兵器」の実験を視察したと伝えた。兵器の詳細や視察の日時は不明。同通信は実験について「設計上の指標を全て満たし、成功した」と報道。金正恩党委員長の兵器実験の視察に関する報道は昨年2017年11月29日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」発射実験以来、約1年ぶり。
▲朝鮮中央通信などの朝鮮のメディアは11月16日、金正恩党委員長が平安北道内の党、行政および設計機関の責任幹部とともに新義州市建設総計画を検討して指導した、と伝えた。指導の日時は不明。中国との国境に位置する新義州は、2002年4月に特別行政区に指定され、2014年7月23日に国際経済地帯に移行することが発表された。
▲11月13日に公表された訴状によると、日本政府は、韓国政府の自国の造船会社に対する補助金による支援が市場をゆがめている、として世界貿易機関(WTO)に提訴した。日本政府が韓国をWTOに提訴するのは、2015年に東京電力の原発事故で水産物の輸入を制限しているのは不当だと提訴して以来。今回で4件目の提訴となる

コラム

通販生活

 現代社会の流通、小売業界を考えるとき、もはや通信販売抜きでは何も語れないだろう。通信販売の黎明を紐解いていけば、それはイギリスのウェールズに住む事業家プライス・プライス・ジョーンズが一八六一年に始めた衣類のカタログ販売が最初といわれている。それから一五七年の歳月が流れた現在は、まさにネット通販社会そのものであると言い切れる。
 なにを言おうとボクもまぎれもないそのひとり。洋服だ、CDだ、本だともっぱらネット通販を利用させていただいている(あえて敬語で)。迅速かつポイントがつくということで、本当に欲しい物があれば便利このうえない。しかし、その影で流通に携わる労働者の過重労働はたびたび社会問題となり、出版、書店業界もアマゾンによる法外な取引条件や書店離れにより深刻な打撃を受けているのも事実だ。便利さがまさに二律背反的な様相を指し示している。また、現物を見ていないでバーチャル的に購入するわけだからよほどの確信がなければ、無駄遣いにもなりかねないのがネット通販の怖さだともいえよう。
 閑話休題。そんな反省をよそにまたネット通販で買い物をしてしまった。それも本やCDという少額商品ではない百数十万円もする車を、である。
 夜、ベッドに入ってスマホでネットサーフィンに興じていると中古車販売のサイトが目に入った。今乗っている光岡のビュートもそろそろ走行距離が一○万キロになるので、そろそろ買い換えようと思っていた矢先のことだった。ビュートの前乗っていたのがローバーのミニだったので、どうしても外車に目がいってしまうボク。そこで気になっていたフィアットのチンクチェントを検索するとあるわ、あるわ。安いものだと五〇万円代の車もある。
 こうなると人間欲が出てくるもので、色や年式などを入力して再検索すると、二〇一三年式、走行距離一万六〇〇〇キロという車にぶちあたった。うーむ。走行距離や色合いなども写真を見る限り悪くはない。しかし問題は、そのディーラーが何と岡山県にあるということだ。もちろん現物を見ることも試乗することもできるはずがない。翌朝、メールで見積りを取ると陸送費やら車検、整備、保険などをひっくるめると約一六〇万円という数字が返ってきた。そして検討したい旨を返信すると、そのまた翌朝には早速、携帯に営業の電話が入り、「この車は今度の売り出しの目玉として広告に入れていますがどうしましょうか」という追撃が入る。そうなるとあまり後先を考えないで行動するボクは、ローンが利くならと答えてしまった。そうなるとあとは、もう相手の思うつぼである。明日まで金利の安いローンがあると言うではないか。早速、仮の申込書をファックスしたのはいうまでもない。
 そうこうして、三週間後、フィアットは岡山県からはるばるやってきた。しかし、である。ネットでこの車の特徴というか、クセなどを机上演習していたが、実際に乗ってみると想像を遙かに超えたじゃじゃ馬だった。まず、ミッションの構造が半オートのデュアロジック。パーキングもドライブもついていないのだ。そして、クリープ現象もない。つまりマニュアル車に近い構造なのである。おまけに左右後方の窓が小さくて見通しが利かない。
 物を見ないで買うとはこういうことだと反省してもあとの祭り。二カ月たった今でも心もとない運転の毎日である。(雨)



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