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    かけはし2018年11月26日号

Xバンドレーダー基地撤去!


11.4

米軍基地はいらんちゃフェスタ

沖縄の闘いから学ぼう

現地の集会に700人


  【大阪】米軍基地建設を憂う宇川有志の会と米軍基地建設反対丹後連絡会主催の「米軍基地はいらんちゃフェスタin丹後」が一一月四日、丹後文化会館(京丹後市峰山町)で開かれ、近畿圏を合わせ七〇〇人の市民が参加した。
 フェスタが始まる前に、基地反対近畿連絡会は米軍Xバンドレーダー基地前で抗議行動を行った。行動のたびごとに基地が大きくなっていること、また穴文殊堂を挟んで米軍基地とは反対側にある自衛隊基地(航空自衛隊経ヶ岬分屯基地・第三五警戒隊)も拡張され規模が大きくなっていることがわかる。現地で永井友昭さん(憂う会事務局長)の話を聞いた。
 いらんちゃフェスタはうたごえ有志の歌でオープニング。石井内海さん(米軍基地反対丹後連絡会代表)があいさつし、永井友昭さん(米軍基地建設を憂う宇川有志の会事務局長)が現地報告を行った。内容は以下の通り。

自衛隊基地で
実弾射撃訓練
今年になって、一月下旬、雪の中を陸上自衛隊による「米軍基地警護訓練が行われた。テロやゲリラの攻撃から米軍基地を守る訓練だという。
二月下旬には、作戦攻撃用ステルスヘリUH―60が飛来してきた。四月からは、二期工事が開始された。
工事の説明も工事看板もなく、土曜工事も予定に入れられた。敷地の境界を越えて掘削工事が行われ、住民の指摘でその事実が発覚、米軍は謝罪をし、現状回復をせざるを得なかった。
四月中旬、警備軍属を中心とした最新の実弾射撃訓練が自衛隊福知山駐屯地で行われ、軍属らがライフルなどの銃器を携行したままで人員移動マイクロバスに乗るところが目撃された。防衛局は、実弾が入っていないことを確認できなかった。日本の国内法では考えられないことだ。
五月一五日には、経ヶ岬近くで負傷した人を緊急搬送するため、ドクターヘリが飛来。ヘリの着陸ポイントとして経ヶ岬の駐車場が指定され、米軍基地にXバンドレーダーの停波要請がなされた。
ところが、ヘリが経ヶ岬の駐車場の上空に到着しホバリングしている最中に、米軍より「停波していない」との連絡があった。ヘリは急きょ着陸ポイントを自衛隊ヘリポートに変更し、病院への搬送が一七分も遅れた。
米軍基地の海側半径六キロ高さ六キロの空域はレーダーの電磁波の影響を受けないように飛行制限区域が設定されているため、ドクターへリの際はレーダーを停波する約束となっているが、それが反故にされた。米軍は、消防との意思疎通の不備のせいにしているが、防衛省が停波のマニュアルもその時のやりとりの記録も公開していないので、実態が不明のままだ。
七月下旬には、峰山町の府道で米軍関係者の運転するワゴン車が電柱に激突した。この事故について米軍は、三カ月たった現在も、事故の情報を明らかにしていない。米軍関係の事故はこれが六〇件目だ。
米軍基地の二期工事は、隊舎建設、厚生施設、上下水道整備、国道との段差整備、新しい里道工事などだが、これに加えて、レーダーサイトを囲む大がかりな防護壁(高さ3m・長さ104m)と監視塔(高さ4〜6m)、最新式の弾道鉄鋼シェルターの設置計画も明らかになっている。防衛局はこれまで「この基地が攻撃される危険はない」と言ってきたが、米軍は攻撃される危険を考えているということだ。

国会・地方議会
から報告が続く
議会報告は、倉林明子参議院議員(共産)、浜田良之京都府議会議員(共産)、田中邦生京丹後市議会議員(共産)が行った。
報告は、Xバンドレーダーの停波に関すること、米軍関係者の起こした交通事故の事実関係の公表、日米地位協定の見直し、米軍基地施設の拡張・強化に関する問題だった。
九月京都府議会では停波の問題が取り上げられ、府知事は、「停波できなかったのは、米軍と消防との間の意思疎通が円滑でないためで、停波要請を受けた米軍はわが国の公共の安全に妥当な考慮を払って適切に対応すると(共産党議員の質問趣意書に対する)七月二一日の閣議決定で答弁している」と政府見解を繰り返した。
京都府側としては、飛行制限区域内にヘリポートがあれば停波要請をしなければいけないので、区域外にヘリポートを設置すると答弁。防衛省は停波について、「運用上やむを得ない場合を除き停波する」と述べているから、要請があっても、停波しない場合があるということだ。住民の命より軍事が優先されるというのが政府・防衛省の態度である。

日米地位協定
改定への提言
時期を同じくして、全国知事会は七月に全会一致で日米地位協定の抜本的改定の提言を行っている。提言は、航空法や環境法令など国内法の適用や、事件・事故時の基地への立ち入りなどを日米地位協定に明記するよう要請。米軍の訓練ルート・時期に関する情報を事前提供すること、基地の使用状況などを点検して縮小・返還を促すことも求めている。
八月に亡くなった翁長雄志沖縄県知事の「基地問題は一都道府県の問題ではない」との訴えを受け、二年近くかけて提言にまとめ、七月の全国知事会議で全会一致で初めて採択された。米軍基地を抱える一五都道府県でつくる渉外知事会は、沖縄県で米兵による少女暴行事件が起きた一九九五年以降、日米地位協定改定を求め続けている。この提言は、京丹後の反基地の闘いにも大きな支えとなる。

住民の訴えを
発し続けよう
連帯のアピールを大湾宗則さん(米軍Xバンドレーダー基地反対近畿連絡会代表)、韓国星州からのメッセージ、片岡明さん(米軍基地いらない京都府民の会)が行った。
沖縄出身の大湾さんは、当初沖縄知事選が十一月に予定されていたので沖縄からはフェスタに参加できないから、代わりに沖縄の状況を報告することになっていたと述べ、沖縄知事選勝利の「秘密」を感動的に語った。
沖縄慰霊の日、翁長知事は「政府の民意無視を糾弾し、辺野古新基地建設阻止が不動であること」を表明した。五月二三日スタートの学生・若者中心の沖縄県民投票条例請求署名運動がわずか二カ月で一〇万筆を集めて県に提出した。
七月二三日翁長知事は記者会見で、辺野古埋め立て承認の撤回を表明した。翁長知事が逝去したあとの県民大会に七万人が結集し、知事の遺志を引き継ぐことを誓った。
戦後七三年間米軍基地と闘ってきた沖縄の人々は、自分たちが進んで受け容れた基地は一坪もないという誇りがある。これらが「オール沖縄」の反撃を準備し、選挙期間に沖縄のヤマ(大衆)が動いた。この沖縄県知事選から教訓を学ばなければいけないと語った。
さらに今後のこととして、黙っていればXバンドレーダーを防衛するといって、迎撃ミサイルPAC―3の配備をするのは確実だと述べた。また、地元宇川連合区や「憂う会」の異議申し立てが京都府・京丹後市の防衛省への抗議をつくりだし、抗議・反対・撤去の闘いが事件事故・約束違反・基地拡張などに対する抑止効果となっている、引き続いて地元と共に闘っていくことを表明した。
川口真由美さん(シンガーソングライター)のトーク・ライブのあと、近江裕之さん(米軍基地反対丹後連絡会事務局長)が行動提起と閉会のあいさつを行った。集会を終えた後は、約二キロの行程で、峰山町内のデモを敢行した。(T・T)

10.31

狭山再審の即時開始を

有罪判決の誤り明白

日比谷野音いっぱいの結集

 一〇月三一日午後一時から、「つぎつぎと無実の新証拠! 有罪判決の誤りは明らか!再審開始を!」狭山の再審を求める市民集会が同実行委の主催で開かれ、全国から部落解放同盟、部落解放共闘などが集まり日比谷野外音楽堂をいっぱいにした。こむらゆいさん、河野俊二さん、布川事件で無罪を勝ち取った桜井昌司さんによる歌のプレイベントが行われた後、本集会が行われた。
 主催者あいさつを組坂繁行さん(部落解放同盟中央本部委員長)が行い、立憲民主党、国民民主党、社会民主党の国会会議員がそれぞれ連帯のあいさつを行った。

石川一雄さんと
早智子さんの声
石川一雄さんと石川早智子さんが無罪判決を求めてアピールした。
石川一雄さんが「怒りで昨晩は眠れなかった。下山第一・第二鑑定、福江鑑定で私の無実、寺尾判決がいかに間違っていたか満天下に明らかになった。寺尾裁判長が生きていて、この鑑定を知ったら驚愕をもって、反省していただろう。無実の証拠が明らかになっていながら再審決定をしない後藤裁判長に対して厳しく非難しなければならない。真実は一つ。不屈の闘いを五五年間続けてきた。今後も無実を訴え、邁進する。司法を動かすべく、時の声を響かす。やがて八〇歳を迎えるが元気でこれからも闘っていく。第三次再審で終結しなければならない。ご支援をよろしく、お願いする」とアピールした。早智子さんは「今の闘いが最後の山場と思われる。袴田・狭山は勝利をつかみとる」と述べた。
続いて、狭山弁護団が現状報告をした。中山武敏主任弁護人の発言の後、中北龍太郎弁護団事務局長が次のように報告した。
「今まで開示されていなかった証拠を一九〇点以上開示させた。その中で、石川さんが逮捕当日に書いた上申書の筆跡が犯人のものと違い、石川さんには脅迫状が書けない。取り調べテープで、警察の強引な誘導が明らかになった。新証拠として、下山第二鑑定を提出した。被害者の万年筆は中で、石川さんが逮捕当日に書いた上申書の筆跡が犯人のものと違い、石川さんには脅迫状が書けない。取り調べテープで、警察の強引な誘導が明らかになった。新証拠として、下山第二鑑定を提出した。被害者の万年筆はジェットブルーのインクを使っており、その成分にクロムが含まれる。しかし、石川宅から発見された万年筆からはクロムが検出されなかった。福江鑑定はコンピュータによって筆跡鑑定を行い、九九・九%石川さんの筆跡と脅迫状の筆跡が違うことを明らかにした。寺尾判決は完全に崩壊した。鑑定人の証人調べを開始させ、再審の扉を開かせる」。

えん罪関係者
からアピール
片山明幸さん(部落解放同盟副委員長)が基調提案を行った。
「三点を述べたい。@下山第二鑑定についてA見通しB当面の取り組み。@一番重要で決定的だ。被害者の万年筆が石川宅から発見された。これが有罪の決定的証拠とされた。三度の家宅捜索で見つけられた。指紋がついていない。インクの色が違うなど、いろいろ問題点が指摘されてきた。今回の鑑定で崩すことができた。石川宅から発見された万年筆はデッチあげられたものだ。裁判は勝ったようなものだ。これから最後の闘いだ。A見通し。鑑定人の尋問を認めさせることが重要で、強く求める。来年は区切りをつける。B裁判は大詰めを迎えている。決戦の年にしたい。新証拠を元に学習会をやってほしい。映画『獄友』を広めてほしい。来年関東ブロックで朝日新聞に意見広告を出す。第三次再審は一二年経っている。終止符を打つ時がきた」。
えん罪事件関係者から連帯のアピールが行われた。袴田秀子さん(袴田事件)、山崎俊樹さん(袴田さんを救援する清水・静岡市民の会)、菅家利和さん(足利事件)、桜井昌司さん(布川事件)、徐自強さん(台湾で無罪を勝ち取った元死刑囚)、高さん(司法改革プロジェクト)。
いったん認められた再審請求が却下された袴田巌さんの姉の秀子さんは「がんばっていくしかない。五〇年闘ってきたが百年戦争に入る。とくかくがんばっていく」と語った。台湾から来た徐さんは「台湾では死刑は銃殺になる。二一年間の闘いでえん罪が認められた。台湾では検察庁が再審請求する。この間、二件無罪になっている。えん罪被害者を支援していく。狭山ともいっしょにがんばりたい」と手作りのポスターを石川さんに渡し激励した。
市民の会のアピールで、久々に登壇した作家の中山千夏さんが「弱い者の味方をしない、ろくでもない国だ。司法は強い者の味方だけする。そんな司法は敵だ」と話し、最後に大声で「石川君を返せ」と叫んだ。鎌田慧さんの話の後、集会アピールの読み上げ、閉会のあいさつの後、数寄屋橋、東京方面に向けてデモを行い「石川さんは無実だ、再審を行え」と訴えた。狭山闘争もいよいよ大詰めだ。全国での支援の強化を。(M)



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